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561.  天国は待ってくれる(1943) 《ネタバレ》 -Heaven Can Wait-マイケル・ジャクソンの曲…じゃなくって邦題のまま。オープニングの刺繍ドット文字が可愛らしい。 先日「地獄に落ちるわよ」でお馴染みの細木数子さんが亡くなったけど、西洋での天国と地獄はどのような所なのか。ヘンリーの審判をする者が“閻魔大王”って訳されてるけど、階級は-Excellency-“閣下”らしい。最上級じゃないけど位の高い存在。 いきなりの床の仕掛けにびっくりした。そういうコメディ映画か?と思いきや、ヘンリーの生涯を回想する内容で、奇をてらわないしっかりとした作りだった。第二次大戦中にこんな作品を作る余裕があることがスゴい。 “女の子にカブト虫をあげると喜ぶ”“体調不良には胸にニンニクを塗り込む”聞いたことのない文化・風習が逆に新鮮。 26歳でブラブラしてて、親にお小遣いをもらうダメ人間だけど、いとこの婚約者を奪って駆け落ちするようなヒドイ奴だけど、妻に内緒で女遊びを繰り返すような最低な奴だけど、地獄に落ちるほどヒドい人間かは疑問。もちろん現代の価値観でだけど。 夫婦仲の悪いストレーブル家はジャスパーの手腕で平和なこと。牛のメーベルちゃん。お茶目な祖父ヒューゴ。憎めないキャラがたくさん出てくる。 ケーキ。ケーキ。ケーキ。ネクタイ。ネクタイ。ネクタイ。時間の経過の表現が素敵。 25年目のマーサの告白「実は怖くなかったの。“もっと早く歩いて”って。」最後の誕生会のダンス。 ヘンリーが本棚から偶然手にする本が『夫を幸せにする方法』にホロリ…こういうジーンとさせる観せ方が上手いなぁホント。 結婚式のときもヘンリーが死ぬときも歌ってたクーパー・クーパー婦人って何歳なんだろう?って思いつつ、天国でマーサに会える可能性を秘めた粋なエンディングも秀逸。 古い映画だから、シンプルだし色々てんこ盛りな内容じゃないけど、こういうのを、観て良かった映画って言うんだろうな。[CS・衛星(字幕)] 7点(2021-11-22 16:03:48)《改行有》

562.  バスケット・ケース 《ネタバレ》 -BASKET CASE-グリーン・ディの名曲…じゃなくって、“非社交的な除け者”のスラング。モトは戦争で手足を失った兵士は担架(≠バスケット)で運ばなきゃいけなくて、もう役に立たないから。だそうな。ヒドい。 タイトルのモトネタは、兄ベリアルの事ズバリだし、スラングは弟ドゥエインの事も表していて、結構秀逸なタイトルだよね。 身体がくっついて産まれてしまったシャム双生児。同世代ならご存知、ベトちゃんドクちゃんが生まれたのが'81年。恐らくあの痛ましい姿を見て『よし!これだ!!』って思ったんだろうな。ヒドい。…けど、モノを作る人にはそういう発想が大事だし、ホラーなんてどう擁護したって“ヒドい!”としか言えないんだから、どんどん面白い作品を創ってもらいたいところ。 おぞましいバケモノと、血みどろの惨殺場面と女の悲鳴。セクシーなお色気だけあれば充分なB級ホラーなのに、案外ストーリーと登場人物がしっかり描けているので面白い。 主人公兄弟がテレパシーで話せてたこと。切り離されてからは兄から受信できても送信ができないとか、親が話せないベリアルを化け物扱いした背景も見て取れる。ベリアルを切り取る医者3人に獣医が入っていたり適当。兄を助け、かばい、復讐を手助けする弟。不気味だけど兄弟愛が描かれていたり、最後にホテルから落ちて、兄弟一対に戻って死ぬところとか、ちょっともの悲しくも思えて、なんかティム・バートン作品のようなファンタジックさもある。 恋人シャロンを殺しに行くベリアルの姿が、全裸のドゥエインだったりと、もしかして2重人格のドゥエインの単独犯行?とか、色々解釈もできそう。 ホテルの住人も個性的できちんと描かれて好感度高い。一方的に話しかけて一方的に去っていくオバサン。覗き見、侵入、盗みまでするオジサン。セクシーな面倒見の良い売春婦のお姉さん。奇妙な住人のせいでバタバタと忙しい管理人さん。…あれ?これってめぞん一刻?? ※めぞん一刻の方が先('80年~連載開始)でした。[インターネット(字幕)] 5点(2021-11-22 15:07:09)《改行有》

563.  バンク・ジョブ 《ネタバレ》 -The Bank Job-想像通り“金庫破り”とか“銀行強盗”のスラング。 ジェイソン・ステイサムだし、気軽に観られるクライム・アクション映画かな。と思って視聴。なんか、冒頭の“1970年カリブ海”の字幕を見逃した私が一番悪いんだけど、ず~~っと現代劇だと思って鑑賞してた。テリーはクラシックカーの修理屋で、携帯とかはたまたま使わず、あのゴツい無線機にも違和感を感じず…。実話ベースなのもエンドクレジットまで気付かず…かなり疲れてたのかな、なんかもったいない観方をしてしまったよ。そんな疲れた状態でも眠くもならず楽しめたから、大した映画だ。 仲間集めからプランニング、穴掘り、警官が見に来るピンチまで、銀行強盗もののお決まりの展開だけど、ペストの死者の墓(?)が出てくるとこが、観てる私にも予想外だったので面白かった。サクサクと進む穴掘り。簡単に穴が開く銀行の床に、『(現代劇だと思ってるから)そんな馬鹿な…』って思いつつも、貸し金庫の中身の多様さが面白い。洗ってないパンツなんて、入れるんだなぁ。 無線傍受から警察出動。16kmより細かく範囲を絞れないなか、一軒一軒警官を送って見回るマゴマゴしさから、救急車を止めて無線の様子を探るグッドアイデア。それを覆す無線機落下のアクシデントは、なかなか手に汗握る展開。ワゴン車を変えての脱出成功に一件落着と思いきやの、その後のたくさんの組織、人間が複雑に絡み合った展開が面白い(この辺から時代設定に薄々気がつく)。 テリー、MI-5、警部、ヴォーゲル、汚職警官らがパディントン駅に集合するゴチャまぜの展開はワクワクするし、最後テリーがヴォーゲルをボコボコにするのは痛快。よく出来たクライム・サスペンスだなぁと観終わってからの、実は実話な衝撃。 チキン・インが本当にあったこと、マイケルXによるゲイル・ベンソンの殺害、'70年代のマーガレット王女の荒れようと、ミック・ジャガーとのウワサ…って、そのミック・ジャガー出てるし。知れば知るほど面白い話でした。[インターネット(字幕)] 8点(2021-11-22 14:14:57)《改行有》

564.  殺人遊戯 《ネタバレ》 松田優作の遊戯シリーズ第2作…何てことは知らずに鑑賞。 松田優作といえば真面目で無口なハードボイルドな面と、探偵物語の工藤ちゃんみたいな饒舌でおちゃらけた面が思いつくけど、この作品ではその両面が楽しめて、ちょっとしたお得感があった。裸の大将みたいな格好しててもスラッとした松田優作はカッコイイなぁ。 「今日、野性の証明観に行かないと…」「ネバーギブアップ!」ラジオから『戦士の休息』と、同年のライバル映画ネタをジャンジャン出してくるのが笑える。たまたま先日観たばっかだし。こちらの音楽も大野さんなので、軽快でオシャレなルパンっぽさも味わえる。 鳴海という人物、照子が殺されて復讐のように花井組を壊滅させるとか、文太に殺人の報酬ぶんの金を全額置いていくような、情に厚い男の一面があるようだ。だけど人質にした美沙子にロシアンルーレット(もともと殺す気はないんだろうけど)をした後に「運が良い」と開放する。最後は自分を撃つ美沙子にキスをして撃ち殺す冷酷な一面もある。 最後の美沙子を殺す必要性がイマイチよく解らなかったけど、最初に殺された会長の秘書だった時は、美沙子はこの会長の愛人だったんだろう。その会長の利権を握ってクラブのママになってからは勝田の愛人だったから、5年前も今も、鳴海が暴れるたびに自分のパトロンを殺されてる。 最後鳴海に向かって撃つのは、きっとロシアンルーレットの仕返しなんだろう。もちろん鳴海に当てる気はなくて“もう運が尽きた”ことを伝えて、あの時に遡って殺してもらうことを望んだんじゃないかと。そう考えると美沙子を撃った鳴海は、一貫して情に厚い男と言えるかもしれない。美沙子の酒は涙でしょっぱかったのか。 寿会の銃撃戦は約3分に及ぶワンカット長回し。扉に穴が空いたりと、撮り直しが難しい中での一発撮りは、この時代結構スゴいことなんじゃないかな。 だけど確かに、殺されるヤクザのオーバーリアクションは、ふざけてるビートたけしみたいで笑えるかも。[インターネット(邦画)] 6点(2021-11-22 12:50:43)《改行有》

565.  野性の証明 《ネタバレ》 -野性の証明- 野生(=自然に育つ)じゃなく“野性(=動物の本能)”です。 たぶん兄が、原作の表紙(味沢が頼子を背負う絵)の、新聞の切り抜きをテーブルに置いていて、なんかあの絵の、生気のない頼子が幽霊みたいで怖かったんだ。これは絶対恐い本だ。と。それから数年、テレビでやってるのを観てしまう。これ昔見た恐い表紙の映画だ!と。 怖かったなぁ。テロ鎮圧シーンは大丈夫なんだけど、何も悪くない村人が次々残忍に殺されるのって、とてもショッキングだった。それと朋子の家に暴走族が来て殺されるところ。「家の中(安全地帯)まで入ってきて殺すなんて…」と、あれは逃げ場のない恐怖体験で、夜中に暴走族のバイクの音が聞こえると、家に襲撃に来るんじゃないかと、しばらく心臓パクパクして固まってたわ。 でも何だかんだ最後まで観て、頼子ちゃんが撃たれるのに悲しくなり、味沢の「頼子、行くぞ」に、何か熱いものが込み上げました。音楽も印象的で、メインテーマ(歌じゃない方)が頭の中でリフレインしていました。 大人になって観てみると、東北の羽代市が舞台で、そこでは自衛隊も警察も大場一族が支配しているというマッドシティ設定。ネットの発達で日本が小さくなった今と比べ、中央の力が及ばない地方都市なんてのも、あっても不思議じゃないなって思えた時代だった。犬神家の都市版のような雰囲気がいい感じだ。 朋子の姉を殺したのは味沢か、なぜ味沢が朋子に近づいたのか。野心的な記者の朋子と、保険のセールスマンの元自衛官・味沢。羽代市を支配する大場一族の裏の顔と、防衛省昇格を前に非公認の特殊工作隊を隠したい自衛隊幹部の思惑が交差する。複雑だけど面白い。 「俺たちが助かる方法は3つ。演習中隠れているか、演習地から逃げ出すか、あの22名を倒すかだ」ここまでは凄く盛り上がるんだけど、特殊工作員が一般の自衛官をあっさり殺す意外、特に盛り上がりがない。ここから、今までの面白いドラマが安っぽいアクションに切り替わってしまうのが残念。 エンディングが記憶では『戦士の休息』だと思ってたけど、大野雄二氏の音楽(頭の中でリフレインしてたやつ)だった。大野さんの音楽最高。 そのエンディングで、頼子との回想とか自衛隊との戦闘とかと一緒に、戦車部隊と一緒に歩く味沢の画が、当時も今も謎。 印象的な頼子の最後。撃たれて瀕死だった頼子は、予知能力で父がヘリの隊長に撃ち殺されるのを察知して、それで飛び出したんだろう。トロッコでの別れ際、味沢が「頼子ちゃん」と、他人扱いするシーンからの繋がりで『お父さ~~~ん!』「頼子!」は名場面。 頼子の父が発狂した原因の軟腐病。もしかしたらあの部落だけでなく、このマッドシティ羽代市にじわじわと軟腐病が浸透していたのかもしれない。“演習にかこつけて味沢親子を殺してしまおう”なんて、マトモな人間の発想じゃない。劇中何度も出てくるセリフの通り「狂ってる」。 そして最後の味沢の特攻。戦車と歩兵の大部隊相手に拳銃で戦いを挑む味沢。でも相手は特殊工作員でなく一般の自衛隊員。元特殊工作員ながら人間性・理性を失わなかった味沢も、この時には既に、軟腐病(≒野性)に侵されていたのかもしれない。[地上波(邦画)] 6点(2021-11-20 12:52:28)《改行有》

566.  オールド・ボーイ(2003) 《ネタバレ》 -Oldboy-“男子卒業生”…いわゆる“OB”ですね。 和製英語だけど原作が日本の漫画とのことで納得。あと“中年の男”って意味にもなるそうな。 いやいやいやいや…なんとも痛々しい映画だわ。肉体の痛みはもちろんだけど、精神的にズンと来るものがあった。 そしてオ・デスの復讐劇に見せて、彼の行動がウジンの復讐になっていたという、見事なシナリオ。 ミドと結ばれるのは、ある意味理想的な…というか、よくある展開だな、と思いきや、あんな気持ち悪い復讐が用意されていたなんて… このウジン、姉と相思相愛だったのは置いておいて、オ・デスに姉の死の責任を全部おっ被せるのは、八つ当たりとしか思えない。八つ当たりだけど、復讐を生きる糧にして、そのためだけに生きてきたのが、ウジンの最後も含め、悪役ながら悲しいものがある。 そもそもあんな公共の場所でコトを始めたあんたら姉弟が不用心だったんじゃ…?だけど大好きな姉が目の前であんな死に方されちゃ、心を病んでも仕方ないか。最後に写真を撮るシーンなんて何とも言えない美しさがあった。 ミドの所に箱があると知った時のオ・デス、ウジンと姉への心からの謝罪からの行動というより、自分とミドの関係を守るための行動に思えてしまう。そして最後の催眠術師への依頼なんてどう考えても自己保身からで、今後ミドと、親子ではなく恋人のままでいようとしたと思うと、まだ学生だったウジン姉弟より気持ち悪いかもしれない。どうしてミドから自分の記憶(中年男を好きになったこと)を消してもらおうとか、もっと常識的な依頼にしなかったのか。そして抱き合うオ・デスの表情が笑顔から悲しみに変わることから、催眠術は失敗したんだと思う。父親である自覚を持ったまま娘のミドを愛し続ける。地獄だ。 何とも恐ろしく悲しく、そして気持ち悪い。でも、正直言ってスゴい。[インターネット(字幕)] 7点(2021-11-19 19:31:55)《改行有》

567.  斬る(1962) 《ネタバレ》 序盤から光と影の使い方が効果的。深い影と強烈な光に浮かぶ暗殺前の藤子の肌の色。 足元を反射させる黒光りする床。俯瞰から入る妾の暗殺場面の生々しさと印象的な音楽。序盤との対比で入る、暗殺後の藤子の顔。 弟を逃がすために着物を脱いで戦う佐代の妖艶さ。胸元の汗と流れ落ちる真っ赤な血。この映画は女の描き方が妖艶で美しい。 必殺の“三絃の構え”は神秘的。だけどおそらく実用的な技ではなく、相手の戦意を奪う“はったり技”だったと解釈。 控室で襲い来る主水に、三絃の構えで梅の枝を故意に斬らせ、鋭利になった枝先で主水の胸を突く(この時の技は三絃の構えではない)。もちろん信吾の剣技実力は高く、この技がなくても強いけど。 殿を探す際、広い城中を駆け回る信吾。ここでも俯瞰撮影を多用していて見ごたえがある。 ただ父との再会や、新しい主君との関係、殿が命を狙われる理由、最後の切腹と、どうにもこの映画の目玉、伝えたいことが見えてこない。 序盤以降の、ほのぼのとした家族との暮らし。優しい養父とお殿様。お転婆な芳尾はこの映画の清涼剤だけに、この路線でずぅっと行ってほしかった。 時代を感じさせない映像の美しさはかなりのもの。上映時間の短い作品なので観易いと思う。[CS・衛星(邦画)] 5点(2021-11-17 01:43:01)《改行有》

568.  愛と追憶の日々 《ネタバレ》 -Terms of Endearment XXX- “愛称” …え?タイトル愛称なんだ?誰か個性的な愛称で呼ばれてたっけ? 意訳の“愛情を受けるための条件”…とかでも良いのかな? タイトルには含まれないけど、タイトル画面の最後のXXXは、手紙とかで書くキス。“Chu!”みたいなものみたい。 先日、瀬戸内寂聴さんが亡くなった。幼い頃から徳の高い尼さんという印象で見てたけど、出家する前は不倫したり娘を捨てたり、本能のままに生きてきたようで、知らなかったから結構びっくりした。人間生まれてから死ぬまで、誰であっても、どんな立場でも、どんな年齢でも、恋愛はするんだなぁ。本作もオーロラとギャレットの熟年の恋愛から、エマとフラップの結婚。お互いの不倫まで様々な恋愛模様が出てくる。 ただ、エマの不倫がねぇ…フラップがまだ浮気疑惑(あの段階でどれほどの確証があったのか?)なうちに、サムと不倫。そこまでは仕方ないとして、不倫してることをオーロラに相談してる事にドン引き。オーロラもフラップが大嫌いだからって、娘の不倫をどんな気持ちで聞いていたのか、とてもモヤモヤする。 妻が死んでいく事を受け入れて、自身の浮気を白状するフラップに対し、自分の不倫は墓場まで持っていくエマ。こんなところも、なんかやっぱりスッキリ出来ない。何が正解か解らないけど、恋愛に対して不誠実に思えた。 長男トミーのエマへの冷ややかな態度から、彼は母親の不倫を知ってたのかな?なんて思ったけど、そう言う描写は無かったな。 人生の最後、必死にトミーに語りかけるエマ、それを面倒くさそうに聞き流すトミーがリアル。これ大人になって絶対後悔する。 併せて、ママを怠け者扱いするトミーに手を挙げるオーロラのシーンも、かなり心に刺さる。叩くオーロラの心も痛い。 エマが死んだときのオーロラの『この子が逝けば苦しみが和らぐと思ってた』ここもとても共感。末期の家族を看病するのって精神的にも体力的にも疲れ果てるから、熟睡できない夜を何日も過ごしてるうち、つい“この状況、いつまで続くんだろ?”って思ってしまうんだよ…人間って弱い。 人は生まれてから死ぬまで、友情、愛情、不倫も含めて人を好きになり、愛を与えあう。 愛する人の死でポッカリ空いた穴は、残された家族と友人とで、時間を掛けて埋められていく。 ジェームズ・L・ブルックス監督って聞いたことあると思ったら、あのザ・シンプソンズのブルックスだった。へえぇ~~、こんなこともする人なんだ。[CS・衛星(字幕)] 6点(2021-11-17 00:43:40)《改行有》

569.  アタック・オブ・ザ・キラートマト 《ネタバレ》 -Attack of the Killer Tomatoes!-“殺人トマト達の襲撃” 学生時代に買って隅々まで読んだ『ぴあシネマクラブ』という分厚い映画辞典で“CULT作品”として紹介されていたこの作品。短い紹介文として10行くらいの簡単なストーリーが書いてあったけど、ほぼそのまんまの内容だったわ。 最初のヒッチコックの鳥の紹介(いや、アレ観て当時の人は嘲笑したのか?)から、実際の鳥の襲撃(ホントか?)は話の切り出しとして面白かった。そしてリアルなヘリの墜落(実際の事故らしい)。トマトが人を襲うという不条理さはともかく、狭い会議室とか日本人博士(フジ・ノキタファ博士)が戦艦アリゾナの写真を落とすとか、当時のコメディ映画として及第点なんじゃないか?って思って観てた。 ダサいヒット曲『思春期の恋』って歌がトマトの弱点とか、結構良く出来てる。架空のヒット曲みたいだけど、今の日本だと『パプリカ』みたいな歌だろう。 どうしてこれが、CULTな最低映画なのか?…まぁ早い話、退屈なんだな。 古い話だけど、吉田戦車の『伝染るんです。』って不条理4コマ漫画があって、アレたぶん、当時のリアルタイムの日本人じゃないと笑えない、基礎として日本の習慣や生活が染み込んでないと笑えない漫画だと思う。このキラートマトもたぶん、きちんと理解するには当時のアメリカ人としての生活習慣がないと難しくて、もし説明を受けて理解は出来ても、それを面白いこととして笑えないのかも?って思えた。 『名犬ラッシーと飼い主(ティミー)のように♪』とか、本来の意味を伝える字幕の努力は素晴らしい。テッドの翻訳家は見習ってほしいものだ。 …まぁ、どう褒めたところで退屈な映画なんだけど。[インターネット(字幕)] 1点(2021-11-14 19:06:41)(良:1票) 《改行有》

570.  ヒトラー 最期の12日間 《ネタバレ》 -The Downfall: Hitler and the End of the Third Reich-“没落:第三帝国の滅亡とヒトラー” 日本の終戦映画というと、一般市民目線や末端の兵士目線で描かれたものが多く、この映画のように上層部を描いたものって、思いつかない。戦国時代や幕末のものならあると思うけど、やはり太平洋戦争だと難しいのかな。 ドイツだってこういう、過去の忌まわしい歴史をほじくり返す映画を撮るのは、色んな面で難しかっただろうに、偏り無くしっかりと描いていると思う。なんか『国民は騙されてた!』とか『みんな本心はナチスに反対してた!』とか『ユダヤ人に同情してた!』とか、後のせサクサク作品にも出来たろうに。ヒトラーでさえ人間味と温かみを感じさせる描き方が出来るなんて、歴史への向き合い方がスゴいなぁドイツ。 ゲッベルス、ヒムラー、ゲーリング。本部の地下壕が舞台なため、大戦史上の重要な人物がふらっと出てくるのが観ていて豪華。「銃殺されに来た」と出頭するヴァイトリング将軍。インフラ破壊命令を拒否したシュペーア大臣。独裁者の絶対命令に対し、自分の考えで行動した姿が印象深い。エヴァ・ブラウンもとても魅力的な女性に描かれていて、ユンゲに高級なコートを渡すシーンとか、彼女の死の向き合い方がよく描けたと思うし、死の直前の結婚式なんて実話とは思えないようなドラマチックな展開に思えた。 ハンナ・ライチュの強行着陸は、たぶんヒロイズムになるから描かれなかったんだろうけど、彼女自身を熱狂的なナチス信者として描いている。もっと狂信的なのがゲッベルス婦人で、生き延びる道を模索するでなく、ヒトラーの死後に希望を見出だせないからと、自分の子に毒を飲ませる姿は、恐ろしくも悲しくもあった。 ヒトラーにしろゲッベルスにしろ、ベルリンを守る市民に対してコレっぽっちも気持ちがないのが、歴史に残る悪党らしくて、逆に清々しい。市民には一切同情しないけど、自分の子に毒を飲ませるのを全部妻にやらせるゲッベルスというのも、ある意味人間臭くてリアルかもしれない。 最後、現代のユンゲの「ホロコーストを知らなかった」は、嘘偽りのない事実だと信じよう。だけど当時の貧しい敗戦国から、ヒトラーを信じることで、豊かな生活とゲルマン人の誇りを手に入れたドイツ国民が、もしホロコーストの事実を知ったとして、ナチズムやヒトラーを止める事が出来たとは思えないし、きっと見て見ぬ振りをするしか無かっただろうから、あの最後の映像があっても無くても、ユンゲの答えは「知らなかった」しか無かったと思う。[インターネット(字幕)] 8点(2021-11-14 18:22:20)《改行有》

571.  無頼の群 《ネタバレ》 -The Bravados-“虚勢を張った者たち”…で合ってるのかな。 ジムの行動が不可解な気がした。妻の復讐相手が処刑されるのを見に来てるから、自ら手を下したい訳ではなかったようだ。4人組が逃げたんだから、復讐の良い機会だと真っ先にで追うでもなく、遅れて追跡隊に加わる。副保安官のプリモがいるのに、更によそ者なのに何故か追跡隊のリーダーみたいに指揮をとっている。 単独行動中、命乞いをするパラルを殺したときの様子から、当初の冷静さを失っていたようにも思えた。このパラルは村人だから母親が村に住んでいて、留置所では神父や母親の面会を断るけど、死の間際、聖母の名を呼び十字を切るところなんかは、タイトル回収とも言える。けど次のテイラーがどう殺されたのかわからないので、彼ら悪党たちが、どう“ブラバド”だったのか解りにくい。酒場で撃ち合いになったザッカリーを除いて(いや、国境越えてるから逮捕できないし、合法的に殺せる方向に誘導しているなぁコレ)、殺す必要のない殺しをしている。 ルーファンとの話し合いで誤解と真相が露呈する場面は、西部劇にこんなサスペンスっぽい結末があるなんて思ってなかったので、おぉ!?って思えた。う~ん…あんな良い人そうなバトラーが… ただ処刑を見届けるつもりが、ついカッとなって殺してしまい、最後に懺悔をするジムの行動もまた“ブラバド”なんだろう。 無関係なのに誘拐され陵辱されたエマが、ただひたすらにかわいそう。最後元気そうに村の生活をしてるのはともかく、ジムの見送りに参加するところとか、辛いだろうに逞しく(?)描かれていて、ちょっと時代を感じる。 一方でジョセファのように、女だてらに率先して追跡に参加するとか、製作年を考えるとなかなかアクティブだなぁ。 バトラーの焼く厚いベーコンと目玉焼きをルーファンが“ラピュタ食い”したのを観て、あまりに美味しそうだったから、ついつい私も真似してしまった。[CS・衛星(字幕)] 5点(2021-11-14 17:10:06)《改行有》

572.  地獄の7人 《ネタバレ》 -Uncommon Valor-“誰にも知られていない武勇” '80年代当時、こういうベトナム戦争を題材にした、戦争アクション映画って多かった気がする。その元祖のようだ。 そして'80年代後半は、もっとリアリティとメッセージ性の強い、本格的なベトナム戦争映画が増えたので、この映画もよくあるB級アクションってイメージだったように思う。 当時私がリアルタイムにこの作品を観ていたり、映画業界の知識や当時のアメリカの背景がもう少しわかれば、また違った視点で観られたかもしれない。ランボーⅡより先に世に出たこの映画、あの名作“ランボー”を撮ったコッチェフ監督作品だったことに驚いた。名優ジーン・ハックマンに、いぶし銀のフレッド・ウォード、若きパトリック・スウェイジも見どころ。しかも音楽はあのジェームズ・ホーナーで、どこか耳に馴染みある音色を楽しめる。 当時のアメリカは、ベトナム戦争の後ろ暗さを抱え、あの戦争の理由を考えながら、それでもレーガノミクスで“強いアメリカ”を掲げ、BORN IN THE U.S.A.を愛国心の歌と勘違いさせ、静かに暮らしたいランボーを再び戦地に送り、日本をバッシングして、アメリカが1番!アメリカ人が1番!って自分に言い聞かせて、立ち直ってきた時代。 仲間のために孤立無援で戦う七人だけでなく、マクレガーを助けて捕虜になったフランクの活躍の両方が、原題に掛かっているんだろう。 戦争に負けた事より、勇敢に戦った当時のアメリカ人と、家族や仲間のために武器を取る今のアメリカ人。俺たちはいつだって勇敢に戦うんだぜ!って自分に言い聞かせてる、そんな映画。 でも、この邦題がB級臭を強くしてるし、私も先にランボーⅡを観ていたので、当時は観終わった感想もコレと言ったものがなく、まぁ、同じような映画だなぁ…って感じだったっけ。あんまりベトナムっぽくない風景だなぁ。とか、火薬大げさ過ぎだなぁ。とか、銃撃戦に緊張感無さ過ぎだなぁ。とか、ヘリコプター使いまわしだなぁ。とか…そんなにお金は掛かってないのは観ての通り。 今回、無難に観終わったと思ったら、最後のセイラーの踊りを観ていて涙が出てきた。え?なんでここで泣いてるんだろ? セイラーの踊りは、下手じゃないけど際立って上手いワケでもなく、ある意味、滑稽な踊りにも見えるんだけど、劇中死んでしまうセイラーが、自分のやりたいことを全身で表現したようなあの踊り…なんかうまく書けないけど、感情の奥から涙が出たよ。 この映画を当時未見の人が、わざわざ今から観る価値があるのかは解らないけど、私は再見して良かった。[地上波(吹替)] 5点(2021-11-14 00:38:02)《改行有》

573.  アリー/スター誕生 《ネタバレ》 -A Star Is Born-“スター誕生”タイトルまま。 無名のシンガーが、突然人気ロッカーのステージに上げられて、ぶっつけでデュエット。トントン拍子にツアー同行して、アンコールでいきなりソロ。普通ならジャックのコンサートを観に来た観客には“え?誰?”だったろうし、スタッフも“え?歌わせるの?”だろうけど、この優しすぎる世界に、ガガの圧倒的な歌唱力が説得力を持たせている。 ジャックのキャラクターは、カート・コバーンの影響を受けたという。グランジとフォーク・ロックはジャンルが違うけど、 ジャックは“若くして自殺しなかったカート”だと思うと興味深い。 個人的にだけど、ニルヴァーナ辺りの'90年代後半から洋楽(ロック)のジャンルが多様化・細分化して、王道・本線を見失ってついて行けなくなり、空白の10数年を経て、レディーガガの登場に『おぉ!』って思った。 ドラァグ・クイーンのバーで歌うアリーは、実際のガガの下積み時代を彷彿とさせる。デビュー当時からシンガーとしての実力がスゴかったガガは、日本でも知名度が高かった。歌唱力より奇抜なキャラクターで取り上げられてたような気がしたけど、それでもアイドル以外の実力のある海外アーティストが日本で注目されるのは、久しぶりのことだったと思う。 邦題で“アリー/”って付けちゃったから、アリーの話とジャックの話のバランスに違和感を感じてしまうけど、人は死んで星になるって説は何も日本だけの表現じゃないようだ。[CS・衛星(字幕)] 5点(2021-11-07 12:12:42)《改行有》

574.  パンズ・ラビリンス 《ネタバレ》 -El Laberinto del Fauno-“ファウヌスの迷宮”パン=森の神ファウヌス 主人公が少女。引っ越しから始まる。森の中の石像。森の奥の異世界。カエルの番人。黒くて丸いススワタリ…でなくダンゴムシ。口に異物を入れて吐き出させる。カオナシ…でなく顔に目のない化け物。手を付けてはいけない料理を口にしてしまう両親…でなく少女。釜爺の貴重な薬湯…でなく町医者フェレイロの睡眠薬。味方になってくれる女中…でなく家政婦のお姉さん。千と千尋を観たデル・トロが自分流のファンタジーを創ってみたら、こんな作品になってしまったんだろうか?そんなイメージで鑑賞。甘さを抑えた大人向けのサイダーだと思ったのが、どっこい実はストロングゼロだったような衝撃。 猟師親子の殺害や捕虜の尋問など、義父のビダル大尉による非人道的な行為が描かれているが、同じ建物に居ながら、オフィリアがそれを目撃するとか直接絡む描写は無い。父を失い、故郷を離れ、母親は新しい夫の顔色を伺うばかり。確かにオフィリアは可哀想な立場だけど、衣食住には不自由がなくて、メルセデスや町医者ら村人が可哀想どころか、あまりに悲惨な境遇なので、どうも少女の可哀想加減に集中出来なかった。 ピカピカの鍵や特殊なナイフ(結果論、銃で流れる血で良かったんだから必要なかった?)は架空のアイテム。チョークは実在するただのチョーク。マンドラゴラの根は大きな生姜か何かかな? 最後の試練でパンと話すオフィリアが、大尉には彼女の独り言に見えてるシーンが、私には一番ショックでした。アレ全部妄想だったのか!って。 映画の意外な結末の中では、全部妄想パターンは割と定番なのかもしれないけど、現実があまりに救いようが無いのに、少女の拠り所のファンタジー世界にすら救いが無い絶望感。 あの場面、大尉にオフィリアを殺す必要性は無いのに、ついカッとなったのと、鬱陶しいし今後同じことがあったら面倒だから殺した。オフィリアも戦うでも抵抗するでもなく、弟を大尉に渡して、ただ殺された。主人公の幼い少女の最後が、こんなので良いのかな。 フランコ独裁政権の悲劇を描くのが主目的だろうし、そこは無知な私には大変勉強になった。独特の不気味なクリーチャー。地下王国のファンタジー世界。 たしかに不思議な魅力は感じるから高評価も納得だけど、救いある王国エンディングを打ち消す、現実世界のオフィリアの死で終わる本当の最後。 創作だからどんな物語かは作者次第だけど、こういう結末を選ぶことに、私はあまり共感できません。[インターネット(字幕)] 4点(2021-11-05 02:11:56)《改行有》

575.  バベットの晩餐会 《ネタバレ》 静かだけどすごい映画だ。ついつい2回連続で見てしまった。 ユトランド。海と草原しか無い寂しい土地。常に灰色の雲の掛かった重たい空。そこで育つ美しい姉妹。高貴な士官との恋愛や、パリの大舞台の歌姫を夢見ることもあっただろうけど、人生を謳歌すること無くただ年老いていく。姉妹も村人も、まるで生まれた時から死ぬ準備をしてきたような敬けんな信者だ。干したヒラメと乾いたパンを、水に浸して戻して煮るだけの質素な食事。この質素な食事が、まるで彼らの味気ない人生のように見える。 そんな村人も、普通の人らしく浮気をしたり人を騙したりもしていたようだ。年老いて人生の幕引きを間近に控えて、お互いにいがみ合う。質素で敬けんな彼らの歩んだ人生は正しかったんだろうか? 野心のまますべての夢を叶え将軍にまでなったローレンスは、人生に虚しさを感じていた。かつて喝采を浴びた歌手パパンは世間から忘れられ、寂しい老後を過ごしている。フランス随一のレストランの料理長だったバベットは、革命で夫と子を失い辺境のユトランドに流れ着いた。華々しく夢を実現してきた彼らの人生の末路。自分の選んだ人生、その選択は正しかったのか? 宝くじはバベットにとって、フランスとの唯一の繋がりである。一晩の晩餐会にその全額を投じたバベット。 村人にとって生涯たった一度であろう豪華な料理が、彼らの心を開かせ、過去の罪を許しあい、輪になって神への感謝の歌を歌う。 かつて無言で村を立ち去ったローレンスは、あれからおよそ50年ののち、マーチーネに告白する。その気持ちを受け入れるマーチーネ。 ヨボヨボだったレーヴェンイェルム婦人が最後、杖も使わず背筋を伸ばし、馬車に飛び乗る。 ローレンスのスピーチ、神の恵みに条件など無い。選択したものは手に入った。拒否したものさえ与えられた。 デザートのいちじくを手掴みで頬張る村人も、丁寧にナイフで切って口にする将軍も、口に広がる味は同じ。どちらの人生も正解だ。 自分で選んだ人生なら、どんな人生にも間違いはない。 タイトルの晩餐会、-Gæstebud=Feast-は“入念に準備したごちそう”だそうな。その晩餐会にバベットは顔を出さない。 この映画のタイトルは、料理を食べることではなく、創ることを表しているんだろう。料理は目で見て味わう芸術を作ることであり、人生も芸術。 神のもとに逝くのが人生の集大成=テーブルに出されるごちそうだとしたら、この長い人生はキッチン=入念な準備と丁寧な調理なのかもしれない。 キッチンで格闘して、料理という芸術作品を作り出す姿こそが、バベットの人生そのものなんだろう。[CS・衛星(字幕)] 8点(2021-11-03 11:16:39)《改行有》

576.  007/慰めの報酬 《ネタバレ》 -Quantum of Solace-“慰めに対する(ごく僅かな)分け前” ん~解釈が難しいタイトル。“Quantum”が敵の組織名ってことで、報酬の部分に掛かってるんだけど…今度改めて考えよう。 前作の直後も直後。ホワイトを捕えて移送中のカーチェイスから始まる、なんとも痺れる展開。カーチェイスの後に続くオープニング曲もカッコイイ。 …なのにですね、アクションシーンになるとチャカチャカ切り替わるカメラが、ハッキリ言ってウザいんですわ。およそ2秒毎にカメラが切り替わるから、脳ミソが処理できず、せっかくのアクションの凄さがサッパリ伝わらない、もったいないカーチェイスだったわ。その後のミッチェルとの追い掛けっこ。2秒毎のカメラ切り替えに、時々競馬みたいな競技が入って、変なサブリミナル映像みたいで笑ってしまった。そんなアクションのカメラワークだから、ワンカット4秒くらい続くと“お?長いな”って思うくらい。ボンドとミッチェルがガラス屋根を突き破って落ちるシーンとか、CMではカッコ良かったのにな…。 Mがどんどん好きになる。灰皿のシーンは笑ってしまった。あとヴェスパーと恋人の写真、ボンドに資料を見せた後、背中を向けるシーンは、ワザとボンドに盗む隙きを与えてるな。向き直ってから資料に目を落とさないところとかも含めて。 最後ヴェスパーの恋人を追い詰めたあと建物の外で、字幕ではM「片をつけた?」ボンド「いいえ」M「意外ね…」と。セリフはM「彼はまだ生きてる?」ボンド「はい」M「驚いたわ…」と。こんがらがるけど、敵組織に繋がる重要参考人を殺し続けたボンドに対するMの皮肉が込められてる。頑張れ字幕。 可哀想な最後を迎えるフィールズ。親しくなったボンドに名前を聞かれて「ただのフィールズよ」って誤魔化してたけど、ストロベリー・フィールズって言うんだな。可愛い名前だけど、本人は嫌だったろう。 今度の敵の目的が水。当時は石油でなく水ぅ~?って思ってたけど、現実問題、水道民営化の波が日本にも訪れている昨今、スパイ物も国家間の軍事バランスだけでなく、国家に入り込む巨大企業を絡めてきたんだろうな。 前作に比べて、終始コマンドー並みに暴れまくってる印象のボンド。復讐劇なので仕方ないけど、ボンドらしいスマートさは欲しかった。 前作でシャワーの下でヴェスパーを抱きしめたボンドの対比で、炎に包まれてカミーユを抱きしめるボンドがカッコイイ。[映画館(字幕)] 5点(2021-11-01 01:44:54)《改行有》

577.  タワーリング・インフェルノ 《ネタバレ》 -The Towering Inferno-“そびえ立つ地獄絵図” カメラが捉えた決定的瞬間とか、そういうので見たビル火災。ジョエルマビル火災の映像は子供の頃のトラウマだ。炎や煙から逃げる為に、助からないと解っているのに飛び降りる心理状態。将来住むなら一軒家だなって思ったね。 そんなジョエルマビル火災と同じ年に、この映画が公開されたことを後から知って、とても驚いた。当時の人はどんな思いでこの映画を見たんだろう?とか、興行的にマイナス要因じゃないか?とか。そもそも、ビル火災を娯楽として観るのってどうなんだ?ってなってしまいそうだけど、いやいや、そこは映画なんだからどんどん観よう。 OPの空撮が結構長い。サンフランシスコのビル群が街の巨大さを実感させる。その中でも当グラスタワーの高さが別格で、未来の建物って感じがする。それと当時日本ではまだ30階建てのビルが数本あった程度だそうだから、あの映像だけで、ほえぇ~~ってなっただろう。 当時のパニック映画の中で、ポセイドン・アドベンチャーと双璧と言える本作だけど、乗客自ら移動して活路を見出すポセイドンと比べ、こちらのゲストはジッとして動かない。主役が消防士(救助する)側だから、あまりゲストに勝手に動かれると困るというのもあるだろう。また本作では、活路を見いだそうと最初の場所(パーティ会場や寝室)から移動したら、ことごとく被害に遭うというのも、作品比較として興味深い。そしてポセイドンと違い、女性陣がほぼ役立たず。ゴンドラ乗ってから感傷に浸ってないで、もっとテキパキ・黙々と逃げろ。あとエレベーターでパワーズ隊員が宙吊りになった時、足掴むとかしてくれよって思った。そんな役立たずな女性陣の中で、一番頑張ってたリサには助かってほしかった。だけどあの“普段なら絶対乗りたくないゴンドラ”に、一部の男どもが助かりたいがために我先に群がり、理性を持って止めに入った人たちを蹴落とす地獄絵図は、凄惨の極み。 チーフ・オハラハンの感情を抑えた静かな言葉。冷静で重く、頼りがいがあって、メッチャカッコイイ。エレベーター救助の後、避難所で休んでる姿はボロボロ。それでも呼び出しがあればスッと立ち上がる姿が、またカッコイイんだ。上司にしたい度高し。 貯水タンク爆破のメチャクチャな提案。これ命令じゃないんだ。隊員の安全・避難経路が確保できないから、上司も提案は出来ても命令は出来ない。だからオハラハンは単身、自己責任で行かなきゃいけないし、パーティ会場で消火活動をするスコット隊員(ロボコップのオムニ社のジョンソン)も連れていけない(=命令になるから)。ここは消防士の労働基準をタテに民間人のロバーツを活躍させる、映画として上手い運び方だと思う。 高層ビルなのに椅子を投げて簡単に割れるガラスとか、壁に沿ったエレベーターにヘリからオハラハンを降下させるには屋上より上からじゃないと無理とか、あのヘリで3トン以上あるエレベーターを持ち上げられるのか?とか、色々思う所はあるけど、当時はあんな高層ビルが燃えること自体が想像の産物だったろうから、少々脳内でリアリティの補完が必要。 流石に時代を感じるようになってきたけど、未だに災害の恐怖と様々な教訓を与えてくれる本作。2回目の視聴になると、あのOPの実在するビル群に、いつかグラスタワーのような火災が起きるんじゃないかと思えるようになり、恐ろしく思えるようになった。[ビデオ(字幕)] 7点(2021-10-31 16:14:40)《改行有》

578.  007/カジノ・ロワイヤル(2006) 《ネタバレ》 ~Casino Royale~賭博場の王者。バトル・ロワイアルとかにも通ずる“最後に勝ち残る唯一の者”みたいなニュアンスがあるみたい。 学生の頃に“007=マンネリシリーズ”の烙印を押してしまい、過去作品をちゃんと観てきていなかったので、公開当時、前評判が悪かったダニエル・クレイグにも、特に不満も期待もなく、映画の日(元旦)だからと劇場に観に行った。そして私の007のイメージは跡形もなくブチ壊された。 007って何をやるにしてもスマートな印象だったけど、まだ若いくてダブルオーに成り立てのボンド。その最初の殺しの荒っぽいこと。それでもお決まりのガンバレル・シークエンス。初任務での迫力のパルクール。 この人がジェームズ・ボンドかぁ、悪くないというか、むしろカッコイイけど、でも、007ってこんなだったっけ? ヴェスパーのシャワーのシーンで見せる優しさ。ル・シッフルに負けてナイフを持ち出す弱さ。毒を盛られて死にかける危なっかしさ。この若く荒々しいジェームズ・ボンドに、気持ちが完全に持っていかれる。今までのボンドに比べて人間臭いから伝わるクレイグ・ボンドの魅力と強さ。 世界を股にかけるスパイ映画らしく、海外旅行感を感じさせる。だけどこの作品は色とカメラワークが凄く綺麗。ヴァレンカがル・シッフルの船に上がるシーンの黄金色の海。モンテネグロの鉄道。さらわれるヴェスパーを追うボンドの背景。映像から漂うゴージャスさ。何だろう、単に海外の綺麗な風景とかでなく、カメラの映し出す発色、その時間を感じさせる色がゴージャス。 生々しい拷問、アッサリしたル・シッフルの最後も007らしくない。普通、007の拷問はもっと、サラッとしたピンチっぽいし、最後はル・シッフルとのカーチェイスとか殴り合いだろう…ってところだけど、シリーズの呪縛、マンネリさを払拭する予想外な展開。 物語の最後、コモ湖の別荘でホワイトを撃っての決めセリフ。そしてようやく流れるジェームズ・ボンドのテーマ。007の誕生の物語。オープニング曲You Know My Nameのアンサーがここに来るカッコ良さ。話逸れるけどOP曲の後、最初に出てくる主要人物が、シリーズの後々まで絡んでくるホワイト。たまたまにしても上手に絡まったもの。 ヴェスパーを失った悲しみを背負うボンドの落ち着き具合が、私に共感を抱かせる。そして007という特殊なキャラクター、ポジションを、劇中クレイグ・ボンドの成長と共に体感出来た。すでにあった007シリーズではなく、私の中の007=クレイグ・ボンドが誕生した瞬間だった。[映画館(字幕)] 10点(2021-10-28 14:41:15)《改行有》

579.  トレインスポッティング 《ネタバレ》 ~Trainspotting~鉄道マニア(Trainspotter)が自分が観察した車両を記録すること≒些細なことに夢中になること≒ドラッグだけでなく女、007、サッカー、ケンカなんかも。またスコットランドではドラッガーが廃鉄道基地を溜まり場にしていたことから付いた隠語。 '90年代当時“クール・ブリタニア”ってムーブメントがあって、古くてカビ臭いイメージのイギリスから、若くて才能ある人々が台頭して、クールなイギリスを世界にアピールしてきた。ブレアは若干43歳で首相になり、オアシスやブラーがブリット・ポップとして音楽業界を席巻。映画界ではドラッグと向き合ったこのトレイン・スポッティングが、不活性な映画業界を引っ張った。 余談の余談だけど、このムーブメントに影響を受けたクール・ジャパンに足りなかったものって、客観的な視点と正しい自虐感だと思った。 快楽のためには座薬ドラッグをケツに入れて、汚い便所に手を突っ込む。社会に出ないでダラダラ・ズブズブとドラッグにハマるレントンを、ブリット・ポップに乗せて、奇妙な友人たちと共に描いている。ドラッグの禁断症状シーンの表現がまた素晴らしいんだ。どう考えても汚らしく格好悪いこんな所まで、スタイリッシュに描けるセンス。 仲間内ではマトモだったトミーは(セックスを自撮りする時点でマトモではないが)ドラッグにハマり、猫のバイ菌で死ぬ。カッコイイ大人の女ダイアンが、まだ学生だった制服姿のショック。育児放棄の犠牲になる赤ちゃんなんて、誰の子か解らないグチャグチャな状況。 レントンはドラッグを断って真面目に働く矢先、悪友に付きまとわれてドラッグの取引に手を染める。最後はその金を独り占めして悪友との縁を断つ。これで良いのか解らない結末。でもあくまで明るく、辛くても楽しげに、その日その場を生きる若者たち。イギリスが内側から壊れていく様子を、自虐的とも開き直りとも取れる魅せ方で表現したところがこの映画の格好良さだと思う。 初見時は私も20代前半だったか。あぁもっと若い時に、多感な時期にレビューしたかったな。この映画を初めて観た、あの当時の衝撃ときたら…手近にドラッグとかがなくて、本当に良かったと思う。[ビデオ(字幕)] 7点(2021-10-28 14:36:38)《改行有》

580.  スターシップ・トゥルーパーズ 《ネタバレ》 ~Starship Troopers~宇宙船の突撃部隊。宇宙の戦士ってSF小説が原作。 少年「僕だって戦うよ!」兵士たち『ハハハハ!』コレです、このワザとらしい演出。ヤラされてる感がキモい。 兵士の手から弾丸を貰い、嬉々として軍用ライフルを構える子供たち。死刑の生中継が娯楽になり、ゴキブリを踏み殺すとママ大喜び。 「良い虫は死んだ虫だ!」実際の災害現場で決めゼリフ。まるでバラエティ番組のような死者数のカウント。WARの文字の入り方。 人類が先に戦争仕掛けたって?虫相手に戦争を?そんなの成立するの?なんか、素直に信じられんのですけど… 軍事政権下、恋にスポーツに、若者らしい青春を謳歌したあとは、秀才もバカも当たり前のように軍に入隊する。 男も女も全部平等。訓練も食事も寝る部屋もシャワーも一緒。これならフェミニストも文句ないべ? 参政権ほか魅力たっぷりな市民権を得る為に、良く解らん巨大昆虫と戦ってバタバタと死んでいく若者たち。 走る兵士の息づかい、勇ましい音楽、飛び散る手足。死の生々しさがダイレクトに伝わる。戦車?パワードスーツ?そんなのもったいない、銃持った人間使った方がコスパ良いし…ってかい。死に方グロいわ。無残で恐いわ。観てて過呼吸になりそうだったわ。 巨大な宇宙船の発進シークエンス。宇宙ステーションに漂う被弾した戦艦たち。轟沈するロジャー・ヤング、宇宙に吸い出されるクルーたち。脱線する脱出ポット、宇宙を漂う死体。なんだこの作り込み具合は。 「恐怖心だ…怖がってるぞ!!」『イエアー!!(空に銃バババッ)』ISISか?何と野蛮な、何て無慈悲な、テンション下がるわ。 目の前でボーイフレンドが脳みそ吸い取られて死んだ直後、自分がフった元カレと笑顔でズッ友宣言。変態だ。コイツら絶対変態だ。 主人公側の勝利なのにこのモヤモヤした感じ、一緒に喜べない感じ。この血みどろの戦いを、一歩引いて、戦争とは無縁の安全な場所で観る私らの感覚。 考えたら人類の歴史は戦争の歴史、長い歴史から見ると、今の私たちみたいな平和な状況が稀で、一見野蛮な彼らの姿が、本来の人間社会、人間の本質なのかもしれない。だって彼らのその気持ち、ちょっと理解出来てしまうから。そして“あぁ、平和な国・平和な時代に生まれてよかった”って再認識。 しかし何て映画だ。作った人間も変態だわ…って何だバーホーベンか。スゴいっす。[DVD(字幕)] 8点(2021-10-27 19:27:11)(良:1票) 《改行有》

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