みんなのシネマレビュー |
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2. 離愁(1973) のどかな田園の中を行く避難列車内で起こるシーンが大半を占める。ところが油断していると、ドイツ軍戦闘機による機銃攻撃や爆弾投下など、ショッキングなシーンが表われるので眼が離せない展開となっている。そんな中、ロミー・シュナイダー演じるアンナが一体何者であるのか。もの言わず謎めいており、ミステリアスな雰囲気も十分。戦時下に於けるありきたりなメロドラマなどではなく、このアンナなる女性の存在が緊張感を高め、どんなラストが用意されているのかゾクゾクさせてくれる。《ネタバレ! ! 》3年後、フランス全土はナチの支配下に置かれ、二人は取調室で再開する。主人公の男にしてみれば、知らん顔をすれば済むところを心の底から愛しているという態度を見せてしまう。何という誠実で純粋な愛。そのことがどんなに恐ろしい結果を招くかも知れないのに…。涙を流すアンナ。本当に愛されていることが分かれば分かるほど、自分の存在が男を不幸にさせてしまうという悲し過ぎる構図。ああ、何という戦時下の不条理。この切ないラストシーンがあるからこそ、いつまでも記憶に残る不朽の名作になりえたのではないだろうか。9点(2004-03-11 15:07:02)(良:1票) 3. 陸軍 親子3代にわたり日本陸軍に捧げ尽くす一家の様子を、その周辺の人々を絡めつつ長男の出征までを描いています。そして、有名なラストシーン。陸軍一家を描いていた展開から、急転、田中絹代演じる“母”の映画へと切り替わる。大切な人を戦場に送り込まれる“女の心情”を代弁しているのには違いないが、受け取り方次第ではいかようにも解釈出来る。私としては、強烈に胸が締め付けられ涙なしではいられなかった。それまでの淡々とした物語がかき消されてしまう程、鮮明にまぶたに焼き付く。エンディング間際に両目を閉じ、手を合わせるシーンで幕が下りる。心の中で誰に何を祈ったのであろうか…。「お国の為」「天皇の赤子」「死して …」…等々、口では唱えるがこれらはすべて表向きで、作り手の本心はこのラスト10分にある。木下作品の特徴ともいえなくはないが、本作が放つものは暗くて悲しい。そう、厭戦的とも受け取れなくはない。陸軍省の検閲を見事かいくぐり、公開されたという。監督木下惠介、これだけは譲れないという執念のラストシーンだったのでしょう。9点(2003-12-31 23:20:31)(良:4票) 4. リング2 このテの映画としては、貞子をモチーフにしつつ、いかに観客をコワがらせるかが勝負。奇妙な精神科医を絡ませる展開は悪くはないが、コワくも何ともない珍妙な作風になってしまったのが痛い…。それもこれも、前作の「リング」に比べると大雑把な構成と演出が原因だろう。もう少し脚本をきっちり練って丁寧に仕上げていれば、前作同様、見所のある恐怖映画になったはず。3点(2003-09-21 20:03:42) 5. リング(1998) 呪いのビデオを見ると一週間後に死ぬ、という発想からして何だかバカバカしい。作品自体もさほど緊張感は感じられなかったが、ビデオに映された無気味な映像だけは良かった。とくに、新聞の活字が奇妙にうごめくシーンには“ギョッ”とした。 ラストは案の定というか、見事コケおどしで終らせ、いっきに興ざめ。変なモノを出しちゃ~イケナイ。まあ、最初からティーン・エイジャーを対象にして作られている映画なので、こういう終り方でもしょうがないか…。5点(2003-08-31 23:28:03) 6. リプリー 原作が同じである「太陽がいっぱい」と比べても余り意味がなく、まったく別ものとして見るべきであろう。と言いつつも、前作が余りにも衝撃的だったので、やはり比べて見てしまう(笑)。前作はエキゾチックな雰囲気に包まれつつ、アラン・ドロンの妖艶さに酔いしれる名作だった。本作は役者陣の演技が見どころで、原作に忠実なサスペンス映画となっている。タイトルどおりリプリーがすべてなので、それを演じるマット・デイモンに感情移入出来るかどうかで決まってしまうだろう。もともとトム・リプリーというのは野心家だが冷酷な殺人犯なわけで、共感できなければ胸くそ悪い極悪人。前作のアラン・ドロンには有無を言わさず引き込んでゆく、それだけ謎めいた魅力があったわけだが…。ただ、マット・デイモンの演技はさすがで最後までよく健闘したと思う。6点(2003-05-25 10:49:39)
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