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タイトル名 |
嫌われ松子の一生 |
レビュワー |
ロイ・ニアリーさん |
点数 |
9点 |
投稿日時 |
2007-02-14 20:35:15 |
変更日時 |
2007-02-14 21:30:56 |
レビュー内容 |
映画館で予告編を観て、女の子の妙な表情や色彩に嫌な感じがしていたので避けていたのだが、ツタヤで旧作扱いになったので借りてきた。観てびっくり。まったくとんでもない映画だった。 松子は心理学か精神医学か、その世界の用語で言えば共依存の典型的な症例なのだろう。両親の愛に恵まれずに育った松子が不幸に吸い寄せられるように転落していく悲劇の物語。しかし画面はひたすら華やかでミュージカル仕立てでアップテンポ、コメディタッチでもある。それがまた哀しさを際だたせるのだ。何よりも特筆すべきは邦画にありがちな映像の安っぽさや、たどたどしいテンポ、音楽の陳腐さが微塵も無い事。脚本、映像、美術、編集、特殊効果、音楽、何もかもが邦画の水準を突き抜けている。ただの1カットたりとも手抜きが見られない緻密な映像だ。そして主演の中谷美紀の迫真、美人女優のプライドも何もかもかなぐり捨てたような演技、存在感、まさしくプロの仕事。監督はCM畑出身らしいが、尋常ではない映像の細部までのこだわりはその為なのか。この監督は出演者やスタッフを罵倒して追い詰めることでも有名だそうだ。そういえばクリント・イーストウッドの現場は穏やかで決して声を荒げたりすることは無いそうだが、スタイルの違いなのだろうけど、日本人には罵倒、叱責でネガティブに追い詰めたほうが力を発揮するのかもしれない。 |
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