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となりのトトロ - BOWWOWさんのレビュー
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Web www.jtnews.jp

タイトル名 となりのトトロ
レビュワー BOWWOWさん
点数 9点
投稿日時 2009-07-30 00:53:56
変更日時 2009-11-19 03:25:53
レビュー内容
その細やかで美しい作画同様に宮崎駿監督は、牧歌的な風景の中を元気に飛びまわる姉妹の楽しい日常と、それでも彼女たちがどうしようもなく胸のうちに抱えている、母親の不在がもたらす不安とを、トトロというファンタジーを用いてとても丁寧につなげていく。「あの子たち見かけよりずっと無理してきたと思うの。サツキなんかききわけがいいから、なおのことかわいそう。」病室の母親が気遣うように、姉でありまたしっかり者のサツキには子どもながらに母の不在は自分が支えなくてはならないという自負がある。幼い妹メイを守るのはほかでもない姉の自分であり、父にも母にも決して心配をかけてはいけないのだという思い。「お母さん死んじゃったらどうしよう」一人胸に隠し持つそんな不安についに耐えきれず彼女が泣きじゃくるのも、自分たちを気にかけてくれる近所のおばあさんの前で一度きりだ。暗い森のバス停でメイといっしょにお父さんを待つ夜。不安に手を握りしめる妹と、反対に大人のように強く平気なふりをしなければならない姉。けれど本当はサツキだって恐いのだ。妹を守るため限界まで背のびをつづけるサツキ。そんな彼女の小さな肩が「大人のふり」の重みにそれでもどうしようもなくつぶされそうになる時、神出鬼没に見えるトトロだがサツキの前に彼が現れるのは決まってそんな時だ。何をしてくれるわけでもない、ただ心強くそばにいてくれる、あるいは猫バスを貸してくれたりする。なかでもことさら素晴らしいのは、夜の庭で空を飛ぶシーンだ。大喜びで真っ先にトトロにしがみつくメイとは対象的に、大人でいなければならないサツキには無邪気にそうすることができない。とてもさりげないその描写のけれどなんと繊細なことか!促すように見つめ返すトトロにサツキはやっと理解する。今この瞬間だけは、自分も子どもでいていいのだと。背のびをやめてもいいのだと。そしてその時やっと、彼女は子どもとしての等身大の自分に戻る。ありのままの子どもの顔で、幼い妹のように夢中でトトロにしがみつく。それはそれはうれしそうに!そんなサツキの姿はまた、大人として当たり前に大人であらねばならない我々の姿でもあるのだろう。サツキがトトロにしがみつく時、我々もまたつかのま子どもに還って、思いきりトトロにしがみつき、そして夢のように夜空を飛ぶのだ。
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投稿日付邦題コメント平均点
2019-02-25バーニング 劇場版107.00点
2018-08-12リバーズ・エッジ85.33点
2013-05-25青春神話108.33点
2013-05-02エドワード・ヤンの恋愛時代1010.00点
2013-04-28恋恋風塵97.00点
2013-03-09楽日106.00点
2012-01-24海角七号/君想う、国境の南75.23点
2011-04-02エターナル・サンシャイン96.60点
2011-01-18ソーシャル・ネットワーク76.53点
2011-01-02ファイト・クラブ97.38点
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