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プロフィール
コメント数 109
性別 男性
自己紹介 2008 7/22みんなのシネマレビュー登録

ぼちぼち復活。

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21.  ガタカ 《ネタバレ》 ストーリー、テーマは本当に素晴らしい。サスペンスを展開しながらもヴィンセントとジェロームがそれぞれ自分の在り方を見つけていく過程もきっちり描けている。近未来という設定を用いて現代社会への警鐘や人間の在り方について考えさせる、という点でSFのお手本とも言えるような仕上がり。CGを多様しない映像も無機的で美しさも感じさせる素晴らしいものだ。 しかしどうも引っかかってしまうのが世界観だ。物語の展開上、建物外でのショットは必要はないのだが、近未来とはいえ架空の世界である事には違いないのだから、一度でいいからもっと大きくこの世界を見せるショットが必要だったのではないか。『ブレードランナー』のように外の広いショットから建物内に迫っていくシーンがあればこの世界にもう少し入り込めたかもしれない。 それに加え、建物内での完璧なシステムというような設定も無理があると感じてしまう。完璧過ぎるとその世界での人々の生活感が失われ、ヴィンセントの潜入にも説得力がなくなってしまう。これが『リベリオン』のようなあからさまなB級感があれば何も違和感はないが、物語も演出も丁寧で美しいだけにこの粗が際立ってしまった。 ただラストのヴィンセントとジェローム、それぞれの旅立ちには泣けた。[DVD(字幕)] 7点(2009-04-08 22:09:09)《改行有》

22.  グラン・トリノ 《ネタバレ》 クリント・イーストウッドは変わった。『許されざる者』以降複雑な映画を撮り続けてきた。完成度は高いがその作品をどう受け止めるべきなのか、正直戸惑うことがあった。『ミスティック・リバー』では人の脆さ、暗さを描き、『ミリオンダラー・ベイビー』では死についてのテーマを観客に投げかけ、自分にも問いかけているようだった。それは冷たく突き放したような、この辛い現実も受け入れるしかない、ともとれる描き方だった。しかしここに来て彼はまた変わった。『チェンジリング』で人間の強さを示し、確かな希望を見せた。そしてこの『グラン・トリノ』。彼の近年の作品に見られなかったユーモアがあり、優しさ、希望に溢れる作品になった。ウォルト・コワルスキーという偏屈なキャラ、これをイーストウッド自身が演じたことで大きな意味が加えられた。ウォルトはタオとの交流で心を開きはじめるが、タオやスーの為にした事が結果的に彼らを傷付けてしまう。ここでウォルトは報復を決意したように見える。タオもそれを願った。彼はタオを置いて単身ギャングのもとへ行く。この展開は彼の作品群にもよく見られるものだ。しかしイーストウッドは変わった。これが彼の西部劇時代ならギャングを倒して夕陽に向かって去っていったかもしれない。『許されざる者』であれば皆殺しにしてやるせない空虚感、重苦しさを抱えて映画は終わったかもしれない。しかしイーストウッドは変わったのだ。ウォルトは自分の命と引き換えにタオやスーに何も背負わせなかった。「グラン・トリノは、俺の魂はタオに受け取ってもらえた。戦争や人殺しなんてものを次の世代に背負わせはしない。そんなものは俺の代で全て終わらせる。時代は変わったんだ。俺は席を譲るよ。」ウォルトが、かつてのハリー・キャラハンが、夕陽のガンマンが、イーストウッド自身がそう言っているように思えた。彼は自分が体現してきた象徴的なキャラクターを自らの手で葬り、そして次の世代へ、未来へ自分の魂と希望を託した。時代は変わったのだから。イーストウッド、こんなことされたら僕は泣くしかないよ。『グラン・トリノ』は俳優クリント・イーストウッドの終着点にふさわしい最高傑作、いや、それ以上に最高の“イーストウッド映画”だ! 《追記》でも『グラン・トリノ』が本当に最高なのは、こんな堅苦しい言葉を笑い飛ばしそうな程の親しさ、妙な軽さなのだな、と。改めて思った。[試写会(字幕)] 10点(2009-04-07 00:23:44)(良:8票) 《改行有》

23.  フロスト×ニクソン 《ネタバレ》 『ダ・ヴィンチ・コード』で大コケしたロン・ハワードだったが、失敗を引きずりはしなかったようだ。職人の渋さ、手堅さが存分に発揮されていた。手堅過ぎて物足りない感はあるけれども。アカデミーノミネートのフランク・ランジェラは言わずもがな、対するマイケル・シーンの演技も素晴らしかった。劇中では殆ど愛想笑いだったり「やばいな・・・」という表情を浮かべながらもハッタリばかりかましているので、どちらかと言えばフロストよりも彼をサポートするプロデューサーや作家の方に感情移入していた。しかしインタビューが始まってからはフロストにグッと入り込めた。このインタビューはまさに「決闘」「ボクシング」という例えがピッタリだ。2時間で休憩が入り周囲の人間が「おい、さっきのはマズイぞ」「この調子でいって下さい」と声をかける様子はボクシングそのもの。 椅子に座って話しているだけなのにF・ランジェラがM・シーンをボッコボコにしている絵面が浮かぶ。そんな無敵のチャンピオンが酔った勢いの電話で人間性を見せる。 この電話のシーンが実はフィクションというのを聞くとちょっと残念な気もするが、エンターテインメントとしての効果は抜群。この電話でフロストはニクソンの弱さも知り、消えかけた闘志に火をつける。ここからフロストがニクソンを再調査し、インタビューに向かうシークエンスは凄く燃える。フロストの大逆転シーンも痛快でありながら、ニクソンが謝罪を始めるとF・ランジェラの表情に泣かされる。 2人の決闘も最高に面白いのだが、ロン・ハワードが本作での狙いとしたニクソンという人間に興味を持つこと、彼を一人の人間として見ること。これは今作で最も成功した点だろう。 彼について色々と知りたくなった。[映画館(字幕)] 7点(2009-04-05 00:26:31)《改行有》

24.  ウォッチメン 《ネタバレ》 映画化されるにあたり、原作は史上最高のコミック!との評判を聞いたので、読んでみたら見事にハマった。アメコミに全く触れていない僕でさえのめり込んでしまうような素晴らしい完成度だった。で、この映画版はというと、期待以上ではないけれどこれ以上は望めない、といった出来。 前評判でも散々聞いていたが、ディランの「時代は変わる」に合わせたオープニングには心底感動した。涙が出るかと思った。ヴェイトを除くキャラクター達の造形や細部にまで到る美術にも文句のつけどころがない。アクション、バイオレンスも『300』を監督したザック・スナイダーだけあって今回も良し。 しかしやはり製作費、上映時間ともに足りていないんだなぁという場面が見受けられた。原作の完成度が高過ぎて削る箇所が殆ど見当たらないせいだ。原作との最大の変更箇所であるラストのくだりもこれが原因なのだろう。僕もあの血みどろの惨状は映像で見てみたかった(こう言うと不謹慎だが)。予算があればザック・スナイダーのことだからあの惨状も怪物も見事に再現してくれただろう。ラストの変更によってヴェイトのキャラ造形も変えざるを得なかったのだと思う。あの少しダークなキャラであればキャスティングもマシュー・グードでも悪くなかったかと。 それ以外はコミックに含まれている資料などもうまいことまとめてはいたが、長年映像化不可能と言われてきたわけを実感した。 僕の場合原作を読み込んでから映画に臨んだため、人物の背景を勝手に補完しながら観ることができ、163分の長尺も全く退屈することがなかったが、その分映画単品としての評価があまり出来なかった。反省の意をこめてまっさらな状態でもう2回ほど観てみよう。このトンでもない再現度のおかげで、原作を読んでいながら原作と切り離して観れるかもわからないが。 真の評価はDVDに収録されるという3時間半のCrazy Ultimate Freaky Edition(すごいタイトルだ)で下さないといけないのかもしれない。[映画館(字幕)] 8点(2009-03-29 22:02:10)《改行有》

25.  ダウト ~あるカトリック学校で~ 《ネタバレ》 やや映画ならではの演出に欠けていたかな、とは思うものの久々にたっぷりと見応えのある演技合戦でした。メリルとホフマンの怪獣演技バトルは勿論、『魔法にかけられて』の時は年の割に老けてんなぁ・・・と失礼ながら思ってしまったエイミー・アダムスの可愛さにもちょいと驚き、1シーンのみの出演ながらヴィオラ・デイヴィスもなかなか印象深し。 この4人全員がアカデミー賞ノミネートも納得。メリルは『マンマ・ミーア!』の脳天気さは何処へやらと言うような迫力で、初登場シーンからバシバシ存在感を放つ。対するホフマンも生活感のある演技で全く引けを取らない。彼が演じる神父の説教がまたひとつひとつ非常に心に響く内容でいい。どれも良かったのですが、特に印象的だったのは2回目の「噂の正体」についての説教。あんな風に人の心を掴むような説教をされたら宗派とか関係なく神父に憧れてしまいます。 ひたすら2人の舌戦が続いた挙げ句真相は分からずじまいですが、今作の場合は全く消化不良はなし。原作の邦題が「ダウト 疑惑をめぐる寓話」とのことで映画版よりもしっくりときます。 まさに寓話という教訓的な物語。だから事件の真相も提示しない。あのシスター・アロイシスの嘘により、フリン神父が疑わしいように終わるのですが、そこは絶妙なラインを保っている。疑惑を持ちはじめると本当にキリがない。この登場人物の言う事もどこまでが真実なのか分からなくなってくる。シスターが神父に、神父がシスターに主張する事も、ミラー夫人がシスターに言った事も、全て実際に見たわけではないのだから。 そもそも疑惑とは?何を以てして確信、真実なのか?このギリギリの境を見事に保ち、疑惑に対する疑惑を深める面白い作品でした。[映画館(字幕)] 8点(2009-03-29 00:42:30)《改行有》

26.  DRAGONBALL EVOLUTION 《ネタバレ》 ネタで観にいってどれくらい大けがするか期待していたが、「どうでもいい」という思いだけが残った。 怒りも笑いも泣きも興奮も何も感じない珍しい作品だった。コスプレにしか見えない衣装、中途半端な学園ドラマにバトル、安っぽいCG、それを隠すための妙に暗い撮影。 近年稀に見るレベルの低さだ。物語の展開も信じられない程都合がいい。全ての登場人物があまりにも薄い偶然で出会い、何のドラマもなかったはずなのに恋愛に発展する。しかも行く先々で簡単にドラゴンボールが手に入る。一応火山とか色んな所(もう内容を忘れかけている)を捜索するが、あまりに早く手に入るのであちこち探したようにも、長距離移動したようにも見えない。 全部ぼんやりとした超テキトーな設定なので怒る気も起きず、「この人たち何してんのかなぁ?」とこちらも超ぼんやりとしか観られなかった。中でもテキトーなのは“気”とかめはめ波だろう。 なんとなく亀仙人を発見できちゃう“気”、灯籠に火をつけ、人を生き返らせ、前方に撃っているのに悟空自身も前方に飛んでいっちゃうかめはめ波。本当に何がしたいのか・・・。 『レッドクリフ』を蹴って今作に出演し、とんでもないバカ演技を披露してしまったチョウ・ユンファも俳優としての信用を確実に失っただろう。 これだけひどい要素を集めたられたら怒り狂うはずだが、それを全く怒る気にさせず1か月(1週間か)で完全に記憶から抹消されるような作品に仕上げたのはむしろすごいことだろう。 ホントに大部分の内容を忘れかけているので、レビューもかなり散漫としてまとまりのないものになってしまった・・・。 反省。[映画館(字幕)] 3点(2009-03-26 16:34:21)(笑:2票) (良:1票) 《改行有》

27.  誰も守ってくれない 《ネタバレ》 佐藤浩市、松田龍平は大好きな俳優さんだし今回の演技も良かった。予告編やCMでも使われていたリベラの曲なんかも大好きだ。扱っている題材も世間的にあまり注目されていないもので好感が持てた。観ている間退屈することはなかった。 でもダメだった。やはり『踊る大捜査線』組はどこへ行ってもやることが中途半端。「社会派とエンタテインメントを両立させたかった」という君塚監督の欲張りのせいで序盤から到底あり得そうにないカーチェイス。あれだけでも一つ事件になりそうだ。 そしてマスコミの執拗さ。これはこの作品全体言えることだが、本気でマスコミや、ネット社会が抱える問題について提起する気ならば良いことも悪いことも含めて、何故そのような問題が生じてしまうのかをきちんと描かなければいけないのに、君塚監督は嫌な部分だけを見せようとする。観客に嫌なものを見せて嫌だね~、なんて感想を抱かせても根本的な問題は解決しないどころか、偏見が増えてしまうんじゃないかとすら思った。 まだマスコミについては僕も知らないことが多いし、見えない所で問題が起こっているのかもしれないからあまり多くは言えた立場ではないけれど、許せないのは終盤のネットおよびネット住人の描き方。ネットの掲示板を見て野次馬が集まってきた!なんて言っていたが、加害者の妹を見るためだけにあんなに人は集まりやしない。そんな暇人ばかりじゃないよ。暇でも警察に目つけられたら嫌だからちょっかい出さないよ。そもそも志田未来の兄が起こした事件だって日本全国を揺るがすような大事件でもないのだし。 志田未来の姿をネットに流していたネット住人、オタクの描写もおかしい。眼鏡にバンダナに紙袋といういかにもオタクです!という格好で、あろうことか刑事相手に殴り込みをかけるなんて大胆な行動までとる。ネットの怖い所は匿名性で、そのおかげで誰でも何でも言える所にあるのだから、警察に面と向かって喧嘩売るような人ばかりだったらネットなんて問題にならない。 ラストは希望のようなものを提示して終わらせているが、雰囲気だけで具体的な希望は見当たらないし、マスコミとかネットとか若い世代に一番希望を感じていないのは監督なのではないか。[映画館(字幕)] 4点(2009-03-26 15:44:06)《改行有》

28.  おくりびと 《ネタバレ》 この作品の長所としてモックンを初めとする俳優陣、そして納棺の際の所作、ロケーションや撮影の美しさが挙げられる。特に納棺の儀式の息を飲みそうな緊張感、美しさには感心するばかりだが、それがこの作品の最大の短所でもある。どのシーンを取ってもきれい過ぎるのだ。一番初めの仕事でかなり日が経った遺体の処置があるが、それ以降は全く汚れも損傷もないきれいな遺体ばかりがでてくる。僕は納棺師の仕事をしたこともないし、そもそもまだ納棺師を見たことすらないので実際の現場がどのようなものかは全く分からないが、この作品の描き方はきれい過ぎる。これは監督らがそういった見たくないものを避けている、もしくは現場を知らない、という気がしてならなかった。物語の展開も引っかかる。死の間際、またその直後に関わる話なのだから、家族間の争いや汚さを垣間みてしまうようなこともあるはずなのだが、故人への悲しみや愛情しか描かれていない。感動、または泣ける展開ばかり集めて作っているから褒めやすいし、監督の真の力量も問われにくい得な作品だなぁ、と感じてしまった。 ただ、こういった短所を全てカバーしているのがモックンと山崎努の静かな演技力と序盤によく見られる温かい笑いだ。山崎努が全員食ってしまいそうな存在感を放ちながら、モックンも全く負けず、かといって力むことも無く主人公としての際立ち方がちょうどいい具合になっている。この二人の演技なら2時間ぐらい平気で見ていられる。 二人の会話も心地いい。序盤のユーモアは作品を重苦しくさせない要素としても、この作品で最も評価したい点。その分、終盤のそういった余裕が無くなってしまったかのような、感動要素だけの展開がかなり残念だった。[映画館(字幕)] 7点(2009-03-19 17:05:48)(良:1票) 《改行有》

29.  リボルバー(2005) 《ネタバレ》 鑑賞前から思いっきりハードルを下げていたせいか、前半の掴みは意外と引き込まれた。やはりガイ・リッチーは映像、音楽のセンスが素晴らしいし各キャラクターの魅力だけでも楽しませてくれる。案外楽しめるかな、と思いきや後半はどんどんどんどんおかしな方向へ・・・。 一瞬ギャグか?とも思えるようなステイサムの謎の葛藤で一気にひいてしまったというのに、それが今度はレイ・リオッタにまで伝染するってのはいったいどういう事なのだろうか。もちろん敵側にも感情移入出来た方が主人公との対決は緊迫感を増すというものだが、これは明らかに間違っているでしょう。ステイサムもレイも勝手に一人で悩み込んじゃって最終的には、こいつらいったい何がしたいんだ!?という思いだけが僕の頭の中をぐるぐるぐるぐる・・・。謎の二人組が結局謎のままってことも、その他のキャラの意味不明な言動など、あの謎(トンでも?)オチの酷さについても言うに及ばず。 中盤でステイサムは実はまだ刑務所から出ていないことを匂わせるセリフもありましたが、もしそれがこの映画のオチだったとしても、そこには何の意味も無いやはりトンでもないオチ。 当時奥さんだったマドンナが信仰していたユダヤの宗教やら教義やらの影響でこんなことになってしまったとの話がありますが、それを聞くと妙に納得してしまうのがこの作品の怖い所であり一番凄い所なのかもしれない。[DVD(字幕)] 2点(2009-03-11 22:45:24)《改行有》

30.  ポチの告白 《ネタバレ》 邦画では殆ど扱われない題材、徹底的な警察批判を題材とした映画化であり尚且つ日本が誇れる力作。195分もの長尺でも緊張感が全く途切れない。全編に渡ってあの汚い上司に見られるような、もの凄く居心地の悪い、嫌な、生々しい感覚がずっと続く。この映画全編に漂う空気は本当に素晴らしいし、俳優の演技力も半端じゃない。刑事課に入ってから5年の時を経たタケハチの凶暴さ、山崎の冷たさ、1カットで彼らが変貌してしまったことが見て取れる。 彼らの後輩として駐在所に赴任した時はガチガチに緊張していた六法くん、彼でさえもあんな風になってしまうのだから本当に恐い。あの警察という組織では手を汚さずには上手く生きていけないのかもしれない。 劇中ではあまり血は流れないし、殴ったり蹴ったりはするものの洋画で観るようなバイオレンスはない。けれども作品全体の空気は常に“痛い”というよりも“恐ろしい”暴力に満ちていて、会話のシーンでさえも気が滅入りそう。 今作では、ジャーナリストに転身した草間による会見と、実直だったはずのタケハチのラストの語りかけ、「ポチの告白」でずっしりとした告発がされる。日本最大の暴力団とは警察であり、国家。そしてそのイヌであるジャーナリスト・・・今作で描かれていること全てが本当だということは無いのだろうし、僕の乏しい知識ではまだまだよく分かっていない部分もあるのでしょうが、これがとても勇気があり、とても価値のある告発を含んだまさに「力作」だということは強く感じられた。[映画館(字幕)] 7点(2009-03-11 21:02:13)《改行有》

31.  007/慰めの報酬 《ネタバレ》 オープニングからアクション満載なのは嬉しいけれど、アクション監督にジェイソン・ボーンシリーズの人を起用したのは失敗じゃないかな。マーク・フォースターがアクションを撮りなれていないせいか。 ボーンシリーズはまだ走って走って跳ぶ!のシンプルな分りやすいアクションだったけれど、今作は冒頭の裏切り者との格闘にしろボートチェイスにしろ複雑なものが多いので、それをあの激しいカメラワークで撮ってしまうと何が何だか分からない。複雑とは言ってもアイディアの利いた良いアクションばかりなのだから、前作のようにもっとひいて撮れば華麗で格好いいアクションができたはず。 今作の3分の1近くを占めているアクションのカメラワークが落ち着かないせいで、全体を通しても前作のような美しい画を撮れていない。 肝心のアクションが半分死んだ状態だったうえ、ドラマパートもポール・ハギスの悪い癖が出てしまった気がする。そもそも007には不似合いなほど複雑な物語なのに、それを殆どセリフだけで説明しようとするからまた分かりづらい。なんとか状況を飲み込もうとしてもすぐにあの分かりづらいアクションが続くのでもやもやしたまま物語が進んでしまう。おかげで前作よりも浅くなってしまっている。 物語が飲み込めないのは自分が悪かった部分もあるのですが、それにしてもやっぱりこの堅苦しい物語は007には似合わない。 今作で一旦物語は完結したようなので、次回作はどうか肩肘張った話ではなくユーモアの利いたクレイグ版ジェームズ・ボンドを期待しています。[映画館(字幕)] 6点(2009-03-06 16:11:47)(良:1票) 《改行有》

32.  007/カジノ・ロワイヤル(2006) 《ネタバレ》 僕は007って言われるとピアース・ブロスナンが一番に思い浮かぶ。しかしテレビで見かけるのは『ダイ・アナザー・デイ』ばかりだったので、007ってのはつまらない作品だ、という偏見が植え付けられていました。そんな僕にとっては今作はほとんど007デビュー作のようなものです。 まず主題歌の格好良さ、ヤマカシを取り入れたアクションで一気に引き込まれました。今見返すと007シリーズのアクションはなかなか時代の流れを感じてしまうものも少なくありませんが、今作のアクションはシリーズ中でも屈指の出来映え。最もインパクトがあるのはやはり冒頭のチェイスですが、中盤の格闘、崩れていく建物の中での戦闘も十分に見応えがあります。激しいアクションにも関わらず、カメラワークは落ち着いているので混乱することはないし、ロケーションの美しさも味わえる。アクション、撮影については全く文句なく仕上がっています。 そして議論を呼んでしまったクレイグ版ジェームズ・ボンド。僕はもともとダニエル・クレイグが好きなので評価は甘くなりますが、それを差し引いても彼はイイ。苦悩するボンドの熱のこもった演技には引き込まれる。 ただ今作の脚本のポール・ハギス、どうも彼と007というのは食い合わせが悪い気がしてなりません。今作を観た後過去の007シリーズを何本か観直しましたが、それらと比べても今作はトップレベルの質を持っています。今後しばらくは色褪せることのない作品です。 しかしポール・ハギスが007と合わないというのは真面目過ぎる所があるからなのです。作品全体の質の向上と引き換えにジェームズ・ボンドというキャラクターの魅力、男というより男の子の憧れともなるジェームズ・ボンド像は無くなってしまっているのです。 今作がボンドが僕らのよく知る007になるまでの物語だというのは分かりますが、この調子でいくとあの天下無敵の憧れの007にはなりえません。作品とキャラクターどちらをとるのか、難しい所ではありますが、あちこちに気を遣ったりしないでもっと肩の力を抜いて、遊び心を持って作って欲しいな。ただ今作がシリーズでも抜きん出たレベルであることは間違いないし、やっぱりラストのセリフにはしびれました。[DVD(字幕)] 7点(2009-03-04 00:07:13)(良:1票) 《改行有》

33.  ディファイアンス 《ネタバレ》 悲壮感たっぷりに苦悩しまくるキャラという点ではクレイグ版ジェームズ・ボンドとほとんど同じような性格だが、クレイグはこちらの方が服装、作品の雰囲気等を含めよく似合っている。ジェイミー・ベルもなかなかいい育ち方をしているし、彼の相手役の女優さんもすごくきれいだった。他の俳優陣の熱演はもちろんのこと、この作品は映像の美しさだけでも十分に観ていられる。森の風景はどこを取っても素晴らしいが、特に雪解けの場面は幻想的なまでに美しい。 戦闘シーンは新鮮味には欠けるものの、手堅く演出されいるし、戦争映画というよりビエルスキ兄弟のドラマがメインなのでこの辺りは大して気にならない。 ただ、この作品は同じくエドワード・ズウィック監督作の『ブラッド・ダイヤモンド』ほどの衝撃は得られなかった。監督が真摯に忠実に原作を映像化しているので、感情的な演出は排しているのだけれどもそれが良くも悪くも作用している。落ち着いた美しい映像が撮れた代わりにやや物語が羅列されただけで終わってしまった感がある。事実を語ることに終始して監督が語りたいことが薄まってしまったのかもしれない。 ビエルスキ兄弟はシンドラーと違ってあまり知られていない人物なので、こういう人々がいた、ということを伝えるだけでも十分に映画化する価値は有ると思うが、それ以上でもそれ以下でもない出来になってしまった気がする。[映画館(字幕)] 6点(2009-03-03 00:14:26)《改行有》

34.  ロックンローラ 《ネタバレ》 あぁ、ガイ・リッチーが帰ってきた。『リボルバー』の時はホントに末期だと思ったけれど、帰ってきた。良かった、ホントに。さすがに傑作『ロック、ストック~』『スナッチ』には及ばないものの、この軽妙さはやっぱり心地いい。俳優陣も良し。ジェラルド・バトラーは顔も体格も良くて、尚且つ笑わせてくれる全くもって恨めしい、いや素晴らしい俳優さんですな。最近おいしい助演の役をもらいまくってるマーク・ストロングもまたまたカッコイイ。 ただ、面白いからこそ、良くなってきたからこそ言いたいことも少々有り。これはほとんど好みの問題なのかもしれないが、もう少し各キャラのネジが外れていてほうが良かったな。ワンツーとアーチーはかっこいいからあのままでいいけれど、ユーリとロックスターのジョニー、彼を連れ戻そうとするクラブマネージャー二人がちょっと薄かったか。ジェレミー・ピヴェンはもっといじってあげた方が味が出たはず。 あとロンドンの犯罪群像劇&ナレーションという語り口。これをガイ・リッチーがやったら面白くなるに決まってるんだけれども、やっぱり前2作品と同じというのは気になる。 でもまあこれはこれで復活作として十分良し。新たな語り口は次回作の『シャーロック・ホームズ』に期待しましょう。頑張れガイ・リッチー![映画館(字幕)] 7点(2009-03-02 00:19:19)《改行有》

35.  ベンジャミン・バトン/数奇な人生 《ネタバレ》 作品の出来も発しているメッセージも悪くはないし、3時間弱もの長尺も全く飽きることはありません。 ブラピもケイトもその演技力、監督らの撮影、メイク技術と相まって画がとても映えます。しかし、この映画の予告編以上でも以下でもない、というのが正直な所。ベンジャミンの人生を80年分観た時と、3分弱の予告編を観た時とで考えたことや気持ちに大差がないのです。 この作品の最終的なメッセージは「数奇な体を持って生まれたベンジャミンの人生も素晴らしいものでした。だからどんな職業・生き方の人々の人生もやっぱり素晴らしいものです。」というようなことですが、この単純で、しかし描き方次第でいくらでも深くなるこのメッセージが意外と浅い。作品内で語られたこと以外に解釈することがほとんどなく、劇中で語り過ぎなのか、「だから?」という感がどうしても否めない。 原作は未読ですが、50ページにも満たない短編小説で原作者もさらっと書いたお話、言ってしまえばほとんど思いつきに近いネタだと思うので、これを膨らませるのであれば、もっと寓話的にして、いっそのこと群像劇にしてしまえば良かったのではないかと(でもそうすると主題がブレるかな・・・)。この作品もベンジャミンと関わる人々が多いので群像劇の要素は大いにあるのですが、もっと深く様々な職業、年齢、性格の人々を描けば「数奇な体のベンジャミンもそうでない人々も人生は素晴らしい」というメッセージは生きて、さらに感慨深い、感動できる作品になったはず。冒頭の時計職人のようなエピソードがもう少し欲しかったか。 デヴィッド・フィンチャーは大好きな監督ですけれど、このテーマを扱うにはまだ若かったな、と。 決して悪い映画ではない、というより非常に良心的ないい映画なんですが。[映画館(字幕)] 6点(2009-02-14 23:36:05)(良:1票) 《改行有》

36.  レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで 《ネタバレ》 レオにケイトのあの黄金カップルが夫婦役!、なんて宣伝したら『タイタニック』の続編か何かだと思う人はいっぱいいるだろうなぁ。夫役のレオはケイト直々のご指名とのことで(ついでに言えばキャシー・ベイツも出てるし)、監督らは『タイタニック』目当ての観客の気分をどん底に落とそうという実に意地の悪~い魂胆があって撮ったのではないかと。この意地の悪さは好きですよ。 『タイタニック』を観ている観ていないに関わらず、理想のカップルとして有名な二人。若く、夢と希望に満ちあふれた二人が結婚したらどうなるのか?興味が湧かないわけがないキャストと設定で、夢も希望もない現実が描かれる。『タイタニック』で夢見たことを全てぶち壊します。 互いに夢、というかほとんど幻想のようなものを抱き、またそれを相手にも期待して結婚してしまったが為に、子供ができて好きな事ばかりしていられなくなった時、相手に大きな失望感を覚える。もともとこの二人は夢や理想については共有できていたものの、現実的な事柄については何も噛み合っていなかったのだと思う。エイプリルの計画の欠点を論理的に指摘しているようでいて、実際は今のような生活が保証されないのが恐くて恐くてしょうがないフランク。根は弱気で、口でしか夢を語れない彼もすごく悲しい。彼自身もきっとそれが嫌だから喧嘩しても必ず先に謝りにいくのだろう。このディカプリオの薄っぺらでつまらない男の演技はもっと評価されていいはず。 それに対するエイプリル。彼女も彼女で辛い。女優という目標があったにも関わらず出産によって断念せざるを得なくなり、その原因であるフランクに当たる。彼女の計画が上手くいきそうになるといつも妊娠に邪魔される。だからラストでも自分の夢を断った原因を消し去りたかったのだと思う。 どっちも感情的になってるんだけど、それぞれの立場になってみたらそれは誰でも少しは抱えてしまう不満だからどっちにも同情してしまってキツイ。 夫婦間のやり取りだけながら、そこらのホラー映画は軽く超えてしまう恐い映画です。[映画館(字幕)] 7点(2009-02-13 20:08:25)(良:1票) 《改行有》

37.  20世紀少年 -第2章- 最後の希望 《ネタバレ》 苦痛以外の何ものでもない140分。原作は1章を観たあと全巻読破しました。後半はモヤモヤ感が残る展開でしたが、今作は何十倍も酷い。 まず異様なまでに間延びしている割に、誰が何のために何処で何をどうしたいのかさっぱり分からない。誰かを中心に物語を進めるわけでもなく、皆まんべんなく存在感が薄い。監督ももはや物語を語る気はないのだろう。中途半端に原作のまねっこをさせた俳優で中途半端に原作に似た画を撮っているだけ。小泉響子役の木南晴夏はなかなかいいと思うが、それ以外の俳優は軒並み酷くて目も当てられない。中には他作品で素晴らしい演技を披露している人もいるので、この責任はやはり監督にあると思う。演出力はもちろん、そもそも演出する気すらないようなので、この支離滅裂な物語の中でもこれはいい!と思えるようなシーンが一つもない。その為どのようなスタンスで観てもちっとも面白くない。 あと一作・・・一応観ます。どうか面白いシーンを一つでも作って下さい。[映画館(邦画)] 2点(2009-02-08 18:04:29)(良:1票) 《改行有》

38.  歩いても 歩いても 《ネタバレ》 映画の一番最初のカットからやられた。樹木希林とYOUの何気ない会話。彼女らの背景については一切説明がないのに確かな存在感がある。阿部寛や原田芳雄がぼそっと放つ小言、仕草など、俳優陣の演技力も超一流ながら是枝監督の演出力は半端じゃない。日本映画の良さを感じられる素晴らしいホームドラマ。 家族だからこそお互いに嫌な所を知り尽くしているし、長い付き合いでうんざりしてくる。そう簡単には断ち切れない縁だからこそ鬱陶しい。だからこそ親族との関係は希薄にもなるし、争いごとも絶えない。 みんながみんな嫌な所を持っていてさらりと嫌みを言うし、喋ることが無くなってしまった時の場の空気といったら辛いの一言。ほとんどサスペンス。大したことでもないのに家族の前だと何故か突っ張ってしまって、でもやっぱりあとで反省してこっそりと破いた紙を貼り直す。このあたりのシーンを見ていると何とも言えず居た堪れない思いになり、キリキリと心が痛む。見ているのが辛い程に。 この登場人物の異様なまでにリアルな存在感の中、老いた母親が見せる心の闇には痛ましさとともにぞっとする程恐くなる。普通にしていれば気付かない所で人はその脆い心に闇を抱えているのかもしれない。 月日を経るほどに家族という存在はお互い面倒くさくなってくる。一緒にいても辛いことばかり。 しかし、まるで他人の家に来たようだった次男の息子も、この何気ない2日間で父親に心を開くきっかけになった。最後に母親から聞いたどうと言うことのない話を次男は娘に語った。 この時に感じた優しさ、温かさはやはり家族だからこその物だと思う。[DVD(邦画)] 9点(2009-02-08 00:07:29)(良:2票) 《改行有》

39.  シャッフル(2007) 《ネタバレ》 試写状が届いた時から、「曜日がシャッフルされてる」って、絶対主人公が狂ってるか、『フォーガットン』みたいなトンでもないSForファンタジックなオチしかないだろうなぁ~・・・と、嫌な予感がしていました。やたらと音のでかいホラー演出で何がしたのかなと思っていると、カラスの死体、精神安定剤、精神科医の広告の切れ端等々、小道具のつじつま合わせは割と丁寧にし(と言っても物語上は全くつじつまが合っていないのですが)、予想よりも早い段階で母親は病院送りになったので、「おっ、これはもしや『バニー・レイクは行方不明』のような恐ろしい展開になるのか!?」と思いきや結局旦那はただの事故死、曜日がシャッフルされたことの必然性も全くなく、ラストショットも鼻につく感動演出で気に入らなかった。 旦那の事故もあんな見晴しのいいまっすぐな道路では起こりえない事故に思えて辟易。原題のPremonitionも大した意味をなしていない気がする。 どうせこの手の不条理サスペンスをやるのなら、観客が自分ならこうするのに、と思うようなことをやって欲しかったな。寝たら違う曜日になってしまうので、まんじりともしないで夜を明かしてみる!とか。こんなことするとコメディタッチになりかねませんが。[試写会(字幕)] 4点(2009-02-07 14:08:17)《改行有》

40.  その男ヴァン・ダム 《ネタバレ》 ヴァン・ダムって言うと「バンバンババン、ヴァン・ダム!」みたいなCMぐらいしか馴染みがないんですが、この作品は彼の背景を知っていればなかなか泣けちゃいますね。あの独白シーンはもちろんのこと、僕の涙腺が一番緩んだのは強盗を退治する幻のシーン。やるせない・・・。ラストの受話器をコツコツと当てる仕草も切なくて凄く良かった。 作品全体で言うとこのせっかくの「ヴァン・ダム自虐ネタ」という題材が生かしきれていないように思えました。こんなネタの割に演出・脚本ともにちょっと真面目過ぎたのかな。もっとコアなヴァン・ダムの映画のネタを物語に組み込んでいけばさらにテンポ良くなったと思うし、冒頭の「ヴァン・ダムが郵便局を襲撃してる!」みたいなアホらしいぐらいのセリフをもっと入れて良かったのではないでしょうか。コメディ演出をしたからといってあのヴァン・ダムの哀愁は消えないと思いますし。 ただ、この映画を見たら誰でもジャン=クロード・ヴァン・ダムという人が好きになるはずです。これだけは自信を持って言えます。ホントですよ。[映画館(字幕)] 6点(2009-01-24 12:54:12)(良:1票) 《改行有》

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