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プロフィール
コメント数 2389
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

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21.  東京流れ者 《ネタバレ》 物語自体はベタな任侠もので、それ以上でも以下でもないです。ただ舞台の一つとなる東京のクラブのセットは、白を基調にした清順らしいアヴァンギャルドな異空間となっています。60年代の鈴木清順の作品はモノクロというイメージが強いんですが、カラー作品を撮れば彼の天才的な色彩感覚に魅了されてしまいます、でも彼のカラー映画は勢いが失われてきた晩年に撮られたものが多いのが残念。佐世保のクラブは造りからして西部劇のサルーンそのもの、大乱闘もウェスタンお約束のパロディです。だけど映画自体は思ったよりはるかにまともで、『殺しの烙印』みたいなハチャメチャさは影を潜めています。まあ若き日の渡哲也はいかにも不器用そうな感じで、宍戸錠のようなはっちゃけを期待するのが無理ってもんでしょう。そういう観点からは、私には期待外れの一編でした。 余談ですがヘアドライヤーのメーカーとタイアップしていたみたいで、二か所不自然にドライヤーに言及するセリフやシーンがあります。松原智恵子が楽屋でセットしているシーンでは壁に貼ってあるそのドライヤーのポスターが大写しされますし、ほとんど五分刈りの渡哲也がドライヤーを髪にあてていたのには、そのわざとらしさに爆笑してしまいました。この映画で唯一の笑えるところでした。[CS・衛星(邦画)] 6点(2018-11-03 23:24:00)(良:1票)

22.  ドライビング Miss デイジー 《ネタバレ》 アメリカの黒人ラッパーには、この映画が大嫌いだと公言するのが多いそうです。まあ彼らの言い分も判らなくもないです。たぶん、出てくる黒人キャラはみな従順でいかにも50年代に南部人が理想とする黒人像でしかない、と文句を付けているんだろうと思います。たしかにキング牧師は話の中に出てくるけれども、従順ではなかった黒人たちが戦った公民権運動については全く触れられてはいません。というか、30年に及ぶストーリー展開でも政治に関する描写はほとんどなく、それは脚本家があえて選んだストーリーテリングじゃないかと思います。その代わりにミス・デイジーと彼女を取り巻く限られた人たちだけの小宇宙にストーリーを限定した脚本、そしてホークが運転する車の変遷を巧みに織り込んで南部黒人社会の歩みを観客に理解させる巧みさは脱帽です。知的ではあるがユダヤ人としてのアイデンティティに頑なに固執する母親、宗教には無関心でキリスト教徒と結婚して一緒にクリスマスを祝うリベラルな息子、とジェシカ・タンディとダン・エイクロイドの親子関係も緻密に計算されています。聞くところによると南部のユダヤ系白人は伝統的に黒人差別意識が強かったそうでミス・デイジーはその類型からはちょっと外れているようにも見えますけど、黒人使用人に接する態度は日本人にはとても尊大に感じます。たとえが悪いかもしれませんが、それはまるでペットや家畜をしつけるような感じで、そんなデイジーが最後にはホークを大切な友人として慕うまでになる、これはミス・デイジーの成長物語でもあるわけです。 映画の出来は別にして、アメリカ南部を舞台にした映画には不愉快な気分にさせられることが多いのですが、本作では「人間っていいなあ」としみじみ感じることができました。[CS・衛星(字幕)] 8点(2018-10-03 23:14:23)

23.  透明人間(1992) 《ネタバレ》 ジョン・カーペンター御大は、雇われ監督の場合の方がよい仕事をするという傾向があるみたいです。“ジョン・カーペンターの”と冠がつく作品だと得てして御大の暴走があらぬ方向に映画を持って行ってしまうことがありますが(このカオスなところがファンを魅了するのですけど)、本作では脚本にはタッチせず、しかも名手ウィリアム・ゴールドマンも脚本に参加していますので、御大の技量で脚本どおりに撮れば水準以上の映画になりますよ。 けっきょくもとに戻れず透明人間のままダリル・ハンナと幸せに暮らすというハッピーエンドは、ある意味洒落た締め方だと思います。食べたり喫煙したりすると中身が外から丸見えになるというネタはその後にヴァーホーヴェンも模倣してますが、『インビジブル』はいくら何でもやり過ぎで本作ぐらいがちょうどよいです。透明になったチェヴィー・チェイスが画面に映ったり映らなかったりするのはセンスの良い撮り方だと思います。彼も透明な自分の身体が見えないので服を着るのに悪戦苦闘するというギャグは、今までの透明人間ジャンルでは観たことのない視点でもあり、「なるほど、そうだよな」と納得しちゃいました。でも化粧というか色を塗ったとしか言いようがないチェヴィー・チェイスの顔は、まるで晩年のマイケル・ジャクソンみたいで笑ってしまいました。 SFとラブコメとアクションのバランスが取れた佳作だと思います。[CS・衛星(字幕)] 7点(2018-07-17 22:32:15)(良:1票)

24.  トロール・ハンター 《ネタバレ》 はい、観終わっての感想を一言、「絶対に笑ってはいけないトロール・ハンター24時」でした(笑)。こらえきれずに笑ってしまったシーンは数知れず、“自分のしっぽを食べようとして転がるトロール”“「実は俺キリスト教徒なんだ…」なんでこの状況でカミングアウトするの”“トロールを捨て身の攻撃で爆殺するハンス、その時着用していたミシュランのマスコットみたいなバケツを被っているとしか思えない鎧”“ぐるっと円を描いて戻ってくる送電線”etc… だいたいこのお話しは日本に置き換えると「実は巨大化したカッパが実在していて、日本アルプスの山岳地帯でひそかに隔離されているけど、政府はその事実を隠蔽している」という感じでしょう。つまり現地の人にはそれが端からジョークだと判る与太話で、それをいわゆるPOV手法のパロディとして、徹底的にシリアスに映画にまとめたというわけです。冒頭とラストのテロップなんてこの手の映画の忠実なパロディで、ここで「あっ、これはおふざけ映画なんだ」と気づかねばなりません。でも笑いのネタを随所に散りばめながらも、この監督は正攻法の撮り方で押し通すので引っ掛けられてしまうかもしれません。ラストの巨大トロールとハンスのバトルはさすがに悪ノリが過ぎたかとも思いますが、この監督が持つ才気だけは感じ取ることができました。[CS・衛星(字幕)] 6点(2018-05-03 21:13:44)

25.  ドラキュラ血のしたたり 《ネタバレ》 無実の女性を魔女狩りと称して狂信的に殺しまくるピーター・カッシングよりも、悪魔に魂を売ってヴァンパイアになっちゃう伯爵よりも、出演シーンの半分はネグリジェ姿で通す双子ちゃん姉妹の方にどうしても目が釘付けになっちゃいます。このコリンソン姉妹、1970年9月のプレイメイトだったそうですよ、そりゃナイスバディなわけです。そして舞台になっている村、熟女・人妻から若い娘まで美人で巨乳ぞろいとは、一度はここの住人になってみたいものです。 『吸血鬼カーミラ』をモチーフとしたストーリーというのがうたい文句ですけど、途中でミラカーラなるヴァンパイアがちょこっと出てきますが、『カーミラ』の要素はどこにも感じられずこれじゃあ翻案し過ぎでしょ。正直言ってヴァンパイアなんかよりピーター・カッシングの魔女ハンター団の方がよっぽど怖いです。さんざん若くて色気があるというだけで魔女と決めつけて火あぶりにしまくり、本当の敵が判ってからも唯一殺したのはヴァンパイア化した姪だけ、なんだピーター・カッシング、おまえ女しか殺してないじゃんかよ!ラストの対決もヴァンパイア伯爵に反撃されて秒殺ですからねえ… 『ヘルハウス』を撮る直前のジョン・ハフが監督ですが、まあ怪作としか言いようがないですねえ。でもこの双子のコリンソン姉妹は、数いるハマーお色気軍団の中でも屈指の殺傷力を持った逸材だったのは確かです。[CS・衛星(字幕)] 5点(2018-04-14 23:49:58)

26.  TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ 《ネタバレ》 実にクドカンらしい悪ノリ映画、でも自分はこういうのはツボです。彼は劇作家なので、この映画もロック・ミュージカル劇で舞台空間では見せることのできないことがやりたくて映画にしました、って感じでしょうか。地獄の鬼たちの顔ぶれは実に豪華で、とはいってもみんなメイクがこてこてなので誰が誰だか判別不明ですけど、何とかマーティ・フリードマンだけは判りました。できればこの顔ぶれにデーモン小暮閣下(いやいや、この人は鬼じゃなくて悪魔でした)や筋肉少女帯が混ざっていたらもっと愉しかったかも。 この手の映画は人によっては好き嫌いが別れるのは判りますけど、違うサイトでこの映画に罵詈雑言を浴びせているのがありました。「自分のせいでバスが事故を起こしたんだから、地獄で仲間と会ったら土下座して謝るべきで、此奴の態度は不謹慎極まりない」なんて感じで倫理観を振り回しています。まあこの人が言いたいのは、死をテーマにしたコメディは許せない、ということみたいです。どうもわが国には映画やTVの題材となると目くじらを立てる洒落が判らない人がいるんで、困ったものです。そういうところは、舞台演劇の方がはるかに自由でアナーキーなんだなと、改めて実感いたしました。私なんか、ラストのお婆ちゃんになった恋人にキスをするインコの主人公を観て、安易に生き返らせたりしないクドカンのストーリーテリングに仏教の輪廻感への彼なりの考察が感じられ、少しホロっとさせられました。[CS・衛星(邦画)] 7点(2018-03-16 20:43:58)

27.  トータル・リコール(2012) 《ネタバレ》 ヴァーホーヴェンのオリジナル版がなぜ今でもカルト的な人気を保っているのか、考えてみてください。フランケンシュタインみたいな大男がど下手な演技で地球と火星をまたにかける大活劇を見せてくれるのに、あのラスト・カットが象徴する「実はみんなシュワちゃんの妄想だったんじゃないか」と観る者の胸をざわつかせる不思議な世界感。こんな大事なファクターをばっさりと切り捨ててリメイクを製作したんだから、ただの平凡なSFアクション映画となってしまったのは当然の帰結でしょう。「リメイクなんだからオリジナリティがないのは当たり前」と製作者に開き直られても困りますが、でも、これほど引用というかパクりが多い映画も珍しいと思います。『ブレードランナー』から始まっていちいち挙げたらきりがないけど、地球と火星のお話しだったのをロンドンと豪州に置き換えたというスケールダウン感を補うために地球を突き抜けるトンネルでつなぐという奇想天外なアイデアも、『ザ・セル』の応用パクりなんじゃないの?しかし映像的にはかなり見ごたえがあるシーンではありました。でもその車輌(?)の外に出れちゃうのはなんかヘンです。あのトンネル内部には酸素があるんでしょうか。ふとそこで思い当たったんですけど、リオ五輪閉会式で話題になったマリオが東京からリオまで行った土管って、ひょっとして本作がアイデアのタネだったんじゃないのかな。プランナーが電通の人だからあり得る話だと思います。 この映画で特にバッサリと斬り捨てられたのは、オリジナルが持っていたあのグロ要素です。マサイアスなんてあっさり殺されるキャラなのは承知ですけど、本当にただのおっさんでしたからがっかりです。ビル・ナイのことですからなんかやってくれるのかなと期待してたんですけどね。でも、コリン・ファレルがロンドンに侵入するところで、ゲートの前にいるおばさんがオリジナル版のおばちゃん仮面とそっくりだったのがクスリとさせられました。あんな下らない仕掛けをストーリーとは関係なく仕込んでも効果が薄いんですよね、この監督のセンスのなさが偲ばれます。[CS・衛星(字幕)] 3点(2018-02-16 00:42:05)

28.  扉の影の秘密 《ネタバレ》 ドイツ表現主義の雄フリッツ・ラングがメガホンをとって“光と闇の貴公子”スタンリー・コルテスを撮影監督に起用されれば、これぐらいの映画は余裕でできちゃうんですね。特に舞台がアメリカのお屋敷に移ってからは、その陰影の濃い映像とミステリアスなストーリーテリングに引き込まれてしまいます。さんざん引っ張っておいてあのラストはなんだという非難は当然かもしれませんが、これは『飾り窓の女』にも通じる当時のハリウッドでのお決まりなんですから、大目に見てやってください。でもマイケル・レッドグレーヴは本当に殺人者ではなかったのか?という疑問は当然残りますけど、何でもかんでも種明かししてしまう昨今のヘボミステリー映画では味わえない感覚は貴重であります。[CS・衛星(字幕)] 7点(2017-12-11 23:07:39)

29.  東京上空いらっしゃいませ 《ネタバレ》 それまで剛腕をたよりに数々の異色作・問題作を撮ってきた相米信二も、90年代に入って円熟味が出てきた感じがあります(もっとも彼の人生はその後10年余りでしたが)。そして本作は彼が手掛けた最後のアイドル映画で、相米アイドル・ムーヴィーの完成形でもあります。 ストーリーは大島弓子の『四月怪談』をモチーフにしたようなファンタジーですけど、やはりこの映画の魅力は初演技だった牧瀬里穂の存在に集約されるでしょう。正直いって最初は彼女のキンキン声のど下手なセリフ回しは引いてしまいますが、そのあまりに豊かな表情と瞳に引き込まれてしまって、「これもありかな」となってしまいます。そんな素人同然の新人女優が相米監督に長回し撮影で撮られたのだから、かなりハードな経験だったことでしょう。ハンバーガー屋では、殺到する注文を受けて一人で飲み物を準備しおまけに肉を焼いてハンバーガーを完成させるまでをワンカットで演技させられるんですから、こりゃ大変ですよ。名曲『帰れない二人』を、四人のシンガーにそれぞれのスタイルで歌わせるセンスはさすがです。吹き替えですけど、中井貴一のトロンボーンに合わせて牧瀬里穂が歌い踊るシーンは、懐かしの90年代の雰囲気にあふれていました。そして自分が大好きなのはラスト・シーンで、あのマウスピースを買いに来た女子高生はきっとユウの霊なんだろうなと思います。でも現世の中井貴一にはそれがユウには見えないんです。何かしらを彼は感じ取っているのは確かなんでしょうけど… 余談ですけど、鶴瓶は本作から相米映画の常連になりましたが、実はその後の出演作ではギャラは一銭ももらっていない友情出演だったそうです。[ビデオ(邦画)] 8点(2017-11-26 23:27:28)

30.  独立機関銃隊未だ射撃中 《ネタバレ》 この映画の陰の主役と言えるのは、三橋達也たち五人の兵士が撃ちまくる九二式重機関銃です。使われているのはもちろん撮影用のレプリカでしょうが、金属を多用して製作されているので、質感がとてもリアルに感じます。機関銃発射までの手順も丁寧に描写しており、脇に控える兵士が保弾盤を使って弾薬補給するところなんて実感たっぷりです。“狙撃機関銃”の異名をとるだけのことはあって、スコープを使って射撃するシーンもあります。昭和三〇年代の映画ですから、実際にこの機関銃を撃った経験があるスタッフもいたんじゃないでしょうか。そういや軍隊経験のある親父も、「九二式重機は撃ちやすくて命中率が高い、陸軍で最良の兵器だった」と回想していました。 ほぼトーチカの中だけで物語が進行する密室劇の様な趣きもあって、日本版『Uボート』みたいなところもあります。敵の砲撃を雨あられと浴びるトーチカの中に籠る恐怖は、爆雷攻撃を受けるUボート乗員の絶望に通じるものがあるんじゃないでしょうか。三橋達也がまた自然でリアルな演技で、この軍曹についてゆけば生き残れるんじゃないか、と頼もしく感じてしまうぐらいです。でもそんな有能な下士官に率いられていても、所詮は多勢に無勢でソ連軍に叩かれて全滅してしまうわけです。その各人の死にざまもけっこうエグくて、佐藤允は火炎放射器に顔を焼かれてモンスターの様な顔貌になってしまうし、志願兵は爆破されたトーチカの中で文字通り肉片になってしまいます。明らかにラストは『西部戦線異状なし』の模倣ですけど、それなりに雰囲気はよく出ていました。 この時期に製作された日本の戦争映画には反戦を主張するイデオロギーの道具の様な代物が多かった印象がありますけど、本作は戦争というか戦闘を真正面から描いていて、なおかつ反戦メッセージとのバランスも良くとれています。ただ少し残念だったのは、九二式重機関銃にかけるような拘りを攻めてくるソ連軍の描写にも見せて欲しかったところです。戦車なんかはまるで国籍・年代不明な代物で、まるでおもちゃ屋で買ってきたブリキ戦車をそのまま撮影に使っているような感じです。どうせプロップやミニチュアを造るんなら、センスさえあればいくらでもソ連戦車に似せることができるんですけどね。[CS・衛星(邦画)] 8点(2017-07-31 22:40:33)

31.  ときめきサイエンス いやはや、こんな中坊の妄想そのものみたいなお話しを大の大人が真面目に映画にしちゃうなんて、ジョン・ヒューズはやはり天才だったんでしょうかね?これはフランケンシュタインのパロディと言うよりも、セクシー姐ちゃんバージョンのドラえもんと呼んだ方がしっくりくるんじゃないでしょうか。 徹頭徹尾バカバカしいストーリーですけど、サウンドトラックだけはムダに豪華なんです。冒頭の暴走し始めるPCの画面には、なぜかデヴィッド・リー・ロスがチラリと登場します。そしてショッピング・モールのシークエンスで流れる“プリティ・ウーマン”は、なんとヴァン・ヘイレンのカヴァーなんです。おまけにこの映画のテーマソングは、ミュージシャン時代のダニー・エルフマンが組んでたバンドがパフォーマンスをしてるんです。 やはりジョン・ヒューズのティーン・ムーヴィーには、アンソニー・マイケル・ホールが欠かせませんね(もちろん女優ではモリ―・リングウォルドも)。[CS・衛星(字幕)] 6点(2017-06-13 22:54:43)

32.  動物と子供たちの詩 《ネタバレ》 まず語っておきたいのは、オスカー歌曲賞にノミネートされたカーペンターズが歌う主題歌です。意外にもカーペンターズの歌曲がテーマソングに使われたのは、この映画だけなんです。『ふたりの誓い』もあるんじゃね?って思う人もいるかもしれませんが、あの有名な曲は確かにオスカー受賞してますけど、カーペンターズは映画公開後にカヴァーして大ヒットを飛ばしたんですね。本作で歌われた『動物と子供たちの詩』は、シンプルなメロディーラインなんですけどカレンの澄み切った歌声とのコラボレーションが絶妙で、カーペンターズの隠れた名曲だと言えます。 この映画はアメリカ特有の “サマーキャンプもの”に属しますけど、名匠スタンリー・クレイマーが撮るようなジャンルでもなかろう思いましたが、単純なジュブナイル映画とは一線を画す佳作だと思います。このサマーキャンプがまるで戸塚ヨットスクールの米国版みたいなところで、そこの最劣等班の六人の少年が主人公です。少年たちの親は裕福だけど家庭環境や育ちに難がある問題児たちで、牧場のバッファローがハンターたちに娯楽で射殺される光景を観てバッファローを逃がすためにキャンプを脱走します。ここで考えさせられるのは、この映画のプロットは一貫して少年たちの視点で展開するところです。日本でもニホンカモシカが増えすぎて個体調整のために駆除されることがたまにありますよね、ひょっとしたらこの映画でのバッファロー狩りも、そういう意図があるのかもしれません。でも少年たちはバッファローに不遇な自分たちを重ね合わせてしまい、悲劇的な結末まで暴走してしまうんです。大人たちの理屈も「バッファローは役に立たないから殺しても構わない」というかなり乱暴ですけど、この理屈を裏返すと「クジラやイルカは可愛いし知能が高そうだから、狩ってはいけない、食べてはいけない」という欧米人の身勝手な論理になるわけです。 プロット的には『スタンド・バイ・ミ―』が似ているとも言えますが、感傷的な演出を極力排して冷徹な視線で子供の世界を描いている分、本作の方が格段うえだなと思います。[CS・衛星(字幕)] 7点(2017-06-08 22:55:43)

33.  トレヴィの泉で二度目の恋を 《ネタバレ》 ありふれた“ボーイ・ミーツ・ガール”ストーリーの後期高齢者バージョンという感じなんですけど、予想以上にしっとりと見せてくれる映画でした。この “ボーイ”がクリストファー・プラマー、“ガール”がシャーリー・マクレーンという二大名優というところがミソです。マクレーンの住んでいるアパートに妻を亡くしたばかりのプラマーが引っ越して来てそれから…、というのが基本的なストーリーです。マクレーンはどこまでか本当の話かよくわからない虚言癖がある婆さん、もうキャラがぴったり過ぎて笑っちゃうほどです。最近思うにクリストファー・プラマーは老いてからどんどん良い俳優になってきてる気がします。気品ある風貌と演技が品格さえ感じられてきて、同年代のマイケル・ケインとある意味好対照な感じがします。また助演陣がまた豪華で、マーシャ・ゲイ・ハーデンにジェームズ・ブローリン、そして懐かしのジョージ・シーガルまでお出ましとは感無量です。 この映画はフェリーニの『甘い生活』が重要なモチーフになっていて、クライマックスではマクレーンとプラマーがトレヴィの泉で『甘い生活』の有名なシーンをオリジナルとそっくりな衣装で再現するというちょっとウルウルするようなシーンもあります。この二人の残された人生の時間はそう長くはないだろうし、もっともっと映画に出演してほしいしそれを観たいと切に願う次第です。[CS・衛星(字幕)] 7点(2016-10-18 19:28:33)

34.  泥棒株式会社 《ネタバレ》 まず言及しておきたいことは、邦題のこと。はっきり言って映画の内容からは程遠いということです。確かに『泥棒株式会社』というネーミングはセンスが良いんですけどね。 簡単に言いますと、ピーター・セラーズたち三人の釈放まじかの囚人が刑務所を抜け出してダイヤモンドを強奪するというのがお話の内容です。そのあと刑務所に戻ってくればいざというときには鉄壁のアリバイになるしすぐに満期出所で大手を振って娑婆に戻れるという寸法なわけです。これに絡むのが彼らが逮捕されたときに一人だけアリバイがあってムショ送りにならなかった仲間の詐欺師、こいつが牧師に化けて刑務所に出入りするところが面白い。またセラーズの恋人や一味の母親までもが一緒になってダイヤ強奪を手伝うというのもなんかとぼけていて可笑しいところです。でも傑作『マダムと泥棒』やアレック・ギネスが主演していたころのイーリング・コメディに比べると、とってもどんくさくてモタモタした印象です。刑務所体制やダイヤを護送する軍隊なんかのお上を徹底的に茶化すところはモンティ・パイソンでおなじみの英国コメディの伝統ですかね。でも肝心のピーター・セラーズが妙におとなしい演技なのがテンションが上がらなかった原因かもしれません。 最近のピカレスクもの映画のようにどんでん返しに凝るということはなくまったりと観れる映画なんですけど、やはり英国コメディにはゲップが出るほど濃厚さが欠かせないなと改めて感じました。[ビデオ(字幕)] 4点(2016-10-07 23:52:01)

35.  ドム・ヘミングウェイ 《ネタバレ》 いきなりウルバリンみたいなモミアゲスタイルで上半身ハダカのジュード・ロウが、カメラに向かって自分のムスコ自慢を延々とシャウトしてます。カメラが少し引くとそこはどうも刑務所の中みたいで、実は下半身の方はというと… と、なかなかシャレた(?) オープニングでちょっと期待が高まります。ジュードのキャラは伝説の金庫破りであるドム・ヘミングウェイなる男で、ボスの罪を被って12年もムショ暮らししているという人です。そのドムが仮釈放もらってシャバに戻ってからの、ついてるんだかついてないんだか良く判らない日々がメインストーリーです。 この粗暴を絵にかいたようなドムというキャラを、とにかくジュードが好演してるんです。元から演技力には定評ありますが、こんなワイルドでアホなキャラでも余裕で演じちゃうんですから、もう堪りません。またスタイリッシュな感じのストーリーテリングも、これはガイ・リッチーの再来か、と感じさせてくれます。場面展開で使われるテロップもウェス・アンダーソン風でセンスがありますねえ。ドムの親友ディッキーが渋いながらも味わい深いキャラで、ハチャメチャなドムに振り回されながら「お前の墓は掘りたくない」なんてぼやきつつもドムの窮地を救ってくれます。 ボスの愛人にはカネを持ち逃げされ実の娘には徹底的に嫌われ、この映画のジュード・ロウには共感させる要素は皆無なんですけど、最後には愛おしくなってくるから不思議です。できたら続編も撮ってシリーズ化して欲しいぐらいです。私の中では“FOXサーチライトの映画に外れなし”なんですが、今回もジンクス通りでした。[CS・衛星(字幕)] 7点(2016-07-26 20:56:17)

36.  動脈列島 《ネタバレ》 原作は当時話題になったそこそこのベストセラーだったと記憶しています。その原作を映画製作会社としてはほとんど死に体だった東宝が『新幹線大爆破』の二番煎じとしてチョイスして映像化したわけですが、観て判ったのは原作がやはりヘボだったのが失敗の原因だったということです。“不偏不党”“明るく楽しい”がモットーだった東宝がこんなコテコテの社会派映画を製作したと言うところに、当時の追いつめられていた邦画の状況が窺えます。 とにかく近藤正臣が演じる犯人の、いくら犯罪素人とは言ってもその杜撰さはちょっと酷い。大きく筆跡が判り易い字で脅迫状は書くし(おまけに指紋がベタベタ付いている)、国鉄総裁の自宅に堂々と談判しに現れるに至ってはもう笑うしかありませんでした。あまりに簡単に田宮二郎たち警察に見破られるので、これは何かの伏線で後半でどんでん返しがあるのかと思えばそれもなし。この映画のいちばん嫌なところは、 “正義のテロなら許されるんだ”と言いたげな、いかにも全共闘チックな浅薄極まりない視点です。そのために誰にも文句が付けようのない新幹線騒音公害をダシに使ってる様で、気分が悪くなりました。これなら動機が純粋にカネ目当てだった『新幹線大爆破』の健さんの方がまっとうに感じるぐらいです。ちょっとした悪戯でもすぐに止まる現在の新幹線を考えると、あんなに大々的に実行日まで予告しても新幹線を運行するというストーリーも、ちょっと理解不能です。だいいちその日は誰も新幹線を利用しないでしょう。まるで新幹線が一日止まれば日本の社会が崩壊するかのような妄想じみたプロットで、これはもう清水一行の原作小説じたいのレベルが低かったということに尽きるでしょう。 増村保造も70年代になってからはめっきり監督としての腕が落ちてきたなと実感させられる一篇でした。[DVD(邦画)] 4点(2016-07-16 23:45:10)

37.  逃亡列車 《ネタバレ》 かつて陸軍には鉄道連隊という工兵部隊がありました。文字通り戦地で鉄道を建設・運営するのが任務で、悪名高い泰緬鉄道の建設なんかも鉄道連隊の仕事です。千葉の津田沼・松戸間を走る新京成電鉄は鉄道連隊が残した演習用路線を繋げて戦後開業したのがルーツで、平坦な地形なのに異様にカーブが多いのはその名残だそうです。この鉄道連隊の部隊を主人公(たぶん日本でこれ一本だけじゃないでしょうか)にした珍しいアクション映画です。 満州の場末に駐屯する守備隊が、終戦の混乱のなか中国ゲリラの追撃を振り切って復員船の待つ北朝鮮の港までいかに逃げ切るかというのがプロットです。部隊を率いる少尉は石原裕次郎で、士官学校出の職業軍人じゃないという設定みたいなんですがバクチはめっぽう強く拳銃撃たせりゃ百発百中、まさに日活お得意の無国籍アクションのヒーローそのものといった感じです。撮影は北海道あたりで撮ったのかと思えば実は山梨県の小海線で国鉄協力の元撮影されたそうで、あの雄大な景色は八ヶ岳の麓というわけです。小駅で女学生たちとともにゲリラに包囲された裕次郎部隊なんですが、肝心の機関車疾走シーンはラストのほんの5分足らずです。それまでにいかに苦労して機関車を走行可能にするかが焦点なわけですが、部下の玉川伊三男たちがあの手この手で修理しちゃう描写が面白い。また怪しげな中国人が伊藤雄之助で、もうこの人をキャスティングしたことだけで評価が100点満点中30点はアップしましたね。でも敵のゲリラの描写はちょっと雑なところが目立ち、包囲しているくせになかなか攻めてこないし、攻撃開始すれば弱小部隊に射的の的みたいに打ち倒されるだけで、まるっきり西部劇のインディアン状態でした。 とは言えやはり石原裕次郎はカッコ良いし物語のテンポも好調で愉しめる作品だったと思います。邦画の戦争映画は湿っぽいものが多くてときにやり切れなくなりますが、東宝の『独立愚連隊』シリーズに通じる本作の様なカラッとしたアクションは貴重です。今となっては実現不可能ですけど、60年代の石原裕次郎と加山雄三が共演する陽性戦争アクション映画を観てみたいものです[CS・衛星(邦画)] 6点(2015-09-02 19:55:51)

38.  東海道四谷怪談 《ネタバレ》 怪談映画のマエストロ中川信夫の最高傑作、クズ映画を量産して消えていった新東宝も本作を残せたことで映画史に名を残すことが出来ました。 とにかく役者・スタッフたちの気合いが映像の端々にまで行き渡っている感じです。冒頭の伊右衛門がお岩との婚儀を断れたため義父を斬り殺すところからワンカットで押し通してしまうぐらいで、歌舞伎の様式美に拘りながらも斬新なカメラの動きは時代劇の枠を超えています。要所で見せる赤色の使い方が鮮やかで、低予算ながらも色彩設計は凝ってます。怪談と言えば音響が重要なのは当然熟知しているうえでの効果音の使い方がまた巧緻で、お岩・宅悦殺しのシーンにかぶさる花火の音やカエルの鳴き声が印象深い。 天地茂の伊右衛門は、三島由紀夫が絶賛したのも納得の名演です。こういう極悪非道ながらも人間的な苦悩を見せる伊右衛門像は、それまでの四谷怪談にはなかった演出なんだそうです。お岩さんの若杉嘉津子は言うまでもなく彼女の女優人生で最高の演技、ラストの我が子を抱いて昇天してゆく姿は涙を誘います。 四谷怪談の映画化作品でおそらく本作の上映時間が最短だと思いますが、実に濃密な70分余りです。[CS・衛星(邦画)] 10点(2015-07-26 22:43:37)(良:2票)

39.  ドライブ・アングリー3D 《ネタバレ》 もうこれはニコラス・ケイジのために企画された様な映画で、おバカ映画になればなるほど悲しいかなニコジーも光輝いてくるんだから(頭部の事ではありません)大目に見てやってください。 冒頭の脱獄らしきシーンもあるので脱獄犯が主人公なのかと思ったらなんかヘンだよね、そうか地獄から脱け出すから「脱獄」なんですね、日本語って良く出来てます(笑)。そのニコジーを追っかけるウィリアム・フィクトナー、「看守役」ならぬ「監査役」だってところがまたお茶目で(くだらない駄洒落で済みません)、けっきょくニコジーの復讐をアシストしてあげるためにやって来た様なもんでした。私はその方面には疎いんですが、登場する車には製作者のこだわりがあるみたいに感じました。敵ボスのカルト教祖もなんかヘンなキャラでしたが、あの死にっぷりをを見るとこの人も「監査役」と同じ業界の人だったということでしょうか。 ニコジーにもう一回脱獄させて続編を撮るというのも有りかなと思いました。[CS・衛星(字幕)] 6点(2014-11-07 22:51:19)

40.  怒涛の兄弟 《ネタバレ》 邦画では時代劇の流れを汲んで公儀やお上(今で言うところの国家権力)をヒーローとするドラマツルギーが存在しますが、それにしても公安調査庁の課長が主人公という設定はかなりの珍品です。公安調査庁の課長(中山昭二)には大学生の弟(松本朝夫)がいて、こいつが左翼思想にかぶれて秘密結社(たぶん共産党)の一員となります。この組織、活動資金を稼ぐために会社まで創って密輸に励みます。その社長の悪事が秘密結社のボスにばれ、指令を受けた弟は社長を射殺して裁判にかけられますが、最後は母親の愛によって魂は救われるという、いわば任侠時代劇によくある母子ものをそのまま現代に持ってきただけの古臭いお話しです。だいたい法廷で「裁判長様、私の話を聞いてください」と傍聴席の母親が不規則発言をして、それがそのまま証拠として採用されるなんて、この脚本書いた人世の中の仕組みが判ってるのか非常に疑問です。当時の共産党は武装闘争に走って非合法化される寸前まで追い込まれていた時期でしたが、映画の中でそれらしいモデルとはいえ悪の組織として描かれているのは非常に珍しいことで、さすが新東宝です。 まあ語るほどの価値もない愚作なんですが、みんな時代劇みたいな芝居をしている中であまりにバタ臭い前田通子が浮いていたのが印象的でした。[CS・衛星(邦画)] 2点(2014-07-17 22:39:34)

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