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プロフィール
コメント数 615
性別 男性
自己紹介  洋画は字幕版も吹き替え版も両方観た上で感想を書くようにしています。
 ネタバレが多い為、未見映画の情報集めには役立てないかも知れませんが……
 自分と好みが合う人がいたら、点数などを基準に映画選びの参考にしてもらえたら嬉しいです。

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121.  パラサイト・バイティング 食人草 《ネタバレ》  面白いんだけど、それ以上に「痛い」映画。  特殊な植物の蔦が体内に侵入し、それを取り出そうと自らの身体を切り刻む女性のシーンなんて、もう画面から目を背けたくなるし、仮に背けたとしても嫌ぁ~な声と音がして容赦なく「痛み」を連想させてくるしで「そんなに丁寧に描写しなくても良いよ! 観客に痛みを伝えたりしないでよ!」と訴えたくなります。  そんな具合に、ともすれば不快感だけを味わう事になりそうな内容なのですが……  これが案外、しっかり楽しむ事が出来たのですよね。  まず、冒頭「災難に見舞われる前の、楽しい旅行風景」がキチンと描かれているのが好印象。  そして舞台となる遺跡を訪ねる際に、現地人から「あそこだけは止めておけ」という類の、お約束の台詞が飛び出す辺りが、何だかニヤリとさせられるのです。  作り手に対し「おっ、分かってるね」と拍手を送りたくなるような演出。    麻酔無しで脚を切り、これで何とか助かったかと思われたのに、その後に口から蔦が入り込んだ時の絶望感なんかも良かったですね。  じわじわと追い詰められていく描写が丁寧なので(あっ、これハッピーエンドは無理だな……)と、観客にも自然と受け入れさせてくれます。  そうして全滅も覚悟したところで、ヒロインだけは何とか遺跡からの脱出に成功するという結末は意外性がありましたし、途中(プレッシャーに押し潰されて、嫌な奴と化してしまうのでは?)と不安になったりもした一同のリーダー格、医学生のジェフが最後まで良い奴のまま、自ら囮になってヒロインを逃がしてみせるという展開も好みでした。  とにかく観ていて「痛い」と感じる場面が強烈なので、再見したくなる映画とは言い難いのですが(観て良かったな……)と、素直に思えましたね。  なお、DVD収録の別エンドでは、ヒロインも結局は死んでしまうという救いの無い結末なのですが、自分としては「何とか一人だけは助かった」という、本編の終わり方を支持したいところです。[DVD(吹替)] 6点(2016-12-22 06:52:49)(良:1票) 《改行有》

122.  ダウト ~あるカトリック学校で~ 《ネタバレ》  こういった論戦を扱う場合、どうしても「性的虐待の疑惑を受ける神父」が悪であり「真実を追及するシスター」が善であるという印象を与える事は避けられないと思うのですが、この映画は非常にバランス感覚が巧みでしたね。  前者は子供達に優しい人気者で、古臭い考えの教会を変えようとしている革新派。  後者は子供達に厳しい偏屈者で、古き良き教会を守ろうとしている保守派という対比なのですから、つい前者に肩入れしたくなってしまう。  けれど演じているのが、如何にも裏がありそうなフィリップ・シーモア・ホフマンと、とても悪い人には見えないメリル・ストリープだったりするものだから、観客としては「どちらが正しいのか?」と固唾を呑んで見守る事になる訳です。  特に「上手いなぁ……」と感心させられたのが、生徒から取り上げたトランジスタラジオを愛用していると、シスターが嬉しそうに語る場面。  正直言って、それは最低だよと呆れちゃいましたし、それによって「このシスターは他人に厳しいだけで自分に甘いという、信用してはならない人物だ」という印象に繋がり、最後まで「神父とシスター、どちらが正しいのか分からない」と観客に適度な「疑惑」を与える効果があったと思います。  そもそも彼女は「この教会に悪影響を及ぼす神父を追い出せれば、それで良い」と考えているフシがあり、本当に性的虐待があったとすれば真っ先に優先すべき「少年を神父から守らなければいけない」という意思が感じ取れない為、どうしても感情移入を拒むものがありましたね。  他の教会に転任させても、そこで別の少年が犠牲になる可能性もある以上、神父を追い出すだけでは意味が無いはずです。  彼女が善人であるとは、最後まで思えませんでした。  結論を言うと、この映画では結局「真実」は不明なままです。  勿論、神父は限りなく黒に近い反応を示しているのですが、確たる証拠は劇中で提示されていません。  劇中の「たとえ確信を持ったとしても、それは感情だ。事実じゃない」という台詞にも象徴されていると思います。  そもそも、そんな「疑惑」を抱かれた時点で迷惑だし、一度不名誉な噂に晒されれば、それが事実無根であっても取り返しがつかなくなるという事は、神父の説教の中でも語られています。  過去を探られるのを嫌がった事だって「過去にも同じような噂が立った事があるので、それを知られたらますます自分の立場が悪くなる」というだけかも知れません。  悪く考えるなら「過去には過ちを犯していても、今回は無罪だった」という可能性もありますし、良く考えるなら「少年が同性愛者である事は気付いていたので、彼を疑惑の渦から守る為に自分は立ち去った」という可能性だってあると思います。  だからこそ、ラストシーンにてシスターが「本当に自分は、自分の行動は、自分の過去は、自分の信仰は、正しかったのか?」という「疑惑」を抱く形で映画が完結したのでしょう。  上述の通り、映画だけで判断するなら「疑わしきは罰せず」「神父は無罪である」となる訳ですが、現実世界にて「神父に性的虐待を受けていた少年が無数に存在する」という悲しい証拠が、これまた観客の判断を狂わせるというか「もしかしたら?」という「疑惑」をかき立てる訳で、本当に上手くて、そして狡い作品ですよね。  こういった具合に、煙に巻くというか、あえて真相を明らかにしない映画も嫌いではないのですが、本作は論戦をクライマックスに据えておきながら「神父もシスターも、どちらも勝者とは思えない」「神父は心に傷を負ったまま栄転し、シスターは目的を達成するも罪の意識を抱いている」という、痛み分けのような形であった事が、どうもスッキリしない。  この映画のテーマを考えれば、観客にも「疑惑」を残したままで終わらせるのが正解だったと思いますが……  自分としては明確な「真実」を示してもらいたかったなと、つい考えてしまいました。[DVD(吹替)] 6点(2016-12-22 03:41:56)(良:1票) 《改行有》

123.  サタンクロース 《ネタバレ》  クリスマスにサンタが人を殺しまくる映画といえば「悪魔のサンタクロース 惨殺の斧」などの前例があります。  けれど、あちらが「サンタの扮装をした殺人鬼」という扱いだったのに対し、こちらは本物のサンタという設定なのだから、よりインモラルですね。  煙突から家屋に侵入し、室内にいた人々を殺しまくる冒頭のシーンから、もう「掴みはOK」といった感じ。  こうして文字に起こしてみると、如何にも残酷な映画であるように思えますが、実際はといえば、軽快なBGMに乗せてスピーディーに、しかも様々な小道具を用いて楽しそうにサンタが殺していくものだから、どう見てもギャグにしかなっていないというバランスでしたね。  サンタクロースの恰好をスタイリッシュにアレンジして、さながらダークヒーローめいた趣きさえ漂わせている辺りも、実に効果的だったと思います。  ただ、それだけに終盤では上着を脱ぎ捨てて「サンタクロースの恰好」から外れてしまっているのが残念。  結末も「主人公達はサンタを倒す事が出来ず、北極に追い払うのが精一杯だった」という形であり、ちょっとスッキリしないものがあります。  まだまだ精神的に未熟な若者である主人公が、可愛らしいヒロインと共に「また現れるだろうけど、次も追い払ってみせる」と決意してみせた空気だったのは、成長を感じさせてくれるけれど、一応サンタを倒して決着をつけて「もし甦ってきたとしても、再び倒してみせる」という形にしても良かったじゃないか、と思えましたね。  続編を意識したのか、あるいはラストの空港でのやり取りを描きたかったのか、作り手の真意は不明ですが、もっと綺麗に完結させて欲しかったところです。  空飛ぶトナカイからプレゼント爆弾を投下するサンタの姿は、それだけでも「観て良かった」と思えるものがあるし「図書館では静かに」などのギャグも面白い。  ミニオーブン、胡桃割り人形などのアイテムの使い方も上手かったですね。  主人公とヒロインのコンビも「良い奴ら」であり、ともすればサンタ側に感情移入しそうになるのを引き止めて、素直に彼らを応援させてくれるのに成功していたかと思います。  ラストにて二人が結ばれる事も併せ、デートムービーとしての魅力を備えている辺りも素敵。  何もかも理想通りとはいかないけれど、全体的には楽しめた時間の方が、ずっと長かったという、それこそ現実のクリスマスのような映画でありました。[DVD(吹替)] 6点(2016-12-13 20:00:18)(良:1票) 《改行有》

124.  武士の一分 《ネタバレ》  姉妹作とも言うべき「たそがれ清兵衛」「隠し剣 鬼の爪」については、何年も前に観賞済み。  何となく観そびれていた本作にも、ようやく手を出してみたのですが、上記二作と変わらず楽しむ事が出来ましたね。  とにもかくにも主演に「現代のアイドル俳優」というイメージが強過ぎる為、最初の内は「武士という割には軽過ぎる」という違和感もあったのですが、それが中盤以降の悲劇的な展開との落差を生む事に繋がっており、結果的には良かったと思います。  妻の加世、中間の徳平に軽口を叩く姿も、ちょっぴり嫌味なのに愛嬌がある辺りなんかは、正に木村拓哉という存在だからこそ、という感じ。  また、真っ当な殺陣の魅力に関しては一作目の「たそがれ清兵衛」で存分に描いている為、二作目と三作目においては「隠し剣」「盲目の武士の戦い」という変化球で攻めた辺りも正解だったのではないでしょうか。  歴代の中でも、間違いなく本作が一番不利な状況下での戦いであった為、前二作と同じ流れで最後は主人公が勝つだろうと安心しつつも「本当に勝てるの?」という緊張感を、適度に抱く事が出来たと思います。  あえて言うなら「決闘の場所の下調べくらいはしておくべきじゃないか」とも思えましたが、それをやるのは卑怯という価値観なのかなと、何とか納得出来る範疇でした。  それよりも個人的に残念であったのは、タイトルにもなっている「武士の一分」の使い方について。  復讐の動機は、妻が辱められた事にあると言い出せず「武士の一分としか申し上げられません」と絞り出すような声で訴える場面は凄く良かったと思うのですが、その後も「武士の一分」という言葉を繰り返し用いるものだから、ちょっと重みが薄れたように感じられてしまったのですよね。  全ては「あの御仁にも、武士の一分というものはあったのか」という台詞に繋げる為だったのかも知れませんが、それならせめて使用は二回までに留めて欲しかったなぁ、と。  脇役に関しては魅力的な顔触れが揃っており、本人に悪気は無くとも傍迷惑な叔母さんは妙に憎めなかったし、意外な名君であった殿様の存在感も良かったですね。  特に後者に関しては、主人公の失明後も「大儀」と一声掛けるだけであり、所詮は家臣の事など軽く考えている天上人なのだと示す場面があっただけに、その後に真相が明かされる場面には、完全に参ってしまいました。  家老の結論を覆し、藩主自ら主人公を庇ってみせたのだと判明する、あそこの件が、この映画のクライマックスだったのではないでしょうか。  結局、決闘については周りに知られぬまま、主人公の仇討ちが咎められる事も無く、離縁した妻とも再び結ばれるハッピーエンドを迎えた本作。  ですが、あの殿様であれば、たとえ事情を知ったとしても、きっと公明正大な処置を下されたのではないかな、と思えました。[DVD(邦画)] 6点(2016-11-17 12:10:58)(良:2票) 《改行有》

125.  トレジャー・プラネット 《ネタバレ》  基本的な設定を拝借しただけの別物かと思いきや、予想以上に「宝島」のストーリーを忠実になぞっていた事に驚かされました。  主人公のジムが青年に近い外見となっており、感情移入しやすくなっている事。  そしてシルバーがサイボーグという設定の為、武器をアタッチメントする描写が楽しかったり「目に油を差し過ぎたようだ」という台詞にホロリとさせられたりした辺りは、良かったですね。  その一方で、船長を女性に変えた事に関しては「女っ気の無さを改善する」という以上の意義は窺えず、最後に天文学者と結ばれる顛末に関しても予定調和で驚きも無かった為、ちょっぴり残念。  原作小説を既読の為、仕方無い事ではあるのですが、ストーリーとしては王道そのもの、全て決められたレールの上を走っているかのような印象を受けてしまい、少々退屈さを覚えたりもしましたね。  失望したり、落胆したりする事は無い代わりに、大きな興奮も味わえない感じ。  そんな中でも、欲深なシルバーが宝物を諦めて、息子のように可愛がっていたジムを助ける事を選ぶ場面に関しては、とても良かったと思います。  両者が絆を育む描写が丁寧であっただけに「そう来なくっちゃ!」と、声を出して歓迎したくなるような展開。  別れのシーンにて、ジムとシルバーが抱擁を交わす姿にも、涙腺を刺激されるものがありました。  「宝島」最大の魅力といえば、やはりシルバーの存在に尽きると思っているので、本作の扱いに関しては、大いに満足。  ジムとの交流を経て、段々と父性が芽生えていき、悪党から足を洗いそうになるも、最後の最後で善人にはなりきれないまま退場するという、その独特のキャラクター性が、しっかりと表現されていたと思います。  そういった具合に、原作と同じような魅力を秘めているからこそ (もし「宝島」のストーリーを全く知らない状態で、この作品を観ていたら、もっと感動出来ていたかも知れないな……)  と思うと、何とも勿体無い気持ちになる。  そんな一品でありました。[DVD(吹替)] 6点(2016-09-29 23:15:43)《改行有》

126.  半分の月がのぼる空 《ネタバレ》  作中にて「こういうの言うのって、疲れるね」との台詞がありましたが、観ているこちらまで疲れてしまうような内容。  まず、大泉洋が主人公の未来の姿であったという叙述トリックについては、見事に騙されました。  その驚きと感動が同時に味わえる演出は確かに凄いと思うのですが、ただ一点。  主人公には娘の未来がいるにも拘らず「里香がおらん俺の人生、空っぽや」なんて、それだけは父親として絶対に言っちゃいかんだろうという台詞を口にしたのが、受け入れ難いものがあったのですよね。  過度な自己憐憫で泣かせようという、作り手の意図が透けて見えたように思えて、折角の感動的な場面なのに、白けた気持ちになってしまいました。  せめて、その後にもっと明確に「自分には娘がいた」と気付いて反省したり、この子の為に頑張って生きようと決意するシーンがあったりすれば良かったのですが、それも無し。  また、最後に勇気を出して手術を行うと決意する理由も「里香の命令やもんで」って、照れ隠しではなく単なるヒロイン依存症に思えてしまい、残念でした。  基本的にはベタな「難病もの」であり、王道の魅力を備えているのだから、ツボにハマれば、素直に感動出来たのだと思います。  けれど、本作は自分の好みとは違っていたみたいで、何だか凄く勿体無い気持ちになりましたね。  一緒に病院を抜け出して、ヒロインの思い出の場所に連れて行ってあげる件。  そして学校の劇に、急遽代役として二人が出演する件などは、ご都合主義ではあるけれど「青少年がやってみたいと願う事を、映画の中で疑似体験させてくれる」という意味では、とても良かったですし、好印象。  特に後者の最中にて「私は、一瞬でも長く貴方の御傍にいたいんです」という台詞を、ヒロインが迷った末に口にする流れなんかは、本作の白眉であるように感じられました。  その劇の後、お姫様の恰好のまま倒れたヒロインを、王子様の恰好をした主人公が病院へと運ぶシーンにて、おんぶ等ではなく、ちゃんとお姫様抱っこで運んでいる辺りにも感心。  こういった細かい部分にて、観客の喜ばせ方を心得ているかどうかって、とても大切な事だと思います。  宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」が作中で効果的に扱われている辺りなども、ファンとしては嬉しい限り。  ラストにて、二人のキスと同時に、エンディング曲が流れ出す演出も秀逸でしたね。  性行為などの演出は徹底的に省いているのも「純愛」「真摯な物語」といった感じがして、作り手の誠実さが伝わってきます。  細かい部分での違和感、好みの違いはありましたが……  決して嫌いにはなれない、とても真面目な映画でありました。[DVD(邦画)] 6点(2016-09-28 22:03:22)(良:1票) 《改行有》

127.  クライムチアーズ 《ネタバレ》  どうやら自分は「チアリーダー」という存在が好きみたいだなと、遅まきながら自覚させてくれた一品。  何せ、劇中の四分の一くらいはチアリーダー衣装の女の子達が登場し、その魅力を振りまいてくれる内容なのだから、もう参ってしまいます。  と言っても、実際にチアリーディングのダンスを披露しているシーンは、極僅か。  その分、お金を盗む時もチア姿、留置場の檻の中でもチア姿と「そこまでやるか……」と思えるくらいに衣装に拘っており、殆どコスプレ映画といった趣がありましたね。  そんな品であるのだから、真面目にツッコミを入れる方が野暮かも知れませんが、一応は不満点なども。  同情出来る動機があると言えども、主人公達は犯罪行為を行っているのに、それに対して一切罰を受けない結末であった事には、驚かされました。  てっきり「無罪にはなるけど、証拠品のお金は燃やす破目になる」とか、そんなオチだろうなと予測していただけに、この完全無欠なハッピーエンド(?)っぷりには、唯々吃驚。  一応、無罪放免の代償としてチアリーダーのキャプテンの座を差し出した形にはなっているのですが、妊娠した以上は遠からず引退する事になっていたでしょうし、自己犠牲的な要素は希薄。  その能天気っぷりが意外性もあって良い……と言いたいところなのですが、正直、この「完全犯罪が成立しての大儲けエンド」には、後味の悪さ、若干の後ろめたさも感じてしまいました。  けれど、総じて考えると長所の方が多かった映画だと思いますね。   まず、キャスティングが良い。  「アメリカン・ビューティー」のミーナ・スヴァーリが、本作でもチアリーダー姿を披露しているだけで嬉しくなってしまうし、それよりも何よりも、ジェームズ・マースデン!  実写版サイクロップスなど、とかく不幸な役柄の印象が強い彼が、本作においては文句無しで幸せな結末を迎えているのだから、もうそれだけでも満足。  頭は軽いけど、底抜けに良い奴という旦那役を好演しており、その明るい魅力を見せ付けてくれていましたね。  「賢者の贈り物」めいたクリスマスのプレゼント交換の場面なんて、特にお気に入り。  結局、主人公のダイアンは罪を認めないままだし、強盗で得た金という秘密を抱えたまま生きていく事になる訳だけど、こんな旦那さんが一緒であれば、罪悪感に苛まれる事も無く、幸せな一生を送る事が出来そうです。  全編のあちこちに「銀行強盗映画」へのオマージュが散りばめられており、そのチョイスが「ハートブルー」「レザボア・ドックス」「ヒート」「狼たちの午後」と、自分好みなラインナップであったのも、嬉しかったですね。  映画を参考にして強盗を行うという、ちょっぴり際どいストーリーになるのかと思いきや、中盤にて 「映画は教材にはならない」 「映画から学べるのはセックスだけ」  と結論を出してしまう辺りも、皮肉なユーモアがあって素敵。  やはりコメディを楽しむ際には、道徳や倫理観に縛られていては駄目だなと再確認させてくれる。  良質な娯楽映画でありました。[DVD(字幕)] 6点(2016-08-17 00:16:37)《改行有》

128.  リンダ リンダ リンダ 《ネタバレ》  途中までは退屈で仕方なくて (リアルな高校生活を描きたいのかも知れないけど、そのせいで山場の無い映画になっているよなぁ……)  などと意地悪に考えていたのですが、いざ本番での演奏シーンには圧倒されましたね。  それまでがテンションだだ下がりであっただけに、揺れ幅の大きさを感じられました。  演奏開始前に、主人公の女の子達が「どうだった?」「言えなかった……」と笑顔で会話を交わす辺りも良かったです。  上述のように、ラスト十分ほどは楽しめた作品なのですが、気になる点も幾つか。  まず、主人公達が遅刻したせいで色んな人に迷惑が掛かっているはずなのに、謝罪する姿が殆ど描かれていない事。  そして観客である自分としては、映画冒頭にて、ぎこちなく「リンダリンダ」を歌っていた留学生の少女が、きちんと歌えるようになったというギャップに感動させられたけれど、映画の中の人々まであんなに熱狂しているのは不自然に思えた事。  ユニコーンの「すばらしい日々」などが、あまりにもブツギリな編集となっており(ちゃんと区切りの良いところまで聴かせて欲しいな)と思わされた事。  一番キツかったのが、エンドロールにて本物のThe Blue Heartsによる「終わらない歌」を流した事で、これはもう何と言うか、残酷です。  せっかく(女の子達が頑張って演奏する姿、良いなぁ……)と思っていたところだったのに(やっぱり本物は違う!)と唸らされ、先程までの演奏が、完全に霞んでしまったのですよね。  せめて劇中で彼女達が「終わらない歌」を唄っていなければ何とかなったかも知れませんが、ご丁寧に連続して聴かされたものだから、たまらない。  全体的には嫌いな作風ではありませんし、監督さんの「溜めて溜めて、クライマックスで解き放つ」上手さは凄いと思うのですが、最後の最後で(何も本物を流さなくても……)と、嘆息させられた形。  一度は感動したはずなのに、それを上書きされてしまったという、貴重な体験を味わえた映画でした。[DVD(邦画)] 6点(2016-07-12 05:22:29)(良:2票) 《改行有》

129.  ヤッターマン(2008) 《ネタバレ》  元々アニメ版においてもドロンジョ達が主役だった印象があるのですが、実写映画版では、それが更に顕著な作りとなっていますね。  ではヤッターマン達の出番はどうするのか、という問題に対し「ドロンジョが一号に恋をする」という設定を持ち出して、三角関係という形で解決してみせた辺りが上手い。  深田恭子さんは意外な程のハマり役で、当初こそ「おばさんっぽい色気が足りないのでは?」と思っていたはずなのに、終盤に至る頃には、完全に心奪われていました。  ちょっとロリータな魅力も秘めていたりして、背伸びして悪役ぶっているような感じが、実に可愛らしかったのですよね。  「夢は、お嫁さんになる事」と判明するシーンなんかは、特に素晴らしくて、思えばあそこから画面に釘付けになっていたような気がします。  作中のギャグに関しては「うわぁ、下らない……」と笑ってしまうか、呆れてしまうか、半々といったところ。  ラストにて親子が山を降りていくシーンや、ヤッターキングを大きく作り過ぎてしまったシーンは前者。  バージンローダーが攻撃に悶えたり、消えてはならないものが消えたりする件が後者でしょうか。  「助けるだけが正義じゃない。誰だって自分の力で乗り越えなければいけない時がある」などの台詞はシリアスで良かったと思うのですが、その後にあからさまなギャグ(阿部サダヲの一人芝居)に繋がる辺りは、ちょっと好みとは違っていたかも。  シリアスで決めるところは決めて欲しかったなぁ、と思わされました。  アニメで印象的だった「三人組が解散し、それぞれ別の道を歩いていくも、結局その道は再び一つに合流するようになっている」場面が再現されていたのは、嬉しい限り。  エンドロール後に流れる次回予告も、中々に興味深い内容でしたね。  観客に楽しんでもらおうという気持ちが伝わってくる、サービス豊かな映画でありました。[DVD(邦画)] 6点(2016-07-06 08:16:15)《改行有》

130.  俺たちステップ・ブラザース -義兄弟- 《ネタバレ》  主役の二人が十歳と九歳であったなら、微笑ましいファミリームービーだったのだろうなと思います。  それぞれの父と母が再婚する事になり、義兄弟となった幼い二人が喧嘩しながらも絆を育んでいくという形。  新しい母親が自分をどれだけ甘やかしてくれるか確かめたり、二段ベッドを作っても良いかと両親に提案したりするシーンなんて、きっと可愛らしかったでしょうね。  それを四十歳と三十九歳の中年男にやらせているというギャップが本作の面白さなのでしょうが、自分としては少々観ていてキツいものがありました。  どちらかというと、主役の二人よりも二人の両親の方に感情移入させられましたね。  この「真っ当な社会人である両親」と「社会不適合者の息子達」の二つの視線を作中に用意している辺りのバランスは、作り手の巧みさを感じます。  そんな訳で、善良な両親が離婚する事になる終盤の展開はショッキングだったし、そこから二人の息子も奮起して社会復帰を果たしてくれる流れだった事には、心底ホッとさせられましたね。  就職すれば嫌味な上司に敬語を使い、苦しい思いもしなければいけないという部分を、キチッと描いている事には感心。  その一方で「働く喜び」のようなプラス面がオミットされていたのは気になりましたが、それに関してはラストの「二人が会社を辞めて起業家として成功する」オチに繋がるのだから、仕方のないところでしょうか。  クライマックスにて、二人がコンビを組んで演奏してみせる場面にはテンションが上がりましたし、それによって周囲の人々が主人公達を認める事になる流れも、王道の魅力がありましたね。  特に好きなのは、ウィル・フェレル演じる兄と、アダム・スコット演じる実の弟が、互いに不器用なハグを交わすシーン。  今では不仲となってしまっていたけれど、幼少期には仲の良い兄弟であった事が回想シーンで描かれていただけに、笑いの中にも微かな感動を覚えたりもしました。  ただ、最後の最後で意地悪な子供達に復讐する主人公コンビに関しては「なんて大人げない……」と感じてしまい、今一つカタルシスを得る事が出来ず、残念。  それでも、両親も無事に復縁し、主人公達も再び「兄弟」に戻れたハッピーエンドという形だった事は、良かったなぁと思えました。[DVD(吹替)] 6点(2016-06-06 19:13:09)(良:1票) 《改行有》

131.  リリィ、はちみつ色の秘密 《ネタバレ》  冒頭の展開から「ハックルベリー・フィンの冒険」の女性版のように、二人でアチコチを旅するお話なのかな? という印象を受けていたのですが、ロードムービーではありませんでしたね。  舞台となるのは、主人公が辿り着いた先の、もう一つの家。  自殺、母親殺し、差別など、色々と重苦しいテーマを扱っているのですが、全体的に落ち付いた雰囲気と優しさを備えた、良質な作品だったと思います。  こういった「家出モノ」映画においては、最後は何だかんだで我が家に戻るパターンが多いように思える中で、本作の主人公が「養蜂場に残る」事を選択したのは、大いに納得。  「私には三人の母親がいる」と語るラストのモノローグも、心に響くものがありました。  その一方で、旅立ちのキッカケとなったロザリンの存在意義が、中盤以降は薄まっているように感じられた事。そして主人公の父親が哀れに思えてしまい、どうにも後味が悪くなってしまった事は、残念でしたね。  勿論、後者に対しては、娘に体罰まで加えている以上は自業自得であり、同情などすべきではないとも思うのですが「妻に続いて娘にまで見捨てられてしまった」となると、流石に可哀想。  身勝手で不器用ながらも、本人なりに娘を愛しており「誕生日おめでとう」と呟くシーンなども描かれていただけに、スッキリしないものがありました。  こういった場合に、悪役となる側にも同情すべき点を残しておくバランスは好ましく思っているのですが、どうも今回はそれがマイナスに作用してしまったように感じられます。  主人公が「シュープリームス」について語る小ネタ(話し相手は「ドリームガールズ」に出演したジェニファー・ハドソン)にはクスッとさせられましたし、黒人青年との仄かな恋心が描かれる場面なんかは、とても良かったですね。  作中で人種差別問題が繰り返し提起されていただけに、主人公が偏見を越えて彼に愛情を示してくれた事には、癒されるものがありました。  蜂蜜を男の指から舐め取ってみせるダコタ・ファニングという、ドキッとさせられる絵面が飛び出す辺りなんかも、程好いアクセントになっていたかと思う次第です。[DVD(吹替)] 6点(2016-06-02 14:06:36)《改行有》

132.  マゴリアムおじさんの不思議なおもちゃ屋 《ネタバレ》  優しいファンタジーという言葉が似合う一品ですね。  作中で人の死が描かれているのに、ちっとも残酷じゃないし、不愉快じゃない。  結局、最後までマゴリアムおじさんの詳しい正体は謎のままであり、その事に対し引っ掛かりを感じてもおかしくなかったのですが、本作では特に気になりませんでしたね。  不思議な存在であるのなら、不思議のままで良いか、と思わせてくれました。  マゴリアムおじさんの飄々とした生き様や、モリーの女性的な魅力にも惹かれましたが、一番のお気に入りはヘンリーとエリック少年の関係性。  年齢という垣根を越えて友達になれた二人の姿は微笑ましかったし、何と言ってもエリックが背広姿になって「買収」に訪れたシーンが好きなんですよね。  (そう来たか!)という驚きもあったし(小さな子供といえども、本気で店を守りたい一心で行動しているんだな……)と思えました。  コレクションの帽子を売ろうとするエリックに対し 「帽子は売っちゃダメだ」  と即答するヘンリーの姿も良かったです。  幼い友達が、どれだけ帽子を大切に思っているかを理解しているからこその発言と感じられて、心が温まる思い。  最後もハッピーエンドで綺麗に纏めており、非常に好ましい映画なのですが 「マゴリアムおじさん死後の店を、どう立て直すか?」  という問題を、簡単に解決し過ぎたような印象も受けましたね。  一見すると不可能に思える事でも、心の持ち様一つで容易く成し遂げられるという前向きなメッセージが込められていたのかも知れませんが、ちょっと疑問符が残りました。  他にも、拾い切れていないと感じる要素が幾つかあったりして、不満もあるのですが、総じて魅力に感じる部分の方が多かったですね。  店を主題とした映画を観賞した後に「この店、行ってみたいな」と感じた以上は、あまり難しく考えず「この映画を観て良かった」と素直に認めたいところです。[DVD(吹替)] 6点(2016-05-28 20:14:51)《改行有》

133.  プリティ・イン・ニューヨーク 《ネタバレ》  どう考えてもミラ・ジョヴォヴィッチ演じるナディーンの方が「いい女」じゃないか、と思えてしまうのが難点でしょうね。  作中で主人公が元カノに未練たっぷりで、長時間に亘って煮え切らない態度を取っている為、こちらとしては、どうしても感情移入が出来ない訳です。  勿論、最終的に彼はナディーンの方を選ぶ結末となる訳ですが、もっと序盤から彼女に対して真摯に向き合って欲しかったな、と思う次第。  性格面において、元カノさんが典型的な「嫌な女」として描かれているのも、少々可哀想。  でも、別れの場面にて彼女だけを一方的に悪役としない演出だった事は、良かったと思います。  やはり自分は、こういう形で「振られ役」を貶め過ぎないラブコメの方が好み。  話の筋としては、予想の範疇を逸脱する事無く、手堅く王道に則って纏められているという印象を受けました。  サプライズな面白さは欠けている代わりに、安心して楽しめるというタイプ。  そんな中で、主人公がナディーンに「鏡」をプレゼントした理由なんかは、ロマンティックで素敵でしたね。  ケチャップの瓶を用いた例え話や「一緒に映画観ない?」と誘い掛ける留守電の声なんかも印象的。  こういった小さな美点とも言うべき箇所が、作中のアチコチに散りばめられており、何だか憎めない映画でした。[DVD(吹替)] 6点(2016-05-28 17:43:51)《改行有》

134.  コンフェッション(2002)  ジョージ・クルーニー初監督作品との事でしたが、その力量に驚かされた一方で、どうも既視感を覚えてしまう作風。  気になって調べてみたら、脚本がチャーリー・カウフマンだったのですね。  あぁ、何かに似ていると思ったら「アダプテーション」かと、大いに納得した次第。  悩めるクリエイターが体験した悪夢のような出来事、という点が共通しているように思えましたね。  とても実話とは思えない破天荒なストーリーだったのですが、それが作中で主人公の悩みにもなっており「こんな話、誰も信じてくれない」と嘆く形になっているのが面白かったです。  リアリティの無い展開になればなるほど、主人公の心境が理解しやすくなるという構造。  豪華な出演陣は画面に彩を添えてくれていますし、コーヒーカップの摩り替えなど、印象的な場面もありました。  ドリュー・バリモア演じるヒロインの、性に開放的な小悪魔のようでありながら、何処か母性を感じさせる女性像も好み。  観賞中は、上述の「既視感」が頭の中でチラついてしまい、あまり映画の世界に没頭する事は出来なかった状態にも拘らず、そういった長所をキチンと感じ取れたのだから、良い映画だったと思います。  一連のお話が真実が虚構かを考えるのは野暮な気もしますが、一つ気になったのは、主人公の妹の名前が「フィービー」である事。  これって、かの著名な小説「ライ麦畑でつかまえて」に登場する主人公の妹と同じ名前なんですよね。  つまり、このお話も創作ですよというメッセージにも思えたのですが、真相や如何に。[DVD(吹替)] 6点(2016-05-13 12:21:34)《改行有》

135.  ロミオ・マスト・ダイ 《ネタバレ》  安心して楽しめるアクション映画だと思います。  一応はマフィアの抗争がストーリーの核となっているのですが、人物相関図が複雑過ぎるという事も無く、黒幕が誰なのかもキチンと観客に教えてくれる親切設計。  主人公の登場、及び正体が判明するまでに少し時間が掛かる点は気になりますが、それでも肩の力を抜いて、リラックスしながら観賞する事が出来る内容かと。  ジェット・リー主演作の中では、確か二番目か三番目に触れた作品だったので、観賞中「へぇ、ジェット・リーって、こういうコミカルさを備えた役も出来るのか」と、新鮮な気持ちを味わえた記憶がありますね。  所々ワイヤーで宙吊りにしているのが分かり易い箇所があり、そこは好みとは言い難いものがありましたが、ホースを使った格闘シーンや、敵を倒す際のレントゲン演出なんかは素直に面白かったです。  後者も多用していたらマンネリだったかも知れませんが、回数が少なかったので好印象。  死人も次々に出る映画なのですが、作中で観客が好感を抱きそうなキャラクターである「ヒロインの父親」「モーモーちゃん」などは明確な死亡シーンが描かれておらず、後味が悪くならないようにしている辺りには、作り手の配慮が感じられましたね。  ラストの格闘シーンでも、足元の炎で盛り上げてくれたりして、何だかそれだけで満足してしまいます。  主人公と黒幕との対峙、そして結末には、若干のほろ苦さもありましたが、その後にヒロインと抱擁を交わして「救い」を感じさせて終わるバランスなども好み。  押さえるべきところは押さえてくれている一品です。[DVD(吹替)] 6点(2016-04-05 07:55:48)《改行有》

136.  New York 結婚狂騒曲 《ネタバレ》  こういったラブコメ映画において「主人公が結婚式を直前でキャンセルする」という展開が訪れると、大抵は相手方が可哀想になってしまうのですが、本作はそれを感じさせませんでしたね。  何といっても「振られる」形となる婚約者のコリン・ファースが格好良い。  このまま結婚したら君は不幸になる、という理由で潔く身を引いてみせるなど、中々出来る事ではありません。  少し女性主人公側にとって都合の良過ぎる展開ではないか、と思えない事も無いのですが、こういった場合に婚約者側を分かり易い悪役にしてしまう展開よりも、ずっと好感が持てると思います。  とはいえ、中盤において、女性側には婚約者がいるにも拘らず情熱に任せて性交渉を行る主人公カップルなど「おいおい、それで良いの?」と感じてしまう部分が多かったのも事実。  その後に主人公は直ぐに後悔する事となるのですが、ここで少し作中人物に距離を感じてしまったというか、白けた気持ちになってしまったのは残念でした。  ラストに関しては「結婚式を中止させる為の手段として火災報知機を鳴らす」→「消防士である意中の彼が駆け付けてくれて、そのまま二人は結ばれる」という形となっており、綺麗に纏まっているなぁ、と素直に感心。  上述の婚約者を筆頭として「過去に間違いを犯したからこそ、真の伴侶に出会えた」と語る父親など、脇役に魅力を感じさせるキャラクターも多く、最後は安心のハッピーエンド。  観賞中は色々とモヤモヤした気持ちに襲われた一方で、観賞後には「良かった」と感じさせてくれる、そんな一作でありました。[DVD(字幕)] 6点(2016-04-04 07:18:51)《改行有》

137.  ハンニバル・ライジング 《ネタバレ》  「ハンニバル」の時点で(殺人鬼であるレクターを、ヒーローとして描こうとしてるのでは?)って違和感があった訳だけど、本作では完全にヒーローに変身しちゃってますね。  「羊たちの沈黙」にて、罪の無い警官を平気で殺してた男が、良くもまぁここまで変わったもんだと、妙に感心しちゃいます。  そんな具合に、皮肉な目線で捉えるなら「レクターを正義の味方みたいに描かないで欲しい」とか何とか、文句も言えちゃう訳だけど……  意外や意外、これが結構楽しめたんですよね。  後のシリーズと切り離し、本作単体で考えるなら「妹を殺した連中と、愛する女性を侮辱した男しか殺してない主人公」って形になってるし、シンプルな復讐劇として、奇麗に纏まってると思います。  むしろ本作に関しては「主人公は後のハンニバル・レクターである」って点が、デメリットになってるんじゃないかと思えたくらい。  レディ・ムラサキから剣道を習い、それを活かして最初の殺人を行う訳だけど(それなら、後々も日本刀がレクターの得意武器となるはずでは?)って、気になっちゃうんですよね。  それと、この後レクターは上述の通り「罪の無い警官を平気で殺してた男」に変貌する訳だけど、その変貌するキッカケなども描かれていないから「殺人鬼ハンニバル・レクターが誕生した理由」ってのが、見えてこないんです。  あえて言うなら、愛する女性のレディ・ムラサキに振られた事が「復讐者」から「殺人鬼」に変わった理由かとも思えるんですが……  それにしては、エンディングにて「復讐」を完遂しようとする姿で終わってるしで、何かチグハグですよね。  素人の浅知恵ですが、本作に関しては「純粋な復讐劇」として考えるなら、自らも妹を食べていたと悟った主人公は、復讐を完遂した後に自殺する結末の方が良かったと思うし、逆に「ハンニバル・レクター誕生を描いた物語」として考えるなら、復讐の為じゃなく快楽の為に殺人を犯すようになった場面を描くべきだったと思います。  「ハンニバル」よりは面白いって思えた一作なんですが、この辺りの歪さに関しては、正直褒められないです。  その他にも「山小屋の兵士達が、それほど餓えてるように見えない」とか「失語症が治るカタルシスを描かずに、あっさり治しちゃうのは勿体無い」とか、色々と気になる点も多い映画なんですが……  レクターが返り血を舐める場面なんかは、素直に恰好良かったし「正義では裁けない悪を、悪をもって誅す」というダークヒーロー的な魅力は、しっかり描けてたと思います。  何より見逃せない功績は、本作にてレクターに美形属性が備わった点ですね。  本作で美少年としてのレクターが描かれたからこそ、後にドラマ版「ハンニバル」が生まれたのかも知れないし……  そう考えると、非常に意義のある一本だったと思います。[DVD(吹替)] 5点(2023-05-10 03:21:23)(良:1票) 《改行有》

138.  バブルへGO!! タイムマシンはドラム式 《ネタバレ》    馬場監督の映画ではお馴染みの「田中真理子」と「吉岡文男」の名前が出てくるという、それだけでもファンとしては嬉しくなっちゃいますね。  インタビューによると、元々は「タイムマシンを題材にした映画を撮りたい」という気持ちがあり、バブル要素は後付けで話を作り上げたとの事ですが、それも納得。  終わってみれば「タイムスリップした先はバブル景気の頃でした」というのは大して重要ではなく「タイムマシンによって過去を変えた結果、現代の状況が良くなる」という、王道なハッピーエンドストーリーでしたからね。  とかく世間では「馬場監督」=「バブル映画」というイメージで語られがちだけど、一番の傑作と言える「メッセンジャー」(1999年)はバブルと関係無い内容だったし、少なくとも監督当人は、そこまで「バブル」に拘ってる訳では無いんじゃないかなって気がします。  実際どうだったかはさておき、馬場監督がバブル期に手掛けた過去作よりも「贅沢過ぎて有り得ない世界」が描かれており、意図的に「バブル」をギャグとして描いてると分かる辺りも、興味深いポイント。  監督自身も「俺なんかがそういうストーリーを考えたとき、最高! っていうバブルは思いつかない。絶対」と語られていますし、誇張されまくってるであろうバブル期の描写が、ナンセンスギャグっぽくて面白かったですね。  案外、本当にバブル期を経験した年代の人こそ「有り得ねぇ」「こんなんじゃなかった」と笑いながらツッコみ、自分みたいにバブル期を直接知らない世代ほど「当時は凄かったんだ」と真に受けちゃう人も多いんじゃないかなって、そんな風に思えました。  「百円玉」「髪を掻く仕草」などの伏線が、ちゃんと分かり易いのも親切だし「クラブ」や「ヤバい」という言葉の意味が、時代を経て変わってるのを示す場面なんかも、如何にもタイムトラベル物っぽくて、ニヤリとしちゃいましたね。  かと思えば、首相に「話せば分かる」と訴えるという五・一五事件をパロった場面もあったりして、本当に幅広く色んなネタが散りばめられているので、観ていて飽きなかったです。  主演の阿部寛は実際に「バブルのド真ん中にいた」との事で、バブル期の世界を遊び過ごしてる姿に説得力があった辺りも良い。  ヒロイン格の真弓を演じた広末涼子も、わざとらしい仕草や演技が愛らしく、2007年当時は無かったであろう「あざと可愛い」って言葉が似合うような魅力がありましたね。  当初は「女を口説こうとする男」として彼女に接していた主人公が、その正体を悟った途端に「娘を守ろうとする父親」に変貌する様も微笑ましく、個人的には、ここの「軟派男が父親の顔になる瞬間」が、本作の白眉だったように思えます。  そんな具合に、色々と良い部分もある映画なんですが……  正直に告白すると、総合的な満足度としては、決して高くなかったんですよね。  この度、馬場監督の映画五本を通して鑑賞し、デビュー作から徐々に面白さがアップしていく様を見守ってきていたもので(あの「メッセンジャー」の次に撮った映画となれば、さぞ傑作だろう)と、勝手にハードルを上げ過ぎてしまったのかも。  作品全体の演出が、やたらコメディタッチ……というより漫画的なのも(何か、馬場監督らしくないな)と思えて戸惑ったし、台詞の切れ味も鈍ってた気がします。  上述の「父親の顔になった主人公」って場面が好きだっただけに、ラストにて「結局、今も愛人を囲ってるような浮気者のまま」と示唆して終わるのも、ガッカリしちゃったし……  ここまで「何もかも上手くいくハッピーエンド」にした訳だから、そこは変に捻ったりせず「家族を大切にするパパになりました」で良かったと思うんですよね。  「国の景気なんかより、家族の絆が大事」って結論を出したはずなのに、最後の最後で「景気は上向いたけど、家庭不和の火種は残ったまま」になるだなんて、どうにも受け入れ難いものがありました。  そんな訳で、結果的に「最新作がデビュー作の次につまんない」って評価になってしまった事が、本当に残念。  でも馬場監督って、まだまだ現役で2022年にもドラマの監督を務めてる訳だし……  自分としては映画の新作にも、是非期待したいですね。  以前チラっと語っていた「波の数だけ抱きしめて」 (1991年)の続編っぽい話とか、何とか実現させて欲しいものです。[ブルーレイ(邦画)] 5点(2022-10-10 18:13:49)(良:1票) 《改行有》

139.  お買いもの中毒な私! 《ネタバレ》  「主人公に感情移入出来ない」というのは、映画にとって致命的な欠点だと思います。  本作のレベッカが正にそれに当てはまり(お買いもの中毒とか、そういうのを差し引いても性格に難有り)ってタイプだったんだから、困っちゃいますね。  借金取りをストーカーと言って誤魔化すくらいなら笑えるんだけど「親友の結婚式の為のドレスより、テレビ出演の為のドレスを優先させる」って場面とか、流石に身勝手過ぎて呆れちゃいます。  一応、最後に「お買いもの中毒」では無くなるハッピーエンドを迎えるんですが、何か「良い子に生まれ変わった」というよりは単に「浪費癖が無くなって、人生が上手く転がっただけ」って感じであり、根本的な解決には思えなかったのも痛い。  (この主人公の一番の問題点って、そこじゃないのでは?)って、映画とのズレを感じてしまう結末だったから、どうもスッキリしなかったです。  ただ、脇役には魅力的なキャラが揃っており、その点は良かったですね。  親友のスーズなんて、主人公より良い子で美人に思えたし、特にお気に入り。  父親役のジョン・グッドマンや、クリスティン・スコット・トーマスなど、見慣れた顔触れが揃っているのも、画面に安心感を与えてた気がします。  それと、典型的な「王子様」キャラであるルークに対しても、普通なら(こういうタイプ、女性は好きそうだよね)って斜に構えちゃうはずなのに、何か嫌いになれなかったんですよね。  それというのもレベッカが傍迷惑過ぎて、それに振り回されるルークが不憫に思えたからだろうし、そういう意味では貴重な感覚を味わえた気がします。  主人公ではなく、彼等の方に感情移入して「レベッカに呆れつつも、見捨てられずに見守る目線」で楽しむ事が可能って意味では、中々良く出来た映画だったのかも知れません。  後は……「BGMのチョイスや使い方も良かった」「金融の知識なんか無かった主人公が、ハッタリと強運で成功していく様は中々面白い」「買いもの依存症のセラピーグループも、良いキャラが揃ってた」とか、そのくらいかな?  こうして列挙してみると、意外と長所も盛り沢山な映画だなって、驚かされますね。  根本的に自分には浪費癖が無い為、主人公のレベッカと相性が良くないのは当たり前って気もするんですが……  別に人殺しの経験が無くとも、殺し屋の主人公に感情移入する事は可能な訳だし、やっぱり主人公の描き方には、もうちょっと気を遣って欲しいです。  「浪費癖に悩まされてるけど、友達は大切にする優しい子」ってタイプの主人公だったら、もっと好きになれた映画だと思います。[DVD(吹替)] 5点(2022-09-29 19:48:02)(良:1票) 《改行有》

140.  ハムナプトラ3/呪われた皇帝の秘宝 《ネタバレ》  始皇帝暗殺を題材にした「HERO」(2002年)を踏まえた上で鑑賞すると、今作でジェット・リーが始皇帝を模したキャラを演じてるのって、感慨深いものがありますね。  敵の強さや、スケールの大きさという意味合いでも今作がシリーズで一番だろうし、貴重な「悪の親玉であるジェット・リー」が拝めるってだけでも、一見の価値有りな映画だと思います。  ただ、面白さという点に関しては……正直、結構厳しいです。  エヴリン役が他の女優さんに変わってるとか、アレックスが幼児から大人に急成長してるのに戸惑うとか「続編映画ならではの違和感」も大きいんだけど、そういうの抜きで単品として評価しても(えっ、何で?)と思っちゃうポイントが多いんですよね。  上述のジェット・リー演じるハン皇帝にしたって、中盤で見せる三つ首の竜の姿が迫力満点だったのに、終盤では竜に変身せず、人型のまま倒されちゃうというんだから、もうガッカリ。  唐突に出てきて「雪山以外じゃ活動出来ないから」とばかりに、唐突に姿を消しちゃうイエティも、また然りですね。  せっかく魅力的なモンスターを登場させてるのに、それを活かし切れていなかったと思います。  他にも、前作と違って「死に際まで互いを救おうとする悪のカップル」を描いてるのは良いんだけど「彼らが強く愛し合ってる」という伏線が無いから、唐突で感動出来ないんですよね。  最後のオチが「ペルーでミイラが発見された」っていうのも、凄く微妙。  ガッカリした気分のまま映画が終わっちゃうので、何だか映画全体の印象まで悪くなっちゃいます。    そんな訳で、三部作の中では明らかに見劣りする出来なんだけど……  シリーズのファンとしては、文句ばかりじゃ寂しくなるので、以下は良かった点を。  まず「リックが二丁拳銃で戦う場面がある」って事に関しては、素直に嬉しかったですね。  時代設定に合わせ、主武装はマシンガンになっているのに、ちゃんと序盤で二丁拳銃姿も見せたっていうのは、ファンサービスとして正解だったと思います。  中華街を馬車で暴走したりとか、前作のようなカーチェイス場面があるのも嬉しい。  新たなヒロイン格となるリンも可愛かったし、特に「不死の命を捨てて」と言われ、嬉しそうに微笑む場面なんかは、胸がときめくものがありましたね。  アレックスと彼女の恋路が、悲劇に終わったりせず、無事に結ばれる結末であった事にも、ホッと一安心です。  やっぱり、このシリーズにはハッピーエンドが似合うと思います。  なお、2022年現在「ハムナプトラ」の四作目は作られておらず「ペルーのミイラ」がどうなったかについては、謎のままとなってる訳ですが……  きっとリック達なら、何時ものようにミイラを倒して、そして世界を救ってみせちゃうんでしょうね。  更なる続編があるのなら、アレックスとリンの間に生まれた子供。  つまりは、リックの初孫なんかが登場する事にも、期待したいものです。[ブルーレイ(吹替)] 5点(2022-09-11 15:48:43)《改行有》

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