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341.  岸辺の旅 《ネタバレ》 並みの演出家なら、過去のフラッシュバックをジャンジャン繰り出すのだろう。その類は一切やらないところはさすが。 小松宅のシーンで、浅野忠信が「怖い夢だった。」と過去形の語りを始めるとカメラがゆっくりと彼の顔に寄っていく。 ほとんど回想突入のパターンなのだが、カメラは彼の背後にあるドアの曇りガラスに映る影のほうに対象を移す。 あくまで現在進行形でドラマを語る。これもまた監督にとっては倫理感みたいなものなのだろう。 これ見よがしでない実演奏の提示、三人のレイアウト、ショットの持続と照明が見事に決まったピアノシーンが美しい。 そして風があり、滝があり、カーテンの揺れがあり、森の霧がある。 直近の侯孝賢と比較してしまうのは酷だろうけれど、あの山を立ち登る濃霧を見せられた後でこの申し訳程度の霧はどうしても見劣りしてしまう。 『リアル』であれだけの霧をやっているのだから。 ドラマの性質ということもあろうが、カレンダーで年月を提示しつつも携帯電話を一切出さず、それでいて違和感をまるで感じさせないのも流石。 山麓のシークエンスでは、深津絵里はモンペ姿。ラジカセや時計印マッチや小学校のレトロ感がなんともいい味を出している。 そして監督がメロドラマと語るだけあって、ラストの浜辺で響く波音の演出が素晴らしい。[映画館(邦画)] 8点(2015-10-03 22:35:11)《改行有》

342.  ガールズ・ステップ 《ネタバレ》 非常に不入りらしい。確かに不入りだったが。同じJKものでも 馬鹿らしさに10分で退席した『ヒロイン失格』の方は大ヒットらしい。となると援護もしたくなる。貶しどころはそれこそ山ほどあるが。 思い入れたっぷりに抱き合っている5人娘の周囲を、エキストラの大人達が横目で見ながら行き交っている。 引きのカメラでそうしたドライな視点をふと採り入れたかと思うと、今度は海辺で一人一人をクロースアップしていく。 そして、次は青い海を背景に思い思いにはしゃぐ5人のロングショットへ。 ダンスシーンのカッティングと同様、感傷過多となりそうな表情アップとキャラクターから距離を置いた引きのショットが バランスよく織り交ぜられているので、個とチームのドラマとも調和している。 海を背に石井杏奈と磯村勇斗が自転車を押す坂道の望遠の感覚なども映画の図として無視し難い。[映画館(邦画)] 6点(2015-10-01 23:37:14)《改行有》

343.  GONIN サーガ 《ネタバレ》 福島リラを土屋アンナが冷蔵庫のドアで滅多打ちする、桐谷健太や東出昌大の身体に銃弾が突き刺さる、その行為自体はバイオレントなのだが画面を通した痛覚はどうも希薄だ。映画のせいなのか、こちらが不感症なのか。 離れた場所にある拳銃を何とか手繰り寄せて反撃を、という状況も幾度か作っているが、これらも位置関係の提示が不徹底でサスペンスにならない。 監視カメラやなりすまし携帯メールを巡る駆け引きも、竹中直人の凄味で何とかスリリングに仕上がっている感じだ。 クライマックスも何やら物足りないと思っていたところで、抜かりなくスプリンクラーの雨が炸裂して一安心。『イコライザー』の後では分が悪いが。 エンディングの空撮夜景と濃紺の海が何より艶かしい、というのも少し寂しい。[映画館(邦画)] 6点(2015-09-28 23:27:04)《改行有》

344.  黒衣の刺客 《ネタバレ》 何処其処のシーンがどれそれの映画を想起させ、、といった紋切り型はあまり相応しくないだろうが、 監督本人もパンフレットで「黒澤明などの侍映画」の影響について言及しているのだから、あの霧とか突き刺さる弓矢とか山中の騎馬の撮り方は 『蜘蛛巣城』あたりの淡い影響なのかもしれない。忽那汐里は『羅生門』?呪術を使った水の流れは何やら『雨月物語』のような。 その緩やかなカメラワークと大気の流れと人物の動きは、数々の美しいロケーションそれ自体による画面の固定化(審美化)、観念化を阻んでいる。 そしてスタンダード(一部ビスタ)のフレームゆえに意識が向く画面の深度と重層性。 襲い来る剣先を紙一重のスウェイで冷静にかわし、受け流していくスー・チーの優雅な動きと寡黙な表情にも惚れ惚れする。[映画館(字幕)] 8点(2015-09-27 22:26:06)《改行有》

345.  きみはいい子 《ネタバレ》 児童虐待を始めとする前半は観るほうも胸が詰まるが、撮る方・演じる方は尚更だろう。特に尾野真千子にとっては相当つらい芝居のはずだ。 虐待シーンの撮影(月永雄太)も子役に配慮しながらも、極力モンタージュに頼る事なく空間の単一性をできる限り持続させながらフレームと音を最大限に活用して痛ましいシーンを作り上げている。  尾野母娘の暮らすマンションの廊下、抑え気味の照明で統一された教室の内側から望む窓外、高良健吾がさすビニル傘。 前半の硬質気味の白を基調とした背景と、人物とのコントラストが印象深い。 不意にフレームインして尾野を抱きしめる池脇千鶴の動き。それまでの雨音が止んで、右手から日が差しこんでくるのが繊細な光の変化でわかる。 尾野の頬から涙が一滴したたり落ちると、太陽を映し込んだ校庭の水溜りに落ちた雨滴が水面に小さな輪を広げるショットに繋げる流れも憎い。 そこでの彼女の嗚咽、ラストの高良の呼吸など、生身の身体性へのこだわりも見える。 三者三様の抱き合うスキンシップがそれぞれ情感に満ちて素晴らしい。 高良が出した「家で抱きしめられてもらうこと」という宿題の感想を子供達が教室で語り合う、子供たちの表情が本当に素晴らしい。 そして、あのラストの暗転にも唸るしかない。[映画館(邦画)] 9点(2015-09-27 20:25:40)《改行有》

346.  心が叫びたがってるんだ。(2015) 《ネタバレ》 背景の中で動くものといえば、3DCGのバス、電車、まばらな車。そんなところだろう。 宮崎駿をスタンダードとして見てしまう身からすれば、そんなものはただの手抜きアニメだ。 交流会でのその他多勢の観客はただの静止画に過ぎず、街には雑踏がない、風も吹かず、雨もロクに降らず、雲もまともに動かない。 画面によってではなく「風が冷たくなってきた」とかいう台詞でかろうじて季節が示唆されるという情けなさ。 あのような情けない雪なら降らせる必要がない。足跡もまともに活用出来ないのだから。 ミュージカルとしても、仲間との練習の中で心を通わせ、歌唱の練度を上げていく描写はその要ではないのか。 そこを手抜きしてはドラマの起伏も無いだろうに。要はとことん面倒臭がりで横着なのである。 社会も世界もなく、カワイイ女の子を中心に、ただ描きたいものだけを動かすのだから、アニメーターも楽しいだろう。 その女の子が何やらチマチマと指先で携帯いじりをして、画面にその文字情報が大写しで並んでいく、、。 はっきり云って、アニメーションとして自堕落である。 一般的にはこういうアニメーションが主流なのだろうから、如何に宮崎駿が異端であったか、という事だ。 アニメゆえの台詞過剰をあの媚態混じりのアニメ声音でやられるのも苦痛でしかない。 そういう意味で、これなら実写のほうが余程マシである。 公演中に小津をやったりしてるのだが、どちらかといえば単に山下敦弘の『リンダリンダリンダ』をやりたかっただけかも知れない。[映画館(邦画)] 2点(2015-09-24 23:53:10)《改行有》

347.  アントマン 《ネタバレ》 まずはどこやらのオフィスの場面。マイケル・ダグラスの登場も束の間、背景ボケボケの浅いフォーカスのバストショットが 台詞刻みで単調に繋がれる。まさかと思ったが、これが3D向け作品とは。 画面の情報が顔面アップ以外何もないから、ショットが貧弱になり、観客はテンポを鈍く感じる。これ当たり前の話である。 目玉の特撮シーン以外は大抵この調子だから、ドラマがかったるい。 「最初は嫌いだったが、だんだん好きになってきた。」これ、間違っても本人に語らせてはいけない台詞ではないのか?。 そのような心の変化は、奮闘するヒーローを人知れず見守る中で、表情変化なりで提示するのが映画だろう。 このようなツンデレヒロインなら尚の事である。ラストの、ドア向こうのキスがまるで活きてこない。 指紋認証を手際よくクリアし、扉を凍結して開錠していくリズミカルな編集。 撃ち落とされた相棒の羽が地面にハラリと落ちる。 娘の笑顔に、ランプの明かりが作った人影が手を振って応える。 そういうさりげない細部が光るだけに惜しい。[映画館(字幕なし「原語」)] 5点(2015-09-23 17:30:48)《改行有》

348.  ローリング 《ネタバレ》 屋内シーンでの、自然光を主体としたギリギリの暗さが絶妙な味を出していて、そこに浮かび上がる柳英里紗の露出した肌が艶かしい。 『パンドラの匣』の時ののっぺりした夜間シーンに比べても格段に良くなっている。 シネコンにかかる凡百ご当地映画のような、方言強調や有名観光スポットアピールもなく、かといって中心街の寂れぶりをそれらしく見せつけるでもない、 街角や郊外の飾らぬ佇まいを淡々と切り取る誠実さもいい。 ありふれた郊外の雑草地のロケーションがオープニングとエンディングを飾る「審美性からは思い切り遠い映画ならではの艶やかな時空」(「映画時評」『Playback』の頁)として画面に広がっている。 元教師を演じる川瀬陽太の卑屈でありながらごこか憎めぬ風貌とナレーション。癖のある脇役俳優達もそれぞれが個性的で面白い。 正気を失った松浦祐也が電気ドリルを持って三浦貴大に迫るシーンなどにもっとアクションとしての面白さがあれば尚良かったが。 タイトルであるローリングのモチーフ、「おしぼり」のリサイクルについてももう少し即物的な描写、あるいは回転・流転の画面が欲しかった。[映画館(邦画)] 8点(2015-09-21 22:58:09)《改行有》

349.  第五福竜丸 《ネタバレ》 序盤のマグロ漁の実録シーンはハワード・ホークスの『虎鮫』には劣るものの、瑞々しい活気が画面に漲って素晴らしい。 甲板上で頭を打擲され解体されていく鮫がのたうつ生々しさは、後にベッド上でもがき苦しむ宇野重吉の姿とも重なるだろう。 被曝までの約20分間で描写される船員たちの生活ぶり・仕事ぶりが丹念でいい。 被曝の瞬間、無音の中に白い閃光が画面を覆う。その数秒後に轟音と爆風が船を襲う、という描写が迫真である。 白い灰が降る中を滑る福竜丸の合成ショットが不気味だ。 前半の動に対して、静の際立つ後半、米国側調査団と日本側医師団との問答を通訳が介す。 その事務的口調の冷徹な響き。 宇野らの柔和なキャラクターもまた、映画の抑制的なトーンを象っている。[DVD(邦画)] 7点(2015-09-20 23:58:34)《改行有》

350.  アンフェア the end 《ネタバレ》 ノワール的ムードの冒頭シャワーシーンや、篠原涼子と佐藤浩市が静かな炎に照らされる夜の隠れ家のシーンがいい。 黒ずくめ篠原涼子の黒髪がアクションごとにスローで官能的になびくのもいい。 敵か、味方か。信用ならない人間関係がサスペンスを孕むが、 中盤の拉致、脅迫、逃走という危機脱出の一つの山場にはもっと知略が欲しい。 これでは敵側の詰めが甘すぎて間抜けに見えるばかりだ。 今どきの映画なら、逃走劇の中でもっと市中の監視カメラも強調されるべきだろう。 クライマックスの舞台をビル高層階に設定し、階段やエレベーターでの追いつ追われつのアクションにしたのは面白い。[映画館(邦画)] 4点(2015-09-20 05:09:27)《改行有》

351.  進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド オブ ザ ワールド 《ネタバレ》 前編ダイジェストが終わり本編に入ると、何やら強制捜査らしきシーンなのだが、暗い屋内で照明は最悪。 おまけに不必要にカットを割りまくるので見るに耐えない。 その見苦しい照明と、バランスの悪いシネスコサイズのレイアウトは最後まで続く。 三浦側と長谷川側が対峙する中盤シーンの人物配置など、かなりいい加減だろう。 世界観の謎解きはかなりつまらなく、 映画の被写体にはまるで見えぬ相貌の主人公はひたすら意味不明な喚き声を上げ続けるばかり。 クライマックスは壁面が舞台だというのに、高低の恐怖感も巨人の巨大感もまるで演出できず。 勿論、飛翔シーンの爽快感など微塵もない。 兵器自体は様々に登場するものの、弓矢もロケットランチャーも遂にアクションとしての見せ場にはならない。 大団円が夜明けならば、そこへ向けて夜明け前の時間推移を描写して欲しい、というのも高望みのようだ。 かつての『ガメラ2』にはそれがあったのに。 主人公とは違う意味で喚き、弾ける石原さとみ以外、ほとんど褒める点がない。[映画館(邦画)] 2点(2015-09-19 21:40:55)《改行有》

352.  筑波海軍航空隊 《ネタバレ》 特攻に出撃しながらたまたま敵が不在であった事で生還できた柳井和臣さんをはじめ、元特攻隊員4名の方々が語る証言は それぞれ90代でありながら佇まいも語りも明晰で、やはりエリートだと思わせる。 大戦で戦死した日本軍兵士の大半が餓死・病死であったことを踏まえれば、出撃直前まで食事には困らなかったというごく少数の海軍飛行予備学生の方々は 特殊な部類ではあるに違いない。貴重な証言であることは勿論だが。 作品として凡庸なのは、その貴重な証言に対して聴き手のレベルが低いからである。 記念館関係者らしき人物の、戦争は良くない的な半知性的コメントなど、作品の質を下げるだけだろうに。 2015年のこの次節に、あくまで「責任」から眼をそらす。テレビ的で八方美人の無難なインタビュー集に堕している。 作品中盤で、戦死された吉田信さんの日記が紹介される。これが活字のキャプションをナレーションと共に流すという代物なのだ。 恐らくは、旧仮名遣いで書かれた原本では観客には解りづらいだろうとの配慮なのだろう。 全くの余計なお世話だ。それでは、単に文の意味だけを差し出したにすぎないではないか。 肉筆の字面・筆跡に込められた感情を画面に提示させてこそ映画ではないのか。 柳井さんが披露してくれた、遺書替わりのアルバム。その感動的な紙面が一方にはあるのに。[映画館(邦画)] 4点(2015-09-19 15:57:30)《改行有》

353.  カリフォルニア・ダウン 《ネタバレ》 仄暗い闇の中を漂うペンダント。その冒頭ショットの意味は主人公らの断片的な会話の中から次第に明かされ、 これは子供を守れなかった父親の復権のドラマであることが解ってくる。水難事故だというその過去のトラウマはイメージ的なショットのみで 詳しい経緯までは明らかにされないが、その時点で観客は映画のクライマックスにどういうシチュエーションが訪れるか、 ある程度予想がつくだろう。が、その娘を救うシーンがいまいちカタルシスに欠けるのはどういうわけか。 無闇に回想に頼らない語りは潔しだが、この場合はレニー・ハーリン『クリフハンガー』冒頭のようにある程度は具体的な描写を置くべきではなかったか。 同様の状況を反復するなかでトラウマを克服してこそ、再生のドラマの感動があったと思うが。 そもそも、のっけからドウェイン・ジョンソンの颯爽とした超人的活躍シーンが展開するわけで、 家族問題で心を閉ざしたとかいうキャラクターがピンとこない。 『ダイ・ハード』1作目のように、少し冴えない頼りなさげな主人公が衣装と身体をズタボロにしながら無謀なアクションを敢行し、今度こそ娘を守る。 欲をいうなら、そういう変化・変貌のドラマを見せて欲しかった。 この主人公ときたら(『宇宙戦争』のような)埃にも塗れない、汚れもしないのだもの。 その役割は、ブルーの瞳が印象的な娘と青年が担ってくれたが。[映画館(字幕なし「原語」)] 6点(2015-09-17 23:43:39)《改行有》

354.  天空の蜂 《ネタバレ》 足を引きずる本木雅弘とか息子の写真とか、曰くありげな所作が出てくる度に、これからその因縁やら理由付けやらが 回想シーンとして沢山語られるのだろうなと、見ながら気が重くなる。 今さっき対策室で語られた作戦の段取りをマスコミの実況中継がそのまま繰り返すといった二重説明の氾濫も煩いばかりだが、 これは90年代劇場型犯罪の風俗史的描写でもあり、お囃子とでも受け取ればいいのだろう。 その実況中継カメラが映し出す本木の一瞬の視線を、尋問されている仲間由紀恵の横視線が受け止め、その彼女のかすかな動揺を 女性刑事が見切る。 そうした視線のドラマは割合充実していると云っていい。最後の手段を実行するためヘリに乗り込む江口とその息子、 連行される本木とそれを見送る江口の息子、彼らの間に交わされる視線はカメラに正対し真っ直ぐだ。 その視線の応答は、結部の東日本震災のシーンまでを貫く。 最後でこれまた自衛官リクルート映画か、とも思ってしまうのだが。[映画館(邦画)] 5点(2015-09-16 23:47:55)《改行有》

355.  ピクセル(2015) 《ネタバレ》 ゲームを映画空間に置き換える上でのアイデアが貧困。 ロンドン編では水平軸上の運動が、ニューヨーク編では垂直軸上の運動がなく、アクションとして単調。 一応3D仕様らしいが縦軸のアクションすら不発の上に、いずれのゲームも単なる乱打戦で何の戦略的面白みもスリルもない。 そして例によっての80年代風俗ノスタルジー頼りの自堕落。 当初は馬鹿にしていた、あるいは敵対していた男の戦いぶりに、相手を見直す・惚れる三人の女がいる。 その感情が動く瞬間を捉えなければダメだろう。心を通じ合わせながらも雲散霧消していくバーチャルヒロインとの別れ があれでは、演出の怠慢でしかない。 ストーリーが陳腐ならばもっと細部に凝ったらどうか。[映画館(字幕なし「原語」)] 2点(2015-09-14 23:56:13)《改行有》

356.  ボーイ・ソプラノ ただひとつの歌声 《ネタバレ》 この種のドラマでは、演奏後の大喝采や敵対していた少年との和解や教師たちとの別れのシーンをオーケストレーションで盛り上げて ベタ&ウェットに演出するパターンを和洋問わずさんざん見せられてきたが、本作はその点、物足りなさを感じてしまうくらい淡白でドライだ。 子供たちは安手の仲直りの段取りなど踏まないし、ドラマチックな別離のハグも握手もない。 演奏会を前に皆で一致団結して頑張りましょう的な安手のチームワークもない。 その簡潔な視線と短い台詞のやりとりの中に真情を込める節度あるディレクションがよろしい。 ここでは少年と大人たちとの関係が重視されており、大人への成長が一つの主題となっている。 少年期のみの音域というのもドラマのポイントで、発表会大成功の単純なサクセスストーリーに終わらないのも脚本の妙だ。 次のシーンの音や音楽を先行させて前のシーンに被せる、いわゆる音のズリ上げを用いた繋ぎが多用されていているのだが、 対話の中に合唱が重なってしまって煩わしい部分もある。やりすぎは良くない。[映画館(字幕なし「原語」)] 7点(2015-09-13 20:20:09)《改行有》

357.  キングスマン 《ネタバレ》 タロン・エガートンが鏡に映る自分自身を見つめるシーンの反復。 当初の自虐と卑屈の入り混じった眼差しから、敵地に乗り込む直前の自信と尊厳に満ちた眼差しへ。 この視線のショットが細部ながらも彼の成長を物語って感動的だ。 クライマックスでは三段四段と状況を転がし、通路を駆け回りながらのガン・アクションでもアイデアを凝らした立ち回りと動きを披露する。 さらにはソフィア・ブテラとのアクロバティックな格闘もしっかりと見せ場にするあたり、サービス精神も抜かりない。 それらアクションシーンの露骨なコンピュータ処理もご愛嬌、ショット繋ぎのシャープなテンポによってケレン味十分に仕上がっている。 仲間は決して売らない、動物は殺さない、手癖の悪さに運動神経の良さ、そういう布石をあくまで主人公の行動レベルで 序盤から律儀に配置しておく語りも丁寧かつスマートだ。 時代はもはやグラス・タイプのウェアラブル端末。本作での携帯電話は大量破壊兵器となる。そのシニカルなアイデアも良し。[映画館(字幕なし「原語」)] 8点(2015-09-11 21:30:43)《改行有》

358.  ジュラシック・ワールド 《ネタバレ》 言語的で非運動的で簡便性が特徴である携帯電話はやはり映画的な小道具ではない。サスペンスを基調とする映画なら尚更で、 この映画の作り手もそこを理解していて、早々に子どもたちの携帯電話を無効にしてしまうなど、気が利いている。 孤立状態も割とあっさりなのだが。 枝葉や車輌など対象物の合間から、メインの恐竜を部分的に小出しに見せていく手管。昼間の擬態や、夜の闇の中で赤いレーザーサイトの交錯の中に シルエットを浮かび上がらせるといった、立体性を意識したモンスターの見せ方の工夫が楽しい。同じくモブシーンの混乱ぶりとスケールも気合が入っている。 もっと、人間視点の仰角構図で恐竜の迫力を見せて欲しかったが。 ヒロインについては、見せ方次第でもっと魅力を出せたはずなのが勿体無い。 滝の上で身支度して一念発起するシーンは、スカートの裾をたくし上げるとかの衣替えでもっと大胆にギャップを提示して欲しい。 後半、銃を打ぶっ放しタンクトップ姿で疾走する彼女はとてもいいが、逆光のショットなどで不美人に見えてしまうのは撮影側の問題である。[映画館(字幕なし「原語」)] 7点(2015-09-11 00:00:10)《改行有》

359.  軍旗はためく下に 《ネタバレ》 左幸子が波打ち際に突っ伏し、波をかぶりながら悶えるように嗚咽するショットに激情が迸る。 それは、ラストで砂浜に突っ伏して動かない丹波哲郎のショットとも対になる。 時折入るキャメラを傾けた不安定な構図も、様々な証言に翻弄される彼女の心情とシンクロして効果的だ。 現在パートをカラー、戦中パートをモノクロで分けているが、飯盒に入った肉塊の肌色や米兵処刑シーンの土色、 小隊長殺害シーンの血の赤色など、過去パートにもインパクトのある色彩が不意に飛び込んできて生々しい。 「天皇陛下--」。銃殺の瞬間に(「抗議のよう」に)絶叫する丹波は何を訴えたかったのか。 『大日本帝国』(1982)での篠田三郎の台詞「天皇陛下、お先に参ります。」は脚本家:笠原和夫の巧妙な「逆手」(昭和の劇)だが、 こちらも少々生硬ではあるが新藤・深作・長田なりの痛烈な「一種の高等手段」だろう。 随所でストップモーションをアクセントとするこの映画。ラストは正面を見据える左幸子の表情である。[DVD(邦画)] 9点(2015-09-10 01:04:00)《改行有》

360.  ピース オブ ケイク 《ネタバレ》 飲みの席で陽気になったりカラんだり愚痴ったり、多部未華子の飾らないキャラクターが魅力的でいい。 借金で雲隠れしていた部下に、咄嗟にレジから札束を取り出し退職金だと渡してテレ笑いする綾野剛の、人の良い表情がいい。 そんな愛すべき二人が熱海のホテルで大喧嘩する。多部が男湯に乗り込んでの修羅場なのだが、 綾野の憎めないキャラクターもあって何故か微笑ましい。 必ずあるはずの二人の再会シーンでは、そこにどのような風を吹かせるのか。 終盤はその興味だけで画面を見守る感じだが、そこではしっかりと歌が流れ、疾走する二人が風になっている。 クワズイモは青々と揺れ、今度はカメラが風になって二人の周りを流れる。 そしてキスする二人のストップモーションが爽やかに映画を〆た。 前半のヒロインのモノローグはもっと削って欲しい。[映画館(邦画)] 7点(2015-09-08 22:10:13)《改行有》

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