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タイトル名 |
ヒストリー・オブ・バイオレンス |
レビュワー |
パブロン中毒さん |
点数 |
7点 |
投稿日時 |
2006-09-15 00:29:18 |
変更日時 |
2006-09-15 00:50:44 |
レビュー内容 |
現実の生活に何の不満もないトムが、死んだことにして意識下に押し込めてきたジョーイという男。 ところが身の危険が迫ったときだけ、ジョーイは復活し大活躍する。精神からジョーイを追い出しても、体から追い出すことはできなかったということですね。ジョーイに変身しなければ死んでいたような追い詰められた場面にだけ、都合よく登場する。なんか、これだけだとコメディなんですが。コメディでもよかったような気がするが、残念ながらそうではない。 冒頭の犯罪者2人組。ここもかなり味が出ていて、さすが曲者クローネンバーグと思った。 疲れきって、「もうやめたい」と言いながら同じことを繰り返して1万キロも逃避行している彼ら。 「(人殺しと盗みの)他に方法がない」というドツボの2人組。そうなるともう、相棒に対して余計な感情を表すことすら面倒になるようで、その乾いた感じがなんともいえず。 これまたエンドロールを見るまで気付かなかったリッチーのウィリアム・ハート。怪演でした。 なんかこう、特殊メイクもしていないのにいきなり「遊星からの物体Ⅹ」が飛び出しそうな超ヤバい感じ。なんでかなー、と2回見てみたらびっくり眼のまま瞬きを全くしていなかった。ご苦労なことだ。 それにしてもクローネンバーグの怖さって、ぱっと見「ん?何かヘン。どこがヘンなんだろ」と近寄って見たくなるような「異様」感だと思う。特に人物の「顔」。よく見てみればただの顔なのに、ぱっと見がヘン。格闘場面直後のヴィゴの顔とか、もちろんウィリアム・ハート、手下のリーベン、子供に至ってはいじめっ子もハンサムなのにヘンだ。なんか、角度と照明に工夫がありそうだ。 あの暴力的な階段セックスで、トムは奥さんに対して「ジョーイはやっぱり俺の中に居る。ジョーイも自分の一部であるので、どうか受け入れて欲しい」と表明したのではないかというように私は解釈した。 この家族はこれからも、「いざというときには親父が何をやらかすか」に怯えて暮らすのだろうか。それがちょっと気になる。前作では滅入ってしまったが、この作品はなかなか見られると思う。
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