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プロフィール
コメント数 614
性別 男性
自己紹介  洋画は字幕版も吹き替え版も両方観た上で感想を書くようにしています。
 ネタバレが多い為、未見映画の情報集めには役立てないかも知れませんが……
 自分と好みが合う人がいたら、点数などを基準に映画選びの参考にしてもらえたら嬉しいです。

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【製作年 : 2010年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
評価順123456789
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141.  欲望のバージニア 《ネタバレ》  どうやら史実を基としたお話であるらしく、お酒をガソリン代わりに使って車を動かしたシーンなど、何処か微笑ましさを感じられましたね。  完全にフィクションであった場合、もう少しコミカルさを抑えた陰鬱なストーリーになりそうだっただけに、そういった「隙のある、ちょっぴり緩い感じ」が好ましく思えました。  主演のシャイア・ラブーフに関しては「トランスフォーマー」や「イーグル・アイ」で馴染みの顔なのですが、本作は少々感情移入しにくい役柄だったかと。  元々頼りないキャラクターを演じる事が多い俳優さんなのですが、今回は肝心な場面で兄の名前を出して難を逃れようとしたりして「虎の威を借る狐」感が強かったりしたのですよね。  クライマックスにて、そんな頼りない弟が兄に代わって敵役に銃弾を撃ち込むシーンに関しては、確かにカタルシスもあるのだけど、ちょっとそれまでが情けなさ過ぎて「最後だけ唐突に活躍した」という印象を受けてしまいました。  何せ、その数分前に「敵地に勇ましく乗り込んだかと思ったら、あっさり撃たれて倒れた」という、少々情けないシーンがあった直後の話でしたからね。   もう少し段階を踏んで、主人公が成長していくのをじっくり描いてくれていたら、ラストにも感動出来たかも。  監督さんは「ザ・ロード」と同じ人という事もあり、こちらにもガイ・ピアースが出演しているのには、何だかニヤリとさせられます。  他にもトム・ハーディにゲイリー・オールドマンと、脇を固める俳優陣も非常に豪華で、魅力的。  主人公とヒロインの恋模様なども描かれており、犯罪映画というよりは、若者を主役に据えた青春映画という印象の一品でした。[DVD(吹替)] 4点(2016-06-08 22:39:19)《改行有》

142.  探検隊の栄光 《ネタバレ》  あらすじを知って「これは絶対に面白いだろう!」と意気込んで観賞したのですが……何とも判断に困る代物でした。  まず、決して嫌いな作品ではないです。  むしろ好きな映画と言えそう。  コンセプトも良かったと思うし、主演の藤原竜也も熱演してくれていました。  全編に亘って漂う「真面目に馬鹿をやっている」感は、正に望んでいた通りの作風。  それでも語る際に言葉を濁らせてしまうというか、胸を張って好きだと言えないようなもどかしさがありますね。  理由を分析してみたのですが、こういった作品の場合、映画の中における「現実」と、劇中カメラが映し出す「虚構」とに、もっとギャップが必要だったと思うのです。  例えば主人公がワニと格闘するシーンは、現実ではショボいのに、カメラ越しの映像では意外と本物っぽく見える……という視覚的なバランスにして欲しかったなぁ、と。  それはピラニアが食い散らかした人骨も然り、作り物のヤーガも然り、ですね。  本作の場合、現実と虚構に明確な差が窺えない為「人々を楽しませる為に壮大な嘘をついている」という主人公達の恰好良さが、今一つ伝わってこないように感じられました。  中盤に主人公が行う「俺達が作っている番組は無意味なんかじゃない」という演説についても、長年こういった番組に携わっている立場の者ではなく、今回が初参加の人間が言う事なので、今一つ重みを感じられなかったのも難点。  このシーンは普段いい加減な言動の監督さん辺りに言わせて、それに感銘を受けて主人公も本気になる流れでも良かった気がします。  そんな風に不満点も多い品なのですが、眩しいような魅力が備わっているのも確かですね。  序盤、ゴミの不法投棄に怒っているだけのオジサンを「ヤーガの恐ろしさを身振り手振りで伝えてみせる村人」という設定にして、勝手にアテレコしてみせる場面は、本作で一番の笑い所かと。  「やらせ」を完遂しようとするスタッフに対し、大自然が嘲笑うかのように、あるいはご褒美を与えてあげるかのように「本物のヤーガ」がチラリと姿を見せる展開なんかも、ニヤリとさせられました。  終盤に遭遇する反政府ゲリラ達と絆を育む事となり、別れの際には互いに友情が生まれていたというオチも、凄く良かったと思います。  ヤーガが実在したという衝撃よりも、こちらの「現地人と心を通わせ合った事だけは本当だった」という場面の方が、じんわり胸に沁みるものがありました。  主演の藤原竜也に関しては、元々好きな俳優さんだったのですが、こういった映画でも頑張っている姿を見ると、ますます応援したくなりますね。  本人は続編も希望しているとの事なので、楽しみに待ちたいものです。[DVD(邦画)] 6点(2016-06-07 20:29:25)(良:2票) 《改行有》

143.  スティーヴ・オースティン 復讐者<OV> 《ネタバレ》  主人公にスティーヴ・オースティン、悪役にダニー・トレホを配すれば、それだけで一本の映画が出来上がる事を証明してみせたような作品ですね。  特に終盤の殴り合いは、両者のファンならば必見かと。  ストーリーに関しては、ヒロインが主人公を庇ってくれる理由が今一つ分からない事など、気になる点も多いのですが、そういった諸々に対してツッコミを入れながら楽しむ事も可能な作品だと思います。  やたらと爆発シーンが派手だったりもして、作り手側の「どうぞ楽しんで下さい」というサービス精神が窺える為、欠点があっても憎めない。  復讐を遂げた主人公が、車に乗って町を去っていくラストシーンは、素直に格好良いなぁと感じられました。[DVD(吹替)] 6点(2016-06-06 03:43:14)《改行有》

144.  ワン・デイ 23年のラブストーリー 《ネタバレ》  何シーズンにも亘って描かれるTVドラマを総集編として映画化したもの……という印象を受けました。  デクスターの母親や、エマの「小説家志望」設定など、尺が足りなくて描き切れなかったと思える要素が多く、もっと長めの上映時間が欲しかったところ。  毎年の七月十五日を舞台としたラブストーリーという発想は、とても面白いと思います。  けれど、それによって互いの感情が地続きになっていないというか「ある七月十五日に仲が進展したかと思ったら、次の七月十五日にはもう曖昧な関係に戻っている」という、数分毎に一種のリセットボタンが押されているかのような印象を受けてしまったのが残念でしたね。  「とうとう二人が結ばれた夜」「突然の彼女の死」などのイベントが発生しても、その前後が直接描かれていないのが、非常にもどかしい。  こういった斬新な設定は歓迎したいところなのですが、本作に関しては「普通の時間進行で観てみたかったな」と、ついつい思ってしまいました。  アン・ハサウェイは好きな女優さんなので、彼女と二人で旅行する1992年の場面なんかは、胸がときめくものがありましたね。  この映画を観た人達と「どの年の七月十五日が一番好き?」という話題で盛り上がれたりもしそうで、そう考えると、やはり素敵な設定なのかなとも思えてきます。[DVD(吹替)] 6点(2016-06-05 15:51:55)《改行有》

145.  エベレスト 3D 《ネタバレ》  「実話もの」であるのだから、最後は何だかんだで主人公は助かるのだろうな……と考えながら観賞していたもので、まさかの展開には本当に驚かされました。  全滅では無かった事が「救い」を感じさせてくれますが、やはりコレはハッピーエンドとは言い難いでしょうね。  雪原に倒れ込んだままの死体の描写や、凍傷の表現なども衝撃的で、中々頭から離れない。  観賞後は、非常に重苦しい気分を味わう事となりました。  中盤にて登頂に成功したシーンで盛り上げて、その後に遭難してしまうという展開の緩急などは、映画としての巧みさもを感じさせてくれます。  その一方で「実話だから仕方ない」とばかりに、ベックのキャンプ地への生還に明確な理由付けが窺えない辺りは、気になってしまいましたね。  実話を題材にしていたとしても、映画として観る以上「何故、彼は助かったのか?」という根拠を求めてしまう訳で、それが明かされないまま結末を迎えた事は、どうにも消化不良に思えてなりませんでした。  物語ではなく、再現映像による一種のドキュメンタリーとして観賞するのが正しい品なのかも知れません。[DVD(吹替)] 6点(2016-06-05 01:11:31)《改行有》

146.  ブロークンシティ 《ネタバレ》  マーク・ウォールバーグとラッセル・クロウの共演という事で、楽しみにしていた本作。  始まってすぐに 「あれ? これってもしかしてラッセル・クロウは悪役?」  と気付いてしまうような構成だったのは残念でしたが、それを補って余りある魅力的な演技を見せてくれたと思います。  悪役としての貫録もたっぷりだったし、逮捕後の見苦しい捨て台詞も最高。  むしろ主人公よりもオイシイ役だったかも知れません。  「アルコール中毒」「恋人との不仲」に関しては、中盤以降あまり必要性が感じられず、残念でしたね。  むしろコレらの設定がある事によって 「どうせなら逮捕されて刑務所で酒断ちし、彼女とも別れた方がスッキリするんじゃないか」  と思えてしまい、主人公の最後の選択における「自己犠牲」的な意味合いが薄まっているようにも感じられました。    そんな中で癒しとなっているのは、主人公の助手であるケイティの存在。  大物俳優が多い作品の中で、彼女は初めて見る顔だったという事もあってか、とても新鮮な印象を受けましたね。  可愛らしい彼女と、出所後の主人公が無事に再会出来た事を願いたいものです。[DVD(吹替)] 6点(2016-06-04 16:26:09)(良:1票) 《改行有》

147.  レッド・ライト 《ネタバレ》  超能力者と、その真贋を見極めようとする科学者との対決というテーマは、非常に興味をそそられます。  けれど、この映画の場合は意図的にそれをクライマックスに持ってこなかったというか、結果として「本物の超能力者VS偽物の超能力者」という形になっているのですよね。  これには意表を突かれましたが、最初の路線通りに話を進めて欲しかったなぁ……とも思ってしまいました。  なんせ、大物俳優であるデ・ニーロと、シガニー・ウィーバーの対決になるのかと思われた中で、後者が唐突に途中退場する形ですからね。  衝撃的な展開ではあるのですが、疑り深い性分なせいか「これ、本当に死んだの?」なんて思ってしまい、今一つノリ切れませんでした。  超能力は本物か? 偽物か? とデ・ニーロに視点を集中させておいたところで、主人公であるキリアン・マーフィの存在によって「本物の超能力は存在する」と証明されるオチは、素直に面白かったです。  伏線も丁寧だったし、当人が予め「自白」していた事が明かされるフラッシュバック演出なんかも、心憎い。  ただ、それは結果的に「憎きインチキ超能力者の嘘を暴く」というカタルシスを薄める形にもなっている気がします。  きちんと科学的な考証によって「偽の超能力」を否定してみせて、決着を付けた後に、エンディングにてサラっと「実は主人公こそが超能力者」と明かしたりするような形の方が、好みかも。  幽霊屋敷のラップ音の正体、机を浮かしてみせるトリック、電波を使った読心術暴きなど、前半における「超常現象の謎解き」部分が面白かっただけに、後半の展開は残念。  それでも、主人公が「超能力」を証明してみせた事が、ラストの「生命維持装置を切る」行為に繋がる脚本には、唸らされましたね。  実際に死後の世界があるかどうかは分かりませんが、この映画の中では存在していて欲しいものです。[DVD(吹替)] 5点(2016-06-02 21:43:23)(良:1票) 《改行有》

148.  ルビー・スパークス 《ネタバレ》  理想の恋人を現実世界に召喚してみせるも、結局は彼女も思い通りになってくれない……というお話なのかと思いきや「主人公が本気で彼女を操ろうとすれば、簡単に操れてしまう」と証明されるシーンが衝撃的。  ホラー映画テイストな演出も相まって、大いに恐怖を抱かせてくれましたね。  劇中で二人が観賞し、楽しそうに笑い合っていたゾンビ映画「ブレインデッド」よりも怖かった気がします。  「ありのままの自分を愛してくれる人」を作り出したはずの主人公が求めていたのは、結局「貴方は天才!」と絶賛してくれるだけの操り人形に過ぎなかったというオチも、何とも哀れ。  最後には「誰にも操られない、自由になった彼女」と再会する事となる訳ですが、これはココから本当の恋が始まるというハッピーエンドなのか、あるいは主人公が彼女の存在に囚われたまま離れられないバッドエンドなのか、解釈が分かれそうなところです。  自分としては、前者であると信じたいのですが、どうも後者であるようにも思えてしまい、今一つスッキリしない感じが残りました。  以下、映画の内容とは直接関係無い事なのですが、この脚本を書いたのはヒロイン役のゾーイ・カザンであり、プライベートでも恋人であるポール・ダノに主人公を演じてもらったというのが、とても興味深かったですね。  一見すると、本作は「女性に幻想を抱く男性」を揶揄した代物であるかのように思えます。  けれど実際は「理想の彼氏」を求める女性によって作りだされたものであり、ルビーではなく「悩める天才小説家の青年」であるカルヴィンこそが「(脚本家にとっての)都合の良い妄想の産物」ではないか、とも思えました。  キャスティングからしても、それを隠そうとする意図は無く、確信犯的に二重構造を楽しみながら、この映画を作ったのではないかな……と感じられて、何だか微笑ましかったです。[DVD(吹替)] 5点(2016-06-02 17:35:23)(良:1票) 《改行有》

149.  ラム・ダイアリー 《ネタバレ》  ラストシーンにて 「主人公は後に、米国で最も尊敬されるジャーナリストの一人となった」  というテロップが表示される訳ですが 「いや、そこ(偉大なジャーナリストになるまでの具体的な経緯)を映画で描いてよ!」  とツッコんでしまいましたね。  映画の中で主に語られるのは、彼がジャーナリズムに目覚めたキッカケ、後に結婚する事となる女性シュノーとの出会いくらいなので、伝記映画として考えた場合「起承転結」の「起」の部分で終わってしまったかのような印象なのです。  飲んだくれの若者であっても、勇気を出して行動すれば偉大な人になれるというメッセージ性が込められているのかなとも思いましたが、この映画で主人公が最後に行うのは「鼻持ちならない金持ちの船を盗んでやる事」だったりするもので、そんな道徳的な意図があるとも考えられず、何とも判断に困る一品。  主演のジョニー・デップが、仲の良かったジャーナリストに対する敬意や親愛の情を映画という形にして伝えてみせた……という作品なのかも知れませんね。  だとしたら、第三者の観客である自分には分からない魅力が色々と籠められているのだろうな、と推測します。  主人公が喉の渇きに耐えかねて、金魚鉢の水を飲み干す姿は可笑しかったし、舞台となるプエルトリコの風景も美しい。  クライマックスにて語られる「真実の匂いは、インクの匂い」という言葉も、胸に響くものがありました。  それらの(あぁ、良いなぁ……)と思える部分もあっただけに、あの終り方が、実にもどかしかったです。 「惜しまれる内が華」「もっと続きが観たいと思っている時に終わる映画こそ名作」という考え方もあるかも知れませんが、本作に関しては、ちょっとばかり観たい「続き」の量が多過ぎるようにも感じられました。[DVD(吹替)] 4点(2016-06-01 21:46:28)《改行有》

150.  ラブ & ドラッグ 《ネタバレ》  ほほう、バイアグラ販売員の映画なのか……と思っていた序盤から一転、所謂「難病モノ」な内容にシフトする構成には驚かされました。  こういったテーマを描く際、女性側は「余命僅かな不治の病」というパターンが多いのですが、本作においては「病気と闘いながら生きていかなければならない」という形だったのが新鮮でしたね。  彼女を愛するならば、一時の悲劇で済ます訳にはいかない。  パーキンソン病という障害を背負った彼女と、長い「余命」を共に生きて行かなければならない。  徐々に変貌していく彼女を、本当に愛し続けていく事が出来るだろうか?  と問い掛けてくるかのような内容には、大いに考えさせられるものがありました。  ただ、そういった深いテーマが盛り込まれた映画のはずなのに、作風としては非常にライトなノリなのですよね。  このギャップというか、落差をプラスと捉えられるか否かによって、この映画の評価が変わってきそう。  自分としては、それなりに面白かったのですが、今一つハマりきれないものもあったりして、少し残念です。  理由としては、主役二人に対して「病気に負けず頑張って生きて欲しい」と思えるような印象が乏しかった事も挙げられるでしょうか。  主人公の男性は、道徳的に善人とは言い難い軟派男だったりするし、ヒロインも第一印象が余り良くなかったもので、どうしても距離を取って眺める形になってしまった気がします。  とはいえ、二人とも悪人という訳ではないのだし、ハッピーエンドだった事にはホッとさせられましたね。  アン・ハサウェイは好きな女優さんなので、彼女のヌードが飛び出すシーンには、恥ずかしながら興奮したりなんかも。  作中、あまり彼女の病状が進展しない内に「綺麗なまま」映画が終わってしまった件に関しては 「いやいや、そこから先が大変なんでしょう?」  と、納得出来ない気持ちもあるんですが…… 「主人公の強い決意を描いた以上、二人はずっと一緒なのだから、ここから先はあえて描く必要は無いのだ」  という作り手からのメッセージなのだと解釈したいところですね。  元ネタである自伝「涙と笑いの奮闘記 全米セールスNo.1に輝いた"バイアグラ"セールスマン」の作者は、この本はラブストーリーではないと語っているみたいですが、映画の方は立派にラブストーリーとして成立していたと思います。[DVD(吹替)] 6点(2016-06-01 18:02:52)(良:2票) 《改行有》

151.  ラスト・ターゲット(2010) 《ネタバレ》  まさかの恋愛映画でしたね。  冒頭、主人公が恋人と思しき女性を射殺するシーンが描かれており、色恋沙汰を排したハードボイルドな作風かと思いながら観賞していただけに、意外な印象を受けました。  作中に映し出される風景は美しく、それらを眺めているだけで癒されましたし、観賞中「大人」の雰囲気に浸る事が出来る映画というのは、決して嫌いではないです。  ただ、上述のように予想以上に恋愛要素が色濃くて、戸惑う面も大きかったですね。  何と言っても、冒頭のプロフェッショナルとしての主人公の姿と、イタリアの町を訪れてからの主人公の姿が、どうにも一致していない印象を受けてしまいました。  途中、ヒロインの事を疑って殺そうとする展開になるも、結局は悩んでいる内に「彼女は無実だった」と気が付くオチになったりして、何だか肩透かし。  じゃあ最初のスピーディーな射殺っぷりは何だったのか、とついつい思ってしまいます。  冒頭の彼女は恋人ではなく、自分が勝手に勘違いしていただけかも知れませんが「何で今回は対応が違うの?」と思ってしまい、最後までその違和感が拭えませんでした。  それだけ彼女の事を愛していたんだろう、と納得さえ出来たら楽しめたと思われるだけに、非常に残念。  せめて、もっと年数を経過させて、冒頭のシーンを遠い過去の出来事として描いてくれたのならば、印象も違ったかも知れません。  主人公が黙々と腕立て伏せを行ったり、銃を組み立てたりする場面などは、とても良かったですね。  クライマックスの、小銃に仕掛けを施しておいた事が分かるシーン。  そして、無事に助かったかと思われた主人公が、実は撃たれていたと分かるシーンなども、衝撃的でした。  熟成された苦味と同時に、どこか煮え切っていない甘味のようなものを残している。  そんな一品だったと思います[DVD(吹替)] 6点(2016-05-29 18:01:59)(良:1票) 《改行有》

152.  ラン・オールナイト 《ネタバレ》  リーアム・ニーソンとエド・ハリス。  二人が画面に映っているだけでも映画として成立しそうな名優の共演作、たっぷり楽しませて頂きました。  一緒に煙草を吸うシーンでの思い出話により、二人が長年の親友である事を自然と理解させてくれる作りなど、上手かったですね。  そして作中で主人公が息子に語り掛ける「お前は撃つな」という台詞。  汚れ仕事を引き受け続けてきた彼の過去とも合致しているし、何より息子を想う父としての願いが伝わってくるものがあって、非常に良かったと思います。  脇役である「誰よりも主人公を憎んでいるはずの警官」も、オイシイ役どころ。  そんな彼が、憎んでいるはずの相手の息子を救う事になる結末なんかも、渋くて好みでした。  一方で、最後の敵という形になる殺し屋に関しては、特にコレといった背景が描かれていなかった事も含めて、どうにも印象が薄くなってしまい、残念。  監督としても、この映画のクライマックスは主人公が親友を殺すシーンであると考えており、その後は簡略的に済ませて「後始末」のように主人公を死なせてみせた、という事なのかも知れませんね。  ただ、自分としては今一つ物足りないものがあって、これなら普通に自首させて終わりでも良かったんじゃないかな、と思えた次第。  それと、この映画のストーリーラインを考えてみるに「飲んだくれのダメ親父と化した主人公だが、実は今でも殺し屋として凄腕である」というサプライズが存在していた事も窺えました。  自分が「96時間」などを未見であったなら (えっ? この親父さん、こんなに強かったの!?)  という衝撃を受けて、もっと楽しめた可能性も高そうです。[DVD(吹替)] 7点(2016-05-27 14:39:37)(良:1票) 《改行有》

153.  スピーク(2010) 《ネタバレ》  POV方式の映画って、たまに凄く観たくなります。  手ブレの多い映像は苦手なはずだし、このジャンルが特別に好きという訳でもないはずなのに、それでも禁断症状のように身体がPOVを求めてしまうのですよね。  本作も、そんな欲求を適度に満たしてくれる「お化け屋敷的な映画」として、気軽に楽しむ事が出来ました。  物凄く怖いという訳ではないのですが、何処か安心感を伴った「約束された怖さ」を提供してくれる感じですね。  こんな具合に、やたらと血が飛び出したり大きな音で驚かせたりする訳でも無い、落ち付いて観賞出来るホラー映画って、貴重だと思います。  内容としては、ノーカット風の撮影でリアルタイムな感覚を重視した作りが意欲的。  手ブレも比較的控えめで、観易い映像だった事も嬉しかったです。  才能はあるのかも知れないが、今一つ芽が出ないでいる映画監督の主人公と、その弟のカメラマンとの関係性なんかも、程好い生々しさがあって好印象。  ずっと昔に、短編映画の賞を取った事を自慢のタネにして、自分は凄い奴なんだと見栄を張っている兄の姿なんて、妙にリアリティがありましたね。  そんな兄を馬鹿にしながらも、律儀に映画撮影に付き合い、本心では兄を認めている弟。  舞台を一箇所に限定する事なく、この兄弟で色んな怪奇スポットを次々に巡っていく内容なんかも、観てみたかったものです。    オチは投げっぱなしで納得がいかないし、回収されていないと感じる伏線も多く、総じて「面白い映画」とは言い難いものがありましたが、細かい点で好印象を与えてくれる為、何だか憎めない、愛嬌のある映画でした。[DVD(吹替)] 5点(2016-05-26 16:04:17)《改行有》

154.  レフト・ビハインド 《ネタバレ》  飛行機パニック物としては、それなりに楽しめる代物だったと思います。  ただ、それは裏を返せば「世界中から人々が消失する」という展開に、あまり必然性を感じなかった、という事にもなってしまうのが辛いところです。  だって、作中のクライマックスが明らかに「無事に飛行機が不時着出来た」場面であって、人間消失の件が全く関係無い事になっていますからね。  それこそ機長が消えてしまったのならば意味もあったのでしょうが、本作は主人公である機長が現世に健在であり、しかも彼が有能な人物であるものだから、問題無く不時着を成功させて、それでお終い。  これほど無意味で、なおかつスケールの大きい設定というのも、中々珍しいのではないでしょうか。  神様を信じる者だけが消えてしまったとなると、悪人だけが残った世界なのかと身構えてしまいますが、この映画では、その辺りも極めて曖昧。  肝心の主人公達が「神を信じていない」という一点を除けば、比較的善人である事も相まって、あまり危機感だとか絶望感だとかが伝わってこないのですよね。  何せ、主な舞台となる飛行機内に「こいつは文句無しに悪人だ」と思える人物がいないのだから、外の世界が大変な事になっているのが不自然に感じてしまうくらいです。  原作小説はベストセラーであり、これ以前にも三度映画化されているそうですが、いずれも「キリスト教を信じる事」が絶対的に正しいと描かれている内容なのだとか。  そうなると「飛行機が墜落するかも知れない」という展開に着目して、自分みたいな不心得者でも楽しめるような娯楽映画に仕上げてくれた監督さんに、感謝すべきなのかも知れません。  いずれにしても、自らを信奉する人間しか救わないのだとしたら、神様ってのは嫌な奴なのでしょうね。  そんな意地悪な神様なんかではなく、もっと誰にでも優しく出来る存在であって欲しいものです。[DVD(吹替)] 4点(2016-05-25 13:42:58)(笑:1票) (良:2票) 《改行有》

155.  カイト/KITE 《ネタバレ》  元々はアダルトアニメ作品だった原作「A KITE」を一般向け作品として実写リメイクしたという本作。  何となく「レジェンド・オブ・パイレーツ」という映画を思い出させるエピソードですが、そういった「元々はアダルト物である」という点については、上手く隠しているというか、殆ど感じさせない作りとなっていますね。  寂しい事なのかも知れませんが、個人的には好印象でした。  それで、自分は原作アニメの方についても視聴済みなのですが、こちらは素直に「面白い」と言える作品だったと思います。  当サイトの採点基準に則るのであれば「7点」といった感じで、アニメならではの破天荒なアクション演出の数々、大いに楽しませて頂きました。  残念ながら(?)アダルト要素を排した「インターナショナルバージョン」であった為、途中で場面が飛び飛びになってしまう事も併せ、ストーリー面では疑問もあったのですが、満足度は高めの一品でしたね。  で、この実写版「カイト/KITE」なのですが……元ネタのアニメ版を観ていると、致命的な欠点があると思うのです。  それは何もクオリティの差だとか、そんな事では無くて、こちらの実写版では最大のオチとして扱われている「主人公の両親を殺したのはアカイである」という情報。  これって、アニメ版では始まってすぐに分かる事というか、基礎設定みたいなものなのですよね。 「主人公である少女サワは幼い頃に両親を殺されてしまい、犯人である悪徳警官のアカイのもとに引き取られる事になる。  彼女は何時かアカイに復讐を遂げる為に、あえて彼の言いなりになって殺人技術を磨き、殺し屋稼業を続けているのだった……」  というストーリーな訳ですから、サミュエル・L・ジャクソン演じるアカイが黒幕である事なんて、こっちはとっくに承知の上。  にも拘らず、記憶を失ってしまう薬によって主人公は操られ、何も知らないままアカイを信用しているという時点で、致命的に感情移入が出来なくなってしまったのです。  その代わりのように「アカイは純粋な悪人ではなく、意外と良い奴だった?」という要素も盛り込まれており、ドラマを盛り上げているとは思うのですが、これも今一つノリ切れず。  ネタバレ済みの映画を観るのは本作が初めてではありませんが、今回に関しては「よりにもよってそこを、どんでん返しのオチに使っちゃうのか……」という居心地の悪さを、どうしても感じてしまいましたね。  アクションシーンは頑張ってくれていたと思いますし、役者さん達の演技にも特に不満などは無かっただけに、予備知識無しでコチラを先に観ていたら、もっと楽しめたかも知れません。  上述の原作アニメ版と点数が逆転していた可能性だってあると思います。  自分はネタバレに対して神経質な人間では無かったはずなのですが 「一時的に記憶を失わせる薬、欲しいなぁ……」  と、久々に思わされた映画でありました。[DVD(吹替)] 5点(2016-05-19 13:48:07)(良:1票) 《改行有》

156.  パニック・トレイン 《ネタバレ》  こういったジャンルの品で「犯人の正体が不明」のままで終わるパターンは、意外と多いように思えます。  ただ、不明のままでも納得させられる作品と 「結局、犯人の正体って何? 目的は?」  と疑問符が残ったままになってしまう作品がある訳で、本作は残念ながら後者であるように感じられました。  理由を分析してみるに「こいつが犯人じゃないか?」というミスリードが多過ぎたのではないでしょうか。  こんな事を言い出すと、疑り深い自らの性根が嫌になったりもするのですが、まずヒロインが怪し過ぎました。  シングルファザーの主人公にも、その息子にも極めて親切であり、美人。  そして列車の中で出会ったばかりにも拘らず、主人公に積極的にアプローチを掛けてきて、恋仲となる事が暗示される……とくれば「彼女が一連の事件の犯人」「そうでなくとも、何らかの目的があって主人公に近付いた訳アリの人物」と推理してしまいます。  そして、彼女以外にも色々と胡散臭げな人々が登場する訳ですが、それらは全て、主人公の仲間となってくれる良い人達ばかりだったというオチなのです。  結局、冒頭にてチラッと画面に映ったヘルメット姿の人物が「正体不明の犯人」のまま、映画の最後まで居座る形となったのですよね。  的外れな考えをする自分が愚かだったというだけなのですが、どうしても肩透かし感が強かったです。  作中にて主人公達が 「きっと犯人は列車を暴走させて、乗客を道連れに自殺するつもりだ」  と動機を推測するのですが、これに関しても明確な答え合わせは行われないまま。  もっと終盤で明かされたのであれば(まぁ、そういう動機も有り得るか……)と納得出来たかも知れませんが、情報として作中で提示するのが、あまりにも早過ぎたように思えますね。  それ以外は動機に関する描写が無いまま、どんどんストーリーが進行して、結局そのまま終わったものだから(えっ? まさか、あれが真相だったの?)と戸惑うばかり。  結局、この映画は犯人だの動機だのといった謎解きではなくて 「個性豊かな乗客達が、如何にして暴走する列車から脱出するか」  を描く事がメインだったのでしょうね。  いがみ合っていた乗客達が、一致団結して事態の解決に当たる姿は、上述のような疑心暗鬼の雰囲気もあっただけに、意外性があって痛快でした。  また、息子役の少年も可愛らしく(この子を守ってあげたい…)と感じさせられる存在であるだけに、その父親である主人公に、素直に感情移入出来た点なども良かったと思います。  燃え盛る先頭車両から主人公が脱出してみせるという、アクション要素の強いクライマックスの後に、ハッピーエンドを迎えてくれる点なども好み。  そちらの方面から集中して観賞すれば、きっと楽しめる代物だったのだろうなと、勿体無く感じられる映画でした。[DVD(吹替)] 5点(2016-05-18 09:52:46)《改行有》

157.  イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密 《ネタバレ》  映画を観始めた直後に「あっ、シャーロックが主演だ!」と驚き、中盤にて「戦争映画じゃなかったのか……」と再び驚かされましたね。  確かに戦争を描いた映画でもあるのですが、それ以上に『同性愛』という業を背負った天才にスポットの当てられた映画だったと思います。  自分は数学音痴なもので、そんな観客にもストーリーを分かりやすく構成してくれた事は、本当に嬉しい限り。  「真っ当な方法でエニグマを解析しようとしたら、二千万年も掛かってしまう」など、その任務の困難さが明確に伝わってくる辺りは、凄く良かったですね。  途中、ヒロインが唐突なプロポーズを受け入れてくれたり、犬猿の仲であったはずの同僚が庇ってくれたりする流れには(ちょっと主人公に都合が良過ぎない? もっと仲が親密になるまでの描写が必要だったのでは?)なんて思ったりもしたのですが、後にキチンとそれらに対する答え合わせも用意されているのだから、お見事です。  ヒロインは自分も「普通じゃない」という引け目を感じているがゆえに、同じく「特別」な存在である主人公に惹かれていたと明かされるし、同僚はソ連のスパイだったというオチ。  後者に関しては察知する事も出来ましたが、前者に関しては、良い意味での驚きを味わえましたね。  自分は同性愛者である、という秘密を告げられて「それが何?」と返す姿には、惚れ惚れとさせられました。  それにしてもまぁ、主演のカンバーバッチさんは「SHERLOCK」でワトソンとの同性愛疑惑を掛けられたと思いきや、今度は本当の同性愛者を演じる事になるとはなぁ……なんて、微笑ましく思っていたのも束の間。  まさか、こんな悲劇的な結末を迎えるとは予見出来ず、終盤には何とも重苦しい気分を味わう事となりました。  夭逝した初恋の少年と同じ名前を機械に付け、それを偏愛する主人公の姿は、どこか滑稽でありながら、とても哀しいものを感じさせます。  観客としては(あんなに素敵な女性が愛してくれているのだから、その愛に応えてやれば良いじゃないか)と、もどかしい気持ちになったりもするのですが「クリストファ」を再び失う事を恐れる彼の姿を目にすれば、何も言えなくなってしまいますね。  慰めるヒロインの手を取った瞬間、その指に既婚者の証のリングがはまっている事に気が付き「おめでとう」と告げて、微かに笑うシーンの演技なども、素晴らしい。  作中、ヒロインが「貴方の行いによって命を救われた人が沢山いる」と慰める場面では(でも、それによって殺された人々も沢山いるのでは?)と思えてしまい、全面的に彼を「正義の人」と感じる事は出来ませんでした。  けれど、そんな事は彼女も承知の上で、彼を全肯定してあげる言葉が必要だからこそ口にしたのだろうなと、自然と納得させられる作りになっていたのも、上手かったですね。  「誰を助けて、誰を殺すのか」を決める立場に置かれた過去を持つ彼の苦悩を、ほんの一時でも癒してあげる、優しい言葉だったと思います。  それと、ストーリーの序盤にてチラッと語られた「主人公は林檎が好物である」という情報が、現実の彼の死と直接リンクしていると知った時には、大いに衝撃を受けました。  (この映画でも、もっと林檎にスポットを当てても良かったのでは?)とも思えるのですが、それをやると寓意性が高まり過ぎると考えて、故意にオミットしたのでしょうか。  判断の難しいところです。  ラストシーンの「チューリング・マシーン。今それは、コンピュータと呼ばれている」のナレーションには、本当に鳥肌が立つのを、はっきりと実感。  今、自分はノートパソコンを使って、この映画の感想を書かせてもらっている訳で、それを考えるだけでも、非常に感慨深いものがあります。  この映画を「後味が悪い」と感じなかった理由は色々とあるのですが、一番の理由は「彼を愛してくれた女性がいた」と、丁寧に描いてくれた事。  そして、少なくとも今現在の我々の世界においては、主人公の業績は正当に評価され、偉人として称えられているのだと、ハッキリ伝えてくれた事にあるのでしょうね。  本人がそれを喜ぶかどうかは、もう決して分からない事ですが、映画の観客としては救われるような思いがしました。[DVD(吹替)] 8点(2016-05-17 07:35:22)《改行有》

158.  おとなのけんか 《ネタバレ》  色々とスキャンダラスな話題も多い監督さんですが、やはり才能のある人なんだなぁ、と実感させられましたね。  子供が原因で親達が喧嘩するという、それだけの内容で映画を一本撮ってしまうのは凄い事だと思います。  ただ、完成度の高さに唸らされる一方で、どうしても「面白い映画」とは思えず、残念でした。  何せ本当に延々と大人達が喧嘩しているだけですからね、この映画。  子供時代、夫婦喧嘩する両親を目にした時の居心地の悪さを思い出してしまいました。  ポイントとしては、やはり登場人物が男女四人だったのが大きいかなと。  この展開であれば、途中で絶対に夫婦同士の和解、仲直り、相互理解が訪れるはずだと予想していたのですが、それは微妙に外れ。  互いに理解し合うキッカケが掴めたかと思われた矢先に、結局はその二人で結託して、他の二人を攻撃するという、男二人VS女二人の構図となってしまう訳です。  その変化が面白いとか、国家間の争いにも通じる皮肉になっているとか、そういった解釈で楽しむ事も出来たのでしょうが、自分としては「まだやるのかよ!」と呆れてしまう気持ちが強かったですね。  そんな中で、子供達はとっくに仲直りしている事、安否が気遣われたハムスターも元気である事が分かるエンディングに着地する辺りは、お見事。  それでも、肝心の大人達は罵り合ったままで終わった以上、どうにもスッキリしない後味となってしまいました。  「戦争映画を愉快痛快な内容に仕上げるのは間違っている」という主張が存在しますが、この映画に関しても「戦争もとい喧嘩を描いた映画なのだから、観ていて不愉快なのは当たり前」という事なのかも知れませんね。  映画が終わった後の世界では、子供達と同様に親達も仲直り出来たと思いたいところです。[DVD(字幕)] 4点(2016-05-16 05:26:41)(良:1票) 《改行有》

159.  グランド・マスター 《ネタバレ》  二重の魅力を秘めた作品だと思います。  武侠物としても、恋愛物としても楽しめる側面を備えている。  でも、自分の場合は上記の要素どちらに比重を置いて観賞して良いのか分からず、今一つ集中する事が出来ませんでしたね。 「ウォン・カーウァイ監督? なら格闘シーンはオマケ扱いで、恋愛模様がメインなんだろなぁ……」 「おぉっ、思った以上にアクションのクオリティ高い! 甘く見てた自分が馬鹿だった!」 「これ完全に武侠映画だなぁ、やっぱ映画に先入観を持つのは禁物だわ」 「あれ? このラスボス(と思われた人物)あっさり負けちゃったけど、どう話の決着付けるの?」 「……って、結局は恋愛映画かよ!」  と、こんな感じで混乱してしまった次第。  途中から終盤にかけては、トニー・レオン演じる葉問よりも、チャン・ツィイー演じる宮若梅の方が主軸に据えられているように感じましたね。  それでいて最初と最後をキチッと葉問で〆るのは生真面目な作りでしたが、それゆえに葉問が全然目立たない場面の長さも際立ってしまい、少々軸がブレているようにも思えました。  冒頭の雨中の格闘シーンを筆頭として、アクションは格好良く描かれていましたし、監督の得意分野とも言うべき恋愛描写の部分も良かったです。  不器用な自分としては、さながら左右から腕を引っ張られているかのような居心地の悪さを覚えてしまいましたが、器用な人であれば、その両方をしっかり楽しんで、満足出来そう。  そんな器用さを備えた人が羨ましくなる、ちょっと手の届きそうにない位置に咲いている花のような映画でした。[DVD(吹替)] 5点(2016-05-06 05:21:05)《改行有》

160.  デンジャラス・バディ 《ネタバレ》  女性警官同士のバディ・ムービーというのは初めてだったので、新鮮な気持ちで観賞する事が出来ました。  都会のエリートであるアッシュバーンと、田舎の乱暴者なマリンズ。  前者が後者に迷惑をかけられる事が多かった二人の関係性が、段々と逆転していき「あれ? これってもしかしてアッシュバーンの方がダメな女性?」と感じさせられていく流れが面白かったですね。  作中で「車が爆発するんじゃないか」と思ったら、本当に爆発しちゃった場面なんかも印象深い。  とはいえ、全体的にキツめのブラックジョークが多く、アッシュバーンが応急処置に失敗して相手を血まみれにしてしまうシーンや、マリンズが病院内での電話を看護婦に咎められるも銃を突き付けて黙らせるシーンなどは、ちょっと受け入れがたいものがあったかも。  最初は嫌っていたはずの相棒を認めて、周りに対して彼女を弁護してみせる件など、こういった映画における王道の魅力を忘れず備えてくれているのは、嬉しい限り。  特に「仕事で失敗してしまった後に酒場へ足を運び、飲み明かして憂さを晴らす」流れなどは、この設定ならではの「女の友情」を感じ取れて良かったですね。  ラストシーンにおける「アッシュバーンが飼っていたはずの猫」の件も、本来は傍迷惑な話なのですが、どこか微笑ましいものがあり、後味も良かったです。  そのまま内緒で飼ってしまうのではなく、ちゃんと猫を本来の飼い主に送り返す事を受け入れてくれたのが、ギリギリのバランスを保ってくれた感じですね。  嘘を見破ったマリンズの「全くコイツは……」と呆れながらも、彼女を見離せない事が伝わってくる雰囲気が、実に良い。  里子として育てられ、これまで家族が一人もいなかったアッシュボーン。  実の弟を刑務所送りにした事を、家族から責められ続けているマリンズ。  そんな二人が、共に過ごした時間を通して「姉妹」になっていく。  皮肉な笑いの中にも、微かな温かさを感じられる映画でした。[DVD(字幕)] 6点(2016-05-02 21:21:33)(良:2票) 《改行有》

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