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ミスティック・リバー - 六本木ソルジャーさんのレビュー
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Web www.jtnews.jp

タイトル名 ミスティック・リバー
レビュワー 六本木ソルジャーさん
点数 9点
投稿日時 2004-06-25 14:59:27
変更日時 2004-06-25 14:59:27
レビュー内容
殺人事件が絡んでいるので、サスペンスと勘違いして観るとピントがずれるでしょう。
自分の殺した男の息子が自分の娘を殺してしまうという悲劇の連鎖という意味はあるけど犯人なんてどうでもいいのかもしれない。
後味が悪さはあるが、人生の不可思議さ、人間としての弱さ、哀しさ、愚かしさ、業の深さを描いているので安直なハッピィエンドには終われない。
唯一の救いは、ショーンが妻を失いかけているその時、妻が出て行ったのは自分にも原因があったという現実を直視できたことではないのか。
人生の苦しみという現実を直視できない人々が数多く登場する。
ジミーは元妻の死に立ち会えない悲しみをただのレイを殺すことで、娘を失った悲しみをデイブを殺すことで慰めようとしている。
アナベスは夫がやったことに対して、「家族のためにやったこと」と現実逃避をし、セレステが変なことを言ったから責任を転嫁する。
セレステも夫と向き合うことができずに、疑い続け、信じられず、「殺したのは夫かも」と苦しみをジミーに解決してもらおうとしている。
デイブは少年時代の想像を絶する痛みから逃れることが出来ずに、現実とは向き合えずにいる。
ジミ-が最後にデイブを見たのはいつだとショーンに尋ねられた時に、子供時代に連れ去られた時を思い起こすシーンやデイブが夢や青春を失ったと告白するシーンから象徴されるように主題は少年時代に受けた苦しみは決して消えることなく、大人になってもその苦しみから逃れることは出来ずに襲い続け、それは被害者だけでなく、その周りの人々にも大きな影響を与えるということだとは思うが、登場人物を見ると現実を直視できない人間としての弱さを感じずにはいられない、ラストのパレードでの父親がいなくなり深い悲しみを抱えた少年がどういう人生を送るのかと考えずにはいられない。悲しみは続いていく…ミスティックリバーはジミーにとっては罪人の罪を洗い清めてやる死体を沈める河なのかもしれないが、自分にとっては人生こそ不思議な河のようなものかもしれないと感じた。俳優の演技に注目が集まっているが、ショーンペンの娘を失った悲しみを最大限に放出するシーンや喪失感、苛立ちを抱えた演技。ティムロビンスの過去の呪縛から開放されることなく、苦しみと怒りを抱えながら抜け殻のようになってしまった表情や演技は素晴らしいとしか言いようがない。
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