みんなのシネマレビュー |
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2802. 名刀美女丸 現存する30本余りの溝口作品のうち残すはあと5本。 ついにここまで来てしまった。 とても寂しい気分だ。 さて、本作は『必勝歌』などと同時期、すなわち戦争終結前後に作成されたものである。 制約が多かったのであろう、出来はとても悪い。 少なくとも、溝口らしさは出ていない。 それにどうも話が飲み込みづらい。 文語体でのセリフが多すぎるからだ。 まあ、それは時代劇ではよくあることだ。 しかし、たださえ時代劇と相性悪めな溝口作品で、文語体のセリフ連発となると、ますますもって話を理解し難いものがあった。[DVD(邦画)] 4点(2008-01-03 13:56:02)《改行有》 2803. 20.30.40の恋 20代と30代と40代の女性の3人のラブストーリーが平行して描かれる。 前半はあまりにめまぐるしく三者の話が入れ替わるので、散漫な印象を受けた。 しかし、だんだんと一人一人の話がじっくりと描かれる形に移行していき、途中からそれなりにハマることができた。 特別に傑作とは思えないが、それぞれの話はなかなかにしっかりしていて、それなりに楽しめる佳作である。[DVD(字幕)] 6点(2008-01-03 01:39:54)《改行有》 2804. 座頭市物語 モノクロ映像がとてもシャープ。 そしてストーリーもシンプルで良い。 勝新もドスがきいた声でドスを振り回し、かっこよくないのにかっこよい。 不思議な魅力を持つ時代劇だ。[ビデオ(邦画)] 7点(2007-12-31 12:57:14)《改行有》 2805. グレムリン 今更観るべき映画でないことは分かっていましたが、さすがに途中で嫌になりましたね。 子供の頃に無邪気に観るべき映画ではないでしょうか。[DVD(字幕)] 3点(2007-12-31 00:49:48)(良:1票) 《改行有》 2806. 機動警察パトレイバー 《ネタバレ》 この系統のアニメには苦手意識があったが、果敢に鑑賞してみた。 やはり苦手。 更に、鳥が大量に出てくる場面。 あれで一気に幻滅。 ヒッチコックをパクってるところがアザとい。 それが致命傷。 ただし、首都圏に関するリアルな描写には驚いた。 これには感心させられた。 しかし、この感心ポイントは本作の見所とどこまで合致しているだろうか? つまり、私が興味をおぼえたポイントは、本作の見所とはズレた箇所である。 こう考えると、やはり私には合わなかった作品のようだ。 そして、登場人物達の声。 アニメだから仕方ないのかもしれないが、妙にやかましい。 アニメ好きでない限り、耳障りなこと間違いなし。 そしてバブル絶頂期に製作されたというのも興味深い。 あの頃の勢いなら、10年後にはこんなんなってるのでは?というノリだろうか。 全く能天気な時代だ、あの頃は。[CS・衛星(邦画)] 4点(2007-12-29 23:21:47)《改行有》 2807. 東京の女 やはりカットされていたんですね・・・どうも話が短絡的すぎるというか、しっくりこない感じがありましたから。 違和感がある部分をあげればきりがないですが、検閲によるカットがなされた後の作品としてみれば、まあ仕方ないんでしょうね。[ビデオ(邦画)] 4点(2007-12-26 22:25:25)《改行有》 2808. 巌窟の野獣 《ネタバレ》 チャールズ・ロートンが結局何の病気だったのか分からず、後で調べたら「心の病」だったとは・・・何とも分かりにくい作品だった。 “ヒッチコック作品を全て観る!”という目的がない限り、それこそ観る価値のない作品かもしれない。 それでもヒッチコック作品である以上、普通に楽しめてしまうところは凄い。[ビデオ(字幕)] 5点(2007-12-25 23:00:42)《改行有》 2809. 浮草物語 活弁トーキー版を鑑賞。 無音より活弁ありの方が集中力を要さずに済むという長所がある反面、サイレントならではの微妙なニュアンスや雰囲気がぶち壊されかねないという短所があるように思う。 無音の方が後味は良いが、活弁ありの気安さも捨てがたい。 いずれにしても、現代においてサイレント作品を観るということは、エネルギーを少なからず使わなければならないらしい。 さて、本作であるが、出来としてはまあまあ。 小津のサイレント作品の中では並なのではないだろうか。 しかし、本作でも八雲恵美子(理恵子)は綺麗だったなぁ・・・ おしとやかなのに艶っぽい。 真面目そうなのに、何故だか男を惑わす色気がある。 古風な女性の感じなのに、現代においても現代的であると感じることのできる外見。 あらゆる部分で多面性(両面性)を持った不思議な魅力と色気を持つ女優さんである。 [ビデオ(邦画)] 6点(2007-12-24 21:52:11)《改行有》 2810. ひき逃げ 《ネタバレ》 いやいや、この成瀬作品も面白かった! 成瀬らしからぬサスペンス作品。 高峰秀子が疲れ果てた未亡人を演じ、司葉子が若い燕に振り回される惨めな有閑マダムを演じている。 可憐な役回りを演じていた若き頃の司葉子しか知らなかったので、それだけでも新鮮味があった。 高峰秀子は、ひき逃げにより殺された我が子の無念を晴らす為、加害者の家に家政婦として忍び込み、復讐の機会をうかがう。 しかし、その家庭には殺された我が子と同い年の子供がいた。 そしてその子供が死んだ我が子に重なり、かわいくて仕方ない。 最初は殺してやろうと家に乗り込んだものの、どうしても殺せない。 しかし、ひき逃げをした罪悪感から、犯人の女性は我が子と無理心中してしまう。 とまあ、こんな感じで見事なサスペンス仕立てなのである。 成瀬監督が撮り慣れぬサスペンスを撮ったということで、不安な気持ちもあった。 しかし、観終えてみると、そこら辺のサスペンス映画(例えば野村芳太郎とか)なんかよりも、ずっと出来が良い。 成瀬監督の様な巨匠ともなると、作ろうと思えばどんなジャンルの映画でもちゃんと撮れてしまう。 やっぱり成瀬監督は凄かった。[ビデオ(邦画)] 8点(2007-12-24 18:44:07)(良:1票) 《改行有》 2811. とんかつ大将 《ネタバレ》 川島雄三の作品を傑作とそれ以外の二つに分けるとすれば、本作は間違いなく傑作の部類に入ると思われる。 まず『とんかつ大将』というタイトルからして秀逸。 そして主演の佐野周二。 彼は元々好きな俳優だが、本作では特にいい味を出していた。 そして菊江役の角梨枝子。 私なら彼女を間違いなく選ぶであろう、色っぽさ。 木暮実千代にも似た色気を漂わせる女優だ。 ただし、本作にも難点はアリ。 まず、話が色んなところに拡散し過ぎ。 その為、全てを丸く収めてしまうラストは、かなり都合良すぎの感が否めなかった。 でも、本作全体の出来としては相当なレベルなので、まあいいのではないだろうか。 そう思えてしまうほど、味の出たいい作品だった。[ビデオ(邦画)] 8点(2007-12-23 23:43:12)(良:1票) 《改行有》 2812. 童年往事/時の流れ 《ネタバレ》 冒頭から既にホウ・シャオシェン色が全開。 ホウ監督にしか出せない自然な雰囲気、そして台湾の暑苦しさがリアルに伝わってくる。 風景をただ撮っただけと思わせながらも、実はホウ監督にしか映し出すことのできない不思議な暖かみを映像から感じる。 つくづくホウ監督は天才なんだなぁと感じる。 さて、本作ははっきり言って怖いくらいに情け容赦なく暗い内容である。 まず主人公の父親が肺病で血を吐いて死に、次に母親が舌癌で死ぬ。 そして挙句の果てには、おばあさんが畳の上で1ヶ月間放置され老衰死する始末。 しかし、全編を通して心和む素敵な音楽が流れている。 そのせいか、そこで起きている人が死ぬという悲劇を「ごくごく自然なもの」として受け入れることができた。 ホウ監督の音楽センスは理屈抜きに好きだ。 特に本作の音楽は素晴らしい。 日常に横たわる“死”という恐怖や別離というものを、特別に悲劇として誇張することなく、自然の摂理として表現してみせた本作。 暖かい映像美と相まって、暗い内容とは裏腹に「爽やかさ」さえ残した。 その絶妙なさじ加減。 やはりホウ監督を天才監督と認めざるを得ない。 ホウ監督の作品は沢山見てきた。 そしてようやく、この監督の凄さと良さを感じることが出来た始めたように思う。 この監督は一筋縄では到底いかない。 それだけに、その凄さを一度でも感じてしまうと、また別の作品を見たくなってしまう。 そんな魅力が、この監督には確かにある。[ビデオ(字幕)] 7点(2007-12-23 00:09:45)(良:1票) 《改行有》 2813. 次郎物語(1987) リアルタイムで映画館でみた。 内容はとにかく真面目だった。[映画館(邦画)] 5点(2007-12-19 21:16:37)《改行有》 2814. 非常線の女 小津がサイレント期に挑んだ異色作。 人情劇や家庭劇ではなく、ヤクザ映画であり、恋愛ものでもある。 しかし、それは成功しているとは言い難い。 やはり、小津はこの作品を通して、この分野で力を発揮できないことを悟ったのではないだろうか。 田中絹代のズベ公役も言わずもがなミスキャスト。 全く、様になっていない。[ビデオ(邦画)] 4点(2007-12-17 22:22:41)《改行有》 2815. 第3逃亡者 《ネタバレ》 邦題『第3逃亡者』に違和感あり。 しかし手軽に観られるヒッチサスペンス。 意外と楽しめた。 特にラストの真犯人を追い込むクダリ。 真犯人をじっくりアップにしていき、ドアップになったところで、「目をパチクリ」。 この演出には、さすがヒッチコックだと感じた。[ビデオ(字幕)] 6点(2007-12-16 21:58:13)《改行有》 2816. 舞姫(1951) 成瀬監督作品の中では、凡作の部類に入るのではないでしょうか。 1950年代の作品にしては、残念ながらパワー不足の感が否めません。 岡田茉莉子も特別好みではないので、印象が薄い。[映画館(邦画)] 5点(2007-12-16 15:00:39)《改行有》 2817. 女の座 《ネタバレ》 高峰秀子の息子を死なせるのは必要がないように思ったが、全体的にはなかなかまとまっていて良かった。 司葉子はとても綺麗だし、草笛光子もキリっとしていてなかなか好み。 そして草笛光子と高峰秀子のバトルも凄まじかった。 女が男に惹かれる瞬間が上手に描かれていたのも素晴らしかった。[ビデオ(邦画)] 7点(2007-12-15 10:33:55)《改行有》 2818. あらくれ(1957) 《ネタバレ》 映画館で鑑賞。 フィルムの劣化によるコマ飛びがヒドかった。 それにしても、キャストがあまりに豪華すぎ! 高峰秀子、上原謙、森雅之、志村喬、仲代達矢、加東大介、沢村貞子、東野英治郎、宮口精二という布陣。 というより、上原謙と森雅之が共演している時点で既にヤバすぎ。 ここまで豪華な作品は、そうはない。 この豪華キャストながらDVD化されていないのは、前述した劣化によるコマ飛びが原因であろう。 実に勿体ない話だ。 本作で最も光っていたのは、高峰秀子と加東大介の夫婦喧嘩のシーンだ。 コミカルなアクションが、もの凄いテンションで行われる。 これを観れるだけでも、本作には一見の価値があると思われる。 それと上原謙の陰険ぶりも凄い。 上原謙と言えば、優男で色男というのが定番的な役柄だが、本作では全く違う印象。 今まで優男役の上原謙しか見たことがなかったので、非常に興味深く観ることができた。 ラストシーンも、なかなかの素晴らしさ。 雨の中、傘も差さずに歩いていく高峰秀子。 これは圧巻だった。[映画館(邦画)] 8点(2007-12-10 21:30:20)(良:1票) 《改行有》 2819. 銀座化粧 本作は地味ながらも、実にいい味が出ている。 銀座を中心とした風景描写も素晴らしい。 成瀬監督は、ほんとに風景描写がうまい。 そして香川京子。 成瀬監督の『おかあさん』では溌剌とした魅力をふりまいていたが、本作でもそれに匹敵する魅力を感じた。 特に、堀雄二と目を合わせた時の、あのはにかんだ表情。 あれは、当時の香川京子にしか出せない、とてつもない魅力を含んだ表情だった。 「香川京子の周りにだけ爽やかな高原の風が吹いている」 まさしくその通りである。 本作は、一般的には特別に評価の高い作品ではない。 しかし、ここでの平均点数が示す様に、本作は地味ながらも紛れもない傑作であった。[DVD(邦画)] 8点(2007-12-08 12:02:58)(良:2票) 《改行有》 2820. 出来ごころ いやー、凄い、とても良いお話だった。 小津の巧さもとことん冴え渡り、そして江戸っ子風情がビンビンに伝わってくる、まさに傑作! 小津のサイレントの中ではナンバー1かも。 若い女を演じた伏見信子が、これまた良かった。 現代日本では絶滅したであろう、本物の“古風で純情可憐な”女性なのだ。 そういった女性を実写にしたら、まさしくこれ、みたいな感じの女性。 それがこの伏見信子であろう。 そして飯田蝶子。 本作の時点では36歳のはずなのだが、何故だかおばあさんに見える! 「あの飯田蝶子の若かりし頃を見れる!」と意気込んで観てたのに、結局見れなかった。 いやはや、飯田蝶子にはやられました。 みなさん、「音が聞こえてきそうなサイレント」と本作を評していらっしゃいますが、まさにその通り。 サイレント作品は相当数観たが、本作ほど「音が聞こえてきそう」なサイレントは観たことがない。 つまり、本作は完成されたサイレント作品なのだ。 小津はやっぱり凄かった。[ビデオ(邦画)] 8点(2007-12-07 22:21:51)《改行有》
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