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タイトル名 |
リバー、流れないでよ |
レビュワー |
目隠シストさん |
点数 |
8点 |
投稿日時 |
2025-06-18 00:25:35 |
変更日時 |
2025-06-21 12:09:44 |
レビュー内容 |
これから書くのは私の妄想的解釈です。すでに考察サイトや監督インタビュー等で真相は周知されており「そんなの知ってるよ」あるいは「全然違う的外れ」な見方かもしれませんが、映画の受け取り方は十人十色と言う事でご容赦いただければと思います。では以下ネタバレ含みますのでご注意ください。
タイムパトロール隊員=未来人ヒサメの態度に違和感あり。彼女はタイムマシンが動作不良に陥り、タイムパラドックスを防ぐため「2分ループ」が発動していると説明します。でも、それにしては落ち着き過ぎていませんか。もっと慌てていい。またトラブル解消法も実にあっさり。それでいいならもっと早く(早いループターンで)復旧できたでしょうに。彼女の言動には、どうにも裏がありそうで・・・。 ここで本事件で影響をうけた人物を考えてみます。明らかに得をした人、人生の決断をした人。都合2人です。前者は作家さん。ループ事象からインスピレーションを受け、作品のプロットが完成しました。彼の子孫が悩める作家を助けに未来からやって来てループを仕組んだなんて仮説はどうでしょう。悪くない気がします。が却下です。浪漫、いやロマンスに欠けます。タイムマシンの動力源をみれば分かるように本作はかの名作『バック・トゥ・ザ・フューチャー』をオマージュしているのは明らか。ならばマーティが両親の仲を取り持ったように、本作もロマンス寄りで解釈したいです。 ループ現象で影響を受けた2人のうち、後者は旅館の仲居さん、ミコトでした。「料理修行3年だといいな」「それは無理でしょ」フランスへ旅立つ板前との恋愛関係に彼女はケジメを付けた様子。これこそが未来人ヒサメが過去に来た目的ではなかったか。本騒動は"子孫がご先祖様の人生の決断を促しにやってきた"が真相と考えます。ちなみに縁結びのお守りは"新たな恋の始まり"を暗示しているのでは。タイムパトロールも、タイムマシーン故障も方便であったと。これならヒサメの落ち着き払った態度も、不必要に繰り返されたループの謎も説明がつく気がします。 最後に「雪」について。時間がループしているなら気象もループして当たり前。なのに何故気象は変化しているのでしょうか。しかもこれ、基準点(セーブポイント)より前から変化が見られます。いわゆる「マルチバース理論」ですか?劇中でも「この世界線」なんて台詞が出て来ますし。もちろんその解釈で差し支えありませんが、別解もありかと。例えば"誰かが気象を変化させた"。そんな芸当が出来る人間は一人だけです。理由はその方が「ロマンチック」だから。ご先祖様の決断を後押しするため、彼女は精一杯シチュエーションを整えたのかもしれません。 20代未婚女性にとって時間の重さは計り知れません。「3年なら待てる」でかなりの譲歩です。それを男が蹴るのであれば、もう縁は無かったと思って間違いないでしょう。本件では子孫が「その恋は諦めな。次行こう次」とお世話を焼いてくれましたが、実際はそんなこと起こりません。流れる川は誰も止められない。だからこそ、一瞬一瞬を大切に生きなければ。勉学にせよ結婚にせよ人生の「適齢期」を疎かにしてはいけません。 エンドクレジットに「こども家庭庁」があればこの仮説で確定!と言いたいところですが、ありませんでした。ということであくまで妄想解釈でお願いします。それにしても上田誠氏のこの手の脚本のクオリティの高さは異常ですね。『サマータイムマシン・ブルース』に『ペンギン・ハイウェイ』、『ドロステのはてで僕ら』どれも文句なく素晴らしい。難しい理論をさも単純に見せるあたり本当に「手練れ」だと思います。 |
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