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稲妻(1952) - R&Aさんのレビュー
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Web www.jtnews.jp

タイトル名 稲妻(1952)
レビュワー R&Aさん
点数 7点
投稿日時 2010-11-19 15:00:11
変更日時 2010-11-19 15:00:11
レビュー内容
目線を動かすだけで画面には映っていない人の動きを表現したりすることをいわゆる成瀬目線と言って成瀬監督の特徴的な演出として有名らしいのだが、単に目線を動かすに留まらず、高峰秀子が何かを見て表情を変える様子で画面に映らないなにものかを想像させている。あるいはバイクの音だけで小沢栄の登場が描かれる。常に画面の中の世界と外の世界が通じ合っていることを意識させている。描かれる物語の世界を広げると同時にこの作品に描かれる高峰秀子が言うところの「ずるずるべったん」なしがらみから抜け出す道があることを示唆しているようにも感じた。それにしたってこのネチネチとした世界には正直うんざりで、いくらなんでもこの陰鬱な気分のままじゃたまらん、と思ってたら終盤に来てようやく香川京子が登場。彼女の爽やかな笑顔が全ての暗雲を消し去ってしまうのだ。画面の外からはバイクの音ではなくピアノの音色。香川、根上の爽やか兄妹、この二人だってある意味「ずるずるべったん」だ。良い「ずるずるべったん」だ。そんなものがあるってことを知るだけで気持ちは晴れるのだ。
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