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81.  秋立ちぬ 何となくネオレアリズモ映画のような雰囲気がある。子供たちを追いかけるカメラの映像からそれを感じる。晩年の成瀬監督の作風とは少し違う、若い頃のリズムが漂っているような。でも面白いのはここで描く子供の目から見た「大人の都合」は絶対に子供の視線じゃないことだ。子供にいじめられるお妾さんがかわいそうで思わず苦笑してしまう。だからこの映画で一番描けているのはやっぱり女で、乙羽信子にしてもこのお妾さんにしてもお互いに弱い立場ながら必死に生きる術を模索している。母と女の使い分けか・・・それにしても子供たちは余りにも可哀相だ(笑)こうやって大人になるんだ、というには酷過ぎる。それでも、デパートの屋上から空を眺める少年の背中はやっぱり力強かった。[映画館(字幕)] 9点(2005-11-01 23:49:17)(良:1票)

82.  ハラキリ(1919) かなりレアな映画であることは間違いない。しかし激しくアレな映画でもある。や、別にストーリーは変ではないし、荒唐無稽なジャパニーズエキゾチズム(なんだそりゃ)もそこまで大げさではない。「サムライ、ハラキリ、ゲイシャ、ニホンジンミナキチガイネ!」みたいな西洋のバカバカしい視点を想像していたが、むしろ江戸時代の日本人の精神性をフリッツ・ラングがそれなりに表現しようとしている雰囲気があることに驚いた。坊主=エロの図式とか、いったい誰が教えたんだろうか。ラングはおそらく日本が好きなんだろう。そしてヨシワラはもっと好きなんだろう(メトロポリスを見よ(笑))。アレな映画と書いてしまったが、それは日本人として無意識に感じてしまう違和感を映画の文脈の中に混合してしまったからかもしれない。もっと純粋に、フリッツ・ラングの飽くなき好奇心にアンテナを当てていれば、「ドクトルマブゼ」とか「スピオーネ」で感じた興奮を味わえたのかもしれない。反省。でも、やっぱり変でしょ。 だから、やっぱ10点。[映画館(字幕)] 10点(2005-10-20 14:43:29)

83.  チャーリーとチョコレート工場 面白い映画ではあったが、そこまでは・・・という感じもある。ビッグフィッシュもそうだったけど、なんか薄い。彩度は高いけど明度に欠けるというか。まあ、無邪気じゃないということかもしれない。一番痛かったのは、工場内の見学が保護者同伴になってしまったせいで、工場内に漂うべきだったと思う不穏な空気(極端に言えば、一度工場に入ったら二度と戻れない、みたいな空気)が、ただのバカ家族ショーを披露する舞台にしか感じられなかった点。というか、ファンタジーという要素から一番かけ離れているものは、実は家族なんじゃないかと思うのだが。[映画館(字幕)] 6点(2005-10-18 23:28:38)(良:2票)

84.  エスケープ・フロム・L.A. Rock=American Spirit≒映画、ってことなのか?カーペンターの映画を見てから、ストーリーとか映像のチープな部分について突っ込むのは止めようと思いました。それって映画とは別の話ですし。映画としての完成度とかもどうでもいいっす。あの波とかさぁ・・・ここまでやっちゃったら、こっち側も一緒に壊れるしかないじゃないですか!大衆消費文化の申し子、映画。このことを体で理解して作っているに違いないカーペンターの映画は、映画の歴史という巨大なビッグウェーブに対しても、ピーター・フォンダのようにハイテンションでどこか狂ってる。このバランス。[映画館(字幕)] 10点(2005-10-03 00:27:58)(良:4票)

85.  トカレフ(1994) 子供がゴミ袋の中で発見されるあたりから、この映画は物語をちゃんと進行させることを拒否し始める。この映画が歪んだ社会を描くつもりも、犯人との心理ゲーム(あるいはそこから生じる家族の絆)を描くつもりでもないことはすぐに分かった。いらない物をどんどん削ぎ落とし、最終的には銃に憑かれた2人の男と、そして女だけの世界にしてしまった大胆さ。三者三様の孤独感の中で、それでも力強く生きる決意を見せる西山由海の表情。何かの予感を察知しながらも踵を返さないで祭りへと向かう彼女の後ろ姿は、一種の安らぎすら漂わせていたように思う。それに対して、死へと突撃する大和武と佐藤浩市の二人はその憎悪の形を歪めていく。それは2つの銃がもたらしたものだったのだろうか。だが派手な銃声はそこには響かず、命が削れる音だけが聞こえたようだった。「ソナチネ」からは絶対に見えてこない(ソナチネはまず、死が前提になっている)、生ありきの死がこの映画のラストにはあったような気がした。風車小屋が燃え上がる田園風景を突っ切る真っ赤な消防車が忘れられない。[DVD(字幕)] 9点(2005-09-26 15:09:10)(良:1票)

86.  驟雨 香川京子「『何だそれは、キュウリか?』って・・・」原節子「え?」香川京子「キュウリって言ったわよ!」ここで香川京子が泣きます。原節子は「まあ、それは失礼ねえ」とか言いながら可笑しいのを堪えています。もう、このシーンだけでも何度も見たい!(ちなみにキュウリとは、香川京子が描いた日本地図のことです・・・)成瀬の映画で庶民の日常そのものを描いている作品って、実は意外と少なく「驟雨」はその中の一つです。小気味よいテンポとささやかなピアノからなる、ほんとに小品といった感じのこの映画は、それでもいつものように全く手抜きがありません。商店街の雰囲気や、まだ道路の整備されていない住宅地の佇まい。たった一つの画面から様々な心情を映し出す撮影と照明の素晴らしさ。そして大げさにデフォルメされた人物たちのおかしさあふれる抜群な演出。幼稚園での会合のシーンなんて、例えば脚本を見ただけで、あれだけ連続性に富んだ映像を創造できる人はいないと思います。この年、成瀬監督は他に「妻の心」と「流れる」を上梓しています。しかも「驟雨」の前は「浮雲」!この事実を前にただ驚愕するしかないです。今ではもうそんなことはありえないから。[映画館(字幕)] 9点(2005-09-24 01:52:46)(良:1票)

87.  宇宙戦争(2005) 《ネタバレ》 父娘の命がけの逃避行は終わりを迎え、また運の良いことに、宇宙人たちも地球に棲むウイルスによって壊滅しつつある。家族とも無事に再開を果たし、爆死確実と思われた息子も我が家のドアから登場し、父との和解を果たす。トム・クルーズが演じた父親は無事に生還したのだった。ただしこの生還には家がない。まず、2番目の旦那が妻の隣にいる以上、トム・クルーズに居場所はない。となるとどこかへ戻るしかないのだが、その再帰還地点となる場所のなれの果ては、彼が撲殺したティム・ロビンスのそれかも知れない。それにもかかわらず、あのラストでスピルバーグが用意するのは残酷なまでに理想化された再会であった。死んでいればヒーローだったろう。だが、生きているうちは「前のパパ」であるしかない。「宇宙戦争」は、スピルバーグの無邪気さが歪んだ形で提示された作品とも言えるだろうが、それ以上に歪みつつある現前のアメリカについての言及という要素も多分にあるのだろう。という事なると、最初はそう思わなかったが、やはり同時多発テロ以降の作品という色合いが強い作品と言えるかもしれない。[映画館(字幕)] 9点(2005-09-20 15:41:37)(良:1票)

88.  ドクトル・マブゼ 最強。言葉失いました。[映画館(字幕)] 10点(2005-09-19 20:38:14)

89.  妖怪大戦争(2005) 妖怪、神木君、太もも、豪華なゲスト・・・これのどれか一つでも心の琴線に触れてしまったら、もう三池マジックにやられてしまう(僕はもちろん神木君・・・じゃなくて太ももです)。子供の頃にこれ見たら軽いトラウマになってたかもしれない、濡れた太ももの。真っ黒な日焼けではなく、真っ白な嘘と真っ赤な嘘の使い分けを覚えてしまうというセンチメンタルな夏休みとして少年期を決別させる感覚は、「千と千尋」で同じく妖怪たちに接した千尋の少女感覚とは違い、これはこれで結構好き。主人公の成長以外は、そのほとんどがバカバカしい映画だが、子供が見ても、大人が見ても(家族でみたらどっちもばつが悪そう)盛り上がるに事欠かない理想の映画なんじゃないかと思う。はっきり言って突っ込み所(姉ちゃんの存在価値は!?)は満載なのだが、結局最後は爆発しちゃうし、まあいいかなと。「フェリーニのローマ」みたいな感じで、この映画も「三池崇史の妖怪大戦争」にしたほうがよかったかもしれない。それにしても、あの巨大なバケモノ工場がなくなった後の高層ビルだけが崩れた東京、あれがどうしてもアメリカの国際貿易センタービルに見えちゃうんだけど・・・三池監督って「なんでやねん!」と突っ込まれたい人なんだということか。面白かった。[映画館(字幕)] 6点(2005-09-16 18:27:37)

90.  按摩と女 山道を歩く二人の奇妙なさま。やがて彼らが盲目であるということがわかるのだが、なんというか、自分はそのことに奇妙さを感じたのではなくて、ハンディを持つ彼らに対してこの映画は何の気も使わずに奔放に振舞わせていることに、それを感じ取った。平等という言葉を履き違え、均一であろうとすることを良しとする世の中でこそ生じる、あの吐き気を催す差別がここにはまったくない。この映画には「いき」を感じる。それはもちろん高峰美枝子が匂わす媚態にも。66分で終わってしまうには、あまりにも惜しい。でも「結局何も起こらなかった」美しい雨のラストに何度も立ち寄りたくなることは間違いない。[映画館(字幕)] 10点(2005-09-13 01:28:57)(良:2票)

91.  乱れ雲 成瀬監督の作品群の中ではかなり暑苦しい部類に入る脚本だと思う。もうメロメロのメロドラマ。だから(?)なのか、成瀬監督らしさが伝わってくるのは会話のない部分だったりする。視線劇は相変わらず。司葉子が朝帰りした時の森光子のあのイヤラシイ視線は凄い。「この下世話な○○女がっ!」と心の中で叫びそうになるぐらい(ウソウソ)。前半は司葉子(ホント綺麗。話が進む度に綺麗になってくる。) の悲しさばかりが引き立つが、後半は加山雄三の哀しさ、特にラホールのくだりは笑ってはいけないと思いつつその惨状には思わず笑ってしまう。「僕はついてる人間なんです。」ってあなた。最後の津軽節も司葉子のためだけでなく、自分のためにもという部分はあるのだと思う。よって後半は完全に加山雄三サイド。この時点で成瀬演出にしてやられてしまったわけである。もっと素晴らしい作品はたくさんあるけど、「乱れ雲」はそういうのとは別の意味で好き。これが文芸座でやっていた時、ちょうど司葉子のトークショーがあった。そこで出た話で印象的だったのはラストの十和田湖のシーンでのこと。これを撮る前日、撮影も終盤という事で特別に酒が振舞われたのだが、司葉子は自分のシーンが残っているし明日の化粧にも影響が出てしまうからと遠慮したそうだ。そうしたら成瀬監督が「今日はかまわないよ」とお許しを出し、その時は監督の人柄にとても心を打たれたそうだが翌日、いつもより一生懸命化粧していた司葉子に監督から一言「今日は正面のショットはないよ」。それがあの十和田湖の美しいシーンの正体。うーん、なんて人だ。[映画館(字幕)] 10点(2005-09-02 15:30:01)(良:2票)

92.  ジェリー ある「意図」を映画に放り込む、ということを先端まで突き詰めていくと結局こういう形になるんじゃないかと思う。それこそシネマスコープで撮ったということにも意味を感じてしまうぐらい。で、そこから「そういえば「エレファント」はスタンダードだったな」みたいな。こういう、どんな解釈も可能な、含みだらけ(実は何もないかもしれないという含みも入れて)の映画はあんまり好きじゃないが、この映画は、作った監督自体が可能性以上に不可能性をジェリーという同じ名前の人物に感じているみたいで、この作品に正面から付き合うには自分も「ジェリって」みるしかないな、という気分にさせる。感情移入じゃなくて自分を砂漠に置くという感じ。で、こういう感覚って映画館の中でないと生じにくいし、最初に書いたようにシネスコだからテレビだとめっちゃ画面が小さくなる。鑑賞という方法では多分死ぬほど退屈に違いない。真っ暗な映画館の中で、幾人かの観客と一緒にこの映画を共有する。そのことの重要性を想起させるだけでもこの映画は貴重な存在なのだが、この映画の配給会社(アメリカの)はつぶれたそうだ。で、日本でも実際に映画館で上映するにしてもどうせ大きいところではやんないから単館上映の小さな小屋で掛かるのがせいぜい(しかもレイトショー)。そりゃあ儲かんないだろうし、だからソフト化して回収できる分は、とか思ってるんだろうけど、これ、儲ける為の映画じゃないし。いやほんとに、環境映画のコーナーに置いてあげるべきだと思う。今度この映画が日本で上映されるのはガス・バン・サントが死んだ時かな・・・あーあ。まあ、「商売」としては完全に間違えた映画です。堪らなく良い映画だと思うんだけども。[映画館(字幕)] 10点(2005-08-31 02:12:19)

93.  秀子の車掌さん 自分も[黒猫クロマティ]さんと同じようなことを考えてました(笑)それぐらいに高峰秀子の純粋っぷりが微笑ましいのですが、それにしても意地悪な終わり方ですねえ!そんな憶測もしてみたくなるというもんです。でも何も知らない高峰秀子と藤原釜足に対して、真相を知ってしまった観客側は彼女の一回きりのガイドを真剣に、そして悲しみをもって(大げさですが)聞くに違いなく、歌を歌い続ける女学生に苦笑するしかないのです。この、まるで監督との共犯関係みたいな状態に、それこそ恥ずかしいのですがラムネの甘酸っぱさを感じてしまいました。ラムネと氷ラムネと氷、ラムネと氷。この映画はまさにこれに尽きます。小品ながらも、イジワルジイサンこと成瀬巳喜男の面目躍如といった感じ、ここから成瀬=高峰の躍進が始まったのだと思うとワクワクします。[映画館(字幕)] 10点(2005-08-29 02:13:22)

94.  ヴェラ・ドレイク イギリス映画で、20世紀の悪しき慣習がテーマで、ベネチア映画祭グランプリと三拍子揃えば、そりゃあこういう映画になるのは必然というもので、そういえばちょっと前に「マグダレンの祈り」という中途半端な映画があったが、方向性は違えど陰湿な空気はどちらも非常に類似している。この陰湿な暗さに完璧な正攻法で立ち向かった、無邪気なまでの創作意欲には敬意を表するが、この映画自体がまず古い慣習から抜け出ていないようにも感じた。古臭いという意味でなく、1世紀以上積み上げられてきた映画という集積物をなるべく崩さないようにと、つとめて優等生的に、もちろんその姿勢に対しての何らかの意図的姿勢を持つことなく、である。さらに苛立たしいのは社会とか戦後といった背景が、見え隠れどころか全く安易に映画の中でのさばっていること。一家をめぐる悲喜劇をもっと見せたかったに違いないが、その肝心なドラマは社会によって相殺されてしまった。主人公のおばあちゃんやその旦那たちはがんばったが、映画としての躍動感を感じ取ることができずそれにより演ずる側も演技を超えることができなかった。[映画館(字幕)] 5点(2005-08-23 02:19:31)

95.  気まぐれな唇 ダメ男のロードムービー。でもこの男は、なんか憎めない。そして女にモテる。映画は、韓国の田舎や街中をなにげなく切り取ったような構図の中で、人物がなにげない会話をなにげなく交わす。あるいはなにげなく体を交える。話が面白いとか映像が綺麗とか、そういう評価よりも人物の間の距離感とか空気あるいは仕草、そういう所を見つめるとこの監督がいかに周到な人かがわかる。エリック・ロメールという人物の名前が出てくるのも頷ける。しかしロメールの映画が極めて映画的なのに対し、このホン・サンスの「気まぐれな唇」は何となく文学的だ。そう感じた。いわく「顕微鏡のような」観察眼がこの人の映画の特徴なのだが、その視線は、というよりも彼の頭の中では、映像の連鎖というよりもむしろ高度な言葉の引き伸ばしによって映像に落とし込んでいるような印象を受ける。だからなのか、先ほど連打した「なにげなさ」が説明的な感じを持ってしまったような感じがしてしまう。とはいってもこの映画の質はかなり高い。役者が生き生きしている点は特に良かった。雨に始まり雨に終わる、思いっきり斜に構えた「韓流」である。[DVD(字幕)] 8点(2005-08-21 02:56:29)

96.  ソウ アイディアは面白いと思う。糸鋸というアイテムが個人的には好き。そして謎解き案内人の二人は観客の興味を減退させない、良い語り部だったように思う。この手の不条理サスペンスはまず第一に謎解きの快感を映画の人物とともに共感していく過程をどう描くか、というのがあると思うがそれは時間の制限というオプションも相まって結構成功していると思う。しかし、第二の点。ここがヒド過ぎた。つまり犯人である殺人鬼をどう描くか。アメリカという、殺人者のバリエーションが世界でもっとも多様であると思われる国で作られた映画にもかかわらず、その人物の造形があまりにも貧弱で、見る側を平気で置いてけぼりにするような突き抜けた想像力も持ち合わせていない。緩慢な死に対する大衆の圧倒的な無視だなんてあまりにも・・・。医者の蒼白の顔色ともう一人の男の最後の悲鳴が煽るのは10分もすれば忘れる表層的な恐怖に過ぎない。シチュエーションの異常さを装いつつも、そのアイディアに人物が勝てなかった残念な作品。[DVD(字幕)] 4点(2005-08-20 03:12:23)(良:1票)

97.  運命じゃない人 カンヌでいくつかの賞を獲ったらしい。カンヌがナンボのもんじゃい!とタカをくくっていたが、これが予想以上に面白い。計算され尽くしたコメディ、とまではいかないがそこに迫る勢いがある。人物がまるでマンガのようにデフォルメされていて、しかも有名な俳優を使っていない分、嫌味が全然なく映画に入り込めるだけでなく、時間軸をゴッチャにするというある意味で使い古された手法も本当にうまく使われている。おそらく脚本段階で相当に練られていたのだろう。いわゆる「まず話ありき」の映画。ちょっと綺麗にまとめ過ぎているからか、何か物足りなさを感じるが主人公の不可思議なガッツポーズは必見(二度目は特に!)だから、オススメの映画と断言したい。「電話番号をなめんなよ!」に身をつまされた・・・[映画館(字幕)] 7点(2005-08-17 21:37:17)(良:1票)

98.  エレニの旅 《ネタバレ》 アンゲロプロスの映画は大抵が「戻る」か「帰る」に重点が置かれる。エレニは最後、水没した自分の村に戻り、唯一頭を出している自分の家で息子(最後の家族!)の死を目の当たりにして泣き崩れる。場所を失うということは思い出を失うのとほとんど変わらないことに違いない。「心の中に生きている」という言葉だってもはや介在する余地がない。エレニにはもう帰る(戻る)場所がないし思える人もいなくなった。そして余りにも重い慟哭が曇天の空とそれを写す水の間で響きを打ち、映画は終わる。独立した三部作の一作目になる予定の「エレニの旅」は、失うということをエレニという一人の女性に背負わせる。20世紀の総括のスタートとして。言葉だけでは表しきれない哀しさや孤独と映像にすることができない不在の間を流れる音楽が、この映画を物語り、同時にエレニへ向けた哀歌となる。二つの村を造り、片方は水没させ、片方には無数の白布を干した。映像は、意味をすっ飛ばして説明のつかない力強さを提示するが、それは同時にあの赤い糸のように脆くもある。170分という時間の密度にふさわしいアンゲロプロスの神話的世界は、彼とその仲間たちの不屈の精神によって作り出された、20世紀という戦争の世紀を生きた一人の女性の愛の物語だった。[映画館(字幕)] 8点(2005-08-16 23:30:24)

99.  メメント 主人公の最終的に(つまり最初に)とった行動は、映画を作る等といった創作という部分に深く関わってくる。失われた記憶を探すという行為が、同時に虚構という概念の本質を断続的に照らすという離れ業をこなすこの映画は、最近のアメリカ映画に多く見られるアイディア一発オチ吃驚系の映画とは明らかに一線を画している。映画館を出て10分も経てば、箱の中で2時間大勢の人と共有した時間はほとんどが失われ、確認するためにパンフレットを買い、あるいは「みんシネ」を覗く。が、またすぐに忘れる。この反復の循環があるからこそ創作物は創作物たりえているのだと思う。そしてその創作物は、我々が忘れないようにと体のあらゆる部分に残したわずかな刺青によってゆっくりと進化している。でも実際の所それが進化かどうかはわからない。というのも、その刺青の記述が正しいかどうかは分からないわけで。話が脱線してしまったが結局の所「メメント」は、その映像手法や稚拙な演出はとりあえず置いておいて、語りの方法を引っくり返しかねない問題作だと思う。[DVD(字幕)] 8点(2005-08-16 02:29:56)(良:1票)

100.  リンダ リンダ リンダ 「ブルーハーツ!?熱いねえ・・・」ってしゃべるダブりの女子高生最高。屋上にマンガ喫茶経営するお前の方が熱い。「素晴らしい日々」歌っちゃってるし。遅刻の埋め合わせのために登場した彼女のギター演奏と、怪我でバンドに参加できなかった子の信じられない美声によってギャラリーが段々と体育館に群がる。大雨の体育館の中でのこの前座パフォーマンスはいまだに心の中に不思議な余韻を残している。あとぺ・ドゥナが徹夜練習の抑えきれない高揚(?)によって一人で校舎に飛び出すところ。これは本当にいいシーンだと思う。この終盤に来るまでは、笑いを狙いすぎたり山下ワールドを出そうとする過剰さに、煩わしさを少なからず感じたが終わってみれば満足(実はぺ・ドゥナとビラ配りを絡ませてくれただけで満足だったりするが)。先生が彼女達を見つめる視線にしんみり、ぺ・ドゥナがメンバーに振り向く視線にニッコリ。成瀬とは比べようもないけど、結構な視線の使い手かな?と思う。まあ、青春がテーマでもあくまでカーブを放る山下監督は、やっぱり推したい。[映画館(字幕)] 7点(2005-08-15 21:52:06)(良:1票)

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