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デス・プルーフ in グラインドハウス - BOWWOWさんのレビュー
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Web www.jtnews.jp

タイトル名 デス・プルーフ in グラインドハウス
レビュワー BOWWOWさん
点数 0点
投稿日時 2010-01-28 22:54:25
変更日時 2010-01-28 22:56:27
レビュー内容
冗長なガールズトークは嫌いじゃない。無意味にスクリーンいっぱいに接写されるメール送信画面にブライアン・デ・パルマ監督『BLOW OUT』の流麗なサントラをこれまた無意味にかぶせてしまうタランティーノ流お遊びも、楽しい。だがこの映画には決定的に欠けているものがある。復讐を描くには美意識が要る。例えば悪趣味かつ馬鹿丸出しな『キル・ビル』が、それでも一方で張りつめんばかりの緊張感を持ち得たのは、『修羅雪姫』や『女囚さそり』シリーズへのリスペクトを基にタランティーノが描くその復讐劇が、前述の映画に存在した(梶芽衣子式とでも呼ぶべき)気高い美学にきちんと則っていたからだ。わが身に降って湧いた卑劣な裏切りへの報復を誓い、時に敵の四肢を斬り落とすほどの非情さを見せるユマ・サーマンだが、彼女はその前提として自らの命を賭すだけの悲壮な決意をもって、血みどろの闘いに臨んでいた。それこそがつまり、復讐の美意識だ。だが一転、『デス・プルーフinグラインドハウス』にそんなものは微塵も存在しない。何のためらいも葛藤もないまま変態殺人鬼と同じレベルに堕し、野放図にそして嬉々として行われる汚らわしいだけの復讐。それは、真珠湾攻撃の報復に原爆を投下しカタルシスに浸る、そんな類いの正義にもどこか似ている。低俗なB級C級映画を敢えて再現するというコンセプトの上に成り立つこの映画にとって、批判こそが最大の賛辞なのは百も承知だ。そうして小狡く舌を出すタランティーノの茶目っ気もよく解っているつもりだ。そもそもそれ以前に、復讐などに美醜を求めることこそが間違っているのかもしれない。だがそれでも、と、爆笑と歓声に沸くとある被爆国の映画館で、私は一人寒々しく思った。復讐という名の下ただ卑しいだけのこんな蛮行に愉快痛快と拍手喝采を送る感覚を、少なくとも私は、持ちあわせていない。
BOWWOW さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2019-02-25バーニング 劇場版107.00点
2018-08-12リバーズ・エッジ85.33点
2013-05-25青春神話108.33点
2013-05-02エドワード・ヤンの恋愛時代1010.00点
2013-04-28恋恋風塵97.00点
2013-03-09楽日106.00点
2012-01-24海角七号/君想う、国境の南75.23点
2011-04-02エターナル・サンシャイン96.60点
2011-01-18ソーシャル・ネットワーク76.53点
2011-01-02ファイト・クラブ97.38点
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