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タイトル名 |
野良犬(1949) |
レビュワー |
tottokoさん |
点数 |
8点 |
投稿日時 |
2025-07-09 23:31:44 |
変更日時 |
2025-07-09 23:31:44 |
レビュー内容 |
なんだかこの作品自体が「戦後間もない日本社会」というひとつの生き物みたいだ。生き物の発する熱量とかパルスがむせるほどに迫ってきてちょっと苦しいくらい。 画の迫力。延々と三船の足取りと共にさまよい歩く前半の東京の街。うわー、建物がまばらで低い。舗装してない道から上がる土埃。「掘っ建て小屋」な住処。人の目つきが「生きるために全エネルギーを使っている」目なんですな。“違法な商売”に手を染める女のはすっぱな口調。街の匂いもきっと雑然として強烈だったはず。 加えて気温の高いこと!志村が絶えず汗を拭いながらホシを追えば、女たちの薄物のワンピースが肌にくっつく。若き三船がまたきっちりと背広を着込んで、口にする責任論がより一層暑苦しい。 脚本に犯罪サスペンスのセオリーがきっちりと確立されていて驚いてしまう。細い手がかりをつないでつないでの捜査、すんでのところで逃げる犯人。満員の野球場での捕り物。電話口から聞こえる音楽と最後まで面を割らない犯人。 49年か!当時にこの映画を観ていたら強烈に脳内に刻まれたと思う。夢中になったと思う。 いやあ、凄いな。なんという邦画があったものか。49年に。 |
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