みんなのシネマレビュー
ユーカラさんのレビューページ[この方をお気に入り登録する

◆検索ウィンドウ◆

◆ログイン◆
メールアドレス
パスワード

◆ログイン登録関連◆
●ログインID登録画面
●パスワード変更画面

◆ヘルプ◆
●ヘルプ(FAQ)

◆通常ランキング◆
●平均点ベストランキング
●平均点ワーストランキング
●投稿数ランキング
●マニアックランキング

◆各種ページ◆
●TOPページ
●映画大辞典メニュー
●アカデミー賞メニュー
●新作レビュー一覧
●公開予定作品一覧
●新規 作品要望一覧照会
●変更 作品要望一覧照会
●人物要望一覧照会
●同一人物要望一覧照会
●関連作品要望一覧照会
●カスタマイズ画面
●レビュワー名簿
●お気に入り画面
Google

Web www.jtnews.jp

プロフィール
コメント数 936
性別
ブログのURL //www.jtnews.jp/blog/24461/

投稿関連 表示切替メニュー
レビュー表示レビュー表示(評価分)
その他レビュー表示作品用コメント関連表示人物用コメント関連表示あらすじ関連表示
コメントなし】/【コメント有り】
統計メニュー
製作国別レビュー統計年代別レビュー統計
要望関連 表示切替メニュー
作品新規登録 / 変更 要望表示人物新規登録 / 変更 要望表示
要望済関連 表示切替メニュー
作品新規登録 要望済表示人物新規登録 要望済表示
予約関連 表示切替メニュー
予約データ 表示

評価順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
41424344454647
投稿日付順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
41424344454647
変更日付順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
41424344454647

421.  継承盃 《ネタバレ》 うあ!レビュー少ない。 地味な展開になるかと思いきや、 いきなり冒頭から馬を駆っての大活劇を披露してくれるところが嬉しい。 馬から飛び降り、ローカル線のホームを駆け渡り、発車寸前の列車に乗り込む アクションの長回しを軽やかにこなす真田広之の惚れ惚れする動き。 その軽快でコミカルな身体動作は、ラストの爽快なジャンプに至るまで 全編にわたって映画を弾ませる。 「書き上げ」を巡って緒形拳、古手川祐子、真田の三者がホテルの部屋で 繰り広げる痴話喧嘩の超ロングテイクも縦構図の奥行きを駆使して 彼らの微妙な心情変化をなかなかに見せる。 クライマックスの儀式も、長いショットで緒方の貫禄の所作を存分に見せつける。 この題材でこれだけ躍動的な映画にしているのは大健闘と云うべきだ。 [映画館(邦画)] 7点(2014-12-14 23:52:36)《改行有》

422.  インターステラー 《ネタバレ》 往々にして、理論だの考証だの物理法則だのに囚われるほど 映画からかけ離れるものである。 それらのルールに忠実に沿いながらも、どこかでそこから飛躍する、その瞬間こそが 映画の醍醐味といえるだろう。 そのような荒唐無稽な瞬間の楽しさはこの映画で云うなら、 例えば時計を介した父娘の交感であったり、兄妹の唐突な抱擁であったりだろう。 本作でもまた「重力」は重要な要素なのだが、では娘が「ユリイカ!」と叫びながら 宙に舞わせる紙のショットはあれがベストなのだろうか。 マット・デイモンがマシュー・マコノヒーを突き落とす地表の高低差の感覚は あの程度で良いのだろうか。 その危機の場面で、地球側で父への不信感を募らせる娘の姿を 幾度かクロスカットさせる手法は効果的なのだろうか。 母船を乗っ取られそうになるシーンで三者の位置関係の提示がまるでないのは サスペンス演出上、どうなのか。 視覚からではなく、理屈でシーンを形成しているのが明白である。 そうした画面のあり方への疑問は数限りない。 [映画館(字幕なし「原語」)] 6点(2014-12-13 00:29:41)《改行有》

423.  ゴーン・ガール 《ネタバレ》 カメラに正対した第一ショットのロザムンド・パイクの妖しい瞳の表情から 一気に引き込まれるのだが、ラストで反復されるその黒い瞳の力は145分の ドラマを経て一層の凄味を増して迫る。 映画を牽引していく彼女のキャラクターが圧巻だ。 携帯カメラで撮られた表情によって印象操作される、 テレビショー出演の反響と印象度を即座にネットでチェックするなどといった、 メディア批評も随所で光る。 スクリーン内スクリーンの中で夫を演じるベン・アフレックの表情に交差する 虚と実が何ともスリリングだ。 そして本作でも、ズリ上げを始めとする音使いの妙が映画のテンポを上げている。 有り金を奪われたロザムンド・パイクが公衆電話で話す声をかき消す トラックの騒音、ドアのロック音・ノック音など、さりげない音を サスペンスにしてしまう演出に唸る。 妻の帰宅シーンにあえて安堵感に満ちたBGMを被せるシニカルな選曲なども堪らない。 [映画館(字幕なし「原語」)] 7点(2014-12-11 23:43:37)《改行有》

424.  フューリー(2014) 《ネタバレ》 つまるところ、ローガン・ラーマンのビルドゥングス・ロマンである。 聖書談義を採り入れ、良心的兵役拒否者や非戦闘員らを点描し、 砲弾や銃弾に弾き飛ばされる人体の即物的な描写へ執拗に拘りながら、 劇伴音楽からしても基調となるのは悲愴美やヒロイズムといったもの であり、ドラマもそこに収斂する。 単に仲が良いというだけではない危うさを秘めたチーム内の 一筋縄ではいかない人物関係描写や、 汚物・曇天・泥濘・血糊といった不浄の描写がこの監督の持ち味なのだろうことは 分かった。 会食シーンでの時計音、見張りシーンでの草木のざわめき、 次第に高まる砲弾の飛来音など、 静かな場面で緊張を演出する音使いはいい。 [映画館(字幕)] 5点(2014-12-07 11:35:54)《改行有》

425.  寄生獣 《ネタバレ》 コミックなら、体質の変化した主人公の眼光に宿る獣性を描線によって描き分けて 表現するだろう。 映画ではそれを照明効果や、芝居の変化・差違によって表現するわけで、 そのための美術部員であることの設定であり、 バスケットボールシーンの軟弱でぎこちない動きや 恐怖に慄く姿の提示があるのだろうが、そこが具体的な描写として弱い。 なので、単に設定や説明台詞に頼っている感が強くなる。 後半、校舎の高層階から飛び降りるアクションなどももっと突出していい。 主人公らに迫る敵方というシーンも、あと何メートル、、何メートル、、 の説明一辺倒では描写となり様がない。単に意味を伝えているだけだ。 足音なり、影なり、カッティングなりをより駆使してサスペンスを 醸成するのが映画だろうに。 同じモーフィングでも、ジェームズ・キャメロンの液体金属のほうがまだ恐怖感がある。 それと終盤の染谷将太のシーンで、見るに耐えないひどい手ブレショットがあるが、 ああいうのは少なくともNGとして欲しい。 良かったのは、息子の窮地を咄嗟に救う母親の右手だ。 中盤で、無意識的に染谷と腕を組もうとする余貴美子の仕草などが 引っかかってくるのだが、 それらの小さな違和感をラストの際でしっかり感動に転化させるあたりはしたたかである。 剣道や弓道などの伏線の10倍は気が利いている。 [映画館(邦画)] 5点(2014-11-30 23:16:17)《改行有》

426.  サボタージュ(2014) 『ラストスタンド』のラストにはそれなりに体を張った アクションを見せたシュワルツェネッガーだが、 こちらは芝居もアクションもかなりの省エネモードである。 白髪髭も目立ち、動きの鈍重さもますます顕わになり、 ドラマの哀調には適った形になっている。 荒んだ家屋や汚物の中、グロテスクな屍体の検視に立会い、 血合に塗れながらも 捜査を進めていくオリヴィア・ウィリアムズの健闘ぶりが際立つ。 [映画館(字幕なし「原語」)] 5点(2014-11-28 23:56:46)《改行有》

427.  紙の月 《ネタバレ》 地下鉄駅のホームで、線路を挟み向かい合う宮沢りえと池松壮亮の視線が合う。 列車の到着と発車の中で彼女の姿がかき消される。 発車後のホームに彼女の姿はない。振り返ると、 池松側のホーム階段を降りてく彼女の脚がある。 次は一気にホテルのシーンだ。 ラストも同様、「見えない壁ガラス」を割った彼女は次のシーンではもう 自らの脚で駆け出しており、街路の壁を曲がるところだ。 観客が気付いた時には彼女はすでに足を踏み出している。 画面には交差点や線路、白い会議ルームの壁のラインや窓ガラスなどの境界線が配置されているが、彼女は意を決したらもう躊躇わない。 心理を露呈させることなく、観客の共感など置き去りに突き進んでいる。 その潔さ、唐突さがいい。 儚げでありながら時に不敵な面持ちを見せる宮沢りえが随所で単に美しいだけに 留まらない複雑性を内包した魅力的なヒロイン像を見せる。 [映画館(邦画)] 7点(2014-11-19 23:59:47)《改行有》

428.  グランド・キャニオンの対決 《ネタバレ》 S字のカーブを華麗にワインディングしながらの序盤のカーチェイスが 遠心力に抗しながらの高速・水平アクションであるなら、 クライマックスのケーブルカー上の格闘は 低速運動とブレーキングによる振り子運動の遠心力と重力とに抗うアクションだ。 とりわけそのクライマックスは、空撮ロケによるロングショットと、 スタジオ撮影の近景ショットとのカッティング・イン・アクションが非常に絶妙で、 グリーンのドレスを纏ったヴィクトリア・ショウが開閉ドアと共に 外側に煽られるスタントなどをはじめとして巧みに編集されており、 一連のアクションの流れがまったく滞らない。 人物落下を捉えた空撮ショットはまさに息を呑む。 それらのアクションシーンは勿論のこと、 グランドキャニオンの雄大な俯瞰・人物配置いずれにおいても シネマスコープサイズを効果的に使った構図がいちいち決まっており素晴らしい。 廃鉱となった鉱山町を見下ろす高台に腰掛け、 ヴィクトリア・ショウの思い出話に耳を傾けるコーネル・ワイルドのシーンの 静かな叙情もいい。 [CS・衛星(字幕なし「原語」)] 8点(2014-11-16 21:56:45)《改行有》

429.  江ノ島プリズム 《ネタバレ》 2012年と年月日までを特定しながら、吉田康弘は時代錯誤なまでに頑なに携帯電話を登場させない。 初監督作『キトキト!』では惜しくも一箇所肝心なところで使ってしまっているが、 それ以降は確信的に禁じ手としているのは間違いない。 だから、この物語の中では海外留学はまるで今生の別れのようだ。 本田翼は手紙をしたため、福士蒼汰は駅へと海岸沿いの道路を自転車で全力疾走する。 そこに普遍的な感情と、映画の躍動を生んでいる。 陽光が差し込む江ノ電の長閑な走行と、野村周平の住む日本家屋などのレトロ感も、 ケータイ無き世界でこそ活きる。 校舎の窓から夜の花火を見る未来穂香の表情がまた素晴らしい。 RAM WIREのエンディングテーマとドラマとの相性もいい。 [DVD(邦画)] 7点(2014-11-11 23:51:02)《改行有》

430.  クローバー(2014) 《ネタバレ》 本来はホラージャンルに強みを発揮する監督だろう。 睡眠薬を抽斗から取り出した夏菜が浮かべる表情などは絶妙だ。 ところどころで画面に風を吹かせたりもするし、 ヒロインも美しく撮ってはいるのだが、勿論それだけでは彼女は輝かない。 決定的に拙いのが、自堕落なまでの携帯端末の濫用である。 友人の結婚式場での会話中に至っても、そっちのけで端末画面に見入っている。 男も男で、両手で端末を抱えて公衆の中を歩きながら彼女と動画交信する有様だ。 マナーがどうこう以前に、映画の被写体として、「アイドル映画」のメインキャストの動作として間抜けでみっともなく、大いに幻滅させる。 ドラマ的にも、この通信機器によって簡単にコミュニケーションが取れてしまうのだから 遠距離恋愛など障害とはなりようがない。 案の定、男の海外への出発は飛び立つジェット機のショット一つと素っ気なく、 その後も延々とメールだ、動画だと惚気けたやり取りばかりしているのだから、 再会の感動もへったくれもないだろう。 この「小道具」は映画から人物間の距離を奪い、その間に生まれるエモーションを奪い、その距離を狭めようとする人間のアクションを奪う。 クライマックスの告白のなんと淡白で、なんとお行儀良いことか。 携帯機器を出さねば出さないで「リアルでない」と批判されるのを恐れるのなら、 まずは吉田康弘らを見習うがいい。 [映画館(邦画)] 3点(2014-11-11 23:48:47)《改行有》

431.  花と龍(1973) 船着場のシーンなどでは海面すれすれからのショットも数多く、相当撮影には 苦労したのではないだろうか。低位置撮影の徹底ぶりには頭が下がる。 映画の中盤、荷役船から陸へと着物の裾を翻しながら軽やかに飛ぶ女の 足元がその水面すれすれからのローアングル&スローモーションで鮮やかに捉えられる。 二役:倍賞美津子の鮮烈な再登場シーンだ。 そして彼女と香山美子がそれぞれ仁義を切る見事なシーンへと続いてゆく。 年月の隔たりが、面影そのままの倍賞と石坂浩二の二役を配することによって よりエモーショナルに印象付けられるのだ。 または渡哲也のメイクの変貌以上に、妻として母親として香山が次第に身に纏っていくタフネス・逞しさとして表現されるのも感動的である。 時に泣き、動揺しつつも、正念場では男たちを諌め、馬を駆り、 ラストでは悠然と煙管を燻らす。 それら彼女の凛々しく健気な表情と佇まいが要所要所で輝いている。 [DVD(邦画)] 8点(2014-11-09 22:21:16)《改行有》

432.  エクスペンダブルズ3 ワールドミッション 《ネタバレ》 序盤に登場する港湾や、クライマックスの舞台となる廃ビル、 そこに至るまでの岩山など、各地のロケーションが素晴らしく、 火器の物量もより派手になり『スパイダーマン』以降の傾向ともいえる アクロバティックなアクションも様々に組み入れられているのだが、 もはやそこにサスペンスは望むべくもない。 スリルなきカウントダウンごっこであり、シューティングごっこである。 メル・ギブソンとの因縁話の弱さも、そのままドラマの弱さになっている。 いわゆる肉体派を揃えながら、またしてもひたすら顔面偏重の画面であるあたりも スター映画のある種の弊害だろう。 かつての戦友についてのとめどのない饒舌をシルヴェスター・スタローンが 決して聞き流してはいなかったというエピソードのささやかな仕掛けの巧みさや、 「one way is better than no way」などの粋な台詞が効いて、 影を秘めた陽性のアントニオ・バンデラスが断然、儲け役である。 [映画館(字幕なし「原語」)] 6点(2014-11-03 23:11:00)《改行有》

433.  オーソン・ウェルズのオセロ 壮観のロケーションとアレクサンドル・トローネによる厳かな美術が目を奪う。 そこでは太陽光や雲の形状や風や波など、ロケ撮影の特長が強調されている。 城砦上を並び歩くオーソン・ウェルズとマイケル・マクラマーの 会話と移動を延々とフォローしてゆくカメラワーク。 あるいは、遠近を強調した極端な縦構図とパンフォーカス。 要所要所での仰角アングルや、人物の表情のクロースアップの効果。 黒い闇に侵食されるウェルズと、白布に象徴される清楚なシュザンヌ・クルーティエとのハイコントラストを強調した光学効果。 あらゆるショットが舞台劇では表現し得ぬ画面効果を目指しており、 映画としての徹底した差別化が目論まれている。 自らのルーツである戯曲へ敬意を払いつつ、それをいかに映画表現するかの苦心の痕跡が全編から窺える。 [DVD(字幕なし「原語」)] 9点(2014-10-29 23:56:06)《改行有》

434.  イコライザー 《ネタバレ》 デンゼル・ワシントンが操るフラッシュ・ライト。 タンカー爆発の炎を背景に浮かび上がる彼のシルエットと、高速度撮影の外連。 モスクワのシークエンスでの、明滅するランプに さらにはホームセンター、ダイナー、アパートでの照明戦術。 『エンド・オブ・ホワイトハウス』でのローキー画面も記憶に新しい ノワール監督アントワン・フークアが、さらに様々な形で光と深い暗闇を使いこなす。 マウロ・フィオーレによる艶かしい夜の闇の見事さは開巻から絶好調である。 クライマックスではしたたかに「雨」をも画面に呼び込ませ、デンゼル・ワシントンの 瞳を美しく潤ませる。 割れるガラスも、スプリンクラーの雫も、本作においては闇の中に煌く光としてある。 主人公が様々な場面でテーブル上のアイテム(本、髑髏、眼鏡etc.)を扱う動作は、 キャラクター描写だけにとどまらず、時に意思表示となり、 時にアクションそのものとなる。 女が絞殺されるシーンで、窓外にカメラが引く絶妙な呼吸がシーンの緊迫をより煽る。 クロエ・グレース・モレッツの表情と彼女の一言「Thank You For Everything」 の響きは彼女の悟りを物語って感動的だ。。 CDの感想に言及させない脚本や、過剰なBGMに不満はあっても、 映画ならではの視覚的面白さは満載である。 映画のラスト、まるで『ヒート』へのオマージュのように「NEW DAWN FADES」が鳴り響く。素晴らしい。 [映画館(字幕なし「原語」)] 8点(2014-10-25 22:26:08)《改行有》

435.  グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札 《ネタバレ》 延々と続く路上の移動風景が画面右からのワイプで切れたかと一瞬錯覚するが、 それは実は撮影スタジオ内で映写されているスクリーンプロセスの裏側からの 回り込みの映像であり、カメラはそのまま、撮影を終え祝福されながら スタジオを出て行く女優の後ろ姿を捉える。 付き人を伴い、控え室へと戻る彼女をカメラは延々と追う。 控え室の中には部屋一杯の花束があり、そこにグレース・ケリーの ロイヤルウェディングを伝えるラジオ音声が被る。 女優からの転身を出だしのワンショットで語るその簡潔さや 103分のコンパクトな上映時間は好ましいのだが、 その間ニコール・キッドマンの表情を 何度も「異常接近」レベルでクロースアップするカメラは相当にクドい。 シネスコで何ゆえにそこまで、何故その場面で、という寄り方を クライマックスのスピーチに至るまで延々と繰り返していくので、 次第に印象が悪くなっていく。 ヒッチコック(ロジャー・アシュトン=グリフィス)との通話も、 わざわざ画面分割してみせたりと、結局は要領が悪いのではないか。 アナモルフィック・レンズによる画面の感触は良好で、衣装と調度品はよく映えている。 [映画館(字幕なし「原語」)] 5点(2014-10-20 22:36:34)《改行有》

436.  まほろ駅前狂騒曲 《ネタバレ》 坂で始まり桜坂で終わる、「はる」の映画である。 新井浩文らを始め、主人公コンビのドラマに深く関わるわけではないが 老若男女を幅広くそして浅く配置して、街の劇を構築している。 娘が最終的に瑛太を「お父さん」と呼ぶに至る別れのシーンがひとつの クライマックスと云ってよいだろうが、感動が今ひとつ弱いのは何故だろうか。 便利屋の仕事を協働する、ベッドで添い寝する、抱きかかえる、という 交流描写もあるにはあるが、それらのシーンをラストで観客に想起させるべき (例えば『ALWAYS 続・三丁目の夕日』での「ハンドクリーム」に類するような) 視覚的アクセントが欠けているのではないか。 [映画館(邦画)] 6点(2014-10-19 20:57:21)《改行有》

437.  黒い罠 《ネタバレ》 111分のブルーレイ完全修復版。同仕様のDVDとほぼ同一だがランタイムは5分長い。 再見するとよく解るが、チャールトン・ヘストンのカバンの中の銃だとか、 大柄の杖だとか、モーテルでのうずまき状のスピーカーだとか、 後にキーアイテムとなってくる小道具はいずれもその前段で抜かりなくさりげなく 仄めかされている緻密さに改めて感心する。 (車両爆発直前までを捉えた)冒頭シーンばかりが注目される長回しも、 映画中盤のシーンでいかに効果的に用いられているかがよくわかる。 オーソン・ウェルズらがダイナマイトの証拠捏造を行う屋内シーンだが、 最初の長回しでオフ空間の浴室を移動によってまず映画的アリバイとして見せ、 二度目の長回しでそのオフ空間を観客により意識させてサスペンスを高める という趣向になっている。 冒頭のそればかりが騒がれるのは、観客を映画へ一気に引き込むべき手段としての 派手な移動撮影の突出があるからだが、中盤のそれは複数の俳優の芝居の 緊張を持続させるためのものであり、その意味で観客にカメラを意識させない中で ヘストンとウェルズの関係性の決定的変化を捉えるこちらの地味な長回しも 相当に難度の高いものであり、決して無視されるべきではない。 夜の闇の中、盗聴を移動という動きの中で描写する。 そしてそこに橋梁や油田ポンプの空間構造を 利用して障害を採り入れてサスペンスを醸成する。 やはり映画的センスとしか言い様がない。 [ブルーレイ(字幕なし「原語」)] 9点(2014-10-13 13:23:36)《改行有》

438.  太陽の坐る場所 《ネタバレ》 酔った水川あさみが夜の跨線橋を上司と歩くシーン、墓参りを済ませた森カンナが 墓地を後にするシーン、いずれも絶妙なタイミングで背後に列車を通過させながら そこに作為を感じさせない自然なショットに仕上げるあたりが矢崎監督らしい。 体育館内の古泉葵と吉田まどかの周囲を旋回するカメラも一見ラフな手持ちだが、 その中で館内に差し込む光のフレアの一瞬一瞬を見事に取り込んでいる。 体育館の暗い備品室の中で並び座る水川と木村文乃。わずかに外からの光が 床の一点に当たっており、その微かな光の反射が二人の存在を浮かび上がらせる。 主題的に多々登場するローキー画面だが、いずれも光の加減の設計は緻密だ。 トンネルから外界へ。日食に伴い緩やかに暗転していく教室内。 1ショット内で光と闇が反転していく様が、ドラマを語っている。 二人の出会いを演出する、風と揺れるロングヘアも印象的だ。 走る自転車によって揺れ、寝そべることでふわりと広がる黒髪が画面を揺らす。 [映画館(邦画)] 7点(2014-10-06 23:00:31)《改行有》

439.  るろうに剣心 伝説の最期編 《ネタバレ》 東京へ向かう道中の水路であるとか、福山雅治の住居の風情や 年季の入った木造建築の汚しなど、美術・小道具の仕事は相変わらず素晴らしい。 ドラマは相変わらず、つまらないが。 上野昴志氏などもやはり書いているが、茶番と解り切った斬首刑の件りは まるでサスペンスになっていない。 直前のシーンで、策略だとバラしているのだから当然だ。 お飾り以外に、武井咲の存在意義は何なのだろう。 それこそ「アクション」として撮られるべき再会の演出のなんと淡白なことか。 台詞で説明されるだけの悪役キャラクターも総じて薄っぺらい。 主眼の剣戟アクションも、過ぎたるは及ばざるが如し、である。 インフレ気味に派手に立ち回れば回るほど、一撃一撃の重みが失われ 単にカッコイイだけの演武でしかなくなる。 肉体の痛みの感覚を欠いた『マン・オブ・スティール』の愚そのままだ。 そしてクライマックスの炎のスペクタクルと熱量の感覚、 その中での殺陣の迫力と重量感は30年前の『魔界転生』にもまるで負けている。 中盤で、田中泯を看取った小久保丈二が佐藤健を一喝する一言のほうが よほどエモーショナルで心に残る。 [映画館(邦画)] 5点(2014-10-03 23:34:18)《改行有》

440.  ジャージー・ボーイズ 《ネタバレ》 トランクに無理矢理金庫を押し込んで前輪の浮き上がった車が夜の街を 迷走する。 金の重みに後輪をとられてうまく舵をとれない車は、その後のドラマの暗示でも あろうか。それでも必死にハンドルを駆るジョン・ロイド・ヤングは 上方の光に向かう姿勢で前へと進んでいく。 それはそのままラストの街路で光を見上げる彼らの擬似ストップモーションと 釣り合う形ともなる。 60年代へのオマージュか、厳格なロケーション主義かと思われた監督がさらりと スクリーンプロセスを使う趣向があったり、長身のエリック・バーゲンが カウンター席で斜め後方を振り返るといった特権的な仕草を見せたりと あちらこちらがさりげなく面白い。 「SHERRY」をはじめとする楽曲とそれに合わせた4人の振り付けにももちろん心踊るが、 やはり既成曲の力に寄りかかりすぎの気がしないでもない。 クライマックスも少々くどくはないだろうか。[映画館(字幕なし「原語」)] 7点(2014-10-02 23:04:09)《改行有》

010.11%
150.53%
2202.14%
3384.06%
4717.59%
510311.00%
610811.54%
721522.97%
821823.29%
911412.18%
10434.59%

全部

Copyright(C) 1997-2024 JTNEWS