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Web www.jtnews.jp

プロフィール
コメント数 296
性別 女性
ホームページ https://kawamari7.hatenadiary.com/entry/2021/09/03/221816
自己紹介 取り締まる法律が必要な(1)XX中毒。生まれた場所のせいで3歳で兆候が現れ、13歳で表彰状物の重症に、今ではより強い刺激を求め(2)X屋の中だけではなくこのサイトに出没、ネットで(3)XXXXXXがないかと探し回るのに誰も助けてくれません。KW = 「かわまり」「はてなブログ」で原子力開発関連の「プロメテウス達よ」と19世紀ヨーロッパを夢と詩で描いた「黄昏のエポック」を公開しています。  (Xの数に文字数が一致する言葉を入れてください。)

空欄の答え:(1)XX=「言語」、「活字」も可、(2)X=「本」、(3)XXXXXX=「読める外国語」、キリスト教国際病院で生まれ、宗教は仏教。

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【製作年 : 1980年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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1.  楢山節考(1983) 家を出てから楢山に達するまで無言で息子を励まして行く先を指図するおりんが神域に達した人のようで神々しく見えました。10点(2004-04-13 03:34:19)

2.  アマデウス トム・ハルス演じる世渡りは下手だけれども子供っぽくて純真そのもののモーツアルト、そしてエイブラハムが演じる俗物根性丸出しでモーツアルトの才能に嫉妬する憎らしいおっさんのサリエリ、この二人の対比をネビル・マリナー指揮のモーツアルトの音楽をバックにたっぷりエンジョイしました。他のみなさんのコメントを拝見するとモーツアルトの肩を持つ人、サリエリを支持する人、中立派などに分けられるようです。この作品に限って、見た人それぞれがどの派閥に属するかを人気投票形式で調査してみると面白いでしょうね。私は完全にモーツアルト派で、作中で私に一番近い登場人物はサリエリの音楽のレッスンを受けながら「モーツアルトさんの自作で監督と指揮も自分でやるオペラのオーディションを受けたいんですけれど、どうしたらいいのでしょう?」なんて意味のことを口走り、サリエリの心中が煮えたぎっているのを知っていても知らなくても「だってモーツアルトさんは音楽は素敵だしハンサムだし・・・。(これは私が作ったセリフ)」なんて言ってきゃあきゃあ騒ぐミーハー歌手のカテリーナです。この映画を見てモーツアルトを本当に(そしてミーハー的に)好きになりました。 アカデミー賞主演男優賞に一作品で二人(モーツアルト役とサリエリ役)が揃ってノミネートされるなんて異例だと思うし、サリエリ役の受賞がちょっと皮肉(といおうかあの世にいるサリエリに対するほんの少しばかりの慰め)ですね。10点(2004-02-23 05:51:09)(良:1票)

3.  ガンジー 世界一の映画大国といえば・・・言わずとしれたアメリカ・・・ではありません。年間製作本数と観客動員数ではインドが世界のトップだそうです。だから、この映画でエクストラも含め、インド・パキスタン系の俳優が何百人、もしかしたら延べ何千人の規模で登場し、主要な人物全てが打てば響くように好演されているのも何ら不思議ではないはずなのですが、それにしてもこれだけのスケールで多数の登場人物とエクストラがCGなしで撮影・オーガナイズされている背景にはやはりかの非暴力抵抗運動の元祖、マハトハ・ガンジーの足跡を何が何でも映像にしたいという映画人の執念、さらには非暴力を唱えながら暴力に倒れたガンジーがあの世から映画製作を指揮しているかのような鬼気さえ感じないわけにはいきません。 教科書的に鑑賞した箇所も多かったのですが、いかにも青年弁護士でハンサムでかっこよかった若いころのガンジーや「塩を作るキャンペーン」や「国産衣料を着るキャンペーン」など、子供のように思いついたことをすぐに実行に移す姿が印象的てした。ガンジーの希望に反して印パが分離独立した直後、印パ国境付近をイスラム教徒難民が北上、ヒンヅー教徒難民が南下するシーンは悲劇的で圧巻でしたが、パキスタン出身インド在住のヒンヅー教徒の人によると分離独立後、インドはイスラム教徒に対して寛容だったけれど、パキスタンはヒンヅー教徒を容赦なく追い出したそうです。この映画はドキュメンタリーではないのでカンジー翁の遺志にそった脚色が随所にあるのかもしれません。歴史上、「神の下の人間の平等」を説いた宗教家は多数存在しましたが、世界史上最初で最後になるかもしれない「全ての神の平等」を説いた宗教家を力強く描いています。10点(2004-01-25 08:38:20)(良:2票)

4.  オフィシャル・ストーリー 先進国ながら貧富の差が根強く存在し軍部によるクーデターが繰り返されたアルゼンチンの首都ブエノスアイレスを舞台に「人間の真実」という普遍的なテーマを主題にしたドラマ。題名には「教科書に書かれていないことが人間の真実なんだ。」という意味が皮肉っぽく込められています。家庭ではかわいいわが子にメロメロの主人公が男子校の教壇に立つとがちがちの女史タイプに変身するのが面白い。でもその態度のせいで茶目っ気のある生徒に「センセ、歴史教えようと思ったら教科書読んでいるだけではだめだよ・・・。」と教えられることになるわけです。政情不安のアルゼンチンでは「暗い過去」はたった数年前の出来事ですが、日本でも60年遡れば原爆やら中国残留孤児などの暗い歴史が存在します。それなのに、映画の中の夫の態度からもわかるように、たった数年前のことであっても私たちには嫌なことからは目をそらそうとしてしまいます。平穏な生活の中で主人公が目をそらしがちな暗い歴史を探り、終に真実に向かい合うまでの過程が淡々と描かれています。子役がとてもかわいいし夫婦を演じた中年の俳優さん二人の抑えた演技がすばらしいです10点(2004-01-22 11:31:45)

5.  ハチ公物語(1987) 《ネタバレ》 動画サイトで断片を見て迷わず中古のDVDを購入しました。わたしは断然オリジナル派です。何が良かったかというとストーリーとその演出よりもなにも、江戸情緒が漂う大正から昭和初期の東京の風情がモノクロの当時の写真に色をつけて蘇らせてているように感じられたことです。流れる音楽も秀逸でした。作品の時代は日本にとって激動の時代だったのですが製作者たちは第一次世界大戦や世界恐慌など抜きにこの時代を描きたかったので犬を主人公にした映画を作ったのではないかと思うほど街のたたずまいから立て看板、人々の服装、地方から人々を受け入れて今では落語の中くらいでしか聞けず東京弁としては死滅しているのではないかと思われるべらんめい調東京弁などを楽しみました。そしてこの時代に現存した有名な犬と言えばもちろんハチ公です。こういう観点から作品を評価すればハチが死ぬ前に見た幻想シーンで秋田犬俳優が仲代達也に投げつけられて撮影されたシーンをリチャード・ギアの胸に犬俳優が背伸びして両前脚をのせるよく出来て自然な演技と比較してどうのなんて言えません。リメイクの舞台はアメリカ人の大半が知っているアメリカにはどこにでもある現代の都市郊外のベッドタウンです。よく知られているストーリーにも言及しておきましょう。上野教授が最後となる授業に出かける前に人間は感じない異変を感じて異常を知らせる行動を取ったり教授の通夜で位牌の前で泣き声を立てたりしたことからもハチは上野教授が亡くなったことを知っていたとわかります。人間にでさえ「この家にいると主人がまだ生きているような気がして。。。(妻)」や「ハチを見るとお父さんを思い出す。(娘)」のように自分にとって心地よい幻想を現実だと信じたい願望があります。ただ人間は「ご臨終」の意味を知っているし納棺から通夜、告別式、四十九日などの儀礼を経て好ましかった過去から自分を引き離して好ましくない現実に向き合って適応することを強いられます。犬や狼のように社会的な動物にはきっと同胞の「ご臨終」を意味する仕草か合図があってそれをハチに提示すればハチは未亡人のおじさんの家に収まったはずなのですが、悲しいことにハチには敬愛するボスである上野教授の死を犬語でもって知らされず、近親者の死に際しての犬式通過儀礼も無かったので「上野先生は亡くなったかもしれないけれどそうじゃないといい。」という思いが高じて「先生はきっと生きている。だって先生のご遺体も犬式葬儀も見てないもん。」という感じで上野教授の死の現実を受け入れずに9年間の渋谷駅通いをしたのです。ハチの愚かさではなく人間には許されない幻想を生き抜いた姿が涙を誘うのです。それにしても犬はやはり人間の最良の友人、そして秋田犬俳優とトレーナーの皆様、時代考証と美術担当の皆様、ご苦労様でした。[DVD(邦画)] 9点(2018-05-29 04:35:49)

6.  ニュー・シネマ・パラダイス/3時間完全オリジナル版 劇場版と完全版(ディレクタース・カット)の両方を見ましたがやはり、二日に分けてDVDで見た完全版のほうが上です。映像と共に伝えられるサイド・ストーリーが観客の無意識下に蓄積されて新たに展開されるストーーリーを追いながら重層的に迫ってくる・・・そんな効果を期待している完全な作品がディレクタース・カットに他ならないようです。しかし、この作品の映像や音響は映画館のフル・スクリーンで見てこそ十分に堪能できるものなのでどちらも一長一短です。「アラビアのロレンス」や「クレオパトラ」、私が知っている限りで一番最近のもので「ガンジー」のように中休み(intermission) がある劇場映画はもうはやらないのか・・・残念な気がします。アルフレート役がフィリップ・ノアレだとはこのサイトを見るまで気づきませんでした。「イル・ポスティーノ」のネルーダ役にはまっていて上品なおじさんだと思っていましたが、やはり噂に違わない大俳優のようです。[DVD(字幕)] 9点(2007-07-16 01:11:56)

7.  愛と哀しみのボレロ 登場人物が多すぎるのでどうなることかと思いましたが最後、しっかりまとまってすごいインパクトを与えるのが驚きでした。思えば第二次世界大戦の悲劇は2,3時間やそこらの映画でつくせるものではありません。ボレロの祭典に会した芸術家や聴衆の数家族が背負っている悲劇を紹介するだけでもこれだけのインパクトがあるし、それぞれの悲劇のパターンを実際に経験した家族の数は数千倍、アジア戦線を含めたらもしかしたら数万倍くらいに上るのではないでしょうか?ドイツ将校とパリジェンヌとの悲恋物語で ”Hiroshima, Mon Amour(邦題:二十四時間の情事)”を思い出しました。“Hiroshima, Mon Amour”のヒロインは未婚の母にはならなかったものの自宅に軟禁されて丸坊主にされ、髪が生えそろった後で村から追放されてしまいます。いやはや・・・理性的とは言いがたいけれど、敵に対する憎悪がこういう形で噴出してしまうんですね・・・。ラベルのボレロは私が東洋人であるせいか「因果応報」や「輪廻」を象徴し、「過去の過ちを繰り返さないこと」と「過ちを犯した人間を許すこと」を迫っているように聞こえました。9点(2004-06-14 01:34:22)

8.  存在の耐えられない軽さ 「長かった!」というコメントが結構ありますね・・・。私はビデオで見たので「長い。」とは感じませんでした・・・途中でコーヒーを入れに立ち上がり・・・電話がかかってきて中断し・・・と言いたいところですが、ちょっとした理由(見た方にはわかると思います)があって途中で持ち主(知り合いの個人)にビデオをつき返しました。その時の会話:「おっさん、何だって私にこんなビデオ見せようとしたの?」「ボボボ僕、何にも下心なんかないよ・・・。キキキ君なら理解できると思って・・・。」(「おっさん」は40台半ばの離婚歴ありの独身者。)と、いうわけで結局は最後まで見ました。その後のある友人との会話:「人間の体をモノみたいに扱っているのが気に入らなかった。」(その「友人」は「アウシュビッツって何?ロシアの元の国とアメリカが対立してたこともあったの・・・。」とうそぶく御仁。)私のこの映画に対する評価は「おっさん」と同じでわりと高いんですけれどね・・・。ちなみに「おっさん」は米国在住のポーランド人です。ビデオの持ち主である「おっさん」に敬意を表して「おっさん」の評価・・・まちがいなく10点・・・と自分の点数・・・ソ連の脅威を肌で感じたわけではないのでこんなもん・・・の平均点を入れておきます。9点(2004-05-25 11:53:03)

9.   日本の映画の中でこれほど外国人受けする映画はないと思います。統計をとったわけではないのですが・・・でも、外国人がこの映画を評価するのは色鮮やかな旗が乱舞する合戦シーンなどの日本趣味でしかないのかもしれません。また、この映画を一度しか見ないで出来不出来を云々する方の中には外人がこの映画を見る目とそれほど変らない見方で評価していらっしゃる方も多いのではないかと思います。でも、私はこの映画を二度目に見た時にはシェークスビアの原作にはない何か、日本的、あるいは仏教的と言ってもいいかもしれない何かを感じました。二度目には長男の妻と同じ経緯で一文字家に嫁いできたのにもかかわらず寛容な心でもって秀虎を許す次男の妻やピーターが演じた狂阿弥の台詞の一言一言に着目する余裕があったせいだと思います。参考になるかどうかわかりませんが、シェークスビアは「リア王」を書くに当たって作品をキリスト教と無関係なストーリーにしたいと考え、わざと舞台をキリスト教伝来以前のイギリスに設定したそうです。だとしたら、この映画は黒澤監督がシェークスビアの意図を受けてセンター前にヒットさせたような作品かもしれません。でも、私はやはりこの作品は「黒澤」で「日本」だと思います。9点(2004-03-09 11:31:28)(良:2票)

10.  カラーパープル(1985) あらすじに書けなかったことを淀川長治さんの言葉を借りて言うと「この映画は映像の詩」です。加えて音楽が雰囲気にぴったりですばらしい。この映画のサントラ盤(なぜかクインシー・ジョーンズの音楽ということになっていますが、これどういうこと?)のCDは私の宝物です。「おまえは黒人だ!」という言葉が「自分の文化に誇りを持て!」という意味で発せられるのは黒人ジャズ・ミュージシャンなどが輩出した後、しかも都会でのことで、この時代アメリカ南部では黒人を馬鹿にするために発せられていたようです。(主人公の夫も主人公に向かって馬鹿にする意味で言っています。)平凡な黒人を描いてこれほどのパワーのある作品ができるのだから非凡な黒人を描いてオスカーをどんどん狙ってほしいです。芸術家ならチャーリー・パーカーかマイルス・デービス、社会運動家や政治家ならノーベル平和賞を受賞したキング牧師やラルフ・バンチ博士・・・黒人俳優よがんばれ!9点(2004-03-02 02:15:53)

11.  マルサの女 あらすじを書いた後で直ぐにレビューを書かず、そのうち「こんな名作、みんなが寄ってたかって書くからいい!」というズボラ根性を発揮し、そのうち書いたような気になっていました。この作品、印鑑文化とか銀行通帳といった日本ならではの慣習をキーとして描写しながらも世界中、特にアメリカで大受けしたのはやはりタックスポリスと脱税者というお金だけを巡るせめぎ合いを描いたおそらく世界初の作品だったからでしょう。山崎努が演じる守銭奴の権藤は「奥さんに本当に惚れていたら離婚して慰謝料をガバっとやってから再婚するんだぜ。慰謝料は非課税だからな。」と合法手段での節税からきわどい手段までを駆使するなぜか憎めない男ですし、彼に相対するマルサの女も「再婚する前に奥さんが逃げちゃうかもね。」というなかなかのキレ者でこの二人のやりとりが最後まで息をつかせませんでした。[ビデオ(邦画)] 8点(2020-05-30 11:34:05)

12.  レディ・ジェーン/愛と運命のふたり 《ネタバレ》 「1000日のアン」に続く英国史ものということで鑑賞しましたが、こちらは「1000日」と異なって恋愛モノの色合いが強く点数はちょっと辛めです。主人公のジェーンとギルフォードは当初はお互いに反発しあっていたものの恋愛・結婚の順序を逆にしたような深い絆で結ばれたカップルとして描かれています。Wikipediaの英語サイトは二人両方を独立した項目で取り上げていて、どちらも「当時では稀な自由主義教育を受けた」秀才だったと書いています。と、言っても、二人とも年輪もいかないうちに女王とその配偶者に祭り上げられて処刑されたので、きっと二人ともに書籍の出版件数も少なかった時代に存在する全ての出版物を読んでしまうほど知識欲が旺盛で、国教徒派の周囲も国を治めるパワーカップルとしては息がぴったり合って最高の組み合わせと判断したのでしょう。ところで、ジェーン女王の即位を即位後9日目に覆したメアリー女王がスペインのフェリペ王と結婚した時はすでに37歳、今なら医学の知識を借りて子供を作ることはさほどむずかしくないけれど、「跡継ぎはどうするの???」と当時の周囲はやきもきしただろうと思われるオバサンでした。フェリペ王はこの時、野心見え見えの26歳、この若い夫のご機嫌を取るためか、メアリーは後年「ブラディー・メアリー」とあだなされるほど、国教徒派を粛清・処刑しまくったようです。ヘンリー8世とエドワード6世のときは様子見だった国民の多くがこれで英国教会に傾いたようです。このメアリー女王に子供ができなかったせいで、次のエリザベス一世の支配下で英国教会のイギリスが誕生するわけですが、短期間の女王在位の後に同じく斬首刑になったアンが「わたしの血を引く者(娘のエリザベス)が必ずイギリスを支配する・・・。」と予言しながら死んでいったのとは違って、ジェーンはひたすら来世で夫のギルフォードと再会することだけを願って死んでいったので、恋愛ものとしては素晴らしい作品だけれど、歴史ものとしてはちょっと迫力に欠けるな・・・なんていうことを鑑賞後に考えました。[DVD(字幕)] 8点(2010-01-13 06:02:55)

13.  女の都 《ネタバレ》 あれ、みなさん点数低いんですね。わたしは非常に気に入ったのですが・・・。初期のモノクロの時代にはリアリスティックな映画を作っていたフェリーニがこのようなシュールな作品を作ったのはもうろくでもなんでもなく、モノクロの制約がある時代にすでにリアリズムを追求しきった巨匠としての自負があったからだと思います。カラーがモノクロよりリアルになるのは何ていっても当たり前ですから、リアリズムを超えることに専念したんでしょうね。つまり、映画を欲望、幻影、ナンセンス、さらには精神分析を始めたフロイトが強調した無意識を描く手段にしようとしたのだと思います。最後のほうでマルチェロが気球で昇天するシーンの気球のカゴはまさに揺りかご、彼を空に導く人物は、(敬虔なキリスト教徒には申し訳ないのですが、)まさにイエス・キリストを女にしてビキニとハイヒールを履かせたようないでたち・・・。わたしたち人間は知的生物であると同時に獣で、男と女の関係もその二点をバランスするべく歴史的にいろいろ規定されてきたのだけれど、ウーマンリブ運動がようやくイタリアに波及した1970年代の終わりに、男と女の間の新しいバランスの方向を模索するかのように既成観念、特に男女を問わず抱いている下半身にまつわる思い入れや感じ方などを暴露し、笑い飛ばしているフェリーニ監督にフェミニスト(女権論者)として最大限の拍手(私がコメディーにつけることにしている最高点)を献上します[DVD(字幕)] 8点(2009-12-27 03:09:25)

14.  オテロ 最初にお侘びを・・・この作品はオペラを映画化したものなので、採用されないと思って採用されていたのにレビューを長らくほったらかしにしてしまいました。ゼフィレッリ監督の作品ということで映像が堪能できる作品です。オテロを演じているのはオペラ歌手のプラシド・ドミンゴですが、ケネス・ブラナー版のオセロのようにアクが強くなく、BBC製作のバージョンでアンソニー・ホプキンスが演じたオセロのように演技はすごくうまいのけれど白人が顔を黒塗りにしているのが見え見えというわけでもなく、ごく自然に風格のある黒人の将軍を演じていました。ミュージカルやオペラについていける方には(そうでない方にも)お勧めの作品です。以下は無駄口ですが、プラシド・ドミンゴと言えば、北京オリンピックの閉会式に駆り出されて歌っていました。でも何でまた・・・?三大テノールのホセ・カレーラスが地元バルセロナのオリンッピクで歌い、パヴァロッティがやはり地元のトリノで口パクをやって、三大テノールの中で残されたプラシド・ドミンゴはメキシコ出身だけれどメキシコではしばらくはオリンピックはなさそうで、かわいそうだからでしょうか?こういうのはやめて映画監督と組んだ仕事に専念してほしいです。[DVD(字幕)] 8点(2009-01-16 14:43:02)

15.  ヘンリー五世(1989) 《ネタバレ》 シェークスピアの作品の中ではマイナーかもしれない作品をよくまとめた秀作だと思います。まあ、リチャード二世からヘンリー八世に至るシェークスピアの歴史ものはわたしたちが「東京裁判」とか「シンドラーのリスト」とか「ヒトラー最後の・・・」なんかを見て歴史に対する理解を深めるのと同じで、当時の人たちについ最近(?)の歴史を理解させるために書かれたわけで、わたしたちからすると時間的にも地理的にも遠い感じがします。それにもかかわらず、この作品に心に触れるものがあるのはやはり演出と二十台前半の青年王を堂々と演じたブラナーの演技力のなせる業のようです。戦いの場はあくまでも凄惨ですが、シャルル六世の娘カトリーヌへの求婚シーンはあくまでも甘く、「あなたは敵の妻になるのではありません。友人の妻になるのです。」という終わり近くの言葉からは血気にはやって戦争を始めたものの、反省して平和を求める青年王の感性が伝わってきて印象的でした。現代の世の中でも血みどろの戦いの後でも誰か一人のこういう言葉で全てが丸く収まったりするといいのですが、民主主義の世の中ではもはやありえないでしょうね。[DVD(字幕)] 8点(2009-01-16 14:16:48)

16.  愛のイエントル どうせフィクションなのだからどうでもいいと思うのも結構ですが、アビグダーや周囲の人間がイェントルの男装を見破っているのかいないのかがわからず、「ここで見破ったんじゃないかな・・・。」なんていろいろ想像するのが面白いと思います。裸で川に飛び込んで「君もやれよ・・・。」と挑発したりするのは、学問はしっかり身につけているのにひげも生えていない成長不全でひ弱(?)なイェントルをからかっているのか、あるいは正体を見破った上で困らせているのかのどちらともとれますよね?結婚の件にしても「ここまでやればさすがに正体を白状するのでは・・・。」と考えて提案しているような気がします。建前の上では女は学問をやってはいけない時代だったけれど、本人が完全に男として扱われるよう学問に励み、周囲も男として扱っている分には実害はないわけだし・・・。ユーモアたっぷりでしかも守るべき節度はきちんと守るアビグダーは私が抱くユダヤ人の男性のイメージにぴったりです。東欧の美しい風景とユダヤ人男性の黒づくめの服が対照的で美しく、バーブラの歌も子供の頃から歌っているだけあってすばらしいです。ミュージカルに私がつける最高点の8点を献上。8点(2004-04-11 09:53:16)

17.  ドライビング Miss デイジー 高齢者の自立が云々言う前にこれはアメリカ版親孝行ストーリーですね。息子の厄介にはなりたくないというデイジーさんの意地はわかるけれど、運転手を雇えるような金持ち、しかも親思いに息子を育てた母ちゃんの勝ちですよ。全ての老人がこのとおりにいくわけはないけれど親子間の情愛は本当に良く伝わってきました。運転手が鮭缶を盗んだの盗まないのでもめる場面のオーバーな演出は爆笑ものでしたが、これも息子が財布からお札を取り出して「これで鮭缶買ってきな。」と水戸黄門よろしく解決・・・でも運転手のほうが上手だったりして・・・。親孝行に関してはどの民族も同じのようでユダヤ人が特別だという話も聞かないし、主人公がユダヤ人だということに何か意味があるのかと考えてみましたが、多くのユダヤ人は何十世代もの間、他の民族と商売をしてきたので商売相手や使用人を外見ではなく中身で判断する伝統があるのではないでしょうか。運転手が文盲だとわかってもデイジーさんは動じないでしょう・・・。運転手は運転手として優秀ならばそれでいいのです。ストーリーの舞台、アメリカのジョージア州はいわゆるディープ・サウスといわれる地域で、子供の頃に学校に満足に行けなかった文盲の人が珍しいくないそうです。人間はいつかは死ぬのだけれど、ずっと生きていて欲しいと思うような高齢者が近所にいるので身につまされました。自分の親のことに至っては年金をもらう年になっても高齢者だとさえ思いたくないのがどら娘である私めの本音です。8点(2004-03-19 14:01:35)

18.  黄色い大地(1984) 中華人民共和国建国直後から文革期に至るまで、中国では共産党を讃えるミュージカルやオペラが数多く作られました。そのほとんどは同じストーリーの焼き直しで何十年か先には忘れられる運命にあります。でもわりと最近に作られたこの映画は、その系列にありながら生き残る数少ない作品の一つになるでしょう。伴奏なしのソロで個人の感情を切々と歌い上げている民謡の一つ一つが歌っている人物と切っても切り離せない正に作品の中心と言えます。この時代、中国の農村にはテレビはもちろんラジオもなく、地方の人々がインターネットを利用して情報の発信まで行う現在とは異なり、農村の人々は共産主義を多角的に評価するどころか読み書きさえもできなかったのです。ですからこの作品を鑑賞する上で、私たちは共産党に関する固定観念や現在の私たちが持っている知識等を排除した上で、「どん底の生活をしていても人間には美しい音楽を作り出す能力があるんだな・・・。」とか「暗い生活をしているから、一筋の光が見えた時に必死になってそちらに手をさし伸べるんだな・・・。」といったピュアな見方でもってこの作品を鑑賞するべきでしょう。自分の運命を自分で切り開く決意をした時の主人公の少女が最高に美しかったです。作品の暗さのせいで点数はちょっと辛めです。8点(2004-01-25 08:47:55)

19.  仮面の中のアリア 私はこの映画をスポーツ根性ものとして見ました。しかも何度も・・・。大の音楽好きの私がですよ・・・。私の子供時代にはスポコンものはコミックやアニメではしょっちゅう見ましたが、映画でスポコンものにあまりお目にかからないのは、やはり一流のスポーツのパーフォーマンスを撮るのがむずかしいからではないでしょうか?でも映画や漫画のファンのみならず、私たちは一般的に試練に耐えたり競ったりする人間の姿に強く心を惹かれます。だから音楽やダンスなどをネタにしてスポコン(ミュジコン?)ものの映画をいっぱい作ってほしいと思います。この映画では映像はきれいだし、主人公にしごかれる女の子は可愛いし、音楽はいいし、文句なしです。ストーリーに関して言えば・・・やはりスポコンものです。これ以上は何も言えません。もっともっとスポコンに徹していれば(二人の若い歌手の苦闘と成長を詳しく描写していれば)満点をつけるところでした。題名は原題そのままの「音楽教師」にしてほしかったです。こんなタイトルじゃあまり魅力を感じません。8点(2004-01-23 13:48:57)

20.  眺めのいい部屋 この作品についての事前知識は、身分違いの恋愛を題材としている非常に美しい画面とBGMの作品だということでした。そして多くの方がやはり美しいメロドラマと理解していらっしゃるようですが、わたしは一見して「本当にそうなのかな・・・」と感じました。「身分違いの恋」として私がイメージしていたのは大概は破綻するのがオチの、深窓の令嬢が慣れない掃除や炊事・洗濯にいそしむ光景なのですが、ここで身分が下とされているジョージ・エマソンはイタリアだギリシアだと遊びまわれる身分で決して貧乏人ではなく、おそらくセシルよりも裕福な新興ブルジョアのようです。そして馬車と車の両方が使われている時代背景・・・。さらに想像するなら、経緯はまったく触れられず、いきなり婚約者となったセシルの人柄ではなく血統にルーシーは惚れていたようです。19世紀後半のビクトリア朝、イギリスが世界の工場にのしあがったこの時代、血統書つきの貴族は荘園を小作人に耕させて馬車で領内を見回るだけで優雅に暮らし、工場を経営して自動車を乗りまわす新興ブルジョアたちに「狭い英国、そんなに急いでどこに行く。」と軽蔑的な視線を浴びせていたようですが、ブルジョアたちは議会下院に選出され、イギリスを動かす政治権力も手中にしました。さらに、イギリスの歴史そのものがフランス出身のノルマンディー公がイングランドの王朝を創始したり、貧民出身のウェリントンがナポレオンを破って公爵になったりと、常に激動とは無縁ではありませんでした。ルーシーが巻頭で演奏するピアノ曲はエネルギーと躍動を体現したようなベートーベンのソナタ「ワルトシュタイン」、一方のセシルが好きなのはひ弱なロマンチストのシュ-ベルトの曲で、ジョージと仲のいいルーシーの弟の低俗な(?)ピアノの弾き語りにセシルが逃げ出すシーンも象徴的です。[DVD(字幕)] 7点(2010-03-15 12:30:13)

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