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乞食/アッカトーネ - にじばぶさんのレビュー
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Web www.jtnews.jp

タイトル名 乞食/アッカトーネ
レビュワー にじばぶさん
点数 8点
投稿日時 2007-09-01 21:17:59
変更日時 2016-01-17 23:51:20
レビュー内容
イタリアの名匠、ピエル・パオロ・パゾリーニの監督デビュー作。

主演は、パゾリーニ映画の“常連”であるフランコ・チッティ。
この人の顔は何度も見たことがあったけど、顔と名前をしっかり憶えたのは今回が初めて。

他の作品でもかなりの個性を発揮していた彼だが、本作においては主役ということもあって、存在感ありまくりだ。

舞台はローマのスラム街。
主人公であるアッカトーネは職にも就かず、プラプラと日々暮している。

彼の経済的根拠は“ヒモ”。
要するに、自分は毎日遊び呆け、女性に食わせてもらっているのだ。
なんという羨ましい暮らしぶりだろう。

「仕事なんて堕落した人間のすることだ。」

と、彼は劇中でのたまう。
なかなか哲学的なプータローだ。

自分も多分にプータロー気質な部分があるからして、こういった「怠け者の若者」を題材にした作品は、それだけで自分のツボにハマってしまう。


袖まくりをしながら、ガタイのいい(体格のいい)彼は街をブラブラとしている。
ロクに働いてもいないのに、無意味に体格がよろしい。

とあるきっかけで肉体労働を一日だけすることになるが、すぐにバテテしまう。

あのガタイは一体、何の意味が!
見かけ倒しかよ、おい!

そんなとこも自分に似てて楽しかったりする。

そんな彼もついには奥さんに見捨てられ、家を追い出されてしまう。

それでも彼は働かない。
ガタイを活かさない。

しかしながら、さすがにそんな彼でも飯なしでは生きていけない。

「お腹が空くのは、食べることが習慣になってしまった証拠だ。」

と、またしても哲学的なことをのたまうが、要するに腹ペコな彼。
ついには、子供をあやすフリをして、子供の首にかかったネックレスを盗んでしまう。

そうして堕落の道をひたすら突き進んでいくのだが・・・


後期の彼の作品群に比べると、過激な描写はほとんど無い本作。
それだけに、パゾリーニの描き出す独特の映像世界にどっぷりと浸ることができた。

パゾリーニ映画のモノクロ世界は、見ていてとても心地良くなる。
彼の作品群の中で、それを最も強く感じさせたのは、この『アッカトーネ』という作品だった。

巷のレビューサイト等で、非常に評判が良かった為、観ることを決めた本作。
どうやらその「口コミ評判」に間違いはなかった様だ。
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