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浮き雲(1996) - 鱗歌さんのレビュー
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タイトル名 浮き雲(1996)
レビュワー 鱗歌さん
点数 9点
投稿日時 2025-04-29 07:22:22
変更日時 2025-04-29 07:22:22
レビュー内容
これぞ、ペーソス。という作品。
地味な夫婦の、地味なお話ではあるのですが、夫婦そろって失業し、とにかくロクな事が無い。不運のお話を、淡々と描いていきますが、これが妙に可笑しく、可笑しい故になんとも言えぬ哀愁が漂っています。いかにもカウリスマキ作品らしく、登場人物はおしなべて無表情。不運で絶望的なのに、表情をはぎ取られてしまって、その想いを表出することもできない不自由さが、バカバカしくもあり、切なくもあります。この人たち、落ち込むことすらできないんだから、代わりに我々が落ち込んであげるしか、ないじゃないですか。
夫は職場で、仲間たちとともに、リストラの実施を宣言されます。手持無沙汰に並んだ職員たちの姿もどこか滑稽で、さらには解雇される者をカードで決めるなどという無茶が当たり前のように通ってしまうのも可笑しく、さらにはここで、上司がカードを扱う手捌きがムダに見事だったりするもんだから、さらに可笑しく、でも状況はもちろん笑いごとではない訳で、そのギャップが何だか、たまらない。
その後も、泣きたいような状況がひたすら続くのですが、彼らは決して泣かない。この状況にまるで関心がないかのごとく、淡々と不運が続いていきます。自分が悪いとか他人が悪いとかいうことも関係なく、強いて言えば「状況が悪い」んだろうけれど、それが当たり前の事のように、日常化されていて。
クライマックス(に相当するもの)は、何とか新装オープンにこぎつけたレストランに、お客さんが入るかどうか。これも淡々としていて、妙に可笑しい。開店直後は客が全く来ない閑古鳥状態、ああやっぱりダメだったかと思ったら、昼頃からだんだんお客さんが入り出して、とりあえず初日は大成功、というところで映画が終わります。静かなサスペンスの先に待つ、一種のハッピーエンド、ではあるのですが、およそ、ハッピーエンドとなるべき「根拠」は何もここには示されていないので、明日はどうなることやら。
悪い運が続けば、たまにはいいこともあるでしょ、と。希望があれば、それでいい。
相変わらず表情をはぎ取られたこの夫婦なのですが、ラストシーンで二人は、店の表に出て空を見上げ。なにせほぼ無表情なのでたいして嬉しそうでもないんだけど、二人の顔は光に明るく照らされている。
すみません、単純かもしれないけれど、こういうの、ホント切なくなるんですよね。
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