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プロフィール
コメント数 615
性別 男性
自己紹介  洋画は字幕版も吹き替え版も両方観た上で感想を書くようにしています。
 ネタバレが多い為、未見映画の情報集めには役立てないかも知れませんが……
 自分と好みが合う人がいたら、点数などを基準に映画選びの参考にしてもらえたら嬉しいです。

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【製作年 : 2010年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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1.  映画ドラえもん のび太の月面探査記 《ネタバレ》  自分には「アニメのドラえもんは原作漫画に敵わない」「原作大長編の存在する映画の方が、原作無しのオリジナル映画より面白い」という偏見があったのですが、前者を「恐竜2006」が、後者を本作が徹底的に打ち砕いてくれた気がしますね。  オリジナル映画としては間違いなく一、二を争う出来栄えですし、ドラ映画全体で考えても、これより上と言えるのは「恐竜2006」「新・鉄人兵団」「新・大魔境」「新・日本誕生」の四つくらいになるんじゃないでしょうか。  しかも「南極」「宝島」という傑作が二つ続いた後に、またまた凄いものを拝ませてもらった訳なのだから「映画ドラえもんは、オリジナルでも面白いものを作れるようになった」と潔く認め、脱帽する他無かったです。  本当にもう、作り手の皆さんに「参りました」「ありがとう」という言葉を送りたい気分。   小説版を読んだ際に一番の懸念となっていた「定説バッジの効果を、小さい子供でも分かるように描くのは大変じゃないか」って部分を、視覚的に分かり易く、面白く描いてクリアしている辺りなんか、特に見事でしたね。  「月世界旅行」に「キングコング」などの古典映画や「恐竜2006」「緑の巨人伝」のオマージュ描写が散見される辺りも、ニヤリとさせられるものがあって、良かったです。  他にも、教室に勢揃いしたクラスメイトの顔触れに、まさかのペロ登場など、ドラえもん好きなら嬉しくなっちゃう描写が多くて、本当に観ていて楽しい。  月世界にて、異説バッジが外れた途端に無音になる演出がゾクッとしたとか、出木杉くんとルカが話す場面が凄く特別感があって良いとか、細かい部分の「良かった探し」を始めたら、止まらなくなっちゃうくらいです。  それでも、これだけは書いておかずにはいられないという意味では、やはり気球での旅立ちの場面が挙げられます。  もう二度と帰ってこられないかも知れないという恐怖を乗り越え、友情が芽生えたエスパル達を救う為、約束の場所に皆が集まる流れだけでも感動しちゃうし、ここのジャイアンとスネ夫の描き方が、本当に素晴らしいんですよね。  スネ夫は来ないのかと諦めかけている他の面子に対し「頼む。もうちょっとだけ待ってくれ」と訴え、最後までスネ夫は来ると信じているジャイアン。  そんな信頼に応えるかのように、時間ギリギリでやって来て「前髪が決まらなくてさ」と照れ隠しを口にするスネ夫。  (あぁ、良いなぁ……こいつら、良い仲間だなぁ)って思えたし、それから(良い映画だな)って、しみじみ感じ入る事が出来ました。  月に向かって気球で旅立つという浪漫溢れる景色に、微かな寂寥感を伴ったBGMも最高で、本当に忘れ難い、特別な場面だったと思います。  じゃあ、そこが本作のクライマックスなのかというと、然に非ず。  ディアボロとの最終決戦や、ルカ達を「普通の人間」にして別れを交わす場面も、同じくらい素晴らしかったというんだから、本当に参っちゃいますね。  モゾは宇宙一硬い甲羅の持ち主、ノビットは「あべこべ」な道具を作る天才、という伏線を、ギャグシーンで笑わせつつ張っておいたのか、という驚き。  ムービットや怪獣達という「月からの援軍」で形成逆転する痛快さ。  空気砲ラストシューティングの迫力。  あえて涙は見せず「もう一度会える日が、きっと来る」と笑顔でルカと別れるのび太の、強さと優しさ。  そのどれもが心地良くて、観ていて幸せな気分に浸る事が出来ました。  一応難点というか、気になった点を挙げるなら「いつか、月へ行く事が当たり前になる、その日まで」という台詞でルカ達と別れるのは、なんていうか、勿体無い気持ちに襲われましたね。  これって、勿論良い台詞なんだけど、原作における「のび太の息子ノビスケは、新婚旅行で月に行く」って設定を知っていると「良い台詞」から「凄く良い台詞」に昇華されるんです。  つまり「のび太とルカは、再会するんだ」「何時かまた会えるという言葉は、嘘じゃなかったんだ」と分かって感動する形になっている訳で、凄く上手いんだけど、凄く勿体無い。  ここは、もうちょっと分かり易く描いて、原作を読んでいる人が受ける感動を、読んでいない人にも伝わるようにして欲しかったなぁ……って思わされました。  ちなみに、予告の映像からすると、来年は今井監督。  内容は「新・竜の騎士」か、あるいは恐竜を題材としたオリジナル映画となりそうで、これまたワクワクさせられましたね。  また一年、あれこれと想像力を働かせながら、楽しく過ごす事が出来そうです。[映画館(邦画)] 9点(2019-03-01 13:31:14)(良:2票) 《改行有》

2.  映画ドラえもん のび太の宝島 《ネタバレ》  初代アニメ版ドラえもんを盛大にリスペクトした「奇跡の島」に続いて、二代目アニメ版、所謂「大山ドラ」をリスペクトした内容となっている本作。  とはいえ「野沢雅子が主役級のキャラとして復帰」というほどの衝撃は無く、リスペクト度合いとしては低めに感じられましたね。  一応、キャラデザには「大山ドラ」調のテイストも取り入れられており、特に主人公のび太とドラえもんの造形が前作までとは異なっている為 (せっかく2006年から原作通りのキャラデザになったのに……)  という抵抗も大きかったのですが、脚本や声優陣はキチンと「現行アニメ版」の空気を保持している為、安心して観賞する事が出来ました。  ちょっとメタ的な分析をすれば 「フロックは新世代ファンの象徴」 「ジョンは旧世代ファンの象徴」  であり、この映画はそんな両者の和解を描いている……なんて事も言えそうなのですが、そんな事よりも何よりも、純粋に娯楽映画として「面白い!」と言える作品であった事が、嬉しかったですね。  上述の通り、脚本や声優陣の力も大きかったのですが、何と言っても、これが映画デビュー作である今井監督の演出が素晴らしい!  特に、クライマックスの流れは、本当に手に汗握るものがありましたね。  ドラえもんが地球を守る為に奮闘し、スーパー手袋やタケコプターが壊れていく中でも、身一つで頑張り続け、とうとう意識を失う。  それを受けて、のび太が怯える我が身を勇気でもって抑え込み、危険を顧みず奈落の底に飛び込んでみせる。  どちらも非常に熱い演出であり、普段のテレビ放送回にて今井監督が見せている切れ味を、映画という舞台でも如何なく発揮してくれた事が、心底嬉しかったです。  単なる「可愛いマスコット枠」かと思われたミニドラが、のび太達を救ってみせる際の、絶望の中に光を差し込ませる演出も良いんですよね~  船で旅をする魅力、皆で外泊する魅力、美味しそうな食事シーンの魅力と「ドラえもん映画なら、ここは押さえておいて欲しい」と思える要素が、きちんと揃っている辺りも良い。  挿入歌「ここにいないあなたへ」の使い方も上手くて、その曲が流れる親子の和解場面では、涙で画面が滲んでしまった程です。  そんな具合に、褒めだすといくらでも褒められる映画なのですが……欠点というか、気になる部分も多かったですね。  まず、主題歌の「ドラえもん」に関しては、ドラえもんという作品そのものをテーマにした曲である為「映画宝島の主題歌」という感じがせず、ラストに流れても今一つピンと来なかった事。  名曲「夢をかなえてドラえもん」が流れなかった事。  「ここは俺達に任せて、先に行け」という場面が二つ存在し、最初のジャイアンとスネ夫の方は凄く熱くなれたのに、二回目になるマリアさん達の場面では(それ、さっき同じ展開やったばっかりじゃん)と思えてしまい、白けてしまった事。  そして、静香ちゃんとセーラが瓜二つである理由について、説明が為されていない事が挙げられるでしょうか。  最後の点に関しては、過去作の「奇跡の島」において「のび太とダッケが瓜二つである理由」を、タイムマシンを絡めて劇的に説明してみせた前例があるだけに、実にもどかしい。  恐らく「人のしあわせを願い、人の不幸を悲しむことのできる人」という劇中の台詞からすると、フロックもセーラもジョンも、のび太と静香ちゃんの子孫なんだよって事だとは思うんですが、そこはもっと断定的に表現して欲しかったです。  この描写だと、観賞中に(これって多分、のび太達の子孫って事だよな……いや、深読みし過ぎか?)とアレコレ考えてしまい、せっかく感動しているのに、気が散る形になっているんですよね。  ここでハッキリと「のび太とフロック達は血が繋がっている」と確信させてくれる描写さえあれば、思う存分映画に没頭して、より感動出来ていた気がします。  総評としては、前作の南極が「完成度の高い傑作」であったのとは対照的に「欠点も目立つけど、長所がそれを補って余りある傑作」であるように思えましたね。  ラストに金貨を手に取り、冒険の日々を思い出して笑顔になるのび太達という「本当の宝物は、金貨じゃなくて、そこに込められた思い出だった」と示す終わり方も、凄く良かったです。  ……そして、来年は八鍬監督による「異説クラブメンバーズバッジ」を題材にしたオリジナル映画であるらしく、こちらにも大いに期待!  予告映像からすると、再びキャラデザも原作準拠な形に戻るようですし、心から楽しみに待ちたいと思います。[映画館(邦画)] 8点(2018-03-03 12:33:13)(良:1票) 《改行有》

3.  エヴェレスト 神々の山嶺 《ネタバレ》  原作小説が大好きなので、期待を込めて観賞。  絶対に二時間で纏めるのは無理だろうと思っていただけに、ちゃんと物語を完結させている事に感心半分(やっぱりダイジェスト感は否めないなぁ……)と落胆半分、といった感じでしたね。  結構な尺が必要となるであろう「マロリーのカメラ争奪戦」の件を思い切って省略したのは正解だと思うし「鬼スラへの挑戦」「岸との別離」「グランドジョラスからの生還」と、羽生丈二というキャラクターを語る上では外せない場面を映像化してくれた事は、素直に嬉しかったです。  それでも、どうしても「あれも見たかった」「これも見たかった」というモヤモヤが残ってしまうのだから、全く以て困り物。  折角モノローグを多用して小説の文章そのまま再現する演出をやっているのだから「きしよう」や「地球を踏んだ」などの言葉も、心の声として聞かせて欲しかったなと、ついつい思ってしまいました。  主演の岡田准一と阿部寛は熱演されており、特に後者の存在感はお見事でしたね。  凍死した羽生の「死体」をここまで迫力込めて演じられる人は、ちょっと他にはいないかもと感じるくらい。  ライバルである長谷の扱いが軽い事も含め、どうしても原作に比べると羽生に関する描写は薄くなってしまっていたのですが、それでも「これは間違いなく羽生丈二だ」と思えたのは、役者さんの力が大きかった気がします。  中でも、遭難しかけた深町を羽生が助けるシーンは凄く良くて、ここが本作の白眉であるように感じました。  ちょっと原作に比べるとエキセントリック過ぎるというか「羽生の魂を継ぐ者」として、野性味溢れて描写されていた深町であっただけに「もういい、もうやめてくれ……」と弱々しく呟き、自分を見捨てるよう訴えかける姿が、一際胸に迫るものがあったのですよね。  その後に「最初から羽生は最も困難なルートを登るつもりだった」と明かされる展開についても、良かったと思います。  正直、原作と異なる部分に関しては不満も多かったりしたのですが、ここの流れは原作よりも好み。  最後も深町の生還というハッピーエンドで〆てくれる為、後味も悪くなかったですね。  久々に本棚から「神々の山嶺」を取り出して、蜂蜜を溶かした紅茶片手に、ゆっくりと読み耽りたくなりました。[DVD(邦画)] 5点(2017-04-11 18:14:38)(良:1票) 《改行有》

4.  映画ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険 《ネタバレ》  昨年の「新・日本誕生」が歴代ドラ映画でも三本の指に入るほどの名作であった為、大いに期待を込めて観賞。  結論から言うと、流石に前作を越えるほどの衝撃は味わえませんでしたが、まず満足出来る一品でしたね。  所謂「F原作大長編」の存在しないアニメオリジナルの作品としては「ひみつ道具博物館」に次ぐ出来栄えではないかな、と思います。  何といっても、脚本が良い。  これほど見事に「タイムトラベル」ならではの妙味を劇中の核に取り入れた作品は、ちょっと過去作品には無かったのではないでしょうか。  思えば十数年前、子供時代の自分は某ドラ映画を観賞し「何じゃそりゃ!」と盛大にツッコんで、時間軸が矛盾している脚本に呆れ返り「やっぱりアニメのドラえもんは原作漫画には敵わない」という偏見を抱くに至った経緯があったりしたのです。  それを、現代のドラえもん映画が汚名返上してくれた形なのだから、実に愉快痛快。  偏見を取り払い「アニメでも原作漫画より面白くする事は出来る」と教えてくれたのは「恐竜2006」でしたが、そこから更に十年以上の月日を経て「アニメオリジナルでも、複雑な時間軸を扱った面白い映画が作れる」と証明してくれたのは、本当に嬉しかったです。  伊藤つばさと星野スミレが背景で顔見せしたり、かき氷のシロップに「からあげ味」「かつどん味」があったり、ヒャッコイ博士が「ジャングル黒べえ」そっくりの仮面を被ったりと、遊び心に満ちているので、そういった小ネタを見つける喜びがある辺りも良いですね。  「氷細工ごて」を使って氷を溶かしながら移動するシーンは視覚的にも楽しいし、テントが強風で飛ばされてしまい、止むを得ずその場に穴を掘ってビバークするなどの「冒険」「探検」ならではのワクワクする展開がある辺りも嬉しい。  「南極でオーロラに見惚れながらカップ麺を啜ろうとしたら、すっかり凍ってしまっている」という場面が「翻訳コンニャクを食べようとしたら凍っている」という場面に繋がっている辺りも面白かったです。  また、全体的に演出がスピーディーであり、名曲「夢をかなえてドラえもん」によるオープニングの中で「氷の遊園地作り」「ジャイアン、スネ夫、静香を仲間に誘う件」を片付けてしまう辺りなんかは、大いに感心。  「南極での探検」「遺跡内での冒険」の中でもダイジェスト調にして手早く片付ける場面があり、自分としては好印象でしたが、ここは「ダイジェストになる場面が二回もあるのは、流石に如何なものか」と感じる人もいそうですね。  その他、あえて不満点を述べるとすれば「ゲストキャラであるカーラとの別れが、ややアッサリめ」だった事が該当するでしょうか。  エンディングの一枚絵にて「のび太との思い出のカキ氷機を大事にしている」と示されている為、それなりに余韻はあると思うのですが、ちょっと物足りなかったです。  前作において「ククルとの別れ」「ペガ達との別れ」と連続して描いたばかりという事もあり、今作においても別れのシーンを濃密に描いては流石に食傷気味になる……という判断だったのかも知れませんが、せめて一分くらいは尺を取って欲しかったなぁ、と。  クライマックスであるブリザーガとの戦いは「人間VS怪獣」という趣きがあり、実に自分好みで嬉しかったですね。  夢幻三剣士のシズカールに先駆けてドラえもんが「取り寄せバックで大量の水を取り寄せる」という作戦を披露しているのもニヤリとしたし「非力な人間達が知恵を働かせて、強大な怪獣を見事打ち倒す」という、心地良いカタルシスを味わう事が出来ました。  ラストにて「十万光年先のヒョーガヒョーガ星」を天体望遠鏡で観察し、十万年前に星が救われていた事を確認する演出なんかも(オシャレだなぁ)と、しみじみ感じ入りましたね。  二つの星と、十万年という時間、それらの壮大なスケールの話が、野比家にある望遠鏡のレンズの中で収束し、完結するという形。  子供の頃、原作漫画からしか感じ取る事が出来なかった「すこし」「不思議」な感覚をスクリーン越しに感じ取る事が出来た、素敵な映画でありました。  ……そして、来年はどうも「南海の大冒険」を再映画化するらしく(旧アニメ版の「南海大冒険」とは別物になるの?)なんて事も気になっていたりする訳ですが、それよりも何よりも監督候補が今井一暁さんなので、自分としては大いに期待しちゃいますね。  同氏が担当されている「最強! ころばし屋Z」や「巌流島ちょっと前の戦い」は文句無しの名作である為、映画ではどんな手腕を見せてくれるのか、今から楽しみで仕方ありません。  今後も観客に夢を与えてくれるような、素敵な映画を作り続けて欲しいものです。[映画館(邦画)] 8点(2017-03-04 13:07:28)《改行有》

5.  永遠の0 《ネタバレ》  「上手い」と感じる部分と「ズルい」と感じる部分とが混在しており、評価が難しい一品ですね。  まず、本作はフィクションであるはずです。  にも拘らず、さながら事実をそのまま映像化したような印象を与えてしまう。  これは創作物として非常に優れた点であると同時に「現実と虚構の区別をつかなくさせる」作用も大きく、純粋に「映画」として楽しむ事を妨げているようにも思えました。  実質的な主人公である宮部久蔵というキャラクターは、非常に魅力的ですね。  軍人でありながら命を惜しみ、誰にでも敬語で礼儀正しく接して、端正な顔立ちの二枚目。  大人しくて卑屈な性格かと思いきや、仲間の尊厳が踏み躙られた時には上官に反抗だってしてみせるという、正にフィクションだからこそ許される存在。  この映画のタイトルに「実録」なんて付いていようものなら(これ、絶対美化しているよね?)と疑ってしまうのは避けられなかったはずです。  積極的に戦争に参加していないくせに、実は凄腕のパイロットであるという矛盾した一面も良い。  同僚と「模擬空戦」を行い、瞬時に相手の背後を取って、鋭い眼光で睨み付けている時の姿なんて、とても格好良かったです。  上述の「ズルい」部分に該当する話でもあるのですが、この映画って「戦争は良くない」という基本スタンスでありながら、空戦シーンは非常に面白く撮っていたりするのですよね。  主人公が零戦を宙返りさせる姿にも、思わず見惚れてしまうような魅力があり、そういった意味においては「軍人に憧れる子供」を生み出してしまう可能性はあるかも。  その一方で「上手い」と感じたのは、作中において大きな謎である「何故、命を惜しんでいたはずの宮部が特攻したのか」に対して、明確な答えを出さなかったという事。  作中の情報から推測する限りでは、教え子達が次々に特攻して死んでいくのに、自分だけが生き延びるという罪悪感に耐えられなかったからだと思えます。  ただ、自分としては、この「理由を知りたいのに決して知る事が出来ない」という現象が「何故なら、その人は死んでしまったから、訊きたくても教えてもらえないのだ」という答えに繋がっているようにも感じられたのですよね。  恐らくは戦争行為における最大の喪失であろう「人の死」が「決して明かされる事のない謎」を生み出してしまったという、何とも悲しい結末。  だからこそ、特攻していく宮部の姿を最後までは描かず、不思議な笑みを浮かべさせたまま、戦死の直前で終わらせたのだと思われます。  一度死んで0になってしまったものは、永遠に0のまま、1には戻らない訳です。  面白いというか、少々意地悪なユーモアを感じられたのは、現代パートにおいて宮部の孫が「特攻と自爆テロの違い」について語る場面。  ここは作中の流れを踏まえて考えれば「特攻は無差別に民間人を狙ったりしない。空母だけを狙うのだから、自爆テロとは違う」という結論で終わらせても良かったはずなのです。  けれど、本作においては議論の相手から「昔の日本軍を美化して考えるのは、今現在の自分に不満があるがゆえの逃避行動だ」という指摘が行われており、結局それに対して宮部の孫は反論出来ず、大声で怒ってから逃げ帰るというストーリーにしている。  この「特攻を美化して話す人間の格好悪さ」を、意図的に描いているような辺りは、良いバランスだなと思えました。  山崎貴監督は、基本的には好きな監督さんですし、本作においても家族愛を軸に据えて、万人が感動出来るような形に仕上げてみせたのは、実に見事だと思います。  ただ、どうも演出過剰な面もあり、ラストに零戦の幻影を見るシーンなんかは、それが悪い方向に作用してしまった気もしますね。  あそこは、もう少し静かに余韻を残して、平和になった現代の姿を映し出すだけでも良かったかも。  その一方で、過剰だからこそ良いと思えたのは、宮部の戦友である景浦が感情を発露させる場面。 「特攻がどんなものか、見ていますよね?」 「殆ど敵艦に辿り着けていないって!」 「殆ど無駄死にだって!」  と訴える姿には、大いに心を揺さ振られるものがありました。  もし、この映画に何らかのメッセージが込められているとしたら、それはこの叫びに尽きるのではないかな、と思う次第です。[DVD(邦画)] 7点(2016-08-11 19:58:46)(良:1票) 《改行有》

6.  江ノ島プリズム 《ネタバレ》  「デロリアンは何処だ?」「(ドラえもん風に)タイムウォッチ~」などの台詞には、クスッとさせられました。  前半部分はコメディタッチで、明るいハッピーエンドを予想させる流れだったにも拘らず、後半からシリアス濃度が高くなり、自己犠牲を伴った切ないハッピーエンドに辿り着く……という流れだったのも、良かったですね。  作風が途中で百八十度変わる訳でもなく、ちゃんと冒頭から人死にを扱ったりしていて(この映画は完全にコメディという訳ではありませんよ)と伏線を張っておいた形だったので、作品の空気が徐々に変わっていく様も、自然と受け入れられた感じ。  個人的には、主人公の性格がワガママ過ぎるというか「相手が嫌がっていても、自分が決めた事はやり通す」ってタイプだったのが、ちょっと抵抗あったんですけど……  それよりも気になったのは、携帯電話の扱い。  途中(何で携帯を使わないの?)と思わされる場面が多くて、映画のストーリーに没頭出来なかったのですよね。  もしかして、この世界には携帯電話は存在しないのか……とも思ったのですが、そういう訳でもなさそう。  ならば、時代設定を1980年辺りにするか、あるいは劇中にて「誰かがタイムトラベルを行った副作用で、携帯電話が発明されない世界になっている」という設定を付け足した方が、自然に受け入れられた気がします。  後者の場合は、タイムパラドックスについて説明する際に「時間改変によって、元の世界に存在していた何かが失われてしまう可能性もある」「この世界も、既に変わってしまい、何かが失われた後なのかも知れない」「たとえば、手のひらサイズで持ち運べる電話とか」などと言わせるだけでも、かなり印象が違っていたんじゃないでしょうか。  あと、中盤辺りから完全にヒロインと化す「タイムプリズナー」の今日子ちゃんは可愛かったのですが、ちょっと扱いが大き過ぎたようにも思え、本筋から外れてしまった感があり、残念。  思い切って彼女が主役級の映画にするか、もっと主人公との絡みを減らして、脇役に留めておいた方が良かった気がしますね。  ラストにて、他の人物が主人公を忘れてしまったとしても、今日子ちゃんだけは憶えているというのは救われるものがあり、嬉しかったのですが……  本当に「ただ憶えているだけ」であり、その後に主人公と再会するのかどうか不明というのも、流石に中途半端なんじゃないかと。  主人公が最後に振り返り、もはや他人となった幼馴染の二人を見つめる演出なども、味わい深くて魅力的だとは思うのですが(本当にそれで良かったのか?)という疑問も残ってしまい、どうもスッキリしないんですよね。  元々親友の命を救うのが目的だったとはいえ、相手にとっては命よりも大切かも知れない思い出を、主人公の独断で失わせているってのが、納得出来なかったです。  ……とはいえ、そんな疑問、ちょっとした後悔まで味わえるという辺りが、結果的に、本作の青春映画としての完成度を高めていた気もしますね。  納得いかない事もあるし、正しい選択じゃなかったかも知れない。  それでも、学校での花火や、皆で記念写真を撮った瞬間など、楽しい事も確かにあった……と、しみじみ後から思い出せる形になっている点に関しては、好みの映画でありました。[DVD(邦画)] 5点(2016-08-06 19:51:47)《改行有》

7.  映画 ビリギャル 《ネタバレ》  あらすじを知って(やれば出来る、の見本のような話だな……)と思っていただけに、劇中にて塾の講師が「やれば出来る、という言葉は良くない」と言い出した時には、驚かされました。  その後に「やっても出来なかった時に、挫折感を味わってしまうから」と説明してもらう形となっており「なるほど」と大いに得心。    実話が元ネタで無ければ「有り得ない」「大学受験を馬鹿にしている」と批判も受けてしまいそうな非現実的ストーリーゆえか、登場人物もステレオタイプな描き方。  塾の講師と、学校の先生の描き分けなんて、正に善と悪。  理想の教師と最低の教師という対比となっており(ここまでやっても良いの?)と最初こそ戸惑いましたが、結果的には思いっ切り極端化させた事が、成功に繋がっていたように思えますね。  主人公同様に、観客も余計な懸念は捨て去って、講師を全面的に信頼し、純粋に受験を応援する気持ちになれたかと。  また、上述の「最低の教師」を後半あまり登場させず「嫌な奴を見返してみせた」という陰湿な復讐の快感をズルズル引っ張らなかった事によって、終盤の爽やかな成長物語に繋げた辺りも、お見事でした。  母親が苦労して塾の費用を工面した件では(これは何としても頑張ってあげないと!)と思わされたし、父親の「野球馬鹿親父」っぷりなんかも、説得力があって良かったです。  私的な事ではあるのですが、身近にあの親父さんに良く似たタイプの人がいるもので、確信を持って「こういう人、いるよ」と言えたりするのですよね。  その父親も完璧な悪役にする事は無く、ちゃんと良い部分(困った人は見捨てられずに人助けする場面)も見せる辺りなんかは、不器用なやり方でしたが、何だか凄く嬉しかったです。  この作品に関しては、全体的に「実話ネタである」事が上手く作用していたみたいで、恋愛要素が極めて薄い辺りなんかも好印象でしたね。  これが完全な創作であれば、先生なり同じ塾の生徒なりと恋に落ちていたかも知れませんが、そういった要素は取っ払い、受験のみに専念してくれたので、安心して楽しむ事が出来ました。    野球映画を観た後に、キャッチボールをやりたくなる。  音楽映画を観た後に、歌い出したくなる。  それと同じように「ビリギャル」を観た後は、勉強してみたくなったのだから、間違いなく良い映画なのだと思います。[DVD(邦画)] 7点(2016-07-04 10:09:11)《改行有》

8.  エベレスト 3D 《ネタバレ》  「実話もの」であるのだから、最後は何だかんだで主人公は助かるのだろうな……と考えながら観賞していたもので、まさかの展開には本当に驚かされました。  全滅では無かった事が「救い」を感じさせてくれますが、やはりコレはハッピーエンドとは言い難いでしょうね。  雪原に倒れ込んだままの死体の描写や、凍傷の表現なども衝撃的で、中々頭から離れない。  観賞後は、非常に重苦しい気分を味わう事となりました。  中盤にて登頂に成功したシーンで盛り上げて、その後に遭難してしまうという展開の緩急などは、映画としての巧みさもを感じさせてくれます。  その一方で「実話だから仕方ない」とばかりに、ベックのキャンプ地への生還に明確な理由付けが窺えない辺りは、気になってしまいましたね。  実話を題材にしていたとしても、映画として観る以上「何故、彼は助かったのか?」という根拠を求めてしまう訳で、それが明かされないまま結末を迎えた事は、どうにも消化不良に思えてなりませんでした。  物語ではなく、再現映像による一種のドキュメンタリーとして観賞するのが正しい品なのかも知れません。[DVD(吹替)] 6点(2016-06-05 01:11:31)《改行有》

9.  エターナル 奇蹟の出会い 《ネタバレ》  ヒロインとの出会いから婚約までを描いた冒頭部分も、良質なラブコメ映画として、充分に楽しめる出来栄えですね。  けれど、この作品の真骨頂は、主人公が少年サッカーチームの監督に指名されてからの展開にこそあると思います。  「これって、もしかして……」という予感に応えてくれるかのように、チームの選手となった子供達が、超人的な身体能力で、大活躍!  そんなの全然リアルじゃないというツッコミを、完全にファンタジーな動きで吹き飛ばしてくれる様は、実に痛快です。  一刻も早く敗退してくれるように、という主人公の内なる願いに反して、チームが快進撃を続けていくのが、もう可笑しくって仕方ないんですよね。  あの手この手で監督自らチームを妨害して、子供達に薬を飲ませたり、デタラメな采配をしたり、気弱で活躍など出来そうもない子をキーパーに抜擢してみせたりするも、それが結果的に勝利に繋がってしまう不条理、もう最高です。  そして、この映画の秀逸なところは、そんな皮肉なコメディ映画というだけで終わらずに、もう一歩踏み込んだ内容を見せてくれた事にあると思います。  中盤以降、主人公の監督と、選手となる子供達の間に、家族のような絆が芽生えていく。  それを軽いタッチで、けれども大事な部分は押さえた上で描いてくれるのだから、観客の自分としても、気が付けばチームの敗北よりも勝利を願うようになるんです。  そんな願いを叶えてくれるかのように、とうとう主人公が自らの結婚よりも「この子達を勝たせたい」という想いを優先させてくれるシーンには、もう拍手喝采。  本気でチームの優勝を願って、応援させられる事になりました。  登場人物も魅力的で、主人公とヒロインだけでなく、恋敵役となる女教師と、新婦の幼馴染の男性なども良い味を出しているのですが、やはり何と言っても子供達のキャラクターが素晴らしい。  特にお気に入りなのは、キーパー役の二人。  小柄で気の強いテイルボーンは、途中でスタメンの座を剥奪されるも、さながらマネージャーのような立ち位置に収まって、ゴールの度に監督に抱き付いたりハイタッチしたりして喜びを表してくれるのが可愛いし、気弱な秘密兵器ダリクが魅せるスーパーセーブの数々は、観ているこちらの心をも鷲掴みにしてくれます。  ストリートチルドレンである選手達の塒も、妙に童心を刺激するというか、ちょっと住んでみたいなと思わせるような魅力ある造形だったりして、とにかくもう何もかもが好みな映画なんですよね。  決勝戦の前夜、主人公が子供達みんなと寄り添うように寝そべって、一緒に空を見上げるワンカットなんて、溜息が零れちゃうくらいに素敵。  面白いとか、笑ったとか、泣いたとか、そういった感情よりも何よりも「この映画、好きだな」という想いを強く抱かせてくれる。  そんな、特別な映画です。[DVD(吹替)] 10点(2016-05-02 17:54:05)《改行有》

10.  映画ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団 はばたけ 天使たち 《ネタバレ》  これは思い出深い一品ですね。  子供の頃に原作漫画を夢中で読み、アニメも楽しんでいた「ドラえもん」。  とはいえ僕にとって「ドラえもん」といえば原作漫画の存在を指し、アニメ版は「ドラえもんをアニメ化したもの」という、一歩引いた目線で観ていた記憶があります。  そんな考えに揺らぎが生じたのが「恐竜2006」であり、それは旧映画版どころか原作漫画よりも面白く感じられて、本当に衝撃的でした。  そして、決定的に魅了されたのが、この「新・鉄人兵団」。  以降、僕にとってのドラえもんは原作漫画であると同時に、アニメ版を指すようにもなりました。  戦闘シーンが如何に素晴らしいか、主題歌が如何に名曲であるかなど、語り出したらキリが無いけれど、やはり本作はピッポの存在に尽きると思います。  そんなキャラクターは、原作漫画には存在していません。元はジュドであるとしても見た目も中身も境遇も違う「ピッポ」に生まれ変わった以上、それは新しいキャラクターです。  何の積み重ねもない、観客である自分にとって、この映画で初めて出会う事になるキャラクターに、こんなにも心が揺さぶられる事になるとは。  ボロボロになったザンダクロスボディを操縦して、戦場で撃たれそうになったのび太を庇ってみせるシーン、友達になれたのび太の腕の中で、新しい名前を大好きだと笑顔で伝えて消えていくシーン、そして束の間の夢、幻のような切ない再会シーンなどなど、あまりにも名場面が多すぎる。  原作において「天使のようなロボットになりたい」と願ったリルルに対しては、心から「なれると良いね」と感じさせられましたが、ピッポに対しては「奴隷ロボットでもヒヨコでも鳥でも天使でも何だって構わない、とにかくピッポが大好きだ」という思いで一杯です。  原作漫画を描いてくれたF先生には勿論、この映画を生み出してくれた寺本監督にも、本当に「ありがとう」と伝えたくなる素敵な品でした。[映画館(邦画)] 10点(2016-04-01 19:04:32)《改行有》

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