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タイトル名 |
ハンナ・アーレント |
レビュワー |
みんな嫌いさん |
点数 |
6点 |
投稿日時 |
2025-05-07 11:21:57 |
変更日時 |
2025-05-07 11:23:02 |
レビュー内容 |
映画のできそのものより、話の前提となる理屈が混乱していて、もやもやする
このての映画は、ある程度以上の論理性と知識を有する人間を対象にしているのだろうから、論理や話の筋道を大事にしてほしい
ハイデガーとアーレントとの関係の描き方が中途半端 30歳代半ばのハイデガーを、映画公開当時60歳のKlaus Pohlに演じさせているのは、悪意があるとしか思えない
と、色々難癖をつけたが、全体とすれば佳作だと思う
== 私の理解が間違いなければ、アーレントは(この映画で扱われていることに関していえば)、次の2つを主張している
①アイヒマンは極悪人などではなく小心者の小役人にすぎず、彼の悪は表層的で凡庸である(悪の凡庸さ)がゆえに、容易に社会に広がり世界をむしばむ恐ろしさがある ②ナチの所業にはユダヤ人指導者が関与しており、彼らはなぜ抵抗できなかったのか、彼らのモラルがなぜ破壊したのかという問いを投げかけることは重要である (近年では、①について、あまりにもアイヒマン個人の「悪」を軽視し、自説に都合の良いように単純化されているという非難があるが、これはもちろん映画の中ではとりあげられていない)
もやもやするのは、ユダヤ人たちが、①②どちらに怒っているのかがぼやけていること どうやら、最後の方になると②のほうが強調されているようだが、かりに②を非難するのであれば、もうちょっと彼らの理屈を語らせてほしい
というのも、アイヒマンの裁判で、ナチにユダヤ人の中央組織を作らされ、その組織が収容所の現状を知りつつユダヤ人移送にかかわっていたことが明らかにされ、しかも傍聴者(多分ユダヤ人)が怒りを訴えて外に出される場面が描かれているからである |
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