みんなのシネマレビュー |
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1502. 花を摘む少女と虫を殺す少女 矢崎仁司監督が放った大長編。 その尺、実に236分。 しかも休憩がなかった。 途中でトイレに向かう人たちが多い中、私はなんとか我慢した。 題名にあまりリンクしない内容で、つかみづらかったというのが第一印象。 しかも、ほとんどが字幕なので、読むだけでも相当疲れた。 本作を観た印象として、まっさきに思い浮かんだ作品が、ジャン・ユスターシュの大長編『ママと娼婦』。 エピソードを積み重ねていき、長い尺でもって、登場人物たちのキャラクターや関連性が浮き彫りになるという仕掛け。 しかし、その『ママと娼婦』と比べると、本作は予想以上につまらない。 結局、断片的な映像の数々が、まとまっていない。 映画を観終えた後、喫煙所で監督本人に遭遇したので書きづらいが、この時分の矢崎監督って、まだ何か挑戦中で、自分の作品の型が定まっていなかったんじゃないかと思う。 何故なら、最近の矢崎作品は、面白いものが多く、矢崎カラーみたいものが一つまとまった形で感じられるからだ。 発展途上にあった矢崎監督の、貴重な大長編。 期待には遠く及ばなかったのが残念だ。[映画館(邦画)] 3点(2012-07-13 21:02:44)《改行有》 1503. 悪の階段 《ネタバレ》 評判通り、面白かった! 鈴木英夫監督のサスペンスものとしては、その面白さにおいて、代表作と呼べるだろう。 冒頭から仲間割れが予想されたので、現金を盗むシーンに緊張感が感じられなかったのはご愛嬌だが、その後が実に楽しめた。 最後もどんでん返しに続く、どんでん返し。 ラストシーンも印象的で素晴らしい![映画館(邦画)] 8点(2012-07-06 16:35:42)《改行有》 1504. U・ボート 《ネタバレ》 ダサくも思えるBGMが、実にいい味を出している。 潜水艦という、究極の閉鎖的空間において、極限の状態を描いた部分は、少々クドさもおぼえるが、あれだけ天井が低く、しかも深海という環境において、あのパニックさ加減は、いささかも極端な演出とは感じなかった。 苦難を乗り越え、平穏なラストと思いきや、そこは渋い西ドイツ映画。 アメリカ映画の様にはいかない。 実に虚しい幕切れ。 それでいて、十分に楽しい。 映画として楽しい。[ビデオ(字幕)] 7点(2012-06-26 23:18:31)《改行有》 1505. ドリアン ドリアン 《ネタバレ》 大陸から香港に出てきて、売春婦としてお金を貯める。 田舎から都会に出てきて、都会になじみつつも、やはりなじみきれず、最終的には故郷に還る。 日本でも同じようなパターンがよくあるだろう。 地方から東京の大学に入って、そのまま東京で就職。 だが、やはり都会は仮の場所であって、本来の自分の姿は発見できない。 それで、田舎へ戻る。 その様な、どこの地域にでもありそうな事の顛末を、けだるくて、きらびやかな香港を舞台に、じっくり描いてみせる。 フルーツ・チャンの魅力は、それなりに感じられたが、東京で生まれ育った私には、等身大では観ることのできない部分があって、それが障壁となってしまった感がある。 一方で、香港映画としての魅力、香港の猥雑でいて、どこか寂しい夜の風景。 そういった、香港映画特有の雰囲気と映像の数々が、印象に残った。[ビデオ(字幕)] 6点(2012-06-17 23:17:27)《改行有》 1506. ルージュ 《ネタバレ》 愛する人の為に死ねるか? 永遠の愛は存在するか? テーマは分かるのだが、ファンタジーな内容に完全にうんざりとなった次第。 愛する相手に裏切れた女。 その女が現代の香港に幽霊となって現れ、愛の顛末の真相を解明していく・・・ いやー、お粗末というか、感想自体どうでもいいや、と投げやりになる恐ろしさよ。 幽霊より、この映画のお粗末さの方が恐ろしい。[ビデオ(字幕)] 1点(2012-06-11 00:41:44)《改行有》 1507. 美しすぎて 《ネタバレ》 フランス映画らしいと言えばらしいのだが、より正確に言えば、“退屈な類いのフランス映画”といったところだろうか。 美人な奥さんを持った男が、ブスに惚れてしまうという設定は、その設定自体が面白いので、それなり観ることはできた。 だが、その設定内容から一歩も外へ出ない。 延々と最後まで、「美人な妻を捨ててブスな女と浮気する男」を描き続けている。 この平坦さはもはや、「フランス映画的」とか「エスプリ」とかとは別次元に、“映画的に退屈”と言う他ない。 この映画は、随所にフランス映画的なスタイルを感じさせるが、フランス映画は決してこんな映画ばかりではないぞ!と声を大にして言いたい。[ビデオ(字幕)] 5点(2012-06-10 00:41:15)《改行有》 1508. ANA+OTTO/アナとオットー 《ネタバレ》 情熱の国スペインで偶然出会った男女が、やがて成長し、氷の国フィンランドで運命の再会を交わす・・・ いわゆるラブストーリーにありがちな“偶然の出会い”を多用した陳腐な内容かと思いきや、それがちょっと違った。 苦味に似た、哀しい余韻を心に残す。 人生とは偶然の出会いの連続である。 そしてそれが、男女間の恋愛問題に絡んでくると、心の底を揺さぶられるような感動、もしくは切なさが体を襲う。 この物語は、そんな人生の感動や哀しさ、やりきれなさを、暗めのトーンながら鮮やかに描いてみせた逸品である。[ビデオ(字幕)] 7点(2012-06-07 17:51:01)《改行有》 1509. 野獣死すべし(1980/日本) 《ネタバレ》 大昔、テレビで観た映画。 女性が銃弾に倒れ、その際に、真っ白なブラウスを血で汚し、切ない表情でスローモーションで倒れていくシーンは、今もなお脳裏にトラウマとなって焼き付いていた。 あれから30年。 沢山の映画を観てきて、現在、このシーンを見たら、どう感じるんだろうという、自分に対する好奇心がわいてきて、再鑑賞するにいたった。 結論としては何てことはなかった。 だが、大昔観た時、この女性が撃たれるシーンが、とてつもなく怖いものに見えたのは事実だ。 それだけ、このワンシーンが強烈なインパクトを持っているであろうことは間違いない。 今思えば、村川透監督色が出まくった内容で、特別なインパクトも無いんだけど、映画って数多く観れば観るほど、映画から受ける衝撃度は落ちていくものだと、実感した。 それを実感してしまったことの方が、このシーンより切なかったりして・・・[ビデオ(邦画)] 6点(2012-06-03 18:38:33)《改行有》 1510. 大地のうた 《ネタバレ》 個人的には名作とも傑作とも思えない。 人の良いお婆さんを邪険に扱っているし、親父(オヤジ)はフーテンだし、しょうもない。 唯一評価したいのは、そのストレートな作り。 変な趣向を凝らさず、真正面から村に住む人々の生活と人生を描いている。 その部分には好感を持てた。[ビデオ(字幕)] 3点(2012-05-26 23:52:41)《改行有》 1511. 園子温ファンタ・ジア SHORT FILM COLLECTION<OV> 今となっては、有名監督になった園子音監督の、ショートフィルム集。 この作品を観ていると、いかにその後の作品が、自らのアイデアの焼き直しで作られているかが分かってしまう。 つまりは自己模倣。 それも世界観の狭いヤツ。 ゴダールの縮小版、いや、せこい版。 女優陣の露出っぷりが唯一最大の見せどころとなっていて、中身はすっからかん。 しかも、映像は究極にショボい。 観るに堪えない短編の数々。 そして本作、最大の隠れ見どころは、夏川純が夏川純に見えないこと! うーん、、整形前と整形後、確かに整形後の方がきれいかな。 勿論、人工的だけど・・・[ビデオ(邦画)] 2点(2012-05-18 01:18:29)《改行有》 1512. 友よ、静かに瞑れ 沖縄が舞台。 基地周辺の殺伐とした街並み、憂鬱感さえ誘う沖縄の陽射し。 それらが、この物語の殺伐感を巧みに演出している。 男の友情という動機のみで、ここまでやるか!という臭い話。 だが、それがまたこの映画の魅力でもある。 1980年代のダササ爆発のBGM。 これが非常に良い味を出している。 極めて効果的だ。 藤竜也、原田芳雄、室田日出男の男三人衆が、映画に男臭い花を添えている。[ビデオ(邦画)] 7点(2012-05-14 01:20:12)《改行有》 1513. 花火降る夏 香港返還期前後の混乱を描いた作品。 『メイド・イン・ホンコン』で、印象的な映像美を見せたフルーツ・チャン監督が、今度はアクション映画を撮った。 少々分かりにくい映像と展開は、香港返還の混乱を象徴しているとも取れなくもない。 ラストの展開はなかなか見もの。 残念なのは、ありきたりな香港アクション映画のレベルにまとまってしまっているところだ。 ただし、香港の雑然とした街並みと雰囲気を堪能できる、香港映画好きにはたまらないロケーションの数々が良い。[DVD(字幕)] 6点(2012-05-12 22:55:26)《改行有》 1514. 針の眼 《ネタバレ》 なかなか素晴らしい人情劇だった。 冷酷なスパイが、一人の女性の前では無力となり、正直になる。 どんな人間にも、人間らしさが眠っており、そしてその冷酷さの裏には、幼少期のトラウマがある。 人間を表面的に理解することの問題点をついているような気がした。 殺人を犯す人間にも、それなりの背景と事情がある。 そして優しささえ持っている。 それは、気を許せるほんの一握りの人間の前でしか見せない本当の姿。 スパイもの、戦争ものではあるが、人情劇だと感じた。 そして同時に、戦争の持つ悲惨さ、戦争の犠牲者を描いた内容でもあった。 見応え十分で、イギリス映画らしい、真正面な真面目さが良い方向に出ている。[ビデオ(字幕)] 7点(2012-04-29 18:58:11)(良:1票) 《改行有》 1515. セリーヌとジュリーは舟でゆく 《ネタバレ》 難しさも散見されるファンタジーだが、とても退屈。 なぜならば、主演二人の女性に興味がわかない。 女同士のくだらないやりとり、仕草が気に食わない。 性に合わない、生理的にむかつく。 特に、おばさんパーマの方。 これがまた、センスの悪さ爆発。 髪の毛も爆発。 口紅塗ったところで変わらんだろう!と言いたい。 本の中の世界に入り込んでいくというファンタジーな設定もありきたり。 尺の長さも含め、何とかならんもんだろうか。[DVD(字幕)] 2点(2012-04-22 07:45:10)《改行有》 1516. 霧の旗(1965) 《ネタバレ》 サスペンス仕立てだが、作品自体のテーマは、復讐劇そのものだ。 女の恨み、執念、その怖さが存分に、そして巧く描かれた内容。 終始、表情の無い倍賞千恵子が、執念深い女を実に巧く演じている。 そして特筆すべきは、大物弁護士を演じた滝沢修。 落ち着いた演技と、それとは対照的に、終盤に見せる落ちぶれた演技。 実に貫録十分の演技で、舌を巻くほど素晴らしかった。[DVD(邦画)] 7点(2012-04-12 00:39:42)《改行有》 1517. それから(1985) 日本文学小説の趣きを存分に感じることができる作品だ。 ロケーションや家屋の佇まいからして、その時代の雰囲気が良く出ている。 致命傷は、脇を固めるキャスティングだろうか。 藤谷美和子や羽賀研二、森尾由美などが、現在からみればではあるが、作品の雰囲気を見事にぶち壊すキャスティングとなっている。 森田芳光の控え目な演出は冴えわたっているものの、役者選びの先見の明に関しては、否定せざるを得ない。 ただし、それらを全てチャラにするくらい、松田優作は素晴らしい。 穏やかながら、鬼気迫る演技を見せている。[DVD(邦画)] 6点(2012-04-10 00:08:05)《改行有》 1518. アパートメント(1996) 時間とタイミングを利用し過ぎの感、大有りの、一種のコメディ。 体裁はラブストーリーかサスペンスか。 いずれにしても、一風変わった作品だ。 役者陣は、いずれも個性派ぞろい。 皆、インパクトのある演技をしていて見応え十分だ。 娯楽に徹していて、なんというか、飽きさせない演出は素晴らしいのだが、それが先行し過ぎている。 真剣に観るタイプの作品ではなく、単純に映画を楽しみたい人向けの内容だ。 粒揃いの女優陣についてだが、最初と最後にしか登場しない、主人公の金髪彼女が一番美しい。 何故にこんなに美しい金髪女性がいるのに、わざわざ仕事を棒に振ってまで、おかしなゲームに首を突っ込むのか疑問だ。 別に金髪美女でいいじゃねーか! 主人公の野郎は、好奇心が悪い意味で旺盛で、欲張りである。 私も欲張りになりたい(笑)。[DVD(字幕)] 5点(2012-04-08 00:39:19)《改行有》 1519. ロング・グッドバイ ハードボイルドな雰囲気たっぷりの主人公がかっこよい。 ただ、最初から最後まで何だか置いてきぼりをくった感じ。 良く言えば、二転三転するストーリーなのだが。 ところで、主人公が住んでいるマンションのロケーションと構造が凄い! 専用のエレベーターに、あの住まい、そしてあの隣人たち。 こんなのを作ってみせたロバート・アルトマンのセンスに脱帽。[DVD(字幕)] 6点(2012-04-01 17:37:00)《改行有》 1520. モロッコ まさしくロマンス映画の王道をいく作品。 男女の駆け引き、会話、しぐさ、異国の地・・・ それら一つ一つの要素が素晴らしく洗練されている。 モロッコという異国の地で偶然で出会う男女。 もうこの時点で、恋の予感を感じさせる。 とにかく、押したり引いたりの、男女の駆け引きが絶妙![DVD(字幕)] 5点(2012-04-01 10:58:25)《改行有》
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