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481.  風立ちぬ(2013) キネマ旬報の何某は、この喫煙シーンを狭量な「挑発」だという。 勿論、『紅の豚』でも煙草のポイ捨てシーンをあえて描いているのだから 一種の挑発的な意図もあるのだろうが、 宮崎駿の細やかな絵コンテ指示を見てもわかる通り、単なる挑発だけで多大な経費や手間を要する作画・エフェクトの指示はすまい。 それこそ、何よりも風を生起させる行為として紫煙は表現されている。 震災の黒煙、工場の煙突からの排煙、汽車の蒸気、雪の朝の白い息、バスのあげる土煙、 家から登る白煙。それらと同様、二次元の画面に豊かな空間の深みと流動態を与え 画面を息づかせる描画演出のひとつに他ならない。 絵を常に何らかの形で動かすことへの徹底したこだわり。 眼に見えない大気をも可視化させアニメーション化することで世界に生気を与えること。 そこにアニメーション作家の矜持を見る。 その挑発ならぬ挑発に簡単に引っ掛かってしまう学会こそ滑稽だ。 嫁入りの夜、襖が静かに開き、美しい奈穂子の正面のカットとなる。 そこに風花がさっと舞う。その柔らかな大気の流れがシーンの美しさを引き立てる。 『ひこうき雲』の流れる映画のエンディング。 静止画となる人間不在の情景カットにあるのは、全てを語りきったという思いか。 [映画館(邦画)] 8点(2014-02-16 04:31:13)《改行有》

482.  曲馬団のサリー ホークス『ハタリ!』の遥かな先駆けともなる小象のアクション。 迫力の白煙と放水の中で繰り広げられる列車と自動車の痛快アクション。 加えてキャロル・デンプスターが身体を張って懸命に走る、飛ぶ、よじ登るの クライマックスの大アクション。 そして随所に散りばめられたユーモラスなギャグに、華やかなダンスシーン。 その盛りだくさんのエンタテインメント精神も感動的だが、 それ以上にこの原初的アメリカ映画が胸を打つのは、 その快活なヒロインがふと垣間見せる、人を恋う孤独の表情だ。 南部のカーニヴァルにやってきたデンプスターが街中を一人で歩く。 誰のものとも知れぬ「母を悼む」墓石に彼女は一輪の花を手向ける姿が愛しい。 育ての親W・C・フィールズを慕い、幾度も抱き合い、全身で情愛を示す。 招かれた祖父母の家で、それと知らずに祖母と見つめ合い、触れ合うショットが美しい。 人を恋う、その普遍的・根源的なエモーションとアクションとの一体化が 強く心を引きつけてやまない。 ラスト、一人去りゆくW・C・フィールズに必死にしがみつくデンプスターの 見目はばからぬ懸命な身振りには涙、涙だ。 [DVD(字幕なし「原語」)] 10点(2014-02-13 00:42:32)《改行有》

483.  ラッシュ/プライドと友情 ハワード・ホークスのように、プロフェッショナル達を描く。 初めてのレースシーンに流れる『GIMME SOME LOVIN’』の選曲と、 リアミラーを駆使したスピーディなカッティングは『デイズ・オブ・サンダー』の 故トニー・スコットへのオマージュかと思えば、そもそも音楽担当はハンス・ツィマー なのだった。 激しく煽られる芝生、土埃、雨飛沫といった対象物によって表現されるスピード感。 雨降る最終レース、スタート前の二人が交わす視線の交錯が印象深い。 そういえば、南波克行氏のロン・ハワード論でもかつて「水に飛び込む」ショット へのこだわりが指摘されていたが、このレース映画にも水への飛び込みが 抜かりなくワンシーン挿入されている。 ダニエル・ブリュールとアレクサンドラ・マリア・ララが結婚した夜のプールシーン がそれである。 そして、そこに繋がる二人の対話シーンが美しい。 窓外を見つめるクールなダニエル・ブリュールの胸部に ロン・ハワードがガラス窓を通して反射させるのは、 スピルバーグのような紅い炎ではなく、碧い水の揺らめきなのだ。 [映画館(字幕なし「原語」)] 8点(2014-02-11 17:17:01)《改行有》

484.  恐怖のまわり道 スクリーンプロセスの多用などはいかにも予算の制約を感じさせつつ、 一方ではトム・ニールの電話シーンに交換手がそれを繋いでいくショットを律儀に 入れもする。 低予算映画ならば真っ先に削れそうなショットなのだが、この簡潔な長距離電話の描写が あってこそ、後の大陸横断ヒッチハイクの距離感が印象づけられることになる。 同時にその電話線もまた終盤に活きてくるわけで、巧い。 道中、最初の思わぬ悲劇。 黒い車体に降りかかる激しい土砂降りの雨が、それだけでその後に主人公が陥っていく 泥沼状況を予感させる。 助手席で眠っていたかと思われたアン・サヴェージが不意に目を開けて 運転席のトム・ニールを凝視する、それだけの動き、その無表情がなんとも恐ろしい。 レコード盤からドラムへと、円によってスムーズにフラッシュバックへとカットを 繋ぐなど、編集の工夫も随所で光る。 満載されたノワールの意匠と低予算ならではの美徳が、不思議な魅力を放っている。 [DVD(字幕なし「原語」)] 8点(2014-02-07 23:42:25)《改行有》

485.  エドワード・ヤンの恋愛時代 《ネタバレ》 まず装置があってシーンが創り出されたのか。あるいはその逆か。 いずれにしても、このエレベーターの鮮やかな用法には唸るしかない。 章の切り替え時に入る軽やかなエレベーターの到着音なども含めて、 その装置が映画に頻繁に登場するのには途中で難なく気づく。 映画の中盤、オフィスのエレベーターでヒロインのチェン・シャンチーと ワン・ウェイミンとが決裂するロングテイク。 これと対になる形で見事にラストのショットを決めてくるのだから、楊徳昌もまた ルビッチらと並んで『ドア』の映画作家と呼んでもいい。 構造物によって、人物を画面から一旦消し、そしてまた現れさせること。 それを長回しで撮ることで、様々な意味での奥行きと実存の感覚が生まれる。 溝口健二の襖のように。 本作のいくつかの場所でこれをみせる楊徳昌もまた一流であるということだ。 ラストの再開は、その極めつけと云える。 ヒロインの笑顔が現れた瞬間、扉の背後に遮られて見えなかった彼女の翻意の姿が 間接的なだけにより強く迫ってくる。 ほとんどシルエットに近い、表情の判然としない半逆光のロングショットの芝居の数々。 その絶妙な光の感覚もまた素晴らしい。 大っぴらに見せないこと、観客に想像させることで、逆にドラマに、キャラクターにと 引き込んでいく。 そこには観客に対する信頼がある。 [ビデオ(字幕)] 10点(2014-02-06 23:23:26)《改行有》

486.  モロッコ慕情 テロリズムの蔓延るフランス占領下のシリア・ダマスカス。 シビアな政情を生きる男たちの面構えがいい。 ハンフリー・ボガートの居所をフランス軍に売る男は職業俳優だろうか。 脇役ながら、如何にも殺伐とした世界を生き抜いてきたというような 凄みを感じさせるしたたかな顔貌がいい。 リー・J・コッブの強面がそれに負けていないのもいい。 映画は夜のシーン、地下のシーンが中心となり、閉塞感を増す。 狭い路地や地下住居の設計が独特の闇を創り出し、異国の趣を漂わせている。 とりわけ、ゲリラ達との接触場所となるローマ時代のカタコンベの美術が素晴らしい。 [DVD(字幕なし「原語」)] 7点(2014-02-01 21:36:25)《改行有》

487.  肉体の冠 映画の中盤、ワインとチーズを食するクロード・ドーファンの手にナイフが光る。 その禍々しい光沢、それだけでそのナイフが後々何らかの悲劇を引き起こすであろう ことを仄めかす。 説話上の段取りとして配置された単なる伏線に留まらない。 物語とは無関係にみえるさりげない細部でありながら何故か胸をざわつかせる、 その不吉な光沢の描写力が圧倒的なのだ。 それこそ、より映画的な伏線のあり方と云えるのではないか。 果たしてその刃はウィリアム・サバティエの胸を貫く事となり、 ナイフ、剃刀、と変奏される刃はラストのギロチンへと連なっていく。 その処刑シーンを階上から見届けるシモーヌ・シニョレの金髪。 その光沢もまた逆光の中でひときわ高貴に輝いている。 ダンスシーンの優雅な回転運動。 その中での、セルジュ・レジアニとS・シニョレの視線劇のスリリングなあり方。 決闘シーンのコントラストの利いた照明設計。 ルノワールゆずりのボートシーンの瑞々しさ。 小鳥のさえずりの官能的な響きと、 全編見所見どころに溢れている。 [DVD(字幕)] 10点(2014-01-30 21:37:18)《改行有》

488.  スージーの真心 密かに献身し慕っていた幼馴染みウィリアム(R・ハーロン)が他の女性との結婚を 決めてしまう。 溢れてくる涙を扇で隠しながら硬った笑顔を見せるスージー(リリアン・ギッシュ) の仕草がいじらしい。 そんな彼女の純朴でせつない表情・身振りの釣瓶打ちだがそれがまるで媚にならない。 単なる可憐さだけでなく、品位そして愛すべき愚かさといったものまで 豊かに表現しているからだろう。 グリフィスが彼女にひたすらクロース・アップしたくなるのも無理はない。 ハーロンの後をついて小道を歩くリリアンが、右足をふっと真横に蹴るような 仕草をする。そのあまりにも何気ないささやかな動作ひとつで、架空のキャラクターに 一気に魅力的な生命を吹き込んでいる。 彼女の自伝によると、やはりこのシーンの演技などは批評家にも評価されたらしい。 二人が並んで村の小道を歩いていく。並木がやさしく揺れ、道端で子牛が一頭寛いでいる。 この詩情あふれる1ショットの美にも打たれる。 [DVD(字幕なし「原語」)] 10点(2014-01-26 02:06:04)《改行有》

489.  条理ある疑いの彼方に 《ネタバレ》 法廷内に据えられたテレビカメラが、審理の模様を中継している。 米国ならではの光景だ。 被告席に座るダナ・アンドリュースは彼に向けられたカメラを正面からじっと見据える。 彼を追い詰めていくのは、自らが捏造した状況証拠だけでなく、 マスメディアのレンズでもある。 『暗黒街の弾痕』のラストで、ヘンリー・フォンダを捉えるライフルの照準器のように。 映画のラスト、奥のドアへと退出する彼に、カメラのフラッシュが追い討ちをかける。 彼に浴びせられる、その唐突な白光が容赦無い。 予断を煽る新聞のセンセーショナルな大見出しや 儚く灰となる、証拠写真のネガ。 そこにメディアの危うさもまた浮かび上がってくる。 [DVD(字幕なし「原語」)] 8点(2014-01-25 23:56:24)《改行有》

490.  インスタント沼 麻生久美子とふせえりが自転車に乗って並び走る。 ふせの一言一言に麻生のペースは落ちたり上がったりと、刻々変化する。 画面比として大きくなったり小さくなったりというその表象的リアクションを、 カメラは後退移動のロングテイクで延々と捉えている。 やがて画面右手には線路が見えてくるロケーションだ。 ならば間違い無くやってくれるだろうと思いつつ見ていると、 果たしてその長廻しの中盤とカット尻、狙いすましたかのように 通過する山手線の車両の緑を二度画面端に入れ込んでいる。 そのタイミングが絶妙だ。 線路を写したならそこにぬかりなく列車を走らせる、 映画の作り手としてのその律儀さ。そして色使いに対する拘りの徹底ぶりが嬉しい。 単に衣装や小物や美術での配色ならさほどの難度はないように見えるが、 本作で麻生が纏う衣装のバリエーションは半端ではない。 緑のダンプカーの配車も大掛かりだ。 その上でさらに、自転車のシーンのような手の込んだ芸当を 軽やかにやってのけるあたり、侮れない。 そうして拘り抜いた眼に優しい緑の配色が心地いい。 映画前半は、しゃがむ、病床で横たわる、沼に沈む、埋もれるというモチーフから 後半は快晴の中、飛翔する、上昇するというモチーフへ。 いろいろとよく考えてもいる。 [DVD(邦画)] 7点(2014-01-20 12:25:35)《改行有》

491.  呪いの家 夜の屋敷内、蝋燭の灯だけを光源とした照明設計が魅惑的な闇を創りだす。 その黒の中に白い影が亡霊のように浮かび上がる。 クライテリオン盤DVDはチャールズ・ラングJr.の モノクロームの美をよく引き出している。 巻頭の目眩く波間の空撮。 リスを追いかける犬のアクションによって家そのものをも演出していく手際。 女優陣を愛でるエレガントで艶やかなクロースアップ。 スクリーンプロセスと、緩やかな海風とボートの揺れとの見事なシンクロ。 その画面の充実ぶりはラストの夜明けの美しさまで一貫している。 萎れる花や、捲れる書物の頁など、慎ましい特殊効果もゴシックムードに相応しい。 崖から落ちかけるゲイル・ラッセルのロングショットには息を呑む。 [DVD(字幕なし「原語」)] 8点(2014-01-19 22:07:15)《改行有》

492.  大脱出(2013) 映画冒頭の脱獄シーンの寡黙さがなかなか良いと思う間もなく、 シルヴェスター・スタローンの雄弁な種明かし演説が始まってしまう。 かと思えば、主舞台に移っても公衆の中で堂々と密談を続けている。 監視の中、いかにして相棒とコミュニケーションを取り合っていくか。 そこにサスペンスを生み出すのが、脱獄映画の基本だろうが、その辺りが相当杜撰だ。 共演がよほど嬉しいのか、二人の対話については明らかに台詞過多である。 ボルトがどうの、シフトがどうの、それは画面に語らせれば済む話であり、 安易に台詞に頼るべきではない。 主人公の観察眼については、序盤で説明済なのだから。 状況解説用のトラッキングはただ官僚的であり、 対話どころか殴り合いまでアップショット偏重で鈍臭く 面白味を欠いた画面は映画でなくてテレビだ。 二人共、銃を構えたショットだけはやはり様になっている。 [映画館(字幕なし「原語」)] 5点(2014-01-12 23:17:12)《改行有》

493.  火まつり キャストをみて初めて職業俳優が多数出演していたとわかる。 そのくらい、キャストの佇まいや方言が現地に溶け込んでいる。 それは引きのカメラによる達成でもあるだろう。 街の一角を、後方に山を望む駅を、引いたカメラで出来る限り広域に取り入れ その中で複数の人物を近景と遠景の間で動かし、絡ませるなど 非常に手間と労力のかかる贅沢な演出をしている。 人間と自然を一体のものとして画面に載せた、意欲的なロケ撮影だ。 オートバイに乗った男女が勢い余って生垣に投げ出される、 滑走する漁船から安岡力也が海に放り出される、といった危険なスタントも 引きのワンカットで収めるといった具合に、アクションも気合が入っている。 静かな森の中で次第に風が立ち上がり、ざわざわと枝葉が揺れ出す。 激しく降り出す森の中の雨は人工の雨か、それとも本物か。 これらの撮影はまさに神憑りと云うべきだろう。 太地喜和子の乗る小舟が、埠頭を歩く北大路欣也と並走しながら入港してくる、 その船側から陸側を望む横移動の緩やかな運動感。 柳町光男も、これをやっている。 [ビデオ(邦画)] 8点(2014-01-11 23:29:42)《改行有》

494.  麦子さんと 時折挿入される、昭和期を思わせる解像度の粗いフィルム風映像。 その中に映し出される、青春時代の母親を演じる堀北真希の美貌が ノスタルジックに映える。 彼女のこれまでのフィルモグラフィにも拠るのだろう。 あからさまな時代の演じ分けをしない分、彼女の二役は違和感がなく新鮮だ。 あるいは中森明夫の書く通り、彼女のスター性ゆえかも知れない。 カラフルな柄物のカジュアルウェアが、一方で黒い礼服姿のイメージを引き立たせる。 そうした衣装の演出に関しても吉田監督の拘りがうかがえる。 が、音楽の入れ方、特に挿入歌の大仰な使い方などは想定通りすぎてつまらない。 余貴美子の手料理を噛み締める堀北。 そしてその料理へのお返しにスーパーで肉を買い、パン粉を付け油で揚げる彼女の横顔。 そういう黙々とした、淡々としたさりげないシーンの積み重ねでこそ泣かせて欲しい。 [映画館(邦画)] 6点(2014-01-09 23:51:43)《改行有》

495.  REDリターンズ それぞれの俳優のキャリアをパロディ的に活かすあたり、 『ギャラクシー・クエスト』の監督らしい味だ。 ロケーションのスケールを広げつつも、テンポは軽快であり、 続投組も新規キャラクターも見せ場を与えられ、そのバランスも申し分ない。 新規組では、イ・ビョンホンがアクティブな魅力と色気を放っている。 前作の『ガントレット』シーンを今回担うのは彼だ。 逆に続投組ではヘレン・ミレンら女性陣が光る。 ポーカーフェイスで大見栄を切る彼女の射撃アクションも前作を継承して爽快である。 カーアクションで滑稽に弾けつつも、一方では堅気の健気さを覗かせる メアリー=ルイーズ・パーカーはその絶妙なバランスで今回キャラクターが 豊かに膨らんだ。 彼女がラストにサンバを踊りながら見せる陽気な笑顔がいい。 [映画館(字幕なし「原語」)] 7点(2014-01-05 21:42:48)《改行有》

496.  ゼロ・グラビティ 驚くべきは、その引切り無しの音の氾濫である。 映画冒頭の字幕第一行目でまず宇宙の無音を説明し、劇中の二者の会話でも 宇宙の魅力をその「静寂」と語らせているにもかかわらず、だ。 通信音声が終わると同時に、船外作業の三者の対話が止めど無く続き、 間髪入れずに脅かしのBGMやSEが鳴り響く。 映画が全くの無音を採り入れるのは、中盤でジョージ・クルーニーが ハッチを開けた瞬間の約30秒弱。正確にその一箇所のみである。 無論、音響によって静寂を逆に強調する手法もあるだろうが 本作の場合は明らかに音や台詞が過剰だ。 サンドラ・ブロックがひたすら何かを「GRAB」しようとする 純粋なアクション映画としてならばそれもよろしいが、 映画は最後に何やら地球讃歌・生命讃歌をやりたいらしい。 それなら、最後の羽虫の羽音や波音の感動はより対比的に際立たせるべきではないか。 彼女は単に重力だけを実感しているのではないのだから。 空の青さに、大地の感触。そして生命の音。 タイトルを読むことばかりに囚われては、それらを見逃し、聞き逃すだろう。 (そもそもこの題名自体、重力だけを意味するのではない。) ともあれ、サンドラ・ブロックが素晴らしい。 中国の宇宙ステーションに取り付かんと悪戦苦闘する、 その全身のアクションこそ感動的だ。 [映画館(字幕なし「原語」)] 7点(2014-01-05 19:03:46)《改行有》

497.  ホワイトハウス・ダウン ドラマの中に登場するメディアが、テレビ報道から今やネット動画へ。 変わらぬ王道プロットだけに、そんな細部の差異が約20年の時代変化を感じさせる。 コンビの掛け合いは『リーサル・ウェポン』や『48時間』を彷彿させつつ、 二者の人種関係の社会的変化も隔世の感である。 ホワイトハウスは黒煙に包まれ、白シャツは綺麗な黒へと染まっていく。 格闘アクションはひたすら無骨で泥臭く、それを追うカメラも乱雑である。 建物の空間性を活かしきっているようにも思えない。 そんな格闘、爆発、破壊の描写を差し置いて、最も感動的なアクションを 担ってしまうのが、少女ジョーイ・キングの旗振りであるところが楽しい。 [映画館(字幕なし「原語」)] 7点(2013-12-29 01:29:33)《改行有》

498.  永遠の0 無駄に氾濫する説明台詞に、その会話が始まると同時に鳴り出す説明調のBGM。 このパターンが全編にわたって続く。 おまけに語り手自らが感傷に溺れきったナミダナミダの鬱陶しい表情芝居の羅列と、 手とり足とり。これは幼児向け番組か。 思い入れも過剰にキャラクターに寄りすぎのカメラは引くことを知らず、 ダラけた脚本は、省略というものを知らない。 一枚の写真は最後に一度だけ効果的に見せれば十分だろう。何度も見せる気が知れない。 橋爪功の知るはずのない、一夜の帰宅シーンのエピソード。 なぜ、それをあたかも橋爪のフラッシュバックのごとくに視覚化し、 現在シーンの三浦春馬らのショットへ繋げるのか。 ここも、後半の井上真央に語らせればすむだけのシーンだろう。 見せるばかりが脳。見せないことで語るということをまるで知らない。 いくらシネコン映画とはいえ、観客をなめすぎではないか。 [映画館(邦画)] 2点(2013-12-26 22:26:51)《改行有》

499.  オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ アナログレコードの音楽に合わせて踊る、トム・ヒドルストンとティルダ・スウィントンの俯瞰ショット。 ソファの上で弾むように脚を組み替えるミア・ワシコウスカの仕草。 静かな映画の中で、それらの滑らかな運動感がアクセント的に心地よい。 途中、そのミア・ワシコウスカの闖入によって館が三人所帯となることで ジャームッシュ流の移動の映画=ロードムービーとなる。 彼女の登場は、移動を促す契機としてあると云っても良い。 遠くに街の灯が散らばるデトロイトの寂れた夜道。 まばらな明かりの中に浮かび上がる廃墟の群れが、街の盛衰を偲ばせる。 勾配が特徴的なタンジールの石畳の路地。 黄昏のような、艶を帯びた妖しげな光の加減がエキゾチックで素晴らしい。 ランプを光源とした屋内シーンの見事さも見逃せない。 [映画館(字幕なし「原語」)] 8点(2013-12-23 23:24:51)《改行有》

500.  リアル 完全なる首長竜の日 《ネタバレ》 中谷美紀によってあっさり説明されるフィロソフィカル・ゾンビなるものの特殊効果も 得体が知れてしまえば不気味さ半減。 ゆらゆらと溶け出す都市も、具象化された首長竜のスペクタクルも 種明かしされてしまえば恐ろしさ半減。 いかにも高予算のはずの大仰なCGが、綾瀬はるかの柵越えのアクション一つに敵わない。 黒沢作品では恒例の「日常的な異世界ともいうべき」(上野昴志)車中のシーンも、夢という設定が課されている本作の場合、逆に味気なく映る。 曇天の波間に揺れる赤い旗。背後の廊下を渡る人影を暈す半透明の蚊帳。 廃墟のロケーションに漂う詩情。 そうした即物的な佇まいの画面にこそ只ならない 凄みと迫力が宿っているという転倒がある。 [映画館(邦画)] 6点(2013-11-27 22:10:22)《改行有》

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