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タイトル名 |
ミリオンダラー・ベイビー |
レビュワー |
R&Aさん |
点数 |
8点 |
投稿日時 |
2005-11-29 13:05:44 |
変更日時 |
2005-11-29 13:05:44 |
レビュー内容 |
イーストウッド、この人は一貫してアウトローを撮り続けてきたから勧善懲悪ではないもののハリウッド的予定調和を部分的にでもとりいれてきた。しかしハリウッドでのしっかりとした位置を確保した後、いつからか神の存在しない理不尽な社会を描きだし、前作『ミスティック・リバー』において予定調和は完全に崩れ去った。そして今作『ミリオンダラー・ベイビー』においてさらなる残酷な社会を炙り出す。貧しくとも健気に生きる家族は映されず、貧しさゆえに貧しさを利用する、ずるく心の貧しい家族が映し出される。やる気だけではけして報われないことを練習生が見せる。実力者は金のなる木として消耗させられ、欲張らず懸命にがんばった女にも神はその代償を与えない。常にどこかで神の存在が絶対条件であったハリウッドに対する挑戦状ともとれる今作にアカデミー賞を与えたハリウッドは懐が大きいのか、それともバカなのか。ボクシングがいかに危険なスポーツであるかを想像させる迫力のファイトシーンを見事に見せてくれたヒラリー・スワンクの受賞はうなずけます。 これまで自らの体を切り刻まれ、撃たれ、痛めつけられてきたイーストウッドが応急処置の天才というのが面白い。しかし応急処置の天才は応急処置の不可能な究極の傷を負う。愛する者を自ら殺すという究極の傷を。そしてフランキーは消え去る。究極の傷を負ったフランキーはどこに行ったのだろう。究極の傷を描いたイーストウッドはどこにゆくのだろう。観た後すぐにもう一度観たい衝動にかられた。 |
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