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さくらん - 目隠シストさんのレビュー
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Web www.jtnews.jp

タイトル名 さくらん
レビュワー 目隠シストさん
点数 5点
投稿日時 2008-02-12 19:01:57
変更日時 2008-02-12 19:07:22
レビュー内容
さすが写真家監督。原色使いが美しく、一枚一枚の画が実に鮮やかでした。ただ「艶やか」とまでは行かなかったのが残念。本作の狙いが其処に無かったとしても、もう少し生々しさやエロが欲しかったと思います。でないと、主人公をはじめとする遊女たちの心情が伝わり難い。彼女らが抱く切なさや苦しみ、痛みは、心の底に在る想い。同じく生の基礎に位置する性と相まってこそ、強く観客の心に届けることが出来たと思います。オッパイはいっぱいでも全然エロくない。ドロドロに描く必要はありませんが、キレイ過ぎても物足りないです。ビードロの中で泳ぐ金魚は遊女の象徴。囲いの中でしか生きられない。意味は伝わってきますが、画を差し込む頻度が多くて煩わしい。このような表現は、少なく効果的に使ったほうがイキだと思います。ラストは恋する男と逃避行する主人公。お花畑の中を駆ける2人は美しい。でも着の身着のままでは、この先が危ぶまれます。所詮廓を出ては生きていけない身。自暴自棄なのか?いやそうではないはず。本作のメッセージはあくまで前向きだと思う。世俗に捕らわれずに“生きる”ことを選んだのだと感じます。それを印象付けるためには、旅支度くらいさせても良かったと思いました。金魚ではなく鮒。桜ではなく野に咲く花。どちらも美しい。表層の美しさと共に、内面の美しさも描いて欲しかったと思います。
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