みんなのシネマレビュー |
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382. 現代やくざ 与太者の掟 「現代やくざ」というタイトルですが、菅原文太演じる主人公はむしろ古風なところのあるヤクザで、その彼が、仁義も何もあったもんじゃない現代的なヤクザ組織に立ち向かう、といった趣向の作品。 それにしてもまあ、様々な登場人物が次から次に、出るわ出るわ。仮釈放で出所した主人公が、電車内でスリに遭う、無賃乗車を疑われているところを通りすがりの男に助けられる、パチンコ屋では隣の台の刺青師のオッサンと知り合いになる、オッサンの元に刺青を入れにチンピラがやってくる・・・と、まさに次から次に脈絡なく人物が映画に登場し、ちゃんと彼らが皆、ストーリーに絡んでくるのが、スゴい。なかなか巧みな脚本、ではありますが、こんなペースで登場人物を増やし続けて、果たして無事に若山富三郎の登場まで辿り着けるかどうか。 菅原文太の出世作とも言われるだけあって、暴れ回る姿、その勢いは格別のものがありますが(いや、いつもこんな感じかな?)、山城新伍が追われるシーンなどで傾けられたカメラなどは、まるで深作欣二作品かと思わせる鋭さがあって、映画自体が勢いを感じさせます。 一方で、菅原文太が単身、殴り込みをかける決意をする場面、子分に対する厳しい表情が一種だけ和らぐあたりなどは人情味も感じさせ、こういう部分は降旗康男監督らしさ、なのかな、と。[インターネット(邦画)] 7点(2022-05-10 22:47:54)《改行有》 383. ビルとテッドの時空旅行 音楽で世界を救え! タイトルの「時空旅行」ってのはあくまで邦題であって、原題とは何の関係もないのですが、しかし言い得て妙、と言いますか。こんなアホ映画の企画が約30年という月日を越えて蘇るだなんて、これはもう時空旅行としか言いようがない。 主人公2人もだいぶお歳を召していて、しかし相変わらずおバカ、というか、年相応におバカというか。 子供の頃、オトナってのは皆、オトナ、すなわち子供とは全然異なる、分別を持った存在だと思ってた。 私もこの自分がこの歳になってみて、そんなのがウソだということがイヤというほど判ってまいりました。人間、何年生きようと、中身なんて変わりません、成長しません。所詮、オトナの分別なんてものは、「懲りた」「飽きた」「面倒臭くなった」のいずれかにしか、過ぎないんじゃないのかなあ、と。 いや、マジで、こんな中身のまま、こんな年齢になるなんて、昔は想像もしなかった。誰か助けておくれ。 ビルとテッドもこんな年齢になってしまった、どころか、時空旅行をした先には、ヨボヨボの爺さんになった2人の姿が。 でも、それでもやっぱり、彼らは彼らのまま、なんですよね。それが、素晴らしい。 で、未来のどの自分に会いに行っても、そこには音楽がある。それどころか、モーツァルトの昔から、子供の世代に至るまで、音楽で繋がる世界。いや、素晴らしい。 もっと遡ってもいい。早くもJ.S.バッハの音楽には、間違いなく、現代の感覚と何ら変わらない高揚感、興奮がある。それって、スゴくないですか? 素晴らしくないですか? ちゃんと、そういう音楽の普遍性というものを、謳いあげてみせる2人。やっぱり、素晴らしい。[インターネット(字幕)] 8点(2022-05-08 23:08:00)《改行有》 384. ザ・フォッグ(1980) かつて、初めてこの作品を観たときには「なんじゃい、それでシマイかよ」と思ったのも事実ですが、それはなんとなくホラー映画に対して、「派手な特殊効果」というものを期待しちゃってたから、なんですね。リアルで無くてもいいので、とにかく目を引く特殊メイク、変身シーン、残酷さを通り越してアホらしいスプラッター描写。 この作品、そういうのが皆無とは言わんけど、だいぶ抑制されてます。なので物足りなく感じた時期もあったけど、「何かが起こりそう」な予感、雰囲気、といったものをホラーの魅力だと感じるようになってくると、やっぱりこの映画、イイんだなあ。 霧に乗って亡者どもが復讐にやってくる、というオハナシですが、舞台は小さな港町。ラジオ放送で何となく町の住人たちが繋がってる。要するにある種の「空気」がもともとこの町にあって、その上から、霧という別の「空気」が町を覆ってくる感じ。その霧の中に一群のアヤシげな人影が立ってる光景、ってのがいかにもカーペンター風味。 コワい、よりも、ひたすらアヤシい。 音楽は例によってカーペンター自身、ということで、正直、単調な印象が拭えないのもいつも通り(それ故に決して映画を邪魔してないのもいつも通り)ですが、このメロディってもしかして、「怒りの日」をイメージしてるんですかねえ???[インターネット(字幕)] 9点(2022-05-08 22:31:58)《改行有》 385. 谷崎潤一郎「痴人の愛」より ナオミ 《ネタバレ》 何だかえらく回りくどいタイトルですが、つまり、谷崎潤一郎の原作に沿いはするけどそのまんまじゃないですよ、ってことですかね。だいぶ、現代風。特に音楽が。こんな音楽でホントにいいんですかねえ。今となっては何だか古臭く、そして安っぽく聞こえてしまうのですが。 「痴人の愛」って、谷﨑が関西に移住した後の作品ですが、路線としては、それまでの諸短編の集大成とでもいいますか。例えば「少年」とか。男が女性に征服されていくんだけど、でもまだわずかに理性が残ってるような(それを思うと、「瘋癲老人日記」なんて、理性が完全に吹き飛んでただの性欲マシーンと化していく、それはそれはエゲツない世界)。 だけどこの作品ではタイトルが『ナオミ』となってて、必ずしも征服される男の側のオハナシ一辺倒ではありません。女性の視点も取り入れられて、「女性解放」みたいな感覚も少し感じられたりも。 それってどうなんでしょ。もうちょっとストレートに、征服されるコワさ、背徳感、そしてそこから来る快感、みたいなものがあってもいいのでは、と思っちゃうんですけど。 水原ゆう紀は盛大に脱ぎまくって、ほとんどポルノですが、いや、それならなおさら、なるべくボカシは回避して欲しいもんです。あまりボカシが多いのは、画面を見苦しくするだけ。 最後はコレ、まさかのハッピーエンドということで、いいんですかね、ははは、、、[インターネット(邦画)] 5点(2022-05-07 22:59:43)《改行有》 386. ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー スターウォーズってのはシリーズというよりも一種のブランドで、このブランドを傷つけない範囲でありさえすれば、中身はどうでもいい、という側面があるように思うのですが、「ブランドを傷つけない」ってのが意外に難しい。 ハン・ソロってのは、ハリソン・フォードと不可分なので、彼以外の俳優がこれを演じる、ってのがすでに、キナ臭いものを感じさせます。だけど若き日を描く、となると、その点は目をつぶらざるを得なくなります。 ま。そもそも、ハン・ソロの若き日なんて多分、もともとは誰も興味ないし、チューバッカとどうやって知り合ったかなんてのも、どうでもいいわけで。 そのどうでもいい題材を、何の意外性もなく、しかし極力、ブランドを傷付けない形て、娯楽作として仕上げてます。いかにもソレっぽいけど、何が印象に残ったかと問われると答えに窮し、しかしイヤな印象だけは残らなかったことに、何となく安心してしまう。 このネタで映画撮るとしたら、こんな感じ、なんですかねえ。[地上波(吹替)] 6点(2022-05-06 22:50:10)《改行有》 387. ハレンチ学園 このスピード感、テンポの良さ。決して侮れない作品・・・だとは思いつつも、あまりにくだらなく、行き当たりばったりで中身がない。できれば弁護したいのですが、私の手に余るのです。すみません。 そもそもコレ、実写化せずに済ませることは出来なかったんでしょうか。しかもこんなそうそうたる顔ぶれで。[インターネット(邦画)] 5点(2022-05-06 22:37:08)《改行有》 388. 昭和残侠伝 唐獅子仁義 冒頭、高倉健と池部良の対決からいきなり始まって「昭和残侠伝なのに?」と、ギョッとしますが、映画終盤にはちゃんと「確かに昭和残侠伝だわい」という展開になる。どうやったって、この運命から逃れることはできない二人、なんですなあ。 映画開始早々に池部良が死んでしまったら、そりゃマズいだろう、と思ってたら、当然のごとく死んではおらず、しかし対決の際に左腕を失って、いささかヤサぐれてしまってます。ヤサぐれても池部良なので、品があります。品があるので、多少、迫力には欠けます。 ひょんなことから、出所した高倉健と知り合いになる親分が、志村喬。セリフ回しがいささか覚束ないように思えて、大丈夫か?と一瞬思うものの、要するにコレ、任侠道のカッチリした喋り方ではなく、砕けた感じ、気さくな感じの表れなんですね。一見やさしそうな好々爺、だけど親分としての貫録はしっかりと垣間見せる。うん、でもやっぱりただの爺さんだ。 さらに、ちゃらんぽらんな待田京介が物語に絡みますが、これもまた、別の人懐っこさがあって。なにせ主人公ふたりが取っつきにくい雰囲気を漂わせまくってるので、周囲の人たちがユーモアと人情を醸し出してます。 で、藤純子。この作品、「三角関係モノ」であるはずなのですが、どういう訳か対立関係に至る事なく、三角形が見事な調和を成しているという、これはもはや、健全と言ってよいのか不健全と言ってよいのか。しかしこの三人なればこその、違和感の無さ。この違和感の無さに違和感を感じるかどうか、それが問題だ(笑)。[CS・衛星(邦画)] 7点(2022-05-05 10:25:52)《改行有》 389. 斬る(1962) 《ネタバレ》 冒頭、いきなり藤村志保が短刀を抜いてご乱心、という場面から始まり、このシーンが何を意味するかは映画が進むに従って明らかになっていくのですが、それはともかく、彼女の役名が「ふじこ」。確か「男はつらいよ」に出演した際の役名も「ふじこ」でしたよね。いくら苗字が藤村だからって、誰か彼女にちゃんとした役名を考えてあげておくれ。 この作品、70分少々のコンパクトな作りで、歳月があれよあれよという間に過ぎていく。多少、置いて行かれた感も無きにしも非ずですが、とにかくそういう作品です。脚本は新藤兼人。この時点で多少なりとも警戒してしまいます。。。 作品の中に「樹木」が再三、登場するのが、目を引きます。主に登場するのが梅の木、梅の枝。年月が経ち、また新たな春を迎えた、ということでもあり、また主人公の思い出にも繋がるのでしょうが、この梅が、さまざまな形で登場します。場合によっては凶器(!)にすらなっちゃう。 しかし梅だけではなくって、藤村志保が処刑されるシーンでは朽ちた木がそばにあり、はたまた雷蔵が養父と妹の復讐を果たす場面では周囲を枯れ木が点々と取り囲み、人外境そのものといった光景。 あるいは、実の父・天知茂の隠遁生活を囲む、森の緑。 主人公の人生に影響を及ぼした3人の女性、そして「父」の存在、そういったものを交えつつ、剣に生きた主人公の生涯と運命を描くには、この作品の短さは物足りなく中途半端な印象もありますが、見どころは多く、何より、思いつめたような雷蔵の表情が、映画によくマッチしています。[CS・衛星(邦画)] 7点(2022-05-05 08:23:54)《改行有》 390. HERO(2007) 《ネタバレ》 日頃から「この世でもっとも嫌いなものはテレビドラマだ」と公言している私が、そもそも、コレを見るのは無理がありましたかねえ(もっとも、「この世はすべて、テレビドラマよりも好きなモノばかり」なワケが無いので、私も大袈裟に言ってるだけに過ぎないのですが)。そうは言っても天下のキムタク、そのカッコいいところをしっかり見せてくれるんでしょ、という期待はあったんですが、意外に「カッコよくない」。もちろん、顔が、という意味ではないし、表情も仕草もしっかりキムタク節を利かせていて、「らしさ」はしっかり出てはいるんですが、ただ、カメラが全身像を捉えたときのその姿は、どうも映画スターのソレのようには感じられなくって。こういう自然な感じがイイってことなの? 私がテレビドラマを嫌う理由の一つもここにあるような気が。 せめて、韓国パートで全力疾走する場面では、もっとカッコいい「走る姿」を見たかった。もしも、主人公のファッションが作品の売りであり、このファッションではカッコよく走れない、というのなら、そもそも走るシーンなんて入れなくてよいです。トム・クルーズなり、メル・ギブソンなり、といった、間違いなく「スター」な人たちは、映画の中で走る姿の迫力も全然違います。「スター」だかどうかいささかアヤしいスタローンだって、あの「ロッキー」での走りは印象的でした。 そんなこんなで、友情出演とやらで登場したイ・ビョンホンに、明らかに貫録負けしてしまってて。日本を代表する人気タレントであるのなら、負けて欲しくない。残念。悔しいではないですか。ま、出番の多さが違うから貫録の単純比較はできない、ということにしておきますか・・・。 ストーリーは、とある若者が起こした傷害致死事件の捜査を軸に、大物政治家の贈収賄事件、さらには連続放火事件がそれに繋がっていく、という、意欲的と言えば意欲的な構成ですが、放火事件というのがどうも、単に事件解決の手がかりとして配置されただけで、たいしたドラマになっていない弱さ。このエピソードを通じて艱難辛苦の捜査を描くには、あまりにお手軽なノリ、これもテレビドラマ的と言わざるを得ないのでは。 タモリは、タモリにしか見えない。少なくとも大物政治家には見えない。そりゃそうだ、タモリにしか見えないんだから。 傍聴席にひとり残された国仲涼子、彼女の描き方もこんなもんでいいんですかねえ。この印象的であるはずのシーンですら、脇役然として、物語の中で淡々と消費されていってしまう。 ただ、検察の面々の多彩で個性的な顔触れは、これは確かに見てて楽しく、作品のベースをテレビドラマとする強みかもしれませんが。[地上波(邦画)] 5点(2022-05-05 07:26:49)《改行有》 391. 月光仮面(1958) かたやターバンにピチピチ白タイツの月光仮面、かたやどくろマスクのスパイ軍団(やたら自分たちがスパイであると強調しております)。その果てしなき戦い。 いいオトナたちが、いったい何やってるんですかね。 などと言わないように。 いや、それにしても、わざわさ皆おなじどくろマスクを被って、これじゃあ誰が誰だかわからんようになるでしょうに。と思ってしまうのですが、だからこその、どくろ仮面。 しまいには首領格のヤツが口から炎を吹き出したりして、もう何でもアリ。 そんなコト言ってると、何だかオモシロそうな作品みたいですが、残念ながらイマイチ面白くない。なんか地味。敵味方入り乱れて鞄を奪い合う場面など、まるで小学校の運動会の競技を見てるようなホノボノとした光景。あるいは、趣味でやってるラグビー。 最後はこれまたメチャクチャ中途半端なところでプツリと途切れて第一部が終了、続きは次回のお楽しみ。 しかし意外に、続きが気にならないのが、残念なところ。[インターネット(邦画)] 5点(2022-04-25 23:13:19)《改行有》 392. 絶叫屋敷へいらっしゃい 交通違反でとっ捕まった連中が連れてこられた判事さんの家が、いかにもアヤシい妖怪屋敷みたいなところでした。という、かなりよくワカラン映画。アブナイ映画と言ってもよいかも。テーマパークのアトラクション風のノリではあるのですが、にもかかわらず、何がやりたいのか、何がオモシロいのか、意味不明。すなわち予測不能、制御不能。 特殊メイクのダン・エイクロイドに、女装のジョン・キャンディ、デミ・ムーアとイチャイチャするチェビー・チェイス。楽屋ネタっぽい雰囲気がないでも無く、そこはちょっとヤな感じですが、それを吹き飛ばすくらいナンセンス路線に走っていて、もはや誰にも理解を求めていない気がしてくる。 ダン・エイクロイドって、一見、オモシロいオジサン、という印象ですが、ホントは相当アブナイ人なんじゃなかろうか。[インターネット(字幕)] 7点(2022-04-24 23:14:40)《改行有》 393. ハッピー・デス・デイ 歳食ってくるとだんだん、そんなこと考えるのが面倒くさくなってくるとは言え、それでもふと、思いをめぐらせてしまうのは、死んだら自分はどうなるのだろう、そして自分のいないこの世界はどうなるのだろう、ってコトでして。 誰かに生まれ変わる、などというのはあまりに根拠がなく楽天的過ぎる気がする。と言って、「この世界の唯一無二の観測者」である自分、その自分が存在しない世界だなんて、そんなものが存在しうるんだろうか? などと考えていると、行き着く先の結論としては、「きっと、死んだらまた、自分が生まれた日に舞い戻って、同じ人物として一生を送り直すんだろう」と。アホらしいようですが、これが一番、合理的な考えのような気もしてます。「自分」という特殊な存在の周りに無限に積み重ねられていく、多次元宇宙。。。 そんなことはこの映画には関係ないんですけどね。発想的には少しだけカスってるかと。殺されるたびに同じ誕生日の朝に舞い戻る主人公、という、タイムリープもの。 基本的にはこういう可逆性みたいなものは、あまり映画で描くのには向いてないネタのようにも思ってたんですが、本作の面白いところは、その「繰り返される同じ日」ってのが、「無為に送っている日常」の比喩のように描かれてることで。主人公は、最初はイヤな感じの女性として描かれていて、おそらくはこれという生き甲斐もなく、ムダに日常を送ってる。そりゃ、タイムリープにも陥るってもの。 その主人公の成長物語、というと大袈裟だけど、紆余曲折の末、主人公はその日を「かけがえのない、大事な日」として送る心境になり、その姿は見てて清々しい・・・と素朴に喜んでられないのが、ホラーのホラーたる所以、サービス精神でもありますが、とにかく。 説教臭くならず、ホラーの体裁もしっかり保ちながらなお、そういう素朴なドラマ要素を入れ込んでくるのは、なかなか心憎いんじゃないでしょうか。[インターネット(字幕)] 7点(2022-04-24 22:09:20)(良:2票) 《改行有》 394. 少年探偵団 鉄塔の怪人 『かぶと虫の妖奇』に続く後編。前作のラストで「ぽよ~んぽよ~ん」と頼りない音をたてながら登場した謎の装甲カブトムシ、実はアレがさらに10台くらい存在するという、恐るべき事態。ってか、二十面相はいったい、何にお金使ってるんでしょうね。このカブトムシ軍団、意外に最後まであまり活躍しないしなあ。 二十面相の部下たちはヘンなヘルメットみたいなのを被って(しまいには二十面相自身まで被ってる)、もはやその姿は、地球を侵略しに来た宇宙人そのものです。捕らえた少年探偵たちに重労働を課してコキ使ったりしてるのが、まさに映画的宇宙人の発想(笑)。 一方で、アジトに単身のりこんできた明智も囚われの身となったはずなのに、二十面相一味は明智をほったらかしにして秘密基地「鉄塔王国」へ逃亡。なにやってんだか。 はたまた、二十面相はしきりに挑戦状ともいうべき自らの映像を送りつけてくるのですが、そのしつこさが、だんだん「かまって欲しい寂しいヒト」にしか見えなくなってきて。実は可哀想なヒトなんじゃなかろうか、と。 え~と、確か、狙いは原子炉の設計図でしたっけ。もう、どうでもいいですね。ははは。 この荒唐無稽さのまま、最後まで突っ走る、それが、素晴らしいんです。いやマジで。ラストで押し寄せる警官隊との攻防戦など、まさに007映画そのもの。もしかして少年探偵団シリーズを参考に007シリーズを作ったんじゃないか、とすら思えてきます。そんなワケないって? そんなワケないから不思議なんです。 明智も最後ばかりは大活躍、そして衝撃的なラストへ。 バカバカしいけど、バカにはできません。スゴいよ、これは。[インターネット(邦画)] 8点(2022-04-24 21:22:23)《改行有》 395. 少年探偵団 かぶと虫の妖奇 前作からの続きと言えば続きでして、刑務所に入れられた二十面相の脱獄劇から映画の幕が開きます。ただ、前作から一変して、二十面相が妙に貧相になったというか、もしかして総入れ歯?な感じがやたら濃厚というか、要するに二十面相役が加藤嘉さんに交代した、ということなんですけれども。さすがは二十の顔を持つ男。ちょっとだけ、狂気も感じさせます。 それにしても、もの凄いのがこの、あっと驚く大脱獄劇。いやもう、このアクロバット感、007並みと言ってよいでしょう。度肝を抜かれます。 で、首尾良く脱獄した二十面相、相変わらず原子炉の設計図とやらを狙ってるのですが、この際、そんなことはどうでもよくて。 この作品のサブタイトルを見ると、江戸川乱歩検定(そんなのがあったとしてあったとして)準10級くらいの知識のある人なら充分に、ピンと来るはず、これはきっと「鉄塔王国の恐怖」の映画化だなと(註:連載時のタイトルは「鉄塔の怪人」だったらしい。続編映画もこのタイトル)。 しかしコレ、当たりのような、ハズレのような。 最後の最後になって、ようやく例のカブトムシのオバケが出てくるのですが、予想以上にデカイ。仮面の忍者赤影にもこんなカブトムシが出て来たような。 デカイだけではなく、なんと、火炎放射まで吹き出す、豪華かつ凶悪な設計。乱歩先生もこれはビックリでしょう。 ここで突然、映画はオシマイ。次回をお楽しみに、ということで。相変わらず明智はちっとも役に立たん。[インターネット(邦画)] 7点(2022-04-21 22:53:23)《改行有》 396. 少年探偵団 二十面相の悪魔 前作のラストではトンデモナイことになって、明智探偵絶体絶命!というところでこの第二部に続くワケですが、何のヒネリもなく、結構フツーに助かってます。いや、だいぶ恥ずかしい助かり方かもしれません、コレは。 二十面相はやはり凶悪なのではなく、単に意地が悪いだけなのか。とは言えこの第二部でもやはり、もしかしたら凶悪なのかも、という片鱗を見せますが、とにかく二十面相の仕掛ける爆弾はやたら威力が中途半端なもんで、破壊力はあるけど殺傷能力はまるで無いという(笑)。 それもこれも、二十面相の念願は、明智と少年探偵団に復讐すること・・・いや、確か、それとは別に、何か目的があった気が。そうそう、原子炉の設計図を盗むのが目的でしたっけ。忘れておりました。 またセコく少年を誘拐しようとする、セコい二十面相。線路での危機一髪!から、遊園地の追跡劇へ。 一方の少年探偵たちも黙ってはおらず、「二十面相を捕まえに、奥多摩へハイキング」というホノボノのんびりした一大捕り物。鍾乳洞に現れる二十面相の手下たちは、なぜか虫歯イキンみたいな格好をしております。 最後まで危機の連続、果たして少年探偵たちはこの危機を乗り越えられるのか、そして明智と二十面相の対決の行方は。 ・・・と言いたいところだけど、どうも冒頭の恥ずかしい助かり方以降、明智が目立たず活躍せず、イマイチ冴えません。もう明智はどうでもいいので、ガンバレ警官隊、ガンバレ少年探偵団。[インターネット(邦画)] 6点(2022-04-20 23:05:12)《改行有》 397. 少年探偵団 妖怪博士 あの懐かしの主題歌に乗って、やってきました、我らが少年探偵団。 もともと怪人二十面相って、子供相手にじゃれ合いながら、やたら回りくどい犯罪を企てる、相当にヘンな人なわけですが、映画にするとますますそのヘンテコさが際立ちます。 子供相手に、バレバレの変装を繰り出しては、ひたすら大人げない高笑いを繰り返す二十面相。なにがそんなに可笑しいんだか。 しかし謎の洋館の不気味さは、何が起きてもおかしくないような怪しさに満ちていて、ヘンテコな仕掛けにも満ちていて、まさにこれこそ、乱歩ワールド。実にイイ感じ。 少年探偵、なんていうチンマリした子供向けのノリから、警察が続々と乗り出してくる大騒動に発展していくのも楽しいところ。 しかし二十面相は決して殺人を犯さない、と思ってたら、映画の二十面相はなかなか凶悪で、最後はトンデモないことになって、さあ大変、というところで第一部が終了。次回、乞うご期待。ってことで。[インターネット(邦画)] 7点(2022-04-19 23:15:56)《改行有》 398. 流星空手打ち 前作が「第一部」となっていたので、続編というより、前半後半、といった感じ。クレジットも引き続き「高倉健(新人)」となってます。 そして前作のラストが、戦いにケリがついたのかついてないのかよくわからん終わり方だったのですが、一応アレは戦いが一段落した、というコトだったらしく、この続編では、東京にやってきた健さんがいきなりルンペンになっている、という、およそ繋がらない展開に。 しかし、東京に舞台を移しても、相変わらずカラテ道場同士の覇権争いみたいなのが続いており、どうしてこうも、「映画に登場するカラテ道場」って、お互いに仲良くできないんですかねえ。まったく。 という、ベスト・キッド方式。 しかし、敵の一味が料亭みたいなところで、なんぞ悪巧みしてるようなシーンを見ると、時代劇風の趣きがあって、いや、なかなか。 それに比べると、カラテの道一筋の健さん。映画の中でマジメに武道に励むヒト、ってのは、ホント、融通がきかないというか、なんというか。そういうのも時代劇っぽくて、いいけどね。 クライマックスではいよいよ、宿敵との決着が。しかしこれがまた微妙。さらに続編作る気だったのか、どうか。[インターネット(吹替)] 6点(2022-04-18 22:42:05)《改行有》 399. サラリーマン専科 「単身赴任」というサブタイトルを目にして矢も楯もたまらず、いきなり2作目から駄文を投稿してしまいましたが、だってさ、この映画の主人公一家のマイホームの場所はどうやらK県K市、いま私が単身赴任でトバされてる場所に程近いところ、らしい(あ、鎌倉市じゃないよ)。マジで代わってくれ。 それはともかくこちらが第一作であって、早くも単身赴任ネタが仕込まれてるあたり、イヤホント、サラリーマンにとって切実なんです。さっきからどうでもいいコトばかり言ってますね、スミマセン。 釣りバカ日誌の代わりの映画、だからなのかどうなのか、ちょっと同じ路線です。大会社の社長役に西村晃。ノリノリですごく楽しそうに演じてます。三國連太郎よりずっと、楽しそう。どっちも同じぐらい悪人顔なんですけどねえ。 で、そこに妹ならぬ弟の縁談の話まで巻き起こり、この辺は男はつらいよ第一作路線。 という訳で、第一作から飛ばし過ぎるくらい飛ばしており、この時点でどこまでシリーズ化のことを考えてたのでしょうか。惜しみなく突っ走ってます。ただ、釣りバカ+寅さん、という点で二番煎じ感が出てしまうのは、残念なところ。 でも、喜劇らしい喜劇になってて、好感が持てる作品です。[インターネット(邦画)] 6点(2022-04-13 23:07:25)《改行有》 400. ホット・ファズ/俺たちスーパーポリスメン! 《ネタバレ》 ちょっと、狙いすぎかなあ、と。 そんなこと言って、狙って何が悪いのよ、と怒られそうですが。 サイモン・ペッグが、優秀過ぎるくらい優秀な警官、という無理のある設定に、銃を振りかざし彼の前に立ち塞がるジジババ軍団。というコレ、単なる「ネタ」であって、肝心のアクションシーンが細切れショットを寄せ集めたゴマカシになっちゃったのでは仕方がない。いや、結構ガンバってアクションをこなしている部分があるのも何となくワカルのですが。 ギャグも伏線も、作為が透けて見えて、ちとクドくもあるかなあ、と。[インターネット(字幕)] 5点(2022-04-12 22:42:24)《改行有》
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