みんなのシネマレビュー |
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【製作年 : 2010年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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2. ゲット・アウト 《ネタバレ》 車で向かった人里離れた土地…そこにいる人たちはどこか変…という「ステップフォードの妻たち」の舞台設定に 「招かれざる客」の白人と黒人カップルという人種問題を盛り込んで、 主人公が怪しいと思っていた人たちは実は…という「スケルトンキー」の、謎の真相の中身を足して3で割って、 そこに、「性奴隷だー!」という失笑モノのレベルの低い下ネタをぶち込んでミキサーにかけてドロドロに出来上がった、非情に低レベル映画。 これがアカデミー脚本賞?笑わせますね。 自宅で、あんなチャチイ手術器具と部屋で、人の精神を別の人の体に移植できるわけないでしょう。 あのお母ちゃんがティーカップをチンチン鳴らしたり、スプーンでクルクルすだけで、相手がコテンっと寝ちゃうとか、いくらなんでも説得力ゼロ。 それならそれで、テリーギリアムが作るSF映画みたいに、全体がハチャメチャなムードで作らないとダメです。 コメディー出身の映画好きな黒人のジョーダン・ピール監督が、 「黒人は優秀な遺伝子で、白人が黒人の体を乗っ取りたいと思うほどすごいんだぜ!」ということを描きたいがために 過去に見たお気に入りの映画の中身をツギハギして低予算で作ったら、それだけでオスカーもらえちゃうなんて、悪いジョーダンだろと思いました。[インターネット(字幕)] 2点(2021-09-30 19:41:36)《改行有》 3. アナイアレイション -全滅領域- 《ネタバレ》 アーティストな才能をもった宇宙人が地球上に壮大なインスタレーションを創作しようとする映画。 ほんと、この宇宙人すごくアートの才能あるよ。 シマーというアトリエの中では、美しい花々をひとつの株に咲かせるという斬新な作品、人間の形をした植物という作品…。 廃墟となった基地の中には、人間の体を破壊していろいろな素材で飾り立てた華麗なるウォールアートを残し、 灯台は灯台の色であるオフホワイトに合わせて、オフホワイトを基調としたコケのようなものを漆喰のようなもので装飾している。 浜辺のガラス状の樹々は美しく、ヴェントレスおばさんの口から出てきたイルミネーションアートもなかなかのレベルだ。 人間の声をまねる熊さんや、生まれたての超合金みたいな宇宙人がレナやレナの夫の見た目をまねて見た目も動きも本人になっていくという行為は、地球上生物へのオマージュだろう。 灯台の中でレナとあらゆる動きをシンクロさせている様子は、アヴァンギャルドな舞踏芸術。 そう、この宇宙人は、地球にやってきてアートで一旗揚げたかったのだ。 ただ、描写していることに一貫性がないのがいまひとつ。 生き残ったはずのレナの夫はオマージュ作品だが、レナもどうやらウィルス感染みたいに、宇宙人に体をのっとられている。 オマージュ作品を作るプロセス(あの鋼鉄みたいなボディから人間に変化する)だけでなく、ウィルス感染みたいなことも起きていて どっちつかずになっている エイリアンみたいに卵から産まれたフェイスハガーが人間の顔にくっついたらお腹からエイリアン生まれちゃう、とか、 ゾンビ映画みたいにかまれたり血を体内に入れたらゾンビになっちゃうとか、プロセスは印象的なものを1つだけに絞らないと、 全体のまとまりがよくないです。 ビデオの中でお腹の中に蛇らしきものが蠢く映像が映っていたが、エイリアンみたいにお腹に謎の生物が寄生するという現象を見せておいて、その後同じ現象が誰にも起きないってのも、じゃぁなんのために「後から来る隊員へ」なんて書いてわざわざメモリーカードを残すのかっていうことになります。 そこをきちんとやっておけば、アート好きな宇宙人が地球で個展を開こうとして奮闘しているドラマなんだなと受け止めることができたのに、残念です。 (とりあえず、宇宙人となったレナ夫と、宇宙人に体をのっとられたレナは 宇宙人のアートの才能を受け継いで、今後は夫婦でアート作品を続々と作り出して、世界的に有名なアーティスト夫婦として知られることになるでしょう、たぶん。)[インターネット(字幕)] 4点(2021-06-24 08:31:46)《改行有》 4. 嵐の中で 《ネタバレ》 ヒロインのベラは夫ダビドとラブラブ。娘グロリアもかわいい。幸せいっぱい。 でも、その世界では、20年前にある少年ニコが、近所のおっさんの妻殺し現場を見てしまい、あわてて路上に飛び出して車に飛ばされ死をとげている。 ところがある嵐の夜、ベラは古いTVとカメラを通して、そのニコと対話できちゃう。 「今外に出ちゃだめ!死んじゃうから!ダメ!絶対!」と死を回避させちゃう。 設定は無茶ですけど、結果としてニコ少年は死ななかったが、ニコ少年が死ななかった世界(厳密にいえば、ニコ少年が死なないままニコ青年に成長し、そしてヒロインと結婚してるという展開になってる、トンデモな平行世界)で 死なないで済んでそのまま大人になったニコと暮らしていた、平行世界の別の自分と入れ替わっちゃう、もとの世界のほうのベラ。 なんで結婚してるの? と思ったら、ニコ少年はTVを通して見た20歳くらい年上の女性(ベラ)を慕って いつまでも駅のホームで待っていたのだ。 その駅は、古いTVを通して話した彼女の背後に見えた駅名が書かれた看板(盗んだもの笑)のあった駅だったから、彼女とつながるものはそこしかないと信じ、そこで待っていたのだ。 彼はやがて30近くなる。すっごいイケメンに。 (そして、そのイケメンは、この平行世界に肉体転送されちゃった、ニコが死んでる世界に生きていたベラを助ける刑事の男だと判明してビックリ) そして見つける。20年前TVで話をしたその女性を。 (でも、この女性は、ヒロインが過去を改変したせいでできた平行世界の住人なので、少年の死亡事件もないし、なんの少年との接点もない。知ってるのは青年ニコだけ。) 平行世界では、イケメンになった彼が、20年前に対話し命を救ってくれた女性と愛し合い、結婚して、幸せに暮らしていた。 (で、イケメンニコ青年の妻である、平行世界のベラは、もととなっている世界のベラと、相互転送になっちゃったからさぁ大変。 もとのベラは、「ダビドどこ~!グロリアどこ~!」って混乱してましたが、平行世界のベラだって、もとのベラの世界に送り込まれて「ニコどこ~!ダビドってだれ~!」ってなってたでしょうね。そこは描かれてませんでしたが。 ニコの死亡事件にからむ、近所のおっさんの殺人事件(近所の主婦と再婚するために、妻を殺して死体を隠ぺい。それが成功)の解明につながり…そして、さらに、ダビドには浮気癖があっていつも同じホテルを利用していることも判明。 かくして嵐の夜再びベラは平行世界から、もといた世界に戻… ってなーい!!!笑 なるほどこっちの世界は2つ目の平行世界ですか…。 この2つ目の平行世界は、もとの世界ととても同じなところが多い。 ベラはダビドの妻という立場だし、娘グロリアもいる。 そして近所のおっさんは殺人の隠ぺいに成功して不倫相手と再婚してる。 そこらへんはもといた世界と同じ。 しかしベラは、夫の浮気癖を知った(ホテルの棒マッチの伏線と回収はうまい)ので、おそらく夫の浮気を離婚事由にして娘を連れてシングルマザーになるだろうなという雰囲気。 そして近所のおっさんが隠した妻の骨のありかも、平行世界でチェック済みなので、自ら見つけて警察に通報。 浮気夫に、不倫&妻殺し夫、悪者を一掃するというすがすがしい2つ目の平行世界…。 しかもこの2つ目の平行世界には死なずに青年になったニコが刑事として生きている。 つまり、もとの世界のベラは、1つ目の、ニコ青年と結婚してる世界から脱出したけど、もとの世界に戻れたのではなく もといた世界と酷似したまた別の平行世界に転送されたんですね。 この2つ目の平行世界では、この刑事ニコは、ベラのことを知らない様子。 おっさんの妻殺し事件は起きたけど、ニコはそれを目撃したりうっかり事故で死なないで済んでいた、ラッキーな世界? グロリアは、1つ目の平行世界ではダビドとグロリアがいないことに困り果てていたけれど ダビドが浮気性のクズだと分かった時点で、グロリアさえ取り戻せればいいっていう感じだったんですよね。 だから、別にもといた世界に戻れてなくても、グロリアがいれば2つ目の平行世界でもOKってことですか。 それにこの2つ目の平行世界では、1つ目の平行世界でちょっと惚れかけていた(でもグロリアに会いたくて、さよならした) イケメンニコ青年がいる。 最愛の娘を取り戻し、浮気性のクズ夫の本性をあばき離縁、そしてイケメン年下ニコ青年と人生やり直し。 これはもう、もとの世界よりこっちにいた方が断然ベラは幸せですね。[インターネット(字幕)] 7点(2021-06-22 19:18:26)《改行有》 5. ホテル・ムンバイ 《ネタバレ》 「スラムドッグミリオネア」でその顔を知られることとなったデヴ・パデル(アルジュン)が、この映画の主人公。 だから彼に死亡フラグは立たない。 最後まで活躍して最後まで死なずに、心配してる妻子と再会してめでたしめでたしになろうことは予想がつく。 テロリストの首謀者は、リアルにどいつこもこいつもタチの悪いイジメっこでして、「神は偉大なり」の一言で少年を洗脳してテロリストに仕立てるのも、彼らにとっては日常のちょっとしたお遊びみたいなものなのですよね。 とにかく無差別に殺してショッキングな感じを楽しんだり、 気が向けば金持ちを生け捕りにして、ちょっと身代金要求しちゃおうかなとか、 ダメならストレス発散に殺して、関係者を苦しませちゃえとか、 その場のノリでやることを決めるので、本当にタチが悪い。 それにしても、この映画は実話だそうだけれど 赤ちゃんを連れて逃げてたあの女性が最後まで無事だったっていうのはホント? あの年齢の赤んぼなんて、ずっと寝てるか、オムツ濡れてるかミルクが欲しいときだけ目ざめて泣きわめくのに、 あんな状況でベッドにも寝かせてもらえず、それが何日も続いてたんですよね?ミルクどうしてたん?オムツどこに替えあるん? あんな真っ暗で狭いクロゼットに入っただけでも、一発で泣き出しますやん。 どうも赤ん坊を殺すのは悲惨だから生かしておきたい気持ちはわかるけど、そこはリアリティがなかったですね。 でも実際、ホテルの従業員がお客さんのために居残って殺害されてたなんて。 生き残った金持ちは、金があるから守られたってことですよね極論を言えば。 ちゃんと金持ちたちは、死んだ従業員の一生分のチップを遺族に払ってやらないと死んだ従業員に呪われますよ。[インターネット(字幕)] 6点(2021-06-17 11:13:36)(良:1票) 《改行有》 6. グリーンブック ドクは、黒人っていうだけでなく、ゲイでもあったわけなんですね。 でもトニーは黒人であることもゲイであることも、気に留めない。 イタリア系移民っていうことで、すでに差別されているせいか、弱いものの気持ちが分かってるのかなと。 トニーにだんだん下品にされていく(フライドチキンとか、聞く音楽とか)ドクと ドクにだんだん上品にされていく(手紙のセンス磨きとか)トニー。 普通に心地よい作品だった。 アカデミー賞の授賞式は見ましたが、オクタヴィア・スぺンサーが作品賞受賞のときに舞台に上がっていて 「え?彼女出てたっけ?」と思ったら、エグゼクティブ・プロデューサーだったんですね。 貫禄ついてきましたねぇオクタヴィア。[インターネット(字幕)] 8点(2021-06-07 11:31:47)(良:1票) 《改行有》 7. 1922 《ネタバレ》 なんで主人公の男がここまで不幸にならなくちゃいけないの? 妻めちゃくちゃワルもんだよ。 父から引き継いだ土地は私のもんだと。 その態度がイライラ。 父の土地なんて、お前が苦労して築いた財産じゃないだろう。 それをたまたま偉そうに、それを武器に、土地も貯金もない夫をナメまくってる。 だから、 「土地を売るわ。その金で都会に行くの。洋服屋さんを開店するわ。あなたがついてきたくないなら結構。離婚するわよ。 金ならあげる。でも息子は私が連れてくからね・ え?息子が近所に彼女ができたから、別れたくないから都会には行きたくない? 冗談じゃないわよ、そんなことに私を巻き込まないで。 彼女なんてどうでもいい。それより、できちゃった結婚とかしないようにね。あんたの父親みたいにね笑」 なんてことを、勝ち組の表情で言い放つ。 最低女。 夫の気持ちも、息子の気持ちも、自分中心の思考で聞く耳すら持たない。 さらに息子の前で父親を侮辱。 100回死んでも許されないタイプの女。 いや、ほんと、あなたは死にふさわしい。あなたみたいな自己中人間は死んだほうが世のためだ。 私ははっきりそう思った。 殺人は悪い。 でも殺人まで追い詰める悪人は殺人者よりもっと悪い。 この妻はまさにその悪者。 彼が手を下さなければ、この悪妻は、土地を売り、金と息子を連れて好きなように人生を生きちゃう。 夫は何も悪いことはしていない。 愚直に畑を愛し、息子を愛し、息子を立派に農民に育てるために汗を流して頑張ってきた。 息子もそうだ。 まじめに働き、この土地で骨をうずめる気持ちで、地主の娘とも仲良くなれて幸せの渦中にあった。 それをすべて自分のエゴで、奪おうとしてる。 自分の努力で築いたものではない、土地と金で。 なんてごう慢な女。死にふさわしい。死んだあと井戸でネズミに食われてきたなくなるのにふさわしい。 それなのに、なぜこの主人公がここまで苦しまなくてはいけないのか。息子も苦しめられるのか。不条理すぎる。 息子の彼女シャノンの家庭では、逆に夫が金があるせいか傲慢で、まさに主人公の妻の逆。 主人公のようにシャノンの父に従わされてガマンしている。 だから最終的には、家を出ることで、シャノンの母は夫に復讐したのだ。 主人公も長年、金と土地をふりかざす妻に従わされたのだから、復讐して何が悪いというのだろう。 私は金と土地を持っている配偶者に、金と土地がないゆえに、ナメられるという状況が本当に許せない。 主人公、がんばれ、悪い妄想に悩まされずに、逃げきり、がんばって生きてほしい。 当時のことを紙に書いて、カタルシスして、悪夢から目覚めてほしい。 ネズミ恐怖症も治りますように。そう願うばかり。[DVD(字幕)] 4点(2021-05-28 09:51:48)《改行有》 8. バード・ボックス 《ネタバレ》 目隠ししてサバイバル…この設定はかなり面白い。 闇を抱えてる人たちは、自殺病にならずに、目隠しなしで生きていける(そして健常者を襲う)という設定も面白い。 肝心の、目に見えないヤバいあいつは、落ち葉を扇風機でバアアアーっと吹き上げたり、木の枝葉をスタッフが見えないところでワサワサ動かすだけで、低予算(多分)なのに設定でうまく作ってる。 でもあのラストはなんなんですか。 盲学校だからなるほど、あいつらを見ないで済んで助かったんですねと言いたいけれど そんなに単純じゃないでしょう 食料はどうやってじゃぁ今まで手に入れてきたの? 成長していく子供たちの洋服は? 犬までいるけれど、ドッグフードはどこで手に入れてるのこの5年間も…?笑 盲学校だから罹患しない人がほかの場所より多かったでしょうけれど 説得力がちと弱い。 天井は緑で目隠しされているが、バラの花みたいなものが所々咲いていて、なんかあまりにも出来すぎてる。 中庭にいる人たちはみんな幸せそうにニコニコしてるけど、こんな状況で5年間も過ごしてきて あんな別世界だから幸せです~っていうテンションになれるとも思えない。 ここだけ、こぎれいなファンタジー映画を見せられてる感じになっちゃって白けてしまった。 他のレビュアーさんの言う通り、視力を失って助かるっていうくらいのオチじゃないと これまでのグロテスクな修羅場を潜り抜けてきた後のオチとしてふさわしくないんじゃないかな。[インターネット(字幕)] 6点(2021-05-01 18:45:39)《改行有》 9. サウンド・オブ・メタル -聞こえるということ- 《ネタバレ》 はい、またネット映画ですよ。 Netflix映画がアカデミー賞で幅を利かせ始めて以来、昨年のコロナの影響で近年調子あげまくりのネット映画ですよ。 いえね、ネット映画は悪いとは言わない。 でもなんだろう…昨今の映画の、小粒感… 面白いけど歴史に残るかっていうほどでもない佳作が多いこと多いこと…。 そしてネット映画の最大のデメリットは、配信サイトと契約しないと見れない敷居の高さもあって レビューサイトの感想が少なかったり、レビューページの開設が遅いこと。 見たい映画だけ見るためにお金を払ってはい終了っていうのと違って、「『サウンド・オブ・メタル』を見るために、アマゾンプライムに契約しないといけないのかぁ…」ってなってる人も少なからずいると思うんですよね、二の足踏んでるみたいな。 まぁ、コロナと一緒で、いやがおうにも適応していかないとダメな時代なんでしょうけど。いやな時代ですね。 特にこの映画、アカデミー賞で音響賞を取ったくらい、音が命。 聴覚障害の主人公の音の聞こえ方(素の状態での人の声や物音の聞こえ方、収音マイクの聞こえ方など…)が作品の見どころのひとつなので、劇場公開なしで家のTVやPCで見ろってのも、もったいないですしね。 WOWOWの授賞式の放送で、ゲストのケンティーが「ぜひヘッドフォンで聞いてほしいです」って言ってたけど 新作でアカデミー賞2冠の作品を、ちっこい画面でヘッドフォンで聞かなくちゃいけないなんてね。 うちはYAMAHAのスピーカーをTVとは別に入れているので、ある程度いい音では聞けますけど、やっぱり見るなら劇場のほうが いいでしょう。 …と一通りぼやいたあとで。 作品の内容はまぁまぁです。 耳が聞こえなくても何とかドラマーを続けたがる主人公。無茶な男です。 聴覚障害者のコミュニティに入る際は、外部といっさい連絡禁止なのに コッソリと運営者のオフィスに侵入してPCで恋人と連絡とっちゃう。我慢ってものをできない男です。 気持ちのもちようをどうにかするんじゃなくて、手術で治したいって、音楽機材もトレーラーも売り払い 手荷物ひとつになってでも、なんとしても手術を受ける。短気で強引です。こうと決めたら頑として気持ちは変えられない。 でも収音マイクで聞く音は、雑音のように不快…人生は思うようにいかない。 彼女のもとへ戻ったけれど、彼女は彼なしの、金持ちパパのもとで裕福で何不自由ない生活の中で、腕をかきむしる自傷行為もストップしていて そこそこ幸せそう。もはや彼女を貧乏生活の道連れするわけにもいかない。 ”こうと決めたらやり抜く”性格で突っ走っても、その勢いで壁を突き破ることはできない。 壁にぶち当たり、どんなにあがいても聴覚を失ったことで、音楽も恋人も失うという現実に抗うことはできない。 自分は主人公と性格が似てるから、その気持ちよくわかる。 無茶して、それが後で無駄になって、途方にくれる。 ラストシーンでは、現実にうちのめされ、街中のベンチに座るルーベン。 人の足音、声、車の音…街の喧騒が、収音マイクを通して耐え難い雑音として響く。 美しい教会の鐘の音も、不気味なほどの不快な音となる。 ふと彼が収音マイクをとると、映画から音がさっと消え…スケボーで遊ぶ子供たちや、風にゆらぐ木の葉っぱが映し出される… そうだ、収音マイクで雑音にすがって聴覚を持つより、 収音マイクを頼らず、物を見て ”音を心で感じる”ことのほうが、幸せかもしれない。 おそらく彼はそう気づいた瞬間。 シーンはここで終わるが、たぶん彼はまたコミュニティに戻るだろう。 彼はそこでは歓迎される。 運営者の右腕になるか、先生になってほしいと言われていたのだから、あらたな生きがいをそこで見つけられるだろう。 アリシア・ディキャンベル似のあのコミュニティにいた女性とも、けっこう仲良しモードだったから おそらく彼女が新恋人になるだろう。 いくつかのハッピーな展開を想像させてくれる伏線を中盤でばらまいておく、なかなかうまい構成ではあった。 でもね、劇中にレズビアンな女性をモブとしてぶっこんできてるけど、LGBTに対して偏見ありませんみたいな 優等生っぽい作りにしてるなって感じて、そういうのがいちいち気になるんですよね。 あと、収音マイクでは雑音に聞こえるっていうことを、映画でさんざん有名にさせちゃったから 世界中の収音マイクインプラントをやってる病院の、営業妨害になってると思う笑[インターネット(字幕)] 4点(2021-04-30 09:53:29)《改行有》 10. チューリップ・フィーバー 肖像画に秘めた愛 《ネタバレ》 ヒロインの不倫がメインテーマですけど、まずなぜ画家が好きになったかの理由づけに説得力がなく、その時点で感情移入できない。 「ピアノレッスン」のように、夫が性格が悪くてヒロインをぞんざいに扱っているなら、優しくしてくれた男に惚れていくのは分かる。 あるいは「マディソン郡の橋」のように、夫の性格は普通でもそれが退屈で、趣味の話しが合う男に惚れていくのも分かる。(キーツの詩を理解するとか) しかしこの映画えは、夫(クリストフ・ヴァルツ)はひたすら優しくヒロインをお姫様のように大事にしてるのでダメだ。 画家と話しが合って惹かれたわけでもないからほんとダメだ。 つまりは、”おじいさんの刺激のないエッチより、若い男の激しいエッチのほうが、すっごくイイわぁ…”っていう、うすべったさ。 だから、ヒロインが死んだフリして画家と駆け落ちをするつもりが、急に熱が冷めたのもよく分かります。 だって画家とは、ただエッチが良かっただけですもんね。 そんな相手のために、エッチがムードがないとはいえ自分に尽くしてくれた真面目な夫をだまして、 召使の子供をヒロインの子だとだましたあげく、夫にその赤子をヒロインの子だと押し付けて、 死んだフリして、駆け落ちしようなんて、若い男とエッチざんまいの日常を手にするだけのためにそこまでするかい…って どんな単細胞な脳でもわかりますよね。 そもそもあの画家、頭相当悪いし。 (彼女との駆け落ち資金を、彼女を育ててくれた修道院からチューリップ盗んでお金にしようとか、もう人としてアウト) 状況次第で高騰したり暴落するチューリップは、まさにヒロインの気持ちの象徴だと思えば このなんの感情移入できない作品も、あらての不倫映画としてはアリといえなくもない。 ヒロインに裏切られても、ヒロインとグルになって自分をだました召使と、その彼氏の魚売りの魚くさい男に いきなり家と資産をあげちゃう人の良さは意味不明だし その家にのうのうと居座って 元魚売りの男と夫婦になって、おしゃれな洋服を着込んで子供をワラワラ生んで生活してるマリアも、まぁ調子がいいこと…って意味不明。 (マリアの性格がピュアで優しいならともかくとして マリアが妊娠したことをヒロインに告げたら「もし私を追い出したら、あなたの不倫を旦那様にばらすぞ」って ゆすりをするような、雑草みたいにたくましくていやらしい貧困層の女ですからね) ラストシーンでは、修道院で、絵の仕事を頼まれてやってきた画家が、修道女になっていたヒロインと再会したわけですが まぁあのヒロインの性格からして、修道院の夜の庭でまた画家とめくるめくエッチを楽しんで 「やっぱりまた死んだフリして今度は修道院から逃げ出してあなたと一緒になるわ!ひゃっほ~!」 ってなりそう。[インターネット(字幕)] 2点(2021-04-01 09:32:42)《改行有》 11. キャプテン・フィリップス 《ネタバレ》 前半は、貨物船における、船長VS海賊の心理戦と、船員VS海賊の必死の攻防で、ダブルの面白さ。 後半は、貨物船パートが終わり、救命艇パート。 ここでは船長VS海賊の心理戦に、新しくアメリカ海軍VS海賊との心理戦という構図も加わり、それもまた見ごたえあり。 海賊は4名いて、このそれぞれのキャラはノンフィクションじゃなくて、たぶん映画としての面白さを作るためにフィクションなところ(性格や年齢)があると思う。 落ち着きがあるボス、やたらとキレる横暴な男、気弱な少年、なんとなくいる存在感が石な男。 この4人の個性があるから、最後まで面白く見られたというのもある。 そしてアメリカ映画らしく 「アメリカは強いんだぞ!アメリカってみんなの憧れなんだぞ!」 っていう、アメリカ礼賛映画になってるあたりもアメリカらしくて、清々しい笑 海賊のボスは、「アメリカに住んで、車が買いたいんだ」なんてポロっと言ったりして アメリカへの憧れを口にする場面とか笑 アメリカ海軍の人質救出作戦の技術も存分に披露されて、アメリカ海軍天下無敵感いっぱいで、ビバ!アメリカ!っていうノリがまた心地いい笑 それにしても勉強になった。 ソマリアの海賊って、 「海賊やって一儲けしようぜ!」 って意見の合った仲間がつるんでやるものではないのですね。 貧しい漁師の村の漁師たちが、みかじめ料として変なおっさんたちに脅されて仕方なく行かされている。 そして、気の合ったもの同士で組んで計画的に行くのではなく 日本でいえば、ホームレスたちを働かせる労働場所へ向かうバス(それが海賊船に該当)があって、 そこに乗せる人員をつのる場所に来た日雇い労働者の顔とか適当に見て責任者が 「じゃぁ、君と、君と…あとソコにいる君…」 って、めちゃめちゃテキトーに選んでバスに乗せちゃうノリと同じ。 そして必死で金を盗んできても、漁師たちにはお金は入らず 全部みかじめ料としてもっていかれちゃう。 この現実は知りませんでした。 漁師たちはかわいそうなんだ。 救命艇の中では、先ほども書いたように「アメリカに行って車を買いたい」発言もしていたし それに、海賊のボスは、フィリップス船長が当初渡した現金だけじゃ足りないと言って、もっとお金を取るためにフィリップス船長を身代金のために人質にしたわけだけれど 海軍に追い詰められて困っていた海賊のボスに、船長が「欲を出さなければ、おおごとにならなかったのにね」と言うと 「ボスがいるから仕方ない」 って言っていたのも心に刺さった。 映画冒頭で、漁師たちが、みかじめ料を取るおっさんたちに 「先週海賊やったばかりだから、行かなくてもいいだろ」的な発言をすると 「ボスはもっと金がいるんだ!」 と怒鳴りつける。 海賊のボスの上に、みかじめ料をとる中ボス、そのみかじめ料をとるボスも、またその上に、みかじめ料とってこいって怒鳴る大ボス… ボスボスボス…本当に、その末端の人間が結局つらい思いをする構図だ。 面白いのは、この時そのセリフを聴いたフィリップスが 「誰にもボスはいる」 と言ったセリフ。 そう、丸腰で、危ない海域を行かせて、輸送費削減とスピード配送最優先を命じるボスの下にある立場ゆえに こんな災難に巻き込まれたわけだから、そうボヤキたくもなるでしょう。 悪いのは、海賊じゃない。 いろんな意味で感慨深い映画だった。 現在服役中の海賊のボスは、服役のあとは心を入れ替えて、アメリカに移民として暮らせて、車が買えるといいね。[インターネット(字幕)] 7点(2021-03-07 10:47:38)《改行有》 12. ザ・テキサス・レンジャーズ(2019) 《ネタバレ》 「俺たちに明日はない」のボニー&クライドを、追跡する側視点バージョン。 当時のハイテク機器を使っている警察でも見つけられない彼らを、 テキサスレンジャーは、野生のカンで追い詰める。 若い警察たちより、走るだけでゼイゼイしちゃうおじちゃん2人組の方が、もっと凄いんだ!!! それだけで痛快。 ボニー&クライドも、写真で残っている本人たちにファッションもうまく寄せた上で、あえて彼らに過剰なセリフを与えていないところも好印象。 最終的には、ボニー&クライドは車道でハチの巣にされちゃうんだって、オチは分かっていても、それまでのテキサスレンジャー二人の心の触れあいが丁寧に描かれていて、それを辿っていくのも心地よい。 ラストシーンは、長い長いハイウェイを走るテキサスレンジャー二人の車。 ラストでこうやって、去り行く車を映すのはよくあるパターンなのだが、この映画では 道の途中で車が止まる。 そして二人がドアを開けて出てきて、互いの座席を変えてまた車に入って走り出す。 つまり、運転を変わっていたのだ。 年よりだから疲れちゃうので、こうして交代したのかな…とか 最初はつっけんどん同士だった二人が、ボニー&クライドの追跡の中でお互いを思いやれるほど心が通い合ってきたんだな…とか 再び走り出す車を見ながら感慨深くなる、とてもいいラストシーンだった。 キャシーベイツは、自分の立場の見栄えだけ気にする権力者然とした権力者を演じていて◎ ちなみに日本語タイトルはテキサスレンジャーの活躍を描いたのでこうなっちゃったんだろうけれど もともとの”Highwaymen”のほうが、らしいのに、って思う。 世間的にはボニー&クライド追跡時は 「我々はテキサスレンジャーですッ!」 って堂々として活躍することはできず、”交通係”的な安直な肩書で仕事をさせられていた、日陰の存在にスポットライトをあてた作品なのだから。[インターネット(字幕)] 8点(2021-02-24 22:52:55)《改行有》 13. オール・ユー・ニード・イズ・キル 《ネタバレ》 エミリーブラントは「メリーポピンズ・リターンズ」とか「プラダを着た悪魔」みたいに、華やかなお洋服も着こなせるのに、今作や「ボーダーライン」みたいに土で薄汚れた女兵士も演じられるのが魅力。 ルーブル美術館での最後の自爆攻撃で、エミリーブラントとトム・クルーズが死んじゃって「ああああ…」ってなったけど まさかのハッピーエンドでトムの白い歯が輝く笑顔が見られて幸いです笑 調子のよすぎる展開だけど、この主役の二人が輝きすぎて、いろいろ許せてしまう。 ちなみにルーブルでエミリーがトムに「あなたをもっと知りたかった」と言ってチュってするのは、とっさのエミリーのアドリブだったそう。 トムは「キャラ的にキスする女じゃないから撮り直そう」って言ったそうだけど、このままでGOっていうスタッフの意見が多数だったとか。私はGO派だったので、これも幸い。 ライトノベルらしい、ライトなストーリー展開で、ライトに軽く見られる映画ですね。[DVD(字幕)] 7点(2021-01-18 17:14:00)《改行有》 14. パラサイト 半地下の家族 《ネタバレ》 この展開、読める人間はゼロだろう。 特に金持ちの家の地下に、元家政婦の旦那が住んでたっていう展開。 アカデミーの作品賞を取る作品ってだいたいタイプが同じだけれど、アカデミー会員に多様性を持たせたせいで、同じタイプの作品が選ばれず、単純に「このストーリー読めねぇ!すげえ!」って思わせたものがとる時代になったようです。 その時代に作られて見事作品賞をとったこの映画。 金持ちの息子が以前誕生日の夜に、地下に住んでたその男の姿を見てしまって幽霊だと思って気絶し、そのトラウマで家でパーティーを開くことができなかったというのに、ようやくトラウマを克服して庭でパーティーをやったら、またその男が発端となった殺傷事件を目の当たりにして気絶し新たなトラウマ発生…という、クスッと笑わせることも忘れない。 元家政婦がやっていた北朝鮮の女性アナウンサーを真似る場面は、北朝鮮嫌いなアカデミー会員に万人受けしたことだろう。 すったもんだがあった挙句、貧乏家族の長男が描く未来の夢は心が洗われる。 「計画しないほうが、計画をして失敗することもないから、計画しないほうが成功する」っていう意味ワカメなことを言うおとっつぁんに対して 「お父さん、僕は計画を立てました」と心の中で話はじめる長男の姿は、頼もしさを感じさせる。 ”実現にどんなに時がかかろうとも、夢を持ち続けるのは大事…。” アカデミー賞でオスカーをゲットした人たちが壇上でよく言うこの言葉が、この映画のメッセージなのだ。 [インターネット(字幕)] 8点(2020-10-30 15:05:34)《改行有》 15. アメリカン・ハッスル 《ネタバレ》 2013年にこの映画の存在を知った時から、エイミーアダムスの”ノーブラおっぱい半見えブラウス”が気になる作品でした。 あれから7年、ようやく鑑賞。(ノーブラおっぱい半見えブラウスも) この作品の中で胸糞悪いキャラナンバー1は、ジェニファー・ローレンス。 ベイルの電話を盗み聞きするは、出しゃばってベイルの仕事を計画していない方へ持ってくは、子供を人質にしてベイルを縛りつけて離婚にも応じないは(この子供を利用して自分の立場を守るあたりが特に胸糞悪い)、エイミーアダムスに勝ち組アピールするは、(そのくせ完全な勝ち組でもないことを分かっているから浮気するは)、浮気相手に大事な情報もらして夫の命を危険にさらすは…とんでもないアバズレ女。 それに対して、エイミーアダムスの純粋なこと…。 ダメダメ男のベイルに尽くし、計画的にクーパーに惚れてる演技して再三体を求められたって、どんなに演技のためとはいえそこだけは絶対断るほど貞節だし(強引に襲われたときは出生の秘密を明かすみたいな形で相手を興ざめにさせて操を守ったし)。 おとり作戦に参加するにあたっては、何かあったら一緒に逃げるBプランも用意しようと、二人の未来もしっかり想定する賢さも相当だけれど、「でも息子ガー」とウジウジするベイルに「息子さんも一緒で逃げるのよ」と、会ったこともない彼氏の子供も愛する覚悟ができているその愛情と包容力たるや、もう女神。 (まぁその二人にはさまれて、息子可愛さになかなかハッキリすっきり(離婚に応じない妻には別居しかないのに普通に帰宅しちゃう)してくれないベイルも結構イライラしますが。) でも最終的には、ジェニファーがマフィア男に惚れこまれて離婚に応じてくれたので、泥沼にならずに非常に良い展開。 (浮気相手の女性に嫉妬して、離婚して二人を幸せにさせてなるものかと意地でも離婚に応じないたちの悪い妻には、他の男を与えないと話が進みませんよねやっぱり。) そしてベイルとエイミーは一緒に暮らしてめでたしめでたし… (どうやら息子とも暮らせてるようで、元妻は2週に1度の面会権って感じのようです) ぶっちゃけ、品も聡明さもなく着飾ることしか能のない口の悪い出来損ないのゲスな実の母より、賢くて誠実で愛情あふれるエイミーのほうが、息子にとっても生育環境はずっと良いので、めでたし要素がいっぱいなのが痛快!! その他のキャラを見ても、ブラッドリー演じる身勝手な刑事は、手柄をほめてもらえず、 善人だけど州民のためならルール違反も犯すことウッカリ罠にはまっちゃったジェレミーは逮捕されても減刑。 それぞれ相応なオチになっていたと思います。 (200万が警察から振り込まれた先がデニーロの口座じゃなくてベイルの口座だったことは、エイミーがあの送金係の女性を仲間にしていたおかげだと思うと、ジェレミーに禊を済ませることができたのもエイミーのおかげなわけで、ホント、エイミー、女神。 関係を公にしづらい男女の話は、バッドエンドが多いので個人的に貴重な八ッピーエンドの作品リストを作っているのですが (たとえば「〇〇〇・〇ッ〇〇」とか「ヴェ〇〇〇〇の〇〇〇〇」とか)この作品も新規追加にします。 ちなみに、実話をもとにした作品とはいえ、ジェニファー演じた妻は実際は当時50歳で、マスコミに詐欺で稼いだ金で暮らす女として報道されて翌年自殺したとか。 聡明なビジネスパートナーのエイミー演じた女性も、詐欺のことは知らなかったとか。 それだとドラマ性がないので、大胆に脚色してハッピーエンドにしたのは大成功だと思います。[インターネット(字幕)] 7点(2020-10-30 11:49:26)《改行有》 16. レディ・プレイヤー1 《ネタバレ》 疾走感がスゴイ。 もう、力技で引っ張られてく。 あの企業の悪いおっさんが、自分のパスワードを書いたメモを貼っておくのはありえないけど許そう笑 企業の存亡をかけた仕事をするあの装置のある部屋に、誰もが簡単に入ることができて、防犯カメラもないのもありえないけど許そう笑 それに主人公の男の子と、その子とくっつく女、そして友達の3人… 全世界で利用者がいるこのバーチャルゲームで、アバターとして知り合ってるこの5人が、世界中の遠く離れた国々に散らばっていてもおかしくないのに、なぜかすぐに会える超至近距離に住んでることも許そう笑 とにかく全部許そう笑 それにしても、過去の映画作品やカルチャー全般のオマージュの量は半端ない。 内容はどうでもいいんじゃない? SNS映えするお菓子みたいなもの。 中身のスポンジはよくある味でいいから、外側にレインボーカラーのクリームを分厚く塗りたくって、チョコスプレーをぶっかけて、 フルーツを盛り付けて、イチゴソースをだらだらと垂らしたお菓子。それがこの映画。 それにしてもスピルバーグは、ほんとスゴイ。 「シンドラーのリスト」を作った同一人物とは思えない。 かたや白黒の重くて深い映画。 かたやカラフルで軽くて楽しい映画。 どういう脳みそしてるんだろう…。[インターネット(字幕)] 8点(2020-10-18 09:27:43)(良:1票) 《改行有》 17. ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密 《ネタバレ》 この映画、場所がアメリカなわけですが、アガサクリスティの雰囲気を醸し出すために英国のマナーハウスっぽい感じの館を舞台に、イギリス人俳優のダニエルを配したんだろうなと感じる。 テンポが良く、ダニエルも芝居じみたいやらしい感じの話し方がグッときたし、一族同士の骨肉の争いもシンプルで愉快。 お金持ちのお爺ちゃんは、自分の遺産をまるごと専属看護婦に譲渡したわけですが、 「そんなの絶対に認めないッ!この家だって私達のものよ!!」って必死になってる一族たちが邸宅の玄関の外に集合しているその玄関の上の二階のバルコニーに立っていた看護婦の姉ちゃんが ”My House” と書かれているカップを手にしてい彼らを見下ろしているあたり、なんとシャレたオチだろうとクスッと笑えた。 クリストファー・プラマーは今年お亡くなりになってしまったけれど、 この映画では精一杯生きて遺産を遺して死んだように 彼も映画界で背一杯生きて数々の名作という作品を遺して、天寿を全うできてめでたしめでたしだと思う。[インターネット(字幕)] 9点(2020-10-03 17:57:55)(良:1票) 《改行有》 18. とらわれて夏 《ネタバレ》 アデルとヘンリーは母子相姦にでもなりそうなほど支え合っている関係。 ひょっとしてフランクが二人の前に現れなかったら、このまま二人は依存し合い、世間から離れてふたりきり引きこもりの日々になり、ヘンリーも自立したり家族を持つことができず、年老いた母とその年金をあてにして生きる独り身の息子…という未来もあり得ただろう。 そこへ、フランクが現れた。 アデルは愛息ヘンリー一筋だったが、もう一度人生をやり直す相手に出会え、希望に輝き出す。 しかし、ここでかわいそうなのはヘンリー。 父親のように感じられたフランクが、恋人のように大切にしていた母を奪う相手…という葛藤。 ラブラブな二人に、自分は捨てられるのでは…という不安。 そして自分は決して踏み込みうることのない母の性的な部分に、フランクはあっけなく入り込み、夜になると”リズム”を刻んでるのだ…という、思春期ならではの悶々とした思い。 ぶっちゃけ、フランクとアデルは自分ら都合で息子を彼らの逃避行の道ずれにして、学校の初日に授業に出させなかったり、いきなり転校させたり、アデルがやってることは児童虐待案件である。 ヘンリーは普通ならグレちゃいそうな酷い扱いだ。 でも、フランクが現れたおかげで、アデルは彼が服役中もずっと待ち続けていた姿を見てヘンリーはそんな母の様子に諦めをつけられた。 父親のもとで育ち、どうやらパートナーにも恵まれ、フランク仕込みのパイを作るシェフにもなって自立できた。 ヘンリーにとって、こういう展開でしか、乳離れはできなかったのだ。 そして十数年を経てアデルのもとにもフランクが戻り、この母子はハッピーエンドを迎える。 時間と悲しみは費やされたが、フランクのおかげで、母子の本来あるべき姿になれたといううまいオチだと私は思う。 (ちなみに、序盤で母子がスーパーに出かけた時、ハラボテの女性が映っていた時、私はなんか引っかかるものがあった。 なぜここでハラボテ女? でも、それは伏線だったわけですね。) 少年時代のヘンリ―役の子は実にお顔といい表情といい適役。 母親を大切にするマザコンフェイス、基本的にノーが言えない弱気そうな眉と目元、彼が息子役ではなかったら、点数も下がっていたと言ってもいいくらいの逸材だ。[インターネット(字幕)] 9点(2020-10-03 16:52:49)《改行有》 19. アラジン(2019) 《ネタバレ》 ディズニーってほんと、女性の地位向上のごり押しがうざいんです。 スターウォーズの7以降はディズニーが権利買って仕切ってますが、男性の騎士(ナイト)とお姫様を守る(アミダラ姫やレイア姫)というルーカスが作り上げた古き良きお伽話の形式美をぶっ壊してくれちゃって、主人公がコ汚い女性に置き換えてしまったように。 「アラジン」でのジャスミンは、冒頭から 「私、王様になれるようにいろいろ勉強してきたの!お父様の後を継げるわ!」 と、強気アピール。 イヤな予感がしましたが、案の定、オリジナルにはない 「私は男に屈しない~!!負けない~!!」 みたいなテンションの歌まで挿入される始末。 オリジナルでは、王様がジャスミンとアラジンの結婚を許す形だったのが、王様がジャスミンに王位をゆずって、自分で法律を「王族じゃなくても結婚できる」に変えて、アラジンと結婚しなさいみたいな展開。 私は女性蔑視ではない。 でも、オリジナルのジャスミンは、好きな人と結婚したい、もっと世界を見たい…そんな、ツンデレのチャーミングなキャラ。 実写版は、いちいちディズニーごり押しの女性の地位向上というメッセージ性が頭にひっかかってきて、集中できなかった。 まぁ、これでアカデミー賞の何かの部門を狙ってるなら、女性の地位向上を目指しているアカデミーに受け入れやすくしてるのかもしれないとは思ったわけですが。 でもウィル・スミスを使ってる時点でアカデミー賞は無理だと分かってたんじゃないかな。 黒人差別を訴えて、夫婦そろって授賞式のボイコットを呼びかけた張本人だから、ブラックリストに入ってるから。 (ブラックな黒人なだけに) 案の定ディズニーの実写だと「ライオン・キング」や「マレフィセント2」はノミネートされたけれど、「アラジン」はノミネートすらなかった。 ※私個人はウィルのジーニーは気に入ってるし黒人差別も反対だが、ボイコットはやり過ぎだったな…。[インターネット(字幕)] 5点(2020-09-19 08:59:10)(良:1票) 《改行有》 20. 1917 命をかけた伝令 《ネタバレ》 長廻しは面白いが、内容は普通っていう意見をしてる人が、なぜ6点以上の点数をつけてるのか謎… 現時点で7点になっていますが、いやいや、こちらのレビューサイトは7点ももらったら相当傑作の部類ってことなんですから、へたに高得点あげるのやめてほしいです。点数を参考にして見るか見ないか決める人たちもいるんですから。 さて本題。 長回し撮影がこの映画のウリなのだが、実際に見てみると、シューティング・ゲームをやってるみたいな感覚になってしまった。 撃ったり撃たれたりすながら進むにしたがって場面はずっと続いて、ときどきドラマっぽいことも入れてきたりして、そういう全てのものがゲームっぽい。 「バードマン」のように、戦争モノでなければいいのだろうけれど、目的地に向かって道に迷いながら進むとか、どこから敵が襲ってくるか分からないとか、迷路のような戦地とか、そういうすべてのものが、ゲームに求められている要素なので、それを全部包括しているこの映画は、ただのゲームに見えてしまった。 たとえば「戦火の馬」のように、馬をめぐる幾人もの人達のストーリーがあるわけでもなく、ただただ、戦地で起こりそうなよくあること(泥道でトラックがハマるとか、危なっかしい橋を渡るとか、戦友が死ぬとか)をつなぎあわせて、”ミッション”をクリアするのを見ているだけの映画は、正直退屈だった。 ゲーム好きならそれなりに没入感があったかもしれないが、ゲームに興味がないというかむしろ好きじゃない私にとっては、冗長な作品でしかなかった。[インターネット(字幕)] 1点(2020-09-10 14:27:46)《改行有》
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