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プロフィール
コメント数 1246
性別 男性
自己紹介 【名前】「くるきまき」(Kurkimäki)を10年近く使いましたが変な名前だったので捨てました。
【文章】感想文を書いています。できる限り作り手の意図をくみ取ろうとしています。また、わざわざ見るからにはなるべく面白がろうとしています。
【点数】基本的に個人的な好き嫌いで付けています。
5点が標準点で、悪くないが特にいいとも思わない、または可も不可もあって相殺しているもの、素人目にも出来がよくないがいいところのある映画の最高点、嫌悪する映画の最高点と、感情問題としては0だが外見的に角が立たないよう標準点にしたものです。6点以上は好意的、4点以下は否定的です。
また0点は、特に事情があって採点放棄したもの、あるいは憎しみや怒りなどで効用が0以下になっているものです。

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1.  時をかける少女(2006) 《ネタバレ》 [2012.10.27改訂] アニメヒロインっぽい元気な女の子の青春物語。終盤には“時かけ”の通例どおり切ない別れが待っている。 別れの場面では、千昭が「未来で待ってる」と告げ、真琴が「走って行く」と応えていたが、実際は千昭のいる未来と現在との間には絶望的な懸隔があり(原作の27世紀という設定を採用)、これが永遠の別れになるのだろう。しかしどれほど遠くても、現在とはいわば地続きの未来であり、時の向こうに間違いなく千昭はいる。真琴はもう自分自身で時間を超えていくことはできないが、はるか未来で待つ千昭のために、あの絵を残すことならできるはずである。そのためにいま何をすべきなのか、終盤で夏雲を見上げた真琴は心に決めていたに違いない。 この映画での「時をかける」とは、原作や他の時かけ映画のような、単なるタイムトラベルの言い換えではない。何の特殊能力もない女の子が、ただ時間に流されるのでなく、自分の意志と力で能動的に未来へ向かって行動しようとする姿を示している。そう思えばこそ、終幕であらためて表示されるタイトルに深い感動を覚えるのである。 なお劇中で真琴が魔女おばさんに持って行った手土産のケーキは、都内の実在の洋菓子店(エンドロールに出る)で調達したものだったが、その店名の”à tes souhaits!”という言葉を真琴に贈りたい(同店公式サイトに意味が書いてある)。 ところでこの映画では、時間というものの性質についてかなり柔軟な見方をしているらしい。他の時間モノでは、定められた時間の流れを寸分たりとも変えてはならないなどという厳しい制約がかけられている場合もあるが、この映画では同じ時間を何度も経験すれば全く違う展開が生じており、そのことで一人の人間がもつ無限の可能性が示されていた。また途中で“シュレディンガーの猫”が登場していたが(静止画)、別の場面でも一時点で複数の可能性が並存していて、フタを開けてみなければ確定しないという状況が描かれていた(功介の態度)。 “未来は変えられる”とか“やってみなければわからない”というのは、言葉にすれば当たり前のことだが、年を取るとどうしても未来の自由度が狭まるので、そもそも自分はこういう運命だったと考えて納得してしまうことが多くなる。自分にはもう無理であっても、せめて若い世代には、その当たり前のことをもっともっと言っていきたい気がしている。[DVD(邦画)] 10点(2012-01-21 21:22:05)(良:2票) 《改行有》

2.  東京物語 《ネタバレ》 見る人によって受取り方が違って来る映画らしいが、個人的感覚でいえば、劇中の長男・長女の対応はごく自然に見える。また次男の元妻は、いわば嫁の立場として極めて誠実に対応していたようでご苦労様だった。 この長男をはじめとした子どもらもいずれは両親と同じ立場になり、最後には老夫婦だけが家に取り残されることになるのかも知れない。現代だけでなく、この映画の時代や前近代においても跡継ぎ以外は全員家を出るのが当然だったわけで(劇中の三男もそういう感じ)、昔と今が違うとすれば跡継ぎさえも残らないことだが、それは人情の問題というより家という観念の希薄化である。老いた親を見守るためなら誰か一人が地元に残るだけでも十分であり、劇中の末娘なら適任だったかも知れない。 老夫婦としても、この境遇をまあ幸せだと納得しようとしていたようだが、ほとんどの人間にとってもこのあたりが納得のしどころではないか。次男は別として、生きている子は既にそれぞれの社会的地位や家庭を築いており、自分らの生きた証はちゃんとこの世に残っていく。決して慰めなどではなく、本当に幸せだったではないですか、と自分としてはこの老夫婦に言ってやりたい気がする。 なお次男の元妻に関しては、いくら昔の人とはいえ作り笑いが過ぎるのではと思いながら見ていたが、最後になって本音を言ってもらえたのはよかった。 ところで末娘は可愛らしく見えるので女学生かと思ったら教員とのことで、道で会った児童は頭を下げて挨拶し、教室での様子を見てもきりっとした立派な先生である。しかし社会的にはそういう立場でありながら、兄から見れば子ども扱いなのか大事な家族会議にも入れてもらえず、また姉からは小間使いのように使われていた。古い家族観が崩壊すればこういう理不尽な扱いもなくなるのかも知れない。[DVD(邦画)] 8点(2015-08-03 23:58:11)《改行有》

3.  飛べ!ダコタ 《ネタバレ》 まず終盤の村長の言葉は、印象的ではあるが微妙である。軍部の起こした戦争だった(国民は無責任)というのは現在も国民的常識であるから、ここであえて国民側の責任を指摘してみせた度胸は買う。しかし続いての“次の戦争を止める”との発言を聞けば、結局“誰か(要は国)が戦争を起こそうとしているので国民は止めなければ”といった昔ながらの脅威論のようで鼻白む。 当時はともかく、現実に有権者の投票行動が国の方向性を左右している(実際にした)現代においてこそ、民主主義の制度を通じた国民の主体性と責任感の発揮が求められており、その中で、今後の戦争の抑止に向けた現実的な努力も期待されることになる。そういった意図なら賞賛するが、そうでなければせっかくの感動作に古風な政治的メッセージなど込めるのは歓迎できない。むしろ劇中の経過を素直に受けた形で、広い民間交流が世界平和の礎を築くのだ、という素朴な文脈で語ってもらいたかったというのが率直な感想である。  ところで、劇中で変な親爺が日露戦争時の歌(「広瀬中佐」)を歌った後で「昔の同盟国」と言っていたのは、近視眼的な敵味方の区別をあざやかに無化してみせていて説得力があった。これはどちらかというと建前論の部類だろうが、その後の母子の情愛や歌の場面を見ていると、いわゆる諸国民の融和というような内容が、庶民(イギリス側を含む)の自然な感情に根差した形で表現されていて心に染みるものがある。 また登場人物では、その辺のオカアサンのように出ていた2人がユーモラスで、結構ブラックな軽口をたたいておいて結局笑いに巻き込んでしまうのが可笑しく、これはある種庶民のたくましさの表現だろうかという気がした。方言のため何を言っているかわからない場面とか、背中の叩き方など見てもこれは本当に地元の人かと思ってしまうが、こうした住民の姿が役者の力で映像化されているのは嬉しくなる。 そのほか、冬の日本海の風景は寒々としているが美しい。全国的観点からは“裏日本”などただ陰鬱なばかりと思われているかも知れないが、そこにはちゃんと四季もあり、ちゃんと人間が住んでいて喜怒哀楽も人の情もある。自分は佐渡と直接の関係はないが、同じく日本海沿岸の四季と人を知る者として、佐渡の皆さんの幅広い協賛と参加で作り上げたこの映画を(前記の苦情を除き)ほぼ全面的に支持したい。これは見てよかった。[DVD(邦画)] 8点(2015-01-24 17:47:36)(良:1票) 《改行有》

4.  となりのトトロ 《ネタバレ》 20年以上前にTVで見た時は、まずはオープニングの画面に蠢く気色悪い生物が印象に残った。通常の美化された自然描写では出ないこういうものをあえて引っ張り出し、この映画はありのままの自然に向き合っておおらかに受け入れているように感じられる。ただしメイが脇目もふらずに歩いていく前後で気色悪いのが時々表に出て来ることもあり、たまたま遭遇を免れたため気づかないでいた危険の存在を示しているようにも見えている。 また最初に見た頃は、親子向けアニメなど自分の見るものではないと決めつけていたところもあったわけだが、歳とってから改めて見るとこれが結構切ないものがある。お母さんが心配で泣き出すサツキがかわいそうでならない、などと若い頃なら絶対思わなかったろうが、これに追い討ちをかけるように劇中ではメイまでが失踪してしまい、子どもらが日常のすぐ裏にある不安や危険に常に晒されていることも示されている。そうした重層性は、実はトトロやネコバスのいる並行空間にも言えることだが、幸いおばけの世界は子どもの味方だったようである。 一方エンディングでは、秋になってお母さんが無事退院した後の様子が描かれており、幼かったメイが年下の子と遊んでやるようになったりして、少しずつ変化しながら季節がめぐって行くのが表現されている。キャッチコピーの「このへんな…」というのも、成人後のサツキが昔を振り返って語った言葉だろうから、この家族には未来につながるしあわせが約束されていることは疑いない。いくら裏のあるアニメでも、このストーリー自体をバッドエンドとして裏解釈することなどは無理だと思われる。 ただし、例の都市伝説に出る陰惨な事件がこの映画(S33の所沢市と仮定)とほぼ同年代の同地方で起きたこともまた事実である。劇中の時点では事件の被害者もすぐ近くに住んでいて、かつサツキとほとんど同年輩だったはずだが、しかしそういう暗い背景があればこそ、かえってこの映画の明るく楽しい子どもの情景がさらに奇跡のように輝いて見える気もした。子どもにそんなことを教える必要は当然ないが、この世界に現実にある不安や危険を知る大人であればこそ、この映画で描かれた家族のしあわせがどれほど貴重なものか認識できるのも間違いない。これに気づくことで、単なる子ども用アニメを超えた価値を改めてこの映画に感じることができたというのが、今回見直した後の実感だった。[DVD(邦画)] 8点(2012-10-01 22:02:13)(良:1票) 《改行有》

5.  トップガン マーヴェリック 《ネタバレ》 導入部分が旧作をなぞる形になっていて、個別の場面や背景音楽にも見覚え・聴き覚えがある。日章旗と青天白日滿地紅旗も復活していて大変結構だった。 最初は極超音速機で始まるが、本番になるとF-35でもなくF/A-18で、敵の第5世代戦闘機にかなわないとされていたのは寂しい設定だったが、これはそもそも任務の性質ということもあり、また要は「パイロットの腕」が勝敗を決する話にしたかったからだと納得した。 劇中の敵国は、核兵器の開発を企む「ならず者国家」であって、今もF-14があるといえば実在の特定国家を思わせる。しかし現地に行ってみれば積雪や針葉樹林のようなのがあり、また第5世代戦闘機を自力開発するとかヘリコプターの姿が別の特定国家を思わせるので、結果的に2つの国を組み合わせた形になっていた。 前回は、ストーリーはともかくとして飛行機の迫力で見せている印象だったが、加えて今回は物語がちゃんと作られているのが感動的だった(それで普通だが)。特に初めから主人公が先頭切って突っ込んでいくのが当然というわけでもなく、最初は違っていたが行きがかり上そうなった、という展開だったのはまともである。結果的には上官にとっても経歴上の問題にはならず、最後にみんなが(敵以外は)笑顔で円満に終われる話ができていたのは幸いだった。 主人公は昔と大して変わらないようでも、かつてのライバルがなんと太平洋艦隊司令官だというのが年月の経過を表している。同時代を生きていたはずでも先に世を去る者がいて、自分はまだまだと思っていてもいつか退くべき時が来る、という男の最後の花道だったようで、終幕時には愛する妻?とその娘、さらに息子代わりの男もいて、ちゃんと次世代へのつながりができていたのは他人事ながら嬉しい。あとは好きな飛行機を飛ばす暮らしが待っていたということか(海もあるだろうが)。 それにしてもF-14も役者もさすがに年はとったが格好いい。トム・クルーズも今年はもう還暦で(壬寅、寅年だ)、旧作との関係で見れば本人の人生を重ね合わせた続編のようでもあるが、役者としてはまだまだ先があるのだろうと思う。後向きの懐古趣味に浸っていればいいのでなく、自分の現在地を確かめてから前を見ろ、という映画かと個人的には思った。[インターネット(字幕)] 7点(2022-12-31 10:12:22)《改行有》

6.  とうもろこしの島 《ネタバレ》 基本はグルジア(今でいうジョージア)の映画だろうが、その他いろいろな国から支援を集めて作ったらしい。役者としては、祖父役はトルコ出身のクルド人のようで、また孫娘役は名字からしてグルジア人に見える。いずれにせよアブハズ語の話者ではないだろうが、台詞が少ないのでボロが出ないで済んだかも知れない。 題名の島は、最初に全貌が見えた時点では本当に小さい中州だが、やがてそれなりの畑地ができていくのは見事と思わせる。撮影は2013年の4~9月とのことで、季節が変化すると作物が伸びて人の衣服も変わっていた(体型が透けて見えすぎだ)。 ところで他の映画レビューサイトを見ると、最後に出た男は全く別の登場人物と思うのが普通らしいが、個人的には祖父によく似た人物かと思った(鼻など)。ただし少し若く見えるので、これは例えば祖父の息子(孫娘の父)が、最初にここで人形を見つけた時点まで遡ったと思うこともできる。この人形は娘にとっていわば父親の形見なのかも知れないが、祖父が最初にここで発見したのも息子の遺品だったのではないか。土地は耕す者のものだという言葉そのままに、祖父は息子の土地だったこの場所を、いわば自分の領土として守り抜こうとしたと取れる。 「戦争でのうても人は亡くなる」という別映画の台詞を思わせる結末になってしまったが、しかしそれほど柔な男でもなく、しぶとく生き延びて孫娘の成長を見届けたはずだと個人的には思いたかった。よくわからないところもあったが結果として、戦争があっても自然の猛威があってもこうして人間は生きている、ということを訴えたかったようではある。あるいは国家も耕作者も区別なく、人間の土地に対する支配など永続するものではない、というのが真意かも知れない。 ほか個別のこととして、負傷したグルジア兵に対しては祖父としても思うところがあったらしい(ポケットの遺品に手をやっていた)が、最後はもうこの男を軍隊には戻したくないと思っていたようだった。 また思春期の孫娘が変に色気づいていくのは心配させられた。トウモロコシ畑でつかまえて状態で翻弄されまくった男は哀れだったが(バカみたいだ)、その後の収穫時に孫娘が手を切ってしまい、軍手とかはしないのか、と思っていたらいきなり泣き出したので笑ってしまった(笑ってごめんなさい)。こんな乙女心には付き合いきれない。祖父も大変だ。[インターネット(字幕)] 7点(2021-02-20 09:29:38)《改行有》

7.  翔んで埼玉 《ネタバレ》 原作は読んでいない。地域限定映画かと思っていたらそうでもなかった。全国的視野からすればどうでもいいような狭い地域の優越感とか劣等感とか対抗意識はどこの地方にもあるだろうが、首都圏というだけで全国に注目される状態を逆に茶化したようでもある。 劇中の伝説では赤城山が世界の果てのようだったが、例えば昔ながらの古風な東京住民(山手線周辺)で、東京こそが日本の中心(あるいは東京こそが日本)と思いながらも実はあまり外に出たことがないとこういう世界観になるのかと思ったりした。ただ最後の「日本埼玉化計画」を見ると、劇中の現実世界では関東以外の日本というのも存在していたことがわかる。 ちなみに関東平野は分水嶺で切れるのでなく平地に境界線を引く形になるので、赤城おろしの吹く熊谷は群馬の延長というのもなるほどと思わせるものがあった。 映画の作りとしては結構面白い。いきなり序盤から「さいたま市」に関する登場人物の率直な感想に爆笑した(エンディングテーマでもひどい言い方をされていた)。伝説パートでは、無心に見つめるシラコバトを踏みつけにできない男の心情に泣かされたのと、逃避行に使った常磐線の列車(シベリア鉄道?満鉄?)が目を引いた。 地元民でなければわからないネタも多いのだろうが、与野の立場くらいは想像がつくとして、八王子と田無が同格というのはわかる人に説明してもらいたい(起点が新宿でも鉄道路線で印象が違ったりするのか、保谷はどうなのか)。そのほか千葉扱いだったが西葛西が出たのはよかった(少し縁のある場所だ)。 話としては適度にスケールの大きい大真面目な伝説物語ができており、連合軍の勝利は感動的だったがラストの野望には不安を残す。世界が埼玉化されるというならうちも底上げされるだろうが、何か大事なものを失うのではという気もした。 なおこんな映画に真顔で出る役者には感心するが(最近よくあるが)個人的にはこれで二階堂ふみの好感度が上がった。可愛いからキスしてあげて、と言いたくなった。 以下余談として、少し前になぜか埼玉の話題になった時、野田の駅を降りたら醤油の匂いがして、という話をしかけたらそこは千葉だろうがと突っ込まれたことを思い出した(大宮から行ったので勘違いした)が本質的な違いなどあるのかどうか。なお最近の話題としては次の1万円札になる偉人も出ているので自慢にしてもいい。[インターネット(邦画)] 7点(2019-10-05 09:58:24)《改行有》

8.  TOKYO CITY GIRL-2016- 《ネタバレ》 若い女性を主人公にして4人の監督が撮ったオムニバスである。前作「TOKYO CITY GIRL」(2015)は6話だったが、今回は話数が減って平均時間も長くなっている。 【LOCAL→TOKYO】 よくわからないが勝手に解釈すると、田舎には何もないと思って東京に出てもやはり何もないわけだが、田舎でもいいこと、やれることがたくさんあるとわかってから東京に出ればもっといいこと、もっとやれることがあるという意味か。 それにしても武田玲奈さんはいつでもどこでも可愛い人だ。友人(ともこ)役は見たことがあると思ったら芋生悠という人だったらしい。 【あなたの記憶(こえ)を、私はまだ知らない。】 心の欠落部分を埋めるために2人が過去の記憶を共有し、それが結果的に2人の心を結びつけたと思えばいいか。最後は特に言ってなかったが、主人公はあの店の常連になっていたと思われる。 主演は高見こころという人で、少し前に見た「ねこにみかん」(2013)から一転して地味系女子になっている。一方でケバめの後輩を演じていたのは意外にも入来茉里さんだったようで、役柄としては間違ったことを考えていても正しいアドバイスをする聡明な(適当な?)人物だった。 【幸せのつじつま】 かなり笑わされた(泣かされた)。当然ながらちゃんと辻褄を合わせるお話である。相手の男も真直ぐな感じでいい奴だ。 主演の飯田祐真という人はそれほど何度も見たことはないが、かなりの個性派女優かと思っていたら、今回は極端に可愛い方に振れている(それを期待して見たわけだが)。ちなみに他のエピソードでも特別出演として顔出ししているらしい。 【ひらり、いま。】 父親がイタい人物(相当上の世代に見える)かつ気色悪いオヤジなのでかなり引くが、娘と仲が悪いわけでもなかったらしい。引越先まで送って来た身内が去るときの心細い思いは遠い昔に経験している。 主演の増田有華という人はAKB48所属だったとのことで有名人らしい。この映画では少し素朴な可愛らしさを出している。 とにかく若い女性を元気にしようとする企画のようで、前作に比べてもハッピーエンドの印象が強くなっている。寓話的でリアリティに欠ける面もあるが問題にはならない。また男にとっては出演女優を見て和まされるという意義もある。物語的にも厳密な対象限定ではなく人間一般が共感できる内容で、東京のシティガールの話だからと田舎者が敬遠しなくていい映画だった。[インターネット(邦画)] 7点(2019-01-27 08:28:09)《改行有》

9.  TOKYO CITY GIRL 《ネタバレ》 若い女性を主人公にして6人の監督が撮ったオムニバスである。東京のシティガールの映画など田舎者は遠慮すべきではないかと思ったりしたがあえて見た。 1「なんの意味もない」 なんの意味もないようでも、受け手の創造性が喚起されれば自ずと意味が生じる。これはある意味芸術かも知れない。 主演の青山美郷という人は別の悲惨な映画で悲惨な顔をしていたのを見たことがあるが(「人狼ゲーム ビーストサイド」(2014))、この映画では少しとぼけた感じながらも突破力のある女子高生をやっている。意外に感動作。 2「キッスで殺して」 大変申し訳ないが上司の言ったことが正しい(だいたい間違い)。主人公の本当の顔はラストでやっと明らかになる。 3「HOPE」 深刻な話だが、ここまで追い込まれて初めて達する境地に、20歳直前にして(幸いにも?)至ることができたということらしい。結末は不明だったが、そもそも人を不幸にして喜ぶタイプの企画でないことから自ずと知れる。それにしても比嘉梨乃さんは19歳にしては大人っぽい。 4「17歳、夏」 ひたすら下劣だが一応笑わせる。リスの交尾は珍しい。 5「EAST END」 題名はロンドンの東にあって、貧困層が多く居住することで知られている地域の名前(現在は再開発が進んでいるとのこと)。主人公は川の両岸に絶望的な断絶があると思い込んでいたようだが、別に「橋のない川」というわけでもなく(現に橋はかかっている)、要は自分で動けば事態は変えられるということだったらしい。ちなみに街の風景は主に京成立石駅周辺と思われる。 6「KOENJI 夢の寿命」 中央線の高円寺。新たな夢が見えたともいえないが、とりあえず生存可能限界を下回りそうになったところを間際で持ちこたえて、今度はアクティブな上昇局面に転じたということか。主人公は風俗嬢だが最後に見せ場のようなものがあり(街に憑いた不運の根源を打倒、さすが武田梨奈さん)、これがオムニバス全体の締めになっている。 エンディングの街頭インタビューを見ると、「夢」がテーマだったかのようでもあるが実際はそうでもなく、要は複数のエピソードに出る「愚痴聞き屋」というのがこの映画自体の立場だったのではないか。「夢」とまではいかなくても希望を語る内容ではあったかも知れない(4以外)。 ちなみにこの後「TOKYO CITY GIRL -2016-」というのも製作されているので併せて見るのが望ましい。[DVD(邦画)] 7点(2019-01-27 08:28:08)《改行有》

10.  トロール・ハンター 《ネタバレ》 けっこう面白い映画だった。 まずはまともな理由の説明もなしに政府が隠蔽していると説く陰謀論的世界観がとぼけた感じである。劇中の説明によるとノルウェーではそこら中にトロール実在の証拠が散在していたようで、谷間に散らばった岩などは実際にトロールのせいだとする伝承が残っている可能性もあるが(本当は氷河のせいだろうが)、そのほか倒木とかジャコウウシとか送電線など、その辺にあるものにいちいちこじつけて語る妄想気味の態度が可笑しい。またキリスト教徒かどうかを真顔で問うのもかなり変だが、実際に隠れキリシタンがカミングアウトした途端に死んでしまい、その後にいきなり代わりが来る流れは都合よすぎで笑った。 笑いの面では送電担当者の「美しい景色」が頂点だったが、ただし全編笑い通しだったわけでもなく、特に前半などはかったるいところもないではない。しかしそれを現地の秋の景観が十分に補っており、地元民にとっては珍しくもないのだろうが、外国人としてはやはりフィヨルドやU字谷のスケールの大きさに目を引かれてしまう。特に巨大な岩山を滝が滑り落ちる豪快さをカメラが捉えていたのは印象的だった。 ただし地方色豊かな映画のため、外国人にはわかりにくいところもあるのは残念である。 まず劇中でトロールの生息地とされていた「ドヴレ」は、ノルウェー国内のオップラン県に実在するDovreという場所を想定していたようだが、トロールとの関連でいえば「ペール・ギュント」にも出る魔の山のことになるだろうから、これは架空の場所を実在の地名にこじつけたと取ればいいのか? ちょっとよくわからないが、とりあえずエンディングの最後に流れた劇音楽「ペール・ギュント」の「山の魔王の宮殿にて」(I Dovregubbens hall / In the Hall of the Mountain King)は、この架空のドヴレに関わる曲であり、終幕に際してユーモラスな印象を残していた。 もう一つ、ラストで出た首相の話は、ノルウェー人であれば実在の「トロール油田」に関するものであることが何となくわかり、うまく編集したな、と思うのだろうが、知らなければ単に話のわかる首相が特別出演したのかと思うところである。 そもそもトロール自体に馴染みのない人間も世界には多いわけだが(自分としてはムーミントロールしか知らない)、それでも一応は制作意図に乗って楽しめる映画になっていた。[DVD(字幕)] 7点(2016-12-17 10:51:18)《改行有》

11.  東京少女 《ネタバレ》 名前が「未歩」だと明治の人なら「いまだ歩まず」と読むのではないかと思うが、そういうところはあまり突っ込まないことにしておく。 内容としては「時をかける少女」と似たような印象があり、特に2010年実写版との類似点が目立つ(これより後だが)。時を越えて何かものを残すのは感動を呼ぶ定番要素のようでもあるが、ほかにこの映画では5歳/101歳?の人物の絡ませ方がよく、結構うまく作ったお話だったという気分になる。 またデートという発想はなかなか面白い。満月の頃だと昼間は月が地平線上に出ないので無理だろうと思ったが、別に月齢はどうでも構わなかったらしく、その場でヒロインがちゃんと調べて日を決めていたのは賢い。当日までに店を探してあったのも用意周到で、かなり頭の働く人物らしいのが好印象だった。 そのヒロイン役はこの時点でまだ16歳で文句のつけようのない美少女で、「ちゃんと勇気もらったよ」とかいう何でもない台詞も心に響く。デートの場面は声も弾んで楽しげで見る側としても嬉しくなるが、一方で結末を予想すれば(ほとんど最初から見えているが)この時点ですでに切なくもなる。 このヒロインのほかに、明治の少女は立ち居振る舞いが一応それらしく見え、甲斐甲斐しくてお兄様思いで何気に可愛らしい。この女優(福永マリカ)は同じ「東京少女」のBSのシリーズで主演・脚本??を務めていたとのことで、脇役と思って侮ってはならないようである。 以上のほか、本来はヒロインの成長物語といったところも重要なのかも知れないが、まあそれはそれとして、とりあえず泣ける切ない青春物語という点を重く見ることにして、それなりの点をつけておく。いい年してこれで泣けるおれはアホではないかと思うが、こういう話には弱いのでしょうがない。[DVD(邦画)] 7点(2015-08-03 23:58:17)《改行有》

12.  ドッジGO!GO! 《ネタバレ》 一応は合作ということになっているが、これだけ無邪気な映画であっても日本でしか公開されなかったとのことで、一方通行の友情もいい加減にしろという気になる。専門家のコーチを呼んで本気でトレーニングして作ったのだから、せめて国内の普及促進にでも役立てないと作った甲斐がないように思うが、そうすると妙な友好ムードがかえって異物になるようにも思われる。どういう事情でこうなったのかわからないが。 内容としては主に子ども向けの映画だろうから、多少リアリティに欠けるところはあっても大目に見て構わない気がする。直前にかき集めた連中をいきなり試合に出したり、試合中も息抜きのような形でコメディが入っていたりするが、それでもおバカな映画に見えたりしないのは、映画がこの競技に対して真剣に向き合っている様子がちゃんと映像化されているからだと思われる。またエンディングで出ていた国境を越えたボールパスも心温まるものがあり、製作目的に対して極めて誠実に取り組んだ映画には見える。 ところでこの映画を大人が見た場合、主人公の母親が家を出たという設定は著しく不自然に思われる。こんな子がいれば、普通の親なら可愛くて仕方ないだろうから置いて行くなど考えられず(劇中に顔も出さない)、一方で母親に捨てられたはずの子どもが、これほど屈託なく前向きなのも奇跡のようである。まあこの子もパパのことが大好きだったようだし、父親も溺愛とは言わないまでも可愛がっていたようなので、愛情には不足していなかったのだろうとは思う。劇中でこの子が笑ったり泣いたり一生懸命だったりする姿が、この映画の価値をかなり高めているというのが実感だった。 なおこの子役は外見的にはボーイッシュというか男の子のようにしか見えないが、いま見るとなかなか魅力的な女優さんになっているようで、時間が経つのは早いものだと思う。これも一応は21世紀の映画なわけだが。[DVD(邦画)] 7点(2013-09-09 19:58:05)《改行有》

13.  同窓会(2008) 《ネタバレ》 いくらコメディにしても、最後のオチがあまりにもチャンチャン、という感じの幕切れだったのは映画としてどうかと思うが、まあ全体として面白いのでいいことにしておく。そもそも最初からネタバレしているわけなので、見る側としては何があっても騙されてやる、というくらいの気分でいた方が楽しめると思われる。単純に面白おかしいだけでもなく、劇中の雪の人柄には心惹かれるものがあり、こういう人を粗末に扱ってはいかんだろうという気にさせる。最初の方では「むごかばい、神様」が切なく、また終盤で主人公が病院へ向かった場面では普通に泣けた。 一方キャストに関しても、永作博美は本当に可愛い人だとこの映画を見てしみじみ思う。また高校時代の雪もかわいいが、個人的には「口裂け女2」で悲惨な役をやった飛鳥凛が普通の女の子の役で出ているのでほっとする。そのほか主人公の同級生の娘2人の動きが可笑しくて仕方ないとか、校長役で出ていた本物の島原市長(当時)がなかなかの芸達者で笑えるとか、いろいろ指摘したくなる事項も多く、総じて登場人物は魅力的である。そういったことも含めて、少年時代の主人公が語っていたような、笑って泣けて心が暖かくなる娯楽映画にちゃんとなっていると感じられた。[DVD(邦画)] 7点(2013-06-03 21:08:06)《改行有》

14.  時をかける少女(2010) 《ネタバレ》 とにかくヒロインの芳山あかりが陽性で表情豊かで楽しい。タイトルを生かすため冒頭で無意味に元気よく走ってみたり、タイムリープの場面でも走りまくっていたのはご愛嬌。深町の本名を聞いた時の微妙なリアクションは可笑しかった。他の登場人物もみな魅力的だったが、変にナイスガイになった深町が、冷徹なようでいても情に負けて目こぼししてしまうのは少し見直した。彼も心に痛みを感じていたのかも知れない。 今回のヒロインが行くのは1974年で、その年代自体には特に必然性が感じられないが、劇中に出ていたような“窮鳥懐に入らば”的な律儀さが生きていた時代とすればわかるような気もする。現代人が体験する70年代の青春というのも、時間モノとしては面白い趣向かも知れない。また、この時代から見た21世紀のイメージは劇中に出たとおりの未来都市が典型だったのだが(ちょっと古臭いか)、その後実際に起きたのは、あかりが誇らしげに示した携帯電話に象徴される情報通信ネットワークの急速な発達だったわけで、この辺の現実認識は適切だと思う。 ところで劇中では、中学生の和子が「記憶は消えても…心で憶えてる」と言っていたが、それよりも現実に誰にでも起こりうるのは、劇中の涼太が危惧したように“記憶はあるが思いは失われる”ことだろう。そこで涼太が、いわばタイムカプセルに封入するような形で思いを残そうとしたのは自然なことであり、あかりの側でも記憶がないことで、かえってその思いだけを前向きに受け取れたようだった。また和子も実際には記憶を取り戻して、双方が相手をちゃんと認識した上で再会を果たしており、1983年版のシビアな印象がかなり緩和されていた。これは映画全体の雰囲気からすれば妥当と思える。 ただ、ストーリー作りのために死人が出たことだけは理不尽だ。能代の母はこの先どうすればいいのか。 なお余談だが、完全版DVDの特典ディスクには劇中映画の完成版が入っており、何となくその後の新たな展開を予想させる内容になっているが、これは完璧なハッピーエンドを期待する特別なファンの思いに応えようとするものかも知れない。[DVD(邦画)] 7点(2012-02-11 22:49:09)(良:1票) 《改行有》

15.  時をかける少女(1983) 《ネタバレ》 冒頭の場面で原作のオチを軽く蹴飛ばしてしまい、この映画は違うんだと宣言しているかのようだ。違っている点は、原作の登場人物が中学生のため思春期の一時的な心の揺れで済ませられるのに対し、この映画では年齢が高校生まで上がっているので、劇中の出来事がその後の人生を直接左右する恐れがあるということである。果たしてこの映画ではヒロインと、その幼馴染みがとばっちりで人生を狂わされてしまった。こんな理不尽な映画に誰がした、と怒りを覚える。どこが理想の愛だ。だいたい深町が憎たらしい。 しかし、本編終了後のプロモーション映像のような場面になると一転、ヒロインがにこにこしてとにかく可愛いので、見ている方も顔が緩み、テーマ曲に合わせて身体を左右に揺らしてしまう。周囲の登場人物もヒロインを盛り立てようとしているのが嬉しい。この幸福感で本編のいろんなことは全部許してしまい、あーよかったという気分になって映画の評価が確定。終わりよければ全てよしという結末。 ところで、舞台の街が超レトロであり、また一部の特殊効果が超安手なのは、映画自体が古いせいだと思う人がもしかするといるかも知れないが、これはリアルタイムで見てもそのように感じられたと証言しておく。[DVD(邦画)] 7点(2011-12-31 23:49:07)(良:3票) 《改行有》

16.  とっくんでカンペキ 《ネタバレ》 過度な期待はしていなかったが最後はちゃんと感動的だった(笑った)。固定的な目標に向けて単線的に修練すればいいのでなく、極限までの試行を重ねることで可能性の全体像をつかみ、その上で適切な選択をすることが最善の結果を生むということかと思った。大変よい映画でした。[インターネット(字幕)] 6点(2023-07-15 10:58:41)

17.  東京のバスガール 《ネタバレ》 ジャンルとしては「歌謡映画」だそうで、歌手本人が主人公の先輩役で出演して、題名の歌を車内で歌う場面が最初と最後にある。物語としては主人公の仕事と恋愛を中心に、巨額の遺産相続問題という変な要素を絡めてドタバタ喜劇の印象も出している。 観光バスの映画なので昭和33年の東京周辺の風景が映り、開業直前らしい東京タワーも見えている。戦後10年以上を経てGHQも昔の話になっていたが、主人公に身寄りがないとの設定は戦災孤児ということだったかも知れない。また南アジア風の君主国の皇太子から求婚されるエピソードがあったのは、現実にわが国皇太子の結婚が話題になっていたからか、または「王様と私」(1956)の影響もあったかどうか。 主人公は最初に「山形県落合村農業会」といういかにもそれらしい団体を案内していたが(無理にいえば現在の山形市落合町?)、すぐに遺産狙いの変な連中が出て来て邪魔されてしまう。不純物を入れないで、まずはお仕事映画としてちゃんと見せてくれと思っていたが、その後に施設の子どもらを案内したことで、仕事の意義を再確認する場面もあったので結果的には安心できた。 恋愛に関しては、順風満帆だったはずが遺産相続問題で邪魔されて、さらには主人公の明らかな失策もあってそのまま破局に至ったのは非常に意外だった。その後の唐突な挽回は都合よすぎに見えたが、まあ先輩の人徳あってこそのハッピーエンドだったと思っておく。 主人公は親しみやすい可愛らしさのある人で、変なことに惑わされない良識があり、また8時に行くと決めたら通す律儀な(確実性の高い)人物だった。河口湖での顛末は、実は本人にも迷いがあってのことだったかも知れないが、最終的には仕事も恋愛も本当に価値あるものを掴んだらしい。 現実のバスガールが「明るく走る」ばかりではなかっただろうというのは容易に想像できることだが、そもそも歌詞もつらさに負けず職業人として明るくふるまう内容になっている。つらいことの中にいいこともあるのが人生だろうし、また社会全体としてもこの後は経済成長が続くこともあり、劇中2人の未来も明るいはずだと思っておこう、という気にさせられる映画ではあった。 なお主人公の会社は「東京観光バス」という名前だったが、現実問題としては「はとバス」のこととしか思えない。この映画を見て、今どき改めて観光バスで東京を回ってみるのもいいかと思わされた。「はとバス」のPR映画になっている。[インターネット(邦画)] 6点(2023-01-21 13:47:13)《改行有》

18.  トコリの橋 《ネタバレ》 朝鮮戦争中の空母艦載機のパイロットを主人公にした映画で、海軍の協力により発着艦や飛行中の場面は実写が使われている。攻撃の場面は特撮だろうが、結構リアルなのでこれは特撮だと自信をもって言い切れない出来になっている。 登場するのは主にジェット戦闘機のグラマンF9Fパンサー、ヘリコプターのシコルスキーHO3S-1である。F9Fは戦闘機ながら対地攻撃用に使われていたようで、劇中でも題名の橋の攻撃を行っていた。またHO3S-1は救難が主任務とのことで、発着艦の際は常に滞空して待機し、また敵地で孤立した友軍兵の救出に向かったりしていた。 空母に関して、艦橋に34と書いてあるのはCV-34(またはCVA-34)の「オリスカニー」であることを意味するが、劇中では「サボー号」(字幕)という設定になっている。この名前は、かつてアメリカがした戦争での激戦地の名前を空母につける伝統からすれば、太平洋戦争の激戦地だったソロモン諸島の島の名前(Savo Island)と思われる。劇中でこの空母がいたのは冬の日本海だったらしい。 なお「トコリ」は原作者が作った架空の地名とのことだが、少なくとも「リ」は「里」かと思った。場所としては港湾都市の元山の近くのようである。 この時期にも、大戦後期の主力だったエセックス級空母はまだ現役でいるが、既にジェット機やヘリコプターも搭載して時代が急速に変わりつつある印象を出している。少し前まで敵国だった日本も、戦後速やかに友邦になって人々も親和的であり(戦勝国に媚を売っていただけだろうが)、かつてアメリカ人が生命をかけて戦った敵はどこに行ったのかと思わされる。 その中で、本業は弁護士だという主人公は、前の大戦をせっかく生き延びたのに今どきまた戦地に駆り出されてしまっている。妻子を守るために戦うというならまだしも、自国が脅威にさらされている危機感など本国のどこにもなかったとすれば、この主人公が死地に赴くことの理不尽さは確かに感じられる。アメリカのやる戦争で、職業軍人は別としても一般国民が死んでいくことについて深刻な疑問を提起した映画なのかとは思った。「朝鮮にいるから戦う」とは、いなければ戦わずに済んだはずという意味だったか。 ところでアメリカ映画に出る日本人はヘンな連中ばかりというのは常識だが、この映画で特に呆れ果てたのが「御家族風呂」だった。素っ裸で居並んでお辞儀する一家など想像を絶するが、裸を気にしない子どもらが先に仲良くなったという展開は悪くない。戦争があっても人間同士が仲良くできるのはいいことだ。[DVD(字幕)] 6点(2022-07-02 09:07:10)《改行有》

19.  トップガン 《ネタバレ》 2022年に続編が公開予定だそうだがそれとは無関係に、他国の類似映画で「スカイ・イーグル」(2011トルコ)、「TOP GUY トップガイ」(2014台湾)というのを見たついでに本家戦闘機映画として久しぶりに見た。 この映画のいいところは、何といっても今はなきF-14艦上戦闘機が大活躍なことである。グラマン社のニャンコシリーズの最後になってしまったが、後のVF-1 “Valkyrie” のデザイン元になったものでもあり、かつて多くの男子が憧れた飛行機だったことは間違いない。CGに頼れない時代のため実機が飛ぶこと自体に迫力があり、敵と高速ですれ違ったりするのがスリリングに見える。格闘戦中心の映画なので主翼を大きく展開する場面が多いが、後退角を大きくして全体が三角になる場面もあり、またその中間の状態も見えていたようなのは興味深い。なお訓練場面での相手役がA-4だったのはいいとして、本物の敵の「ミグ」(MiG-28?)をF-5が演じていたのは、F-86に対するMiG-15やF-4に対するMiG-21のイメージかも知れないが、F-14の相手としては大小差がありすぎて貧弱に見えた。 話の内容として特に心に残るものはないが、ただ前の方の人々も書かれているように、昔見たときは主人公のライバルが傲慢で嫌な奴だと思っていたところ、今回見ると結構まともな男だったというのは意外だった(首席卒業にふさわしい)。また最後に主人公が最前線での戦いを志向せず「トップガン」での活躍を希望したのは、常にどこかで本物の戦争をしている印象のあったアメリカにしては穏健である。 音楽面では、もともと洋楽にあまり関心はなかったが、"Danger Zone"や"Take My Breath Away"は当時さんざん聴かされたので当然憶えている。 ちなみに最近、続編との関係で話題になっていたのは、この旧作で主人公の私服の背中に日章旗と青天白日滿地紅旗がついていたということだった。これは1963~64にミサイル巡洋艦ガルヴェストンが日本と中華民国を訪問した際の記念物らしく、それならパイロットというより船乗りの持ち物だろうと思ったが(古着屋で買ったのか)、とにかくアメリカの友邦がどこなのかということが当時のハリウッド映画にも反映されていたとはいえる。 それより今回気づいたのはSundownという男のヘルメットが旭日旗デザインに見えたことだったが、これはrising sunではなくて日没だ、という洒落(謙遜?対抗?)だったのか。ミラマーというのはカリフォルニアにあるらしいので西海岸っぽいとはいえる。[DVD(字幕)] 6点(2021-12-25 11:23:15)《改行有》

20.  TOP GUY トップガイ 《ネタバレ》 台湾の空軍パイロットの話である。これより少し前のトルコ映画「スカイ・イーグル」(2011)と似た感じがある。 無名の外国映画の邦題が全く信用できないのは当然として、この映画に関しては英題の “Dream Flight” は正しい(原題の「想飛」も同じ意味か)。半分は訓練学校での話なので、トップを目指すどころかまずは一人前になるため奮闘している印象がある。 戦闘機映画として売る思惑もあるのだろうが、前半ではT-34練習機(プロペラ機)が主役であり、ほかにAT-3練習機(ジェット機)が少し映る程度である。その後は主人公の乗機になった国産戦闘機IDFが前面に出るが、映画宣伝に名前の出ているミラージュ2000は実機が少々、またF-16は申し訳程度の出番だった。 全体構成としては、前半はラブコメ風の青春物語、後半は主人公と妻が夢をかなえるまでの話になっている。病気とか死亡事故とか食器が落ちて割れるとかのありがちな展開もあり、またオズの魔法使いと星の王子様のどっちが大事かわからないといった統一感のなさもあるが、最初から軽目の娯楽映画(男女兼用)と思っていればそれほど問題ない。個別の場面としては、主人公が屋上でシミュレーション飛行する背景にピアノ曲が流れる場面は好きだ。また唐突な「紅の豚」には失笑させられた。 音楽面では主に“Over The Rainbow”が耳に残るが、ほかに序盤のラブコメ部分でChappieというキャラクターの歌「Everyday」(Monday 早起きはいつだって苦手なの...)というのが流れたのがこのパートの雰囲気を反映していた。 ドラマ的には“心の目で見る”というのが一貫していたらしい。終盤のDream Flightは思い切りファンタジックな場面だったが、かえって戦闘機映画の出来損ないなどと言わせない確信犯的な意志が感じられ、結果的には悪くないと思わされた(正直少し泣かされた)。またラストで冒頭と同じ時代の回想場面に戻ったのは、この時から二人の未来が運命づけられたという意味らしく、子ども時代からの素直な空への憧れが感じられたのも悪くない。世間の評判がどうかは別として、個人的感覚としては結構しあわせ感に浸れる映画だったので、少しいい点を付けなくては済まない気分だった(少し長いが)。 なお登場人物では、特に主人公の妹の笑顔にかなり和まされた。主人公には台湾の空を守る任務があるにしても、この家族や妻のためにもとにかく無事でいてもらわなければ困ることになる。要は敵が攻めて来なければいいわけだが。[インターネット(字幕)] 6点(2021-12-18 10:31:45)《改行有》

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