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タイトル名 |
映画 聲の形 |
レビュワー |
えすえふさん |
点数 |
9点 |
投稿日時 |
2017-06-16 03:01:47 |
変更日時 |
2018-09-25 11:15:13 |
レビュー内容 |
過去は変えられないし、やってしまった過ちも変えられない。 誰しもずっとある心の片隅にある。忘れたくても忘れられない償いようの無い罪悪感。 罪悪感を消す方法は人それぞれ。忘れようとする奴、誤摩化そうとする奴、都合良く解釈する奴、他人のせいにする奴、逃げる奴、死ぬ奴。 子供の頃の過ちは大人のように簡単じゃない。裁判や調停では片付けられないし、金でどうこう出来る問題でもない。 そして謝りも許しもしないまま時間が流れる。ただただ頭に消しようの無いモヤだけが残る。 本作の主人公石田の処遇は当然の報いである。しかし親が弁償した額とその後いじめられた事により誰よりも罪を感じ、それに苦しんでいる。 ヒロインの西宮は己の生まれ持った障害に向き合い、自身の境遇にも毅然と耐えて行く。しかし彼女は人との自然なコミュニケーションがとれない。どれだけ声が言葉や表情以上に感情を持っているのかこれでもかと痛感させられる。そして心の支えであったであろう祖母の死で糸が切れたように彼女を間違った方向へと導いてしまう。そして彼女自身も自分の犯した過ちに向き合って行く事になる。 昔のクラスメイト達もどうすればいいのかわからない。どうせだったら逃げ出したい、己の行動が正しかったと信じたいが、そんなわけがないと知っている。 西宮という人物を中心に彼らは己のしてきた事の取り返し方を手探りで探して行く。それはとても自己満足にも偽善的に見えるし、本当に彼女がそれで許してくれるなんてわからない。 本作は誰しもが持つ醜さ弱さが生々しくぶつかり合い、それでも不器用に立ち向かって行く人々が美しい映像でこれでもかと描かれる。素晴らしい作品でした。 |
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