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241.  サイレントヒル 《ネタバレ》 いやぁ、楽しかった!これは生死を越えた奇跡の母娘の物語です!神を愛し魔女をでっちあげ、そして仲間の連帯意識を高めようとするサイレントヒルの住民たちは、ドッグヴィルの村人たちと似ていると感じました。最後にリーダー格のおばはんがアレッサに復讐されるシーンは、控えめながらに言わせていただくと、もっと苦しんで殺してやればよかったと感じたのは私だけ? 子役のジョデルフェルランド嬢は素晴らしかった。舌が噛みそうな名前ですが、2歳ですでにデビューしている天才少女らしいです。覚えておいて損はないでしょう。この子はアレッサの善のこころが生んだシャロンと、彼女の憎しみが生んだ死神の一人二役を見事に演じていましたね。とくに死神の時の顔の表情がすごくいい。メイクで怖そうにみせたり、悪ぶっていましたが、やはりかわいさは隠せない(笑) 死神は憎しみの塊のような存在ですが、強がっていても繊細な一面もありました。そこが切ない。 それと母親のローズは偉い!化け物を相手に彼女は一歩もひかずに我が子を取り返そうと走り回る。その姿に感動しました。それにしてもローズの夫は本当に使えない奴だ。サイレントヒルのなかにいて我が子を取り返そうと戦っている母親と、サイレントヒルの外にいてオロオロしている父親の姿が対象的にえがかれています。子供にとって母親は神であり、父親は用なしということか? 実の母親に裏切られて傷ついたアレッサの良心(シャロン)を、あたらしく母親になったローズが癒してくれた。 私にとってこの映画は絶対ハッピーエンドだ。 [DVD(字幕)] 9点(2007-02-28 22:41:46)(良:3票) 《改行有》

242.  永遠のマリア・カラス 皆さんが言っているように、「カルメン劇」が素晴らしい。 私は息をするのも忘れてカルメンのシーンを見入ってしまった。 はっきり言って、あのオペラシーンを見るだけのためだけでも、この映画の観る価値はあると思う。それくらい圧巻の名シーンだった。カラスという人の人間性に関しては、決して都合の良いようには描かれておらず、それがかえって偽善さを感じないので良いのではないか?と思う。 天才にありがちな自我の強さと、闘牛並みの気性の激しさを兼ね備えた女性に感じた。 ただこのカラスという主人公以上に、ゲイのプロデューサーの男のほうが私としては見ていて面白かった。 カラスに振り回されるだけ振り回されて、色んなものを失ってしまう。カラスに対して「次は何が欲しい?私の腎臓か?」というジョークがせつない・・[映画館(字幕)] 7点(2007-02-18 23:11:08)(良:1票)

243.  フライトプラン 《ネタバレ》 面白い!これは母親の物語でした。娘を見失った母親が必死になって我が子を探す。わめく、泣く、怒鳴る、威嚇する、とにかくみっともないジョディー・フォスターを意外な思いで眺めていました。しかし最後になってようやく彼女の演じた「母親」がとても母親らしかったことに気がつきました。一般的に母親というのは「いい人」ではありません。極端なことを言えば全世界が滅びようとも我が子だけは救い出そうと考えるのが母親の本能なんだと思う。だから母親は仏教の世界では餓鬼地獄に落ちると言われたりもする。ジョディーが演じた母親は、乗客たちの安全よりも、とにかく娘のことを最優先に考えていた。その自己中心的な姿に共感する人は少ないと思いますが、私はこれこそ真の母親の姿だと感じる。反対に「男」という生き物は、いつも世間体ばかり気にしてカッコつけようとする。今回のジョディーは、本能をむき出しにした母親を演じていたように思います。そこに偽善が一切ないのが好感が持てる。まわりの迷惑を一切考慮せずに停電騒ぎをおこしたり、逆ギレしてアラブ人を犯人扱いにしたり、謝りもせず、お礼もいわず、ひたすら「娘~~!!」と叫びながら鬼気迫る形相で、善人の機長に食ってかかる母親はもちろん「いい人」じゃありません。乗客全員から悪意のこもった拍手をされているシーンが特に印象的です。しかし彼女は悪びれる様子もなければ自分の行っている行動に微塵の疑いも持っていない。それは「ははおや」だからです。全世界を敵にまわしても我が子を守ろうとする強い意志を感じました。私はそこに潔さを感じる。最後に殺す必要も無い犯人を爽快にぶち殺して、さっぱりした顔で娘を抱いて出てきた母親をみたとき、私は呆れるよりもむしろ感動してしまいました。いやはや痛快です。これぞ母親!これぞジョディー・フォスター! [CS・衛星(字幕)] 9点(2007-02-12 23:11:13)(良:2票) 《改行有》

244.  嫌われ松子の一生 《ネタバレ》 フェリーニ監督の映画「道」に登場していたジェルソミーナと松子が似ていると思ったのは私だけでしょうか。松子の持つトラウマは、体の弱い妹のみが父から溺愛され、彼女自身は愛情を受けず育てられたために極端に自己評価の低い人間になってしまったことです。松子は完全にアダルトチルドレン。彼女がどうしようもない男ばかりを好きになってしまうのも、「どうしようもない人間だからこそ、私がいなかったらこの人は生きていけない」という思い込みがあったからだと思う。つまり松子は他者に必要とされることでしか自分の存在意義を見出すことができなかったのだと思います。ザンパノに対するジェルソミーナの想いもそれととても似ている。どちらも重度の「共依存」だと考えます。 ・・・・・。松子は1人ぼっちが寂しくていつも他人を求め続けましたが、そんなのは基本的に2人になっても解消されるわけないんですけどね。 2人になったら今度は2人ぼっちじゃないですか・・・。誰にとっても人生は寂しいものです。しかし最後にとうとう人を求めなくなった松子をみて、松子らしくないと感じて悲しかった。ラストシーンはやはり「道」を思い出します。松子に暴力を振るい続けたヤクザ男は松子が死んだことを知ってショックを受ける。その姿はザンパノの姿と重なる・・・。 [DVD(字幕)] 8点(2007-02-12 21:17:46)(良:1票) 《改行有》

245.  グエムル/漢江の怪物 《ネタバレ》 グエムルがどんな殺され方をしたかというと、アメリカ軍が散布した枯葉剤をイメージさせるオレンジ色の毒性のガスをかけられて、もがき苦しみ、そのあとに頭上に灯油をかけられて、アーチェリーの火の矢で目を射抜かれ丸焼けにされ、最後は口の中に鉄の棒を突っ込まれてお陀仏(おだぶつ)である。これじゃ集団リンチだ。私は素直にカタルシスを得ることができなかった。 家族愛よりむしろ憎悪だけが目立つ。家族は娘を救出しようとして失敗した。したがってグエムル退治は単なる復讐劇であり、娘を救うための戦いではなかった。 やはり映画の中で娘のヒョンソを殺したことは許しがたい。「君たち、ヒョンソが死んで意外だったでしょ?」と、監督はさぞかし得意げに笑っていることだろう。さすが社会派監督。冗談じゃない。激しい憤りを覚える。 ヒョンソの魅力は母性だと思う。小さな女の子であるにもかかわらず、駄目オヤジを見るまなざしや、男の子をぎゅっと抱きしめる姿は聖母のような神々しさを感じる。彼女は母親から見捨てられ、駄目パパ1人に育てられた。しかしぐれる事もなく、まっすぐに育つ。いつかは実の母親とも対面したいと願っている(と、想像する・・)たぶん結婚願望も強いだろう。 そう思うと娘1人守れないソン・ガンホのへたれオヤジぶりにも怒りがわいてくる。ヒョンソが生きていることを説明するのに携帯電話を口の中にいれるパフォーマンスをしたときはイライラも最高潮に達する。いくら無垢な男でもあまりにも脳みそが足りない馬鹿だ。別な見方をすれば観客にそう思わせるだけソン・ガンホは見事にヘタレオヤジ役を演じきったとも言えるのだが、今回はそれを褒める気力もわかない。あげくのはてに、わけの分からない身寄りのいないガキを、死んだ娘の代替品として育てようとする・・・・。このオヤジ・・お前が一番最初にくたばれや!と素直に思った・・・。グエムルが怪物ならソン・ガンホは怪優。演技とわかっていてもそれが許せない。 [DVD(字幕)] 6点(2007-02-08 18:38:31)《改行有》

246.  ユナイテッド93 この映画はアメリカの映画のなかでもやはりちょっと異色だと思う。最初から観客を泣かせて感動させようという意図が、まるでない。イスラム原理主義への怒りを煽る政治的な意図もない。ただあるがままに淡々と現実を踏襲している。 よく映画を観る人たちのなかで、「何が言いたいのか分からない、メッセージがない」と不満を口にする人がいますが、この映画は、そのメッセージ性を徹底的に廃し、主観を削ぎ落としてつくられている。観終えたあとに「だからなに?」と聞かれれば、「これが事実です」と答えるしかない。そういう映画です。 しかしそれでも、この映画はブッシュ政権の陰謀だとか、ユナイテッド93は、アメリカ政府によって撃墜された、という話が、まことしやかに噂されるほど、ヒステリックな批判がアメリカでは絶えない。ここまで賛否両論が巻き起こるのは、ひとえに、この映画こそ、9・11の核心に迫った作品だからだと思います。良作ではありますが、アメリカ人をもっとも動揺させる映画であることも確かでしょう。とにかく機内の様子の臨場感は圧倒的。ラースフォントリアーの、手ぶれカメラを思い出させる機内映像の揺れは、93便の乗客と同様に、観客にも恐怖と吐き気を引き起こさせる(苦笑) とくに私は揺れには弱いので大変気分が悪くなりました。観終えたときはかなり衰弱してしまいましたが、私は彼らと違って死んでいない。不謹慎かもしれませんが、「死」を意識したことで、よりいっそう生きていることに感謝したい気持ちになれました。 [DVD(字幕)] 8点(2007-01-09 23:31:33)(良:1票) 《改行有》

247.  ぼくを葬る(おくる) 《ネタバレ》 葬る(ほうむる)じゃなくて、葬る(おくる)と読むらしいですね。実際にそんな漢字は存在しませんが、雰囲気は伝わってきます。ふつう、死ぬと分かったら、犯罪をおかしてでも、自分の欲望を実行に移そうと思う人もいるでしょう。ロマンもチラリと医者に自分の破滅的な願望(近親相姦願望)を漏らしていましたが、けっきょく実行せずに、自分を葬ります。 人には、色んな死に方があると思います。もし私だったら、絶叫して泣き叫び、家族に八つ当たりするかもしれない・・・また自殺してしまう人もいるでしょう。 反対に立派な死に方をする人もいるかもしれません・・。私は、良い死に方に感動したり、悪い死に方に眉をひそめる・・そのような批評をすることはできない。人間は弱くて優しいから、どんな愚かな死に方をしても、すべて肯定したいと思います・・。 ロマンの場合は、まるで死に場所を探して、さ迷い歩く象のようです。これがこの人の死に方なんだ、ということを、私は素直に受け止めました。最後に辿り着いたのが海・・・その死にいく姿は、非常に美しい。天才カメラマンでありながら超美形のロマンの死は、いかにもロマンらしい。自分に酔いしれながら、自分を葬ろうとしている。まさにロマンティスト。・・・・おあとがよろしいようで。 [DVD(字幕)] 9点(2007-01-09 23:27:39)《改行有》

248.  メラニーは行く! 《ネタバレ》 いまやルックスだけではなくて演技派としても名高いリース・ウィザースプーン。私は素直にメラニーに好感が持てましたよーー!メアリーの魅力は、自分をありのままに表現できることなのです。 そういうメアリーを街の人たちは愛し、そして赦している。問題のラストシーンですが、あえて市長の息子である婚約者を悪者にしなかったことを褒めたいです。普通だったら、婚約者を途中で悪い人間に豹変させて、メラニーがその男を選ばなかったのは当然である、という流れに持っていくのがハリウッドの常套手段です。しかしこの映画はメラニーを愛する2人の男がどちらも誠実で良い男となっている。こういう場合、どちらの男を選んでも女性は非難されるでしょう。しかし、ここで一番大切なことは、周りの空気に流されずに自分の本心に従って正直に行動することだと思う。メラニーはまさにそのお手本となる女性ではないでしょうか??可愛いだけではなくて、心の奥底に毅然とした芯の強さを秘めている女性です。彼女は最後まで自分の本心に忠実であり続けたのです。これは、女性の、女性による、女性のための成長と再生の物語。見事に自立した女性を演じたウィザースプーンに拍手。私は断固として彼女を支持します。ブラボーメアリー![地上波(吹替)] 7点(2007-01-04 18:11:02)

249.  カンフーハッスル 夜梅くらいに面白い。シンチーが投げたナイフが壁にあたり、はねかえって、自分の肩に刺さるシーンは、かなり笑いました。デブの相棒が投げたナイフも、同じくシンチーの体にザクっと突き刺さる・・あのバカらしさに、泣くほど笑いましたね。ナイフが突き刺さったときのシンチーの顔の表情を思い出すだけで、社内で働いているときでも、思い出し笑いをしてしまいます。シンチーという人がだんだん分かってきました。この人の笑いは、徹底的にバカを追及することだと思う。その笑いは、下品で毒があり、まさにチャップリンのクソ上品で、クソ知的な笑いとは対極にある。シンチーはこれからも、毒をたっぷり含んだ笑いで、わが道を突き進んで欲しい。私はシンチーを支持する。 それと、戦闘シーンは、あの有名なマトリックスや英雄(ヒーロー)よりも、断然このバカ映画のほうがレベルが高いと思ったのは私だけでしょうか? ありえねーくらいに、すげーです。 あの至近距離で拳銃の弾を掴み取るシーンも大いに笑わせてもらいました。達人たちも、みんな個性的で最高ですね。これはかなりの掘り出し物の映画です。[CS・衛星(字幕)] 8点(2007-01-04 18:01:52)

250.  THE 有頂天ホテル 率直に言わせてもらうと、綺麗すぎる。優雅すぎる、上品すぎる。「自分らしく生きよう」なんて映画のなかで説教されて、おもわず感動して涙が出そうになりましたが、笑えませんでしたよ。冗談じゃありません。ヒューマンドラマ系コメディなんて中途半端なことをやらずに、とことん笑わせてくれませんか?これが本当に「12人の優しい日本人」の監督さんなのでしょうか? 三谷監督は才能が枯れ果ててしまったのかもしれない。 ようするに毒が無さ過ぎるのです。余裕がありすぎるのです。 まるでチャップリンコメディのように、知的さと感動を売り物にしたコメディなど、笑いのみを期待している私のようなバカ観客にとって、怒り心頭なのです。 だんだん最後のほうになってきて、笑うどころか、しんみりしてきて、落ち込みそうになりましたよ。いいですか?感動したいなら、感動する映画を選んで見ますよ!だ、け、ど、ね・・笑いたいときに、笑わせてくれない知的で上品な映画など見せるな、と言いたい。[地上波(邦画)] 1点(2006-12-31 20:47:04)(良:1票)

251.  麦の穂をゆらす風 アイルランドの自然に囲まれた風景が、あまりにも美しいせいで、そこでドンパチと銃撃戦が行われている様子が、不謹慎にも、美しいと感じました。印象に残ったのは、アイルランド共和国議会の民事裁判で、金持ちの地主が裁かれるシーンです。あれは裁判というよりも、裁判ごっこでした。そのシーンが、アイルランドと英国との力の違いを、兵力の違い以上に、表現していたように感じます。私の浅はかなアイルランドの知識といえば、アイルランド=IRA=テロリスト、という偏見があったことですが、この映画は、テロ集団「IRA」の前身となるアイルランド義勇軍の話のようです。ところで、テロリスト、と一方的に我々は言いますが、アイルランド人にとっては、テロをしているつもりはなく、英国と戦争をしていると思っている。しかし両者の力の差があまりにもかけ離れているために、英国では戦争とは受取っていない。アイルランド人に無差別殺人をされていると思い込んでいる。本作では、英国側の兵士が非常に残酷に描かれているために、客観性が損なわれていますが、本当は英国兵士も政府に命令されて、国に家族を置いて、このアイルランドにやって来ただけなのです。そして異国の地で、アイルランド人のテロ行為に、気が狂うほど怯えていたのだと思う。アイルランドからの撤退を心から喜んだのは、英国兵も同じなはずです。この撤退で英国にいる兵士たちの家族も泣いて喜んだでしょう。それが本作からはあまり伝わってこなかった。もう少し英国側の苦悩も描いてくれれば、深みが増したかと思いますし、そういう意味では少し一方的な見方をした映画だと思います。この映画はイラク情勢を、連合国側の視点ではなくて、イラクの武装勢力側の視点で見たようなものと似ている。戦争は、どちら側の視点で見るかによって、真実が変わってくることがよく実感できました。[映画館(字幕)] 8点(2006-12-25 22:01:03)(良:1票)

252.  イノセンス 《ネタバレ》 オタクに失礼な映画だ。レベルの低い哲学を持ち出してきて、自我と意識が肉体と一緒になって滅びてしまうことに、どうしても納得がいかない連中が考え出した輪廻転生まがいのパロディアニメを、韜晦したふりをしながら見せている。イノセンス、というよりも、むしろナンセンス。身体髪膚これを父母に受く、あえて毀傷せざるはこれ、孝の始めなり、監督はこの言葉を知っているのだろうか。物理的に義体と肉体の境界線を隔てることは、フロイトの「死の欲動」(つまりカントで言うと永遠になろうというか、不死に向う衝動のこと)に影響を受けているのは分かるのだけれども、一言でいえば、子供騙し。 ゴーストという記号は、現代の自分探しに夢中になっている自意識過剰の若者にとっては共感しやすい商業的な発想なのである。 しかしそもそも「私」というものに核など存在しない。人は他人を通じてしか自分を確認することができないのです。 そんなことは監督も知っているだろうに、この男はわざと根暗な自意識過剰者が共感しそうなテーマを捻れた形で装飾し、コアな人気を獲得しようという僥倖を期待している。そこが鼻につく。既に論理が破綻していることは火を見るより明らかであるが、もっと始末に終えないのは、この映画が、監督の悪趣味な言葉遊びが嵩じて、その言葉に溺れてしまっていることだ。[DVD(邦画)] 0点(2006-12-13 19:46:32)(良:1票)

253.  奇跡の海 《ネタバレ》 トリアーの映画は、罪を背負った無垢な女性が、大勢の人間たちから、痛めつけられるものが多い。子供たちがベスにむかって石を投げつけるシーンをみたとき、それはなんというか、控えめに言っても、私の心は引き裂かれるように痛かった。 そしてベスが死んだあとに、夫がケロリと回復するシーン。不条理の表現方法が、トリアーらしくて憎らしい。 なんて言ったらいいのだろうか・・。うまくいえませんが、トリアー映画の中核を担う女主人公たち、つまりベスや、セルマや、グレースたちには、なにか共通したものがあるように思う。彼は、そういう女性たちを、徹底的に痛めつけることによって、集団ヒステリーの残酷さを炙り出しているように感じる。他のレビューワーさんも言っていましたが、彼の映画の構図は、常に、1対多数です。1人の女性を、よってたかって「常識」や「道徳」というキーワードを持ち出して、徹底的に叩きのめす。そして、彼は観客に対して、「お前ら、これを見てもまだ分からんのか」と叫ぶ。考えすぎかもしれないけど、トリアーの目的は、女たちのジハードなのかもしれない。私の買いかぶりすぎだろうか? でも僕は自分の、この考えが、けっこう気に入っている。 トリアーは、間違いなく女性の側についている、そしていつも女性に温かい視線を送っているように思います。[DVD(字幕)] 9点(2006-12-12 00:13:30)(良:2票)

254.  シティ・オブ・ゴッド 《ネタバレ》 ごめん、ブラジルといったら、仕事もせずにサッカーばかりして、能天気にサンバを踊っている奴らばかりだと思っていたら違うのね・・・・じつはもっとひどかったのね(苦笑) 南米特有の陽気さを持っている連中ですが、とにかく怖い。なにが怖いかって、話し合いが通じないことです。 ロナウジーニョみたいな陽気な顔をした連中が、笑いながら銃の引き金をひいて人を殺す。そういう街なんです。 横で、ぺちゃくちゃと喋りかける男がいたら、「お前、ちょっとうるさいよ」と言って、あっという間に銃で殺してしまう。 普通はうるさかったら、「うるさいから静かにしろ」と忠告を出します。乱暴な男がいても「静かにしないとぶっ殺すぞ」と最初に警告をするはずです。しかしこの街の住人は、そういう面倒な警告を、いっさい出さない。言葉が出るよりも、先に銃が出てくる。まさに問答無用。この街では、「殺すぞ」「助けてくれ」というありきたりなコミニケーションは存在しない。気がついたときは墓場の中。「あれ、オレはいつ殺されたっけ?」と、あの世で言い出す奴が大勢いそうだ。老人の映像が映し出されると、「え?なんであんたはその歳までこの街で生きてこられたの?」と驚くことができる。そういう街なのです。 子供だって平気で殺されるし、子供のほうも平気で大人を殺す。観客は結末は知らなくても、リトル・ゼが100%の確率で殺されるということを自信を持って予測できる。彼が、この街で、1日でも、いや1時間でも、まだ生きていられることが不思議に感じられた。リトルゼを殺した子供たちは、他の友達に、「今、そこでちょっとリトルゼを殺してきたよ」と、何のためらいもなく自慢するだろう。 [DVD(字幕)] 7点(2006-12-02 22:24:31)(良:1票) 《改行有》

255.  ソウ2 《ネタバレ》 もし仮に、末期がんを宣告されて、死の恐怖に怯えているときに、偶然隣に、試験に落ちた受験生がいて、「おれ、もう死にたいよ」という声が聞えてきたらどう思いますか? 死の恐怖に耐えて、残る余生を静かに過ごそうと、1日1日を、かみしめるように生きているときに、健康な男が、つまらない理由で死のうとしている。 これはそういう映画でした。 さいきん自殺問題がニュースで取上げられているが、そういう人たちにとって、1日という時間が、いかに貴重なものなのかを理解することはできない、健康体であることにも感謝できない。 彼らは「生」の実感を持たずに、「生」を捨てる。 しかし、そういう連中は、多分こう反論するだろう。「ただ生きているだけなら人間だとはいえない」と。 末期がん患者にとって、これほど残酷な言葉は無いのではないか。 借金がたくさんある人、いじめで苦しんでいる人、人生に絶望した人は、自殺する前に騙されたと思って、どこか外国の戦場に行って下さい。瀕死の重傷を負って、はじめて分かることがある。ジグソウがいれば一番便利なのだが、実際にはいないだろうから、まずはイラクにいって銃弾を何発か浴びてこい。銃弾の雨が降る戦場では、自分の存在理由で悩む暇などありません。 ただひたすら生き延びることしか考えることができなくなる。人間は動物だ、生きたいと思うのは本能だ、隠している本能を、死のゲームによって炙り出してやりたいと思う犯人の衝動は、親切心ではなく、嫉妬の混じった八つ当たりだが、理解不能な心理では決してないと思う。 透明な自分の存在に悩んで、自分探しを続け、この世は虚無だ、と偉そうに悩んで、うつ病にかかってどうなる??尊厳などなくても、人は生きていけるのだ!人間はそんなに高尚な生き物じゃないやろ! 存在意義などクソ食らえだ、生きる目的?冗談じゃない、ただひたすら生きるのみだ。 この映画は、私のように、異常なほどに、死に対する恐怖心が強い人ほど共感できるかもしれない。[DVD(字幕)] 7点(2006-12-01 23:01:08)

256.  カポーティ 《ネタバレ》 カポーティというと「天才・ゲイ・アル中」という三拍子が揃ったスキャンダラスな作家というイメージが私には強かったのですが、この映画をみると、巧みな話術によって社交界から持て囃される華のある男という面白い一面も見せている。一見すると一流作家としての矜持を誇っているかのように見える主人公ですが、カポーティの本質はやはり子供のころのトラウマに根ざしており、彼の母親は母性本能の欠如した女だったので、わが子の顔を見るのが嫌で仕方なかったようです。したがって親の愛情を受けずに育った彼は異常なほどに他人から愛情をもらうことに執着し、名声に飢えていた、その飢えが「野心」となり、彼の揺るぎない創作意欲の原動力となっていたことも事実だと思う。歴史的な傑作「冷血」が生まれた背景には強烈な野心があったことは疑う余地もないのですが、その野心とはカポーティが持つトラウマの裏返しだったと考えます。そしてこの不幸な作家と同じく愛情不足で大人になってしまった凶悪犯人ペリーに対する不思議な友情も非常に丁寧に描かれており、ペリーを助けたいけど、早く処刑という結果が出てくれないと本が完結しないというジレンマ、助けたいけど死んで欲しいという相反する矛盾、その葛藤がうまく表現されていて不思議と違和感を感じませんでした。この作家は人格破綻者ではあるけれども、けっして冷酷な偽善者ではなかったと思う。カポーティーという作家は野心家であるがトラウマを抱えた孤独な人間、そして繊細な性格の持ち主であるが華やかな饒舌家でもある。こんな複雑で奥深い人間をどうやって役者が演じることができるのだろうか?見事に演じきってしまったフィリップ・シーモア・ホフマンに脱帽。 [映画館(字幕)] 9点(2006-12-01 22:47:08)(良:2票) 《改行有》

257.  エイプリルの七面鳥 《ネタバレ》 一生忘れることができない映画になりました・・。泣きました、ええ、泣きましたとも。 私は親不孝な人間です、どうしても両親とふつうの親子関係を築けないことに嫌になって逃げ出しました。だからエイプリルに強烈に感情移入できるのです。エイプリルは生意気だし、女の子なのに料理すら作れないし、ケバいし、家族から嫌われているけど、そんな彼女が、たまらなく好きです。本作は、NYで1人暮らしをしているエイプリルが家族を招待して、死期の迫った母親のために、好物の七面鳥を料理しようと決意する、たったそれだけのシンプルなストーリーである。手に汗を握る気持ちで、エイプリルが家族と和解できるようにと応援し、そして祈っていました。 まるでそうしないと自分が救われないような気がしたのですね。エイプリルはまさに私の分身です。娘のエイプリルを、ひどく嫌う末期がんの母親のほうにも共感できました。この母親の娘を想う気持ちはとても複雑で、その心理状態は激しく揺れ動くわけですが、とにかく母親の一挙一動から目が離せません。 それから、エイプリルの彼氏は、強面の黒人ですが、実はすごい良い奴なんです。もともと麻薬の売人と付き合っていたエイプリルが、こんないい恋人と出会えただけでも、自分のことのように嬉しくなるのでした。そしてあの運命の素晴らしいラストシーン。あのカメラのシャッター音を聞いたとき、もう涙がとまりません・・。言葉も見つかりません。と、言いながらいっぱい書きましたが・・。とにかく素晴らしい映画です。 [DVD(字幕)] 10点(2006-12-01 22:01:05)(良:1票) 《改行有》

258.  春にして君を想う 我慢できない状態になった。その状態を間接的に表現するならば、うとうと・・・。すやすや・・・(禁句だからストレートには表現しない) とにかく意識がもうろうとしてきた。私は果たして映画を観ていたのだろうか?それとも夢を見ていたのだろうか? 映画が始まって最初の15分くらいは台詞がなかったので、もしかしてこれはサイレント映画か?と、びびってしまいました。 登場人物は、おじいちゃんとおばあちゃん。 動きが信じられないくらいにスローであり、強制的に観客を眠りの世界へと引きずり込もうとする。この時点でわれわれ観客は、老人と同様に夢と現実の世界を彷徨する羽目になる。もしこれが監督の意図したものであるならば大したものである。 本作は、死に場所探しの物語だと思う。普通は、愛する人達に看取られて死にたいと考える人が多いかもしれない。しかし本作は、死に場所に、こだわっている。老人たちの死は、まるで死期を悟った象が、ひっそりと誰も見られぬ場所に行って息を引き取るのと似たような印象をもつ。そこに恐ろしい孤独を感じる。人はどれほど友人や愛する家族が存在していても死ぬ時は1人なのである。 [DVD(字幕)] 6点(2006-11-20 19:53:31)(良:1票) 《改行有》

259.  RENT/レント 《ネタバレ》 最高の8人でした。物語が始まって、8人の素性がだんだん明らかになってくると、いつのまにか感情移入していきます。 レント(家賃)すら払えない貧乏人たちだけど、生きる喜びを誰よりも知っている人たちだ。同性愛、エイズ、貧困、ドラッグ中毒、さまざまな問題を抱える8人・・だけど生活に疲れきっているサラリーマンよりも、よっぽど明るくて生き生きしている、そして傷ついているぶんだけ彼らは他人にとても優しい。そのあたたかさが伝わってくる。 それにミミが生き返ったときは素直に嬉しかった。  映画は、厳しい現実では救えないやさしい人たちを物語のなかで救うことができる、だから好きなんです。ミミがあのまま死んでしまうのはリアルな現実かもしれない、しかしそんな現実が見たいなら私は映画を観るのをやめてニュースにかじりついているだろう。 1年は525600分。たしかにそのとおりだ。しかしその意味は、実はそんなことで人生を計ろうとするのではなくて、この8人のように、今を精一杯生きることが一番素晴らしいことなんだよ、というメッセージがあったのではないだろうか。 どれだけ生きるのが大変でも、幸せを実感できる人たちは確実に存在する。そして、幸せというのは、手に入れるものではなくて、いつも自分の身の回りにある。そのことを実感できる人が幸せなのかもしれません。ありがとう、ジョナサン。 [DVD(字幕)] 9点(2006-11-14 21:09:12)《改行有》

260.  フラガール 《ネタバレ》 ハワイアンセンターをめぐって親友や家族が、反対派と推進派に分かれて対立していく様子がうまく表現されていて面白かったですね。蒼井の母親は反対派(鉱山維持の保守派)のリーダー格だったからなおのことフラダンスをする娘を許せなかったに違いありません。クライマックスシーンはこの頑固な母の前で蒼井がはじめて自分の踊りを魅せるシーンでしょう。フラダンスのせいで自分を家から追い出した母ちゃんが偶然現れたのです。意を決したかのように踊り始める蒼井。「なぁ母ちゃんよ、オレの踊りをしっかり見てくんちゃい!こんなに体が柔らかいんだぜ?こんなにぐるぐる回れるんだぜ? こんなオレの才能をドブに捨てていいと思っているの?この分からず屋の、しわくちゃクソババア!」と、蒼井が思ったかどうかは定かではありませんが、あの踊りは非常に挑発的、かつ燃えるように美しかった。踊りという名の感情のビッグバーンである。その娘の鬼気迫る踊りをみた母親は雷に打たれたような顔をしていたがこの瞬間母親は、わが娘に希望あふれる未来が待っていることを確信したのだと思う。だから彼女は反対派の連中から裏切り者扱いされようともストーブをかき集めようとした。すべては娘の輝かしい未来のために・・。うぉー(泣) 目を覆いたくなるほどクサイシーンもありましたがこの映画はどこか日本人のツボを刺激するものがある。騙されたと思って観てくんちゃい! [映画館(邦画)] 7点(2006-11-13 19:53:17)《改行有》

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