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タイトル名 |
囚われた国家 |
レビュワー |
鱗歌さん |
点数 |
8点 |
投稿日時 |
2025-05-31 07:49:21 |
変更日時 |
2025-05-31 07:49:21 |
レビュー内容 |
地球はすでに異星人の植民地となり、人類は表向き平穏な生活を送っているものの、実際は支配され搾取され続けている・・・という、もはや現実世界の暗喩というよりは直喩に近い辛辣な設定。 こういう時、ジョン・カーペンターであれば、プロレスラーを一人、暴れ回らせるだけで済ませるのだけど、もはや『ゼイリブ』の80年代と現在とでは、この現実世界における「支配」の深刻さも比較にならないということなのか、今作ははるかに悲観的な立場に立っています。最初からどこか徒労感のみが漂うレジスタンス活動と、まさに「やはり」というべき挫折、そしてその裏にある、この上もない苦さ。 この作品、成功作か失敗作かと言えば、一見とっつきにくいという点で(要するに興行的な意味で)、成功作とは言い難い、とは思います。まず、描かれるレジスタンス活動が、どうにも求心力を欠いていて、映画としては盛り上がりにくい部分でもあります。でもレジスタンスってのは、そんなもんなのでは。希望という希望もなく、映画の場面はどんどん変わり、状況に流され、それでもテロを実現させようと何とかクライマックスに辿り着く。 もうちょっと希望らしきものを明確に示せば、物語にももっと起伏が生まれるかもしれないけれど、それは逆に言うと、結末が「明」であれ「暗」であれ、一つの物語として完結させてしまうことにもなる。この作品は、悲観的であると同時に、完結してしまうことも拒否しているような。だから、見終わっても、気になる「何か」が心に残される。 ジョン・グッドマンの存在感がやはり大きいですね。まあ、何を考えているかわからない役どころなんですが、そうか、こういうキャスティングの手があったのか、と。彼と、そして出番は多く無いけどヴェラ・ファーミガ、この二人の関係が、このおよそ愛想の乏しい作品の中で、隠れた求心力となっており、忘れ難いものともなっています。 SF映画なのに異星人の姿を全く出さないのもさすがに愛想が無さすぎ、ということか、一応、ちょっとだけ異星人の姿も登場します。これがまた、リアル・サボさんとでも言いますか・・・。 |
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