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タイトル名 |
サクリファイス |
レビュワー |
たましろさん |
点数 |
9点 |
投稿日時 |
2004-02-02 22:23:57 |
変更日時 |
2004-02-02 22:30:18 |
レビュー内容 |
タルコフスキーの映画は過去、現在、未来という三つの次元のうち、とりわけ過去の次元の表現に焦点が置かれているのはいうまでもないが、「サクリファイス」においては、未来の次元を強く志向しているといえる。この映画において「水」という視覚的主題はついに未来の次元に流れ込み、タルコフスキーの時間の映画は完成されるのだ。郷愁の象徴としてや、時のリズムを表すために用いられてきた「水」は、「サクリファイス」では、水溜まりのシーンや家の前の湿地のシーンなどで、死を表す視覚的主題として使われているところが他のタルコフスキー映画と一線を画していると思われる。しかし、驚くべきことに、最後の海のシーンで奇跡が起きる。オープンニングでは死の水であった海が青さを放ち、波が振動し、時のリズムが奏でられるのだ。ここで観る物は確かな未来を感じずにはいられないのである。また、「サクリファイス」における空中浮揚はまさに圧巻である。世界の破滅からの救済という主題が最高の形で視覚的に表現されているのではないか。まさに恐怖からの解放である。アンドレイ・タルコフスキーの放つ映像芸術、もっと見たかった。この映画で最後とはなんとも残念である。 |
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