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1.  パスト ライブス/再会 《ネタバレ》 見終わるといくつかのシーンが頭から離れない。本当に美しい106分間でした。 主人公のノラは小学校時代にソウルからカナダに移住し、いまは家族とも離れて作家としてニューヨーク暮らし。ノラの小学校時代の(両想いの)幼なじみヘソンは、途中で兵役や上海に留学した期間もあったけど、基本的にはソウルにとどまっている。NYで自分のキャリアを追求してどんどん前へ進んでいくノラと、ソウルでなんとか暮らしながら、いつも同じメンバーの男友達と焼き肉屋でのやりとりを繰り返すヘソンの描き方は、とても対照的。二人は10年前にSkypeを介して遠距離でやりとりするも、結局会えないまま。そして現在のNY、結婚したノラのもとにヘソンが尋ねてくる。24年ぶりの再会は果たして・・・というストーリー。 広告や予告編のイメージでは、コリアン・アメリカンの女性がかつて恋人だった一途なイケメン韓国男性とNYで再会、というキラキラ恋愛ストーリー風だったのだけれど、実際見てみたら全然違ってた。たしかにヘソンは一見イケメンではあるのですが、NYに降り立った彼の野暮ったさ。今どき英語も片言でいつも自信なさげ。それでも、ノラと時間を過ごすうちに、彼の迷いや気持ちが、台詞というよりも佇まいや表情、語っている言葉の裏側から少しずつ見えてくる。その過程が、とても自然で、リンクレイター監督のカップル再会ものの傑作『ビフォア・サンセット』を思わせる、自然な会話と態度の変化が、雨のニューヨークを舞台に丁寧に描かれていました。 そして象徴的な場面の数々。冒頭のノラと夫のアーサーそしてヘソンの3人の並び。子ども時代のノラとヘソンが別れる「分かれ道」。そして、ラストのウーバー車を待つノラとヘソン。どれも台詞はほとんどないのですが、空間の切り取り方と間の取り方がすばらしく、どれも脳裏に焼き付いています。とくに、ラストのノラのアパートを出て歩くシーンは、「無言であることに悶絶する」屈指の名場面です。これを映画館で味わえたのが一番の幸福だったかもしれません。やっぱり大作以外は配信に偏りがちな映画鑑賞習慣を見直さなきゃと思いました。 結局、ノラとヘソンは、子ども時代の「分かれ道」で言えなかったことを言うために、24年間かけてきたわけですが、「あの時こうしていたら、ありえたかもしれない二人の姿」を思いながらも、「いま」を抱きしめるラスト。こんなド直球な大人の恋愛映画、本当に久しぶりでした。冷静にみれば、アーサーもヘソンも「いい人」過ぎて、ちょっと主人公にとって都合良すぎな感じもありますが、それを補って余りある美しいシーンの数々と自然な会話の脚本をぜひ堪能してもらいたい。 蛇足ですが、FacebookやSkype(とくに着信音)が、ひと昔前のノスタルジックな感情をかき立てる小道具としてとっても効果的だったのには、時の流れを感じました。[映画館(字幕)] 9点(2024-04-25 07:52:19)《改行有》

2.  バーニング 劇場版 《ネタバレ》 噂通りのスゴイ映画。何重にも物語が交錯し、さまざまな解釈を呼びこむ巧みな構成。難解という評判もあるけれど、前半のヘミとの出会いからベンの登場による不穏な三角関係からは、韓国社会の格差問題への社会派的な問題意識も垣間見えるし、中盤のヘミの失踪からのサスペンスな展開は次に何が起こるのかという緊張感に満ちている。そんなわけで、構えて鑑賞したものの、結局はエンタメ的にも楽しめてしまった。ネット配信で見たので、1回見たあと、すぐにまた見直すと、いろんな言葉や表情、そしてショットの数々の意味が膨らみ、二重三重においしい。解釈はいろいろあって、あちこちでいろんな解釈を聞いたり、読んだりするのも楽しい。個人的には、存在というか「実在」をめぐる物語として見た。冒頭のソウルの街頭の雑然さ、生々しいセックスのシーン、ジョンスのどうにも散らかった実家、北朝鮮のプロパガンダ放送が流れる田舎の風景まで、前半はたしかにそこに「人」や「もの」が「在る」さまが描かれていたように思う。それが、あの夕陽のなかでヘミが踊る名シーンから、画面からは「在ったはず」のものが忽然と消えていく。「不在」が募り、現実と虚構が入り交じり、人々の証言は食い違う。何が何だかよくわからなくなったときに現れた、あるアイテムと「猫」の強烈な実在感。なかったと思っていたものが「在り」、あったはずのものがなくなる終盤の展開は、「実在」感の喪失という使い古されたテーマを、新しい感性で描いたと思う。「実在」感の喪失と、でもそのなかで確かに「在った」ことを信じて「書く」という行為は、まさに村上春樹の小説そのものであり、そういう意味では、やっぱりこれは非常に優れた「納屋を焼く」のアダプテーションなんだと思います。[インターネット(字幕)] 9点(2020-01-11 13:23:19)

3.  はりぼて 《ネタバレ》 ドキュメンタリーって面白い、というのを堪能できる100分。地方議会のフツーのおじさん議員たちのキャラ立ちの見事さ。みんな「巨悪」というよりはちょっとした「小悪党」で、政務活動費の不正使用も「そうやって回ってきた」市議会や市役所のなかで「そういうもの」として享受してきたのだろう。その矛盾を突然突かれて動揺してうろたえる様には、人間喜劇のすべてが詰まってる。しかし、物語が「小さな悪」への一方的な追及で終わらない点も本作の優れたところ。長く追及する側だった地方テレビ局自体もまたその一部であったことがほのめかされ、追及側の中心だったキャスターと記者の2人は結局その現場を去る事になってしまう。その経緯をもう少し詳しく知りたいとは思うものの、本作が描いていたのは「誰が悪いのか」という話ではなく、「そういうもの」で流して放置されてきて行き詰まったシステムにあるのだろうから、それでいいのだろう。もちろん、そのシステムの延長にあるのが「モリカケ」やら「桜」なのは明らかだけれど(だからあれもやっぱり「巨悪」の問題ではなく「小悪党」と「小市民」が作ってきたシステムの問題なのだ)。そんな意味での日本社会の縮図としての地方政治には、まだまだ面白いネタがいっぱい詰まってるように思う。[インターネット(邦画)] 8点(2023-05-21 08:34:59)

4.  パラサイト 半地下の家族 《ネタバレ》 北米の映画館にて英語字幕版を鑑賞。話題の作品ということもあって映画館はほぼ満員。笑ったり、驚いたり、感度のよい観客のみなさんも最後は不思議な静けさに。ポン・ジュノ監督らしい格差社会の「寓話」です。絶対的・絶望的なわかりあえなさを描いたという意味では、監督の達観した「毒」が見事に発揮された一作だと思います。序盤の貧乏一家がどんどん金持ち一家に入り込んでいくプロセスは、それぞれが自分の思考の枠組にいいように考えるプロセスをコメディタッチで描いて、どんどん引き込まれます。大雨の日から一転する物語は、「パラサイト」、モールス信号、臭いなどをメタファーに、これでもかと貧乏一家を追い詰めます。とくに半地下の家が水没するシーン、その後の避難所のシーンは、ちょうど同時期に日本を襲った台風・大雨のニュース映像を思わせ、そこに浮き彫りにされる格差の現実は韓国だけの話ではないのだと痛感しました。韓国映画らしい凄惨なシーンに続くラストは、それでも貧乏一家が見せる人間性の力強さをじんわりと伝えてくれて大満足。大雨のシーンを思えば、来年1月と言わず今すぐに日本で公開してほしいと思います。[映画館(字幕)] 8点(2019-11-07 19:31:23)(良:2票)

5.  her 世界でひとつの彼女 《ネタバレ》 いやあ、スカーレット・ヨハンソンに「サマンサ」役をあてた配役の勝利。ハスキーで明瞭さに欠けるあの声は、ふつうに考えれば、もっとも人工音声向きではないのだけれど、これがドはまり。これを考えた人(スパイク・ジョーンズ?)はすごい。そのおかげで、人工知能との恋愛というテーマにも妙に自然に入っていけた。そして、恋愛って何だろうということを妙に深く考えさせるエピソードの数々。声だけのセックスはOK(ここは『恋人たちの予感』のメグ・ライアン以来の名シーン!)なのに人間の体を借りたら急に気分が下がったり、ラストのサマンサの告白をどうしても受け入れられないセオドアなどなど。久々にスパイク・ジョーンズらしい皮肉とユーモアと探究心が同居する世界を楽しめました。[DVD(字幕なし「原語」)] 8点(2014-08-12 22:59:19)

6.  パッチギ! 在日の問題(の扱い方)も含めて、用意されているプロットはどれもベタで、既視感のあるものばかり。前半から中盤にかけてのケンカのシーンの連続には、正直うんざりだった。なのに、それが不思議な化学反応を起こして、最後には、ものすごく魅力的な「映画」になった。最近の時代回顧的な日本映画にありがちな、妙に「ハズした」ことをやろうとするのではなく、ひたすらストレートな青春映画であることの力強さが心地いい。葬儀のシーンのおっさんの一言と、その後のクライマックスまでの流れでは、社会派であると同時に娯楽系でもあるという奇跡のような難業をやってのけた。お見事。[DVD(字幕)] 8点(2006-01-24 09:30:14)

7.  花とアリス〈劇場版〉 こうゆう「雰囲気映画」あるいは「妄想系映画」撮らせたら、やっぱり岩井俊二はいい(褒めています)。映画としてまとまりがあるわけじゃないし、ストーリーも平凡だけど、一つ一つのシーンの美しさに惹きつけられる。冒頭の電車、バレエ、アリスと父親、雨のなかで二人の間に不信感が芽生える場面、アリスの最後のデート、学園祭と落語、どのシーンも印象的で心にしっかりと残る。残念だったのは、有名人のチョイ役出演。せっかく主人公2人のシーンがいいのに、どうも気が散ってしょうがない。そこは、もともとイベント映画だったからしょうがないのかもしれないけど、あれで中途半端な印象になってしまった。でも、個々のシーンの美しさは特筆モノということで、それだけで8点の価値アリだと思う。[CS・衛星(字幕)] 8点(2005-06-26 00:50:35)

8.  博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか 全体を支配する緊迫感の割には、物語そのものがゆったりと展開しているので少し退屈もしますが、ブラックなジョークの切れ味はさすがです。事件のきっかけとなるリッパー将軍の抱える「恐怖」は、テロの恐怖を煽りながらいつのまにか思い通りの政策を実践している(そして再選してしまった)某国大統領をめぐるアレコレを彷彿させます。映画の内容そのものは冷戦時代の核抑止政策を皮肉ったものですが、そこで描かれる恐怖に支配される人間の姿は、現代でも色あせることはないでしょう。笑いながら背筋が凍る思いをするという貴重な体験を味合わせてくれます。それでも、満点からマイナス2点にしてしまったのは、肝心のストレンジラブ博士の役回りがよくわからなかったためですが、たぶん何度見ても新しい発見がある映画だと思います。というわけで、現段階の評価ということで8点です。8点(2004-11-23 20:49:59)

9.  バービー(2023) 《ネタバレ》 まず、グレタ・ガーウィグの映画は好きだけど、これだけエンタメに振れた作品って初めてでは。その点ちょっと不安だったのだけれど、名作映画オマージュやら時事ネタも散りばめながら、まず楽しかったのが何より。冒頭の「2001年」オープニングはいいのだけれど、その後のバービーランドの描写が個人的にはなかなかキツく、この調子で2時間は辛い、と思い始めたあたりからグングン面白くなりました。まさに「現代フェミニズム入門」的な内容で、近年の「男社会」批判(有毒な男性性、ホモソーシャル、マンズプレイニングなど)がうまくエンタメに組み込まれていて、とくに「フォトショップの使い方を聞く」「ゴッドファーザーを語らせる」あたりは本当にツボでした。ただ、ケンがたくさんいるわりには人種以外のバリエーションにとぼしく(アランという別人格がいるから、というのもあるだろうけど)、ここに弱者男性キャラみたいなのが話に絡んでくると、ますます現代フェミニズム入門映画としてふさわしかったかもしれない。 残念だったのはマテル社のほうの描き方。幹部が全員男性なのは皮肉なのでしょうが、あまりそれが物語上活かされていない。ウィル・フェレルのコメディセンスは本作と相性よさそうなのに、どうにも空振り気味。結局最後までイマイチ何がやりたかったのかわかりにくく、テーマ的にもちょっとノイズでした。あと、もうひとつ。「家父長制が・・・」とか「女性の現実を知って目覚める」みたいな部分を解説調の台詞で説明しちゃった箇所もちょっと残念。第二波フェミニズム時代のコンシャスネス・ライジングであり、今風に言えば「Woke」なんだろうけど、見てればわかるから、あの解説台詞はちょっと観客を冷ましちゃったのではないかな。あそこだけ「フェミニズム入門」講義のようでした。 そして、ラストのラスト。バービーが行った場所があそこだったというのは、ちょっと深すぎて考え込んでしまったよ。一人の人間として生きればいい風だったラストで、やっぱり「女性であること」がそこでズシリと重く響く。スッキリというよりも、「え・・」っとしばらく困惑しながらエンドクレジットを見ることに。そのあとジワジワとその意味みたいなものが浮かんできたけど、まだ腑に落ちたわけではない。[インターネット(字幕)] 7点(2023-12-10 15:30:53)(良:1票) 《改行有》

10.  薄氷の殺人 《ネタバレ》 アジアの辺境にある寂れた地方都市(農村ではない、というのがポイント)を舞台にした殺人事件を題材にした映画には、独特の魅力がある。ボン・ジュノの傑作『殺人の追憶』は言うまでもなく、地方に漂う閉塞感が絶妙なスパイスとなって、殺人事件の「真相」よりも、事件そのものが体現する現代社会の姿をぼんやりと浮かびあがらせる。今作も、そんな「地方都市ノワールもの」の佳作だが、優れているのはグイ・ルンメイという女優を拝することで、独特の官能的なイメージが加わっている点。とはいえ、実際には作品中では、「濡れ場」的なシーンも、カメラは「行為」や「表情」以外のところにクローズアップしてしまうのも面白い。結局、表情も思考も曖昧な彼女の姿から、「ファムファタル」の本質は女性の側の「魔性」にあるのではなく、そこに過剰に意味を読み込んでしまう男性の側にあるのだということが、痛いほど伝わってくる(その象徴として、私たちは観覧車のシーンでひたすら「男」の表情を見せられてしまう・・・)。そのメインテーマだけでなく、序盤の床屋での銃撃シーンや中盤のスケート靴による惨事などのバイオレンス描写など、独特のテンポや映像を味わうだけでも十分楽しめる。ただ、残念というか、最後にこの映画のイメージを決定づけてしまうのは、あのエンディング曲。流行音楽に疎い私でも、あの曲のダサさはわかる。この計算し尽くされた作品のラストがなぜあの曲だったのか、あのダサさにどんな意味があるのか、そればっかり考えてしまって肝心の作品自体の印象が遠のいてしまうのは、あまりにも残念。[インターネット(字幕)] 7点(2021-02-07 10:34:04)

11.  ハイスクール白書/優等生ギャルに気をつけろ! 《ネタバレ》 邦題に恵まれない女優(笑)リース・ウィザースプーンの出世作にして、アレクサンダー・ペインの監督デビュー作。主人公の1人トレーシーは、日本的な意味での「優等生」というよりは、本作中にも出てくる「overachiever」という言葉がぴったり。何にでも必要以上の努力をしてしまう非人間的でちょい恐ろしげなトレーシーの人物像を、嫌みにならない程度のユーモアで包むことに成功したのは、なによりリースの好演がある。一方で、彼女に振り回されるマクリスター先生役のマシュー・ブロデリックは、中途半端に人がよさそうな感じが彼の行動への嫌悪感というか、いやーな感じを増幅させていて、これを映画として楽しめるかどうかが、映画の評価の分かれ目になりそう。個人的には、彼の行動は、いわゆる「小市民」的な人がハマってしまいそうな落とし穴の描き方が見事過ぎて、ちょっと笑えない程度に怖かった。たぶん、同じ系統の作品としては『ファーゴ』があると思うけど、仕事とか不倫とかを扱ったこっちのほうがはるかに怖い。とくに、冒頭の冷蔵庫から掃除したばかりの床に食べ物を投げ捨てるシーン。本人に悪意はないのに、ちょっとした配慮のなさが、その身の破滅をもたらすのだよ・・という恐ろしい教訓でした。ただ、この作品の面白いところは、悪夢的な終盤の展開の後、物語の結末がなぜかハッピーエンド調になっているところ。共和党の(←トレーシーらしくてちょっと笑う)代議士の秘書になっているトレーシーだけでなく、破滅したはずのマクリスターまでも、なんとNYでそれなりに楽しそうに生きているのだ。なんという懐の深さ。見てる自分もちょっとホっとして、人生というものの深みをじんわりと感じさせてくれる。単なる破滅型ブラックコメディで終わらない、アレクサンダー・ペイン作品の魅力の片鱗が味わえます。[CS・衛星(字幕なし「原語」)] 7点(2020-02-25 03:51:10)

12.  バイス 《ネタバレ》 アダム・マッケイ監督の前作『マネー・ショート』は公開年の個人的ベスト映画だっただけに、同じ路線の政治ドラマコメディとして期待値が上がりまくった状態で鑑賞。面白かったけど、期待したほどではないか・・・というのが見終わった第一印象。前作も今作もポイントは、ある人の成功物語の背後に世界的な悲劇が存在するという両義性にあると思います。思わず笑ってしまうんだけど、実はこの笑いの裏に惨劇・悲劇が潜んでいるという居心地の悪さ。今作も、ホワイトハウスでのややバカバカしい会話劇の合間に、空爆や拷問などの目を背けたくなるシーンが挟み込まれています。ただ今回は、惨劇面は「言われなくてもわかっている」感はあるので、ちょっとしつこいというか、くどい印象もありました。そこは前作くらいのバランスのほうが効果的だったか。演技面は、あいかわらずの外見まで変えてきたクリスチャン・ベイルをはじめ、エイミー・アダムスのリン・チェイニーも、スティーヴ・カレルのラムズフェルドも、サム・ロックウェルのジョージ・Wも全部すばらしく、めちゃくちゃ高いレベルの演技を堪能できて、それだけでも楽しいです。ナレーターの正体のアイデアは面白いと思ったけど、この物語でこのプロットがどこまで重要だったのかは、よくわからない。そして、「あえて」チェイニーの内面を描くことを避ける(「そのとき彼が何を思ったのかはわからない」というナレーションは秀逸)手法も、とても興味深いと感じたけれど、その意義はまだ自分のなかでうまく理解というか落とし込めていない。全体としては、もう少し時間がたつか、何回か繰り返して見ると、じわじわとこの映画の良さ、斬新さがわかってくるのかもしれない、そういうタイプの作品でした。[ブルーレイ(字幕なし「原語」)] 7点(2019-09-14 22:21:59)

13.  バッド・ジーニアス 危険な天才たち 《ネタバレ》 面白かった! カンニングをめぐるバリエーションの豊かさ、サスペンスは娯楽映画として楽しめるレベル。カンニングへと引き込まれていく「天才」2人の描写も、それなりに説得力はあった。海外留学こそが成功への道になっている新興国の若者を取り巻く環境、実は「能力」主義でも平等でもない(「天才」であっても常に奨学金獲得と「模範学生」であれというプレッシャーにさらされる)受験戦争の背後にある経済格差の問題が、爽快なカンニング・シーンの苦めのフレーバーになっていてよい。とくに、主人公とそのライバル役の2人は外見も演技も個性が光ってて、素晴らしかったし、彼らの「仲間」になるクズ学生たちもどこか憎めない感じ、悪意なく主人公たちに頼ることに躊躇しない感じがいかにも「金持ち学校」の生徒っぽくてよかった。ただ、とにかく残念だったのは、最後の試験シーンの描写。邦画でもよくある西洋人俳優のクオリティの低さ、近年のSATではあり得ない試験の描写(シドニー受験でペーパー試験はない、受験者の少なさ、会場(どっかの図書館?)のありえなさ)は、ラストのカンニングのサスペンス感を削ぐのに十分な破壊力でした。「そうゆうもの」として受け入れるべきなんだろうけど、自分も受験経験があるので、あのリアリティのなさはちょっと受け入れ難い。そのまえのチーム分裂の危機からのシドニーへ、の流れが素晴らしかっただけに、本当に残念でした。[インターネット(字幕)] 7点(2019-07-23 23:47:08)

14.  バーフバリ 王の凱旋 《ネタバレ》 インドでは前編から2年後に公開されたとのことで、あそこで終わって2年待たされたインドの観客のことを思うと、この作品への思い入れは相当だったろうと想像できます。まさか、回想シーンで物語の大半を使うとは思わず、なかなか動き出さない物語にちょっと焦らされた感も。その煽りをくって、1作目のヒロインだったアヴァンティカは空気キャラ化してしまったのはちょっと残念。とはいえ、この2年のあいだにすっかり変わった映画業界における女性の立場を反映してのことなのか、本作のシヴァガミとデーヴァセーナの「メチャクチャ強い女性」キャラ造形は素晴らしい。この2人がそれぞれ映画の最初と最後に炎を掲げて歩く場面の力強さ、美しさは、ハリウッド映画にもない独特の美学を体現していて格別です。また、後編ということでキャラ紹介に時間をかけなくてもいい分、各キャラクターの歌舞伎のようなキメたポーズが続出するのも魅力。ダークな展開でもとにかく印象的な絵を連続させるのでワクワクも続くし、その見事なまでの画力にザック・スナイダーが霞んで見える。難点を言えば、やっぱり息子バーフバリの物語が弱くなってしまったことか。ストーリー的には、父バーフバリの物語を反復しているようにも見えるのだけれど、俳優が一緒なのもあって、息子が体現する「新しい世代」の時代だ!的なワクワク感がなく、逆に息子とアヴァンティカのカップルは、強烈だった父バーフとデーヴァセーナ夫婦と比べるとスケールダウンして見えてしまうのは残念。もう少し「新しい希望」的なものが見えると、もっと気持ちが盛り上がったかなあとは思うのですが、ここが西洋哲学とは異なるインド哲学的な価値観なのでしょうか。[CS・衛星(字幕)] 7点(2018-12-24 10:18:22)(良:1票)

15.  バーフバリ 伝説誕生 恐るべし映画大国インド。その集大成のような特大娯楽大作。荒唐無稽で巨大なスケールなわりには、主要な登場人物がごく最小限に絞られていて、キャラばっかり増殖して物語の交通整理能力をひたすら見せつけられるハリウッド産大作と比べて、わかりやすい。でも、わかりやすいこと=質が低いということではなく、1人1人の登場人物の見せ場はしっかり用意されてるし、とくに物語の時間的・空間的な舞台の配置がしっかりしていて、見た目やスケールだけでない、全体としての質の高さも伝わる。前編は、基本的には主要登場人物のキャラを描くことに費やされていて、「これから」というところでスパッと終わるところも含めて『ロード・オブ・ザ・リング』の第1作を思いだす。今何が起きてるんだろう、これからどうなるんだろう、という「サスペンス」という意味では、後編よりも前編のほうが楽しい。ただ、歌と踊りで主人公とアヴァンティカが恋に落ちるシークエンスは、ちょっと好みが分かれるかも。『グリーン・デスティニー』のチャン・ツィイーもそうだったけど「強がっていても結局は女だろ」みたいな雰囲気もあって、ここが好きな方も気持ちもわかるけど、個人的にはちょっと乗れなかった。[CS・衛星(字幕)] 7点(2018-12-24 09:58:53)

16.  バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡) 《ネタバレ》 イニャリトゥ監督のコメディでしかもオスカー受賞ということもあって、やや期待値高めでの鑑賞でしたが、結果的にはうーん、という感じ。まず撮影についてはすごいです。劇場を中心とした密室劇的な構成なのもあるのですが、ワンカットでひたすら続くカメラワークには唸らされます。エマニュエル・ルベツキは、現在の撮影監督の最高峰といえるでしょう。そして、マイケル・キートン、エドワード・ノートン&ナオミ・ワッツのアテ書きっぽい設定だけでも楽しめるし、エマ・ストーンのちょっとスレた演技も印象的。全体に漂う皮肉っぽい独特のムードも好みです。ただ、ドタバタがドタバタしきれない消化不良な感じを終始感じていたのも確か。ちょっと捻りのきいた映像や台詞でごまかされるけど、よくよく考えてみれば、いかにもよくあるシチュエーション・コメディな展開で、そもそも「ブリーフでNYの町を歩く」って面白いのか?という気にさえなってくる。面白くはないのだけれど、人生の苦みを表現した一種の「雰囲気映画」と考えれば、まあ楽しめる作品に仕上がってると思います。[映画館(字幕なし「原語」)] 7点(2015-03-11 15:11:04)

17.  パシフィック・リム 《ネタバレ》 はじめて日本語吹き替えで見なければと思った作品。某社の機内上映で吹き替え版放送があったので鑑賞。もちろん、3DでもIMAXでもないが、この映画の魅力は十分伝わった。最初の出撃まではダレダレで選んだのを後悔しかけたけど、後半のバトルに入ってからはもう楽しすぎ。幼少期に早起きして再放送のウルトラマン見てる気分で楽しめました。ただ、視聴環境のせいもあってか、怪獣バトルアクションの狭間に見え隠れするハリウッド的な要素がうざい。たとえば、主人公のマッチョな外見。やっぱり、この手のロボット・アクションの主人公は線の細い「少年」であってほしい。逆にヒロインは菊池凛子ではない。あのパワースーツみたいなのが似合う女優は他にもいるでしょう。ついでにラストの海上での抱擁もいらないなあ。怪獣の不満はみなさんの言うとおり。少なくとも最初から最後まで外見が同じなのは残念。ウルトラマンやエヴァもそうだったけど、怪獣の「個性」は、僕はこの手の作品にとってはとっても大事だと思う。外部の「敵」を均質なものにしたがるのはハリウッド映画(だけでなくアメリカ文化)の特徴だけど、敵の「個性」を(愛憎こめて)丁寧に描くのは怪獣映画やロボットアニメの美学のようなものだと思う。そこを落としてしまったこの作品は、怪獣バトル風味のハリウッド映画なんだなあと・・・。そういう意味ではラストの謝辞はちょっと残念な感じ。[DVD(吹替)] 7点(2013-12-08 03:31:19)

18.  バベル 《ネタバレ》 アメリカ、モロッコ、メキシコ、日本の4つの世界が「つながり」を持っているということよりも、そこに存在する「断絶」のほうが印象的でした。アメリカ人夫婦のためには政府が動き、メディアが動き、(多少遅れてブラピが焦ったとしても)ヘリが飛ぶ。日本の女子高生がいくら暴走しても「君は悪くない」と言ってくれる人がいる。でもアメリカの子どもの親代わりを真面目に勤めてきたメキシコ人のメイドは、自分の息子の結婚式に出たかったばっかりに仕事と住む場所を失い、モロッコの子どものちょっとしたいたずら心が、家族の破滅を招く。因果応報とはいいますが、小さな過ちから立ち直るチャンスを与えてもらえるのかどうか、それが私たちが生きる世界の「不平等」なのだと痛感しました。[CS・衛星(字幕)] 7点(2009-08-30 15:21:27)(良:2票)

19.  バットマン ビギンズ 《ネタバレ》 シリーズ映画では、ネタが尽きてきたところでその序章的な作品をやるというパターンはよくあります。そんなわけで、ああバットマンもネタ切れなのかなと思い、結局劇場で見ることがありませんでした。しかし、いざ見てみれば、クリストファー・ノーラン監督によるバットマンの見事な再創造でした! ヒーローものとは思えない渋い俳優の競演も含めて、「正義」を問い続ける新しいバットマンの誕生物語として期待以上の出来でした。ラストシーンも含めて、傑作『ダークナイト』への壮大なイントロダクションとなっています。難をいえば、忍者軍団がローマなどの堕落した文明を滅ぼしてきたという設定でしょうか・・・。あの忍者軍団にそこまでの力があるようには見えず、ここだけ子ども向け戦隊モノみたいだったのが残念でした。[CS・衛星(字幕)] 7点(2009-03-19 20:12:31)(良:1票)

20.  ハッピーフライト(2008) 《ネタバレ》 ANA国際線の機内上映で鑑賞。飛行機1機飛ばすのにこれだけ多くの人が関わっているんだというのを実感できて、じんわりと感動しました。映画の内容的にはふつうのお仕事コメディ映画で、とりたてて目新しさや発見もなかったのだけれど、飛行機のなかでみれば尋常ではないリアリティで、映画のキャラクターと実際のスタッフの方々が重なってみえました。ある意味、スタッフの「軽率なミス」がこれだけ登場し、最後には目的地にたどり着けないという映画を、機内で上映するANAの太っ腹に敬意を表したい。無事目的地に着いて飛行機を降りるときに、妙に優しい気持ちでスタッフの皆さんに感謝できたのは言うまでもないです。ちなみに、機内上映版では冒頭に「映画のなかで描かれているのは映画的な誇張が含まれています」的なメッセージがありましたが、映画版でもあったのかな。[ビデオ(邦画)] 7点(2009-02-18 13:34:12)

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