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エイリアン - 民朗さんのレビュー
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Web www.jtnews.jp

タイトル名 エイリアン
レビュワー 民朗さん
点数 8点
投稿日時 2010-11-22 02:38:17
変更日時 2014-11-19 21:48:42
レビュー内容
本作について素晴らしい点を身も蓋もない言い方で言うと「気持ち悪い」の一言である。それはスプラッターホラー映画の様な、「内臓がデロデロ飛び出して気持ち悪い」とか、「血がビュービュー出て気持ち悪い」とかとは違う、謂わば「ヌメッとした気持ち悪さ」、そういう気持ち話悪さでこの映画は満ちている。それはゆっくりと開くエッグチェンバーであり、顔にへばりつくフェイスハガーであり、腹を突き破って奇声を上げるチェストバスターであり、体液を飛ばしながら暴れるアンドロイドのアッシュであり、言わずもがな成体となったエイリアンである。
その気持ち悪さは性行為の気持ち悪さに通じるものがあると思う。行為自体は勿論ロマンチックなものであるが、とどのつまり粘膜や内臓の触れ合いである。その感触がこの映画に気持ち悪さを感じる根本的な原因であるのだろう。
またエイリアンの造形が男性器のメタファーというのは有名な話だが、そう考えるとこの映画は男性器そのものに襲われるストーリーである。それまでもドラキュラや狼男など、男性性が恐怖の対象として捉えられることは良くあったが、男性性ではなく、もっと直接的に男性器そのものに襲われる恐怖を描いたのだとするとこれは画期的だろう。またエイリアンのデザインに携わったギーガーがとんでもなく良い仕事をしてしまった。だから今観ても矢張り気持ち悪いし、恐ろしい。
個人的にこの映画が好きなのは、映画が始まって暫く誰が中心のキャラクターなのか描かないことだ。結局はリプリーが主人公になる訳だが、彼女の顔は特にアップで映されることなく序盤はずっと進む。つまり誰が死ぬかわからない恐怖感が常にある。主人公がリプリーとなってからは、彼女の女性としての強さに惚れ惚れする。彼女は機械にも強く、船長に対しても毅然と自身の意見をぶつけ、論理的に行動する強い女性だ。これは常に泣いているもう一人の女性乗組員ランバートとの対比から明らかだろう。そんな彼女が男性器のメタファーに対し立ち向かい勝利するのだ。本作は優れたホラー映画であり、女性映画でもあるのだと思う。
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