《改行表示》 216.ネタバレ 「ミッション:インポッシブル」シリーズを、アクション映画史に残る傑作シリーズへと次のレベルに引き上げたのは、本作に続くシリーズ第4作目“ゴースト・プロトコル”だったと思うけれど、振り返って再鑑賞してみると、この第3作目が極めて大きな役割を果たしていたことに気付かされる。 公開当時も、決して評価は高くなかったと記憶しているけれど、シリーズのファンとしては、観れば観るほど味わい深く、多角的に興味深い作品だと思うようになった。 長編監督デビューとなったJ・J・エイブラムスが、本作にもたらしていた映画的アプローチが、その映画作品としての“深さ”を生んでいたことは間違いないし、彼を起用した“プロデューサー”トム・クルーズの眼力も確かなものだったのだと思える。 「M:I-2」における、主人公イーサン・ハントの独壇場的なストーリーテリングを見直し、“IMF”というスパイ組織のチーム感を重要視したストーリー展開を繰り広げたことが、この後のシリーズ作においても重要なポイントだった。 チームの面々のキャラクター性を高め、彼ら一人一人が「作戦」において重要な役割を担うと同時に、必然的に生死を分ける局面に立たされる様を描き連ねることで、大きな緊張感を生み、それに比例して娯楽性も高まっている。 そして、イーサン・ハントという人間が、何よりも「仲間」を大切にするというキャラクター付けを明確にすることで、良い意味で、人間的な“弱さ”や“危うさ”を彼に孕ませることができたのだと思う。 イーサン・ハントというスーパーエージェントは、決して完全無欠の人間ではなく、常に彼本人と、その周囲の人間たちをも危機的な状況に陥らせるという「危険性」を背負い続けている存在だということが、このシリーズ全体に大きな“ジレンマ”をもたらした要因となり、その相反性こそがこの映画シリーズと根幹的なテーマとなっていったのだと思う。 本作においては、そのストーリー構成についても、一見工夫無くシンプルなように思えるが、多層的な仕掛けが潜んでいた。初見時は、なんだか中身の薄いオーソドックスなストーリー展開に対して、否定的な感想を抱いてしまっていたけれど、再鑑賞を繰り返すにつれて、それは180度反転している。 スパイ映画の常套手段である“マクガフィン”を、敢えて“マクガフィン”としてのみ存在させて、王道的でベタなストーリー展開の中で、スパイたちの活躍や作戦をある種メタ的に表現し、そこに孕む危うさや脆さを引き立てていたのだと思う。 その他にも随所に巧みな“外し”のテクニックが光るストーリーテリングも、本作が鑑賞の度に味わい深くなる要因だろう。 また、悪役の造形も非常に秀逸である。 亡き名優フィリップ・シーモア・ホフマンが演じる武器商人は、非常に不気味で非道な悪人であるが、その実、アメリカ政府内の巨悪に良いように使われていた存在でもあった。 ホフマンの演技力と存在感が大きすぎて、いかにも世界を支配しかねない大悪党に誤認してしまうけど、そのキャスティングや俳優の演技プランそのものが、本作が謀ったミスリードでもあり、巧みな映画表現だったと思える。 そんなストーリーテリングや、演出の妙味においては、やはり監督を担ったJ・J・エイブラムスの力量が大きく、シネフィルらしい引き出しの多さと深さも光っていた。 シリーズ通じて、イーサン・ハントの“最愛の人”として大切なポジションにあり続ける妻役のミシェル・モナハンの魅力も忘れがたいし、何と言っても“ベンジー”役としてシリーズ初登場するサイモン・ペッグをキャスティングしたことも、重要なポイントだった。 この前作「M:I-2」で露見していたスパイ映画としての“食い合わせの悪さ”と、それによる「失敗」から学び、反省し、きっちりと軌道修正してみせたことは、トム・クルーズが優れた“映画人”として備えている謙虚さや真摯さを物語っているとも思う。 【鉄腕麗人】さん [ブルーレイ(字幕)] 7点(2025-05-25 23:00:05) 《更新》
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《改行表示》 215.ネタバレ 初期3作の中ではいちばん面白かったです。考える間もないほどスピーディーな展開で、どんでん返しもアクションも見応えがあった。当時のイラク戦争に対する批判にもなっていたと感じます。 ただ、あとから考えてみると、マスグレイブがリンジーを救出させたのは不可解だし、チェサピーク湾橋で大規模な武装組織を出動させた背景も謎です。デイヴィアンが妻の替え玉の女性を銃殺した理由も分からない。そもそもラビットフットの所有者は誰だったのでしょうか? そこらへんについては自分のブログで考察してみます。 【まいか】さん [地上波(字幕)] 8点(2024-06-26 11:01:21)
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214.シリーズ化した作品で変わることの無い主役に対しての悪役の存在が大きいのをフィリップ・シーモア・ホフマンが魅せてくれました。+2点。今作でも愛する女性を(嫁さんだから尚のこと)救い出すスケールの小さなお話ですが、アクションものとして楽しめた作品でした。黒幕ヅラ(ごめんなさい)のローレンス・フィッシュバーンの役どころが物足りなかったですね。
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213.1>3>2 面白かったけど、1ほどハラハラドキドキしなかった。アクション映画。トムはどうせ蘇生するし、どうせなんとかするみたいな無敵ヒーロー感がいかがなものかと思ってきた。1も2も3も内容をあんまり覚えていない。 【こたろう】さん [インターネット(吹替)] 6点(2023-02-10 21:14:43)
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212.前作のようなアクション馬鹿一筋映画から、少し、工夫を凝らしたような。しかし、監督によって、同じシリーズでもこうも雰囲気が変わるものなのですねぇ。悪役は素晴らしい。前作では、あっという間に変装できたマスクも今作では作成工程が描かれていてニヤリ。これで、悪者達の行動規範がキッチリ描かれていれば良かったのだが、凄くぼやけていたように思います。-1点。 【代書屋】さん [インターネット(字幕)] 7点(2023-02-03 22:49:42)
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211.ネタバレ この頃のハリウッド映画に悪役で出まくっていた印象があるフィリップ・シーモア・ホフマン。“いかにも”という感じの悪人面からはかけ離れたちょっとオタクっぽい、善人だか悪人なのかどちらにも見える風貌の持ち主が徹底的な悪を演じるところにアクション映画の新しいヴィラン像を確立した功績は大きいと思います。彼の新しい演技がもう観ることができないというのは実に悲しい、ここ10年で亡くなった映画界の惜しまれる名優を選出すればトップ3に入ることは確定でしょう。 たしかに前作がアレな出来だったことはあるけれど、ⅠからⅢまででは本作が一番だったんじゃないでしょうか。ジェームズ・ボンドの例にあるごとく、数あるスパイ映画ではエージェントの結婚はたいてい悲劇に終わるというのが定番でしたが、イーサン・ハントは無事に新婚生活に突入、自分は未見ですがこの後のシリーズでもジュリアは登場するみたいなので、これは新しいパターンと言えるんじゃないでしょうか。ストーリーテリングもJ・J・エイブラムスらしくスピード感があふれていますが、一部で観客を置いてけぼりにするようなところも見うけられこれもミステリーっぽくて良きだと感じました。定番のハントの空中静止など遊び心を感じさせてくれるし、即興で変奏マスクを製作するシークエンスも愉しませてくれます。相変わらずチャイナ・マネーの影響がみられるのは鼻白みますが、『トップガン マーヴェリック』ではご存知のようにチャイナ政府を怒らせたのでもうこのシリーズでチャイナ本土での撮影はないでしょうね、やるときはやる漢トム・クルーズです。 けっきょく“ラビット・フット”の正体は明かされなかったけど、“インポッシブル・ミッション・フォース”は笑うところでしょうね。しかしⅠ~Ⅲで共通してるのは、いずれも内部の裏切者が暗躍しているというところで、IMFという組織はどんだけタガが緩んでるんじゃい‼ 【S&S】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2022-09-03 23:05:30)
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《改行表示》 210.ネタバレ ミッションインポッシブルシリーズは大好きなのでその都度しっかり見ているハズですが、どうしてもパート3の内容が思い出せません。再鑑賞するもほとんど思い出せず、まるで新作を見ているかのような気持ちでした。人間の記憶がいかに曖昧なのか痛感しますね(笑) 最初からよく作りこまれていてなかなか面白いのですが、しかし同時にかなりツッコミどころも多いストーリーです。後半かなり重要だと思われる香港の潜入部分が完全に端折られていたのは笑えました。いいセンスですJJ(笑)そのあたりから様々な矛盾点が出てきます。。 まず盗聴&TOP関与に関してはベンジーが知らない、もしくは噂でもルーサーの耳に入らないのは少々違和感。またあれほどの軍事力を持っている敵(フィリップ・シーモア・ホフマン)が、ラスト自分一人で現れて殴り合うのはかなり中学生的。挙句車に・・ 奥さんも初めて銃の扱いを教わった割には手際が良すぎて一流エージェントを・・ ちなみに奥さんはラスト付近で初めて夫の仕事を目撃した訳ですが、小太りの人からボッコボコにされてる旦那を見てさぞビックりしたことでしょうね。(うちの旦那、弱っわ・・) フォールアウトを鑑賞した後なので奥さんネタも感動一際。まあなんだかんだいっても結構楽しめましたので少し甘めの点数です。 【アラジン2014】さん [インターネット(字幕)] 6点(2022-04-22 13:47:25)
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《改行表示》 209.ネタバレ シリーズの中で平均点は低いほうみたいだけど、2があんまりな出来だったことを考えると、上手に方向転換した作品。タイトルにⅢが入っているけど、2を飛ばしても全く問題がない創りが嬉しい。それでいて4以降の作品を観るのに、このⅢは飛ばせない創りがニクい。 いきなり拘束されて涙を流してるイーサン(なんであんなに目がキラキラしてるんだ?)。殺される女性。よくわからないけどピンチから始まる掴み方は旨い。だけど救出劇でリンジーも死んで、死が続いてしまうのは、娯楽映画としては重たかったか。小型爆弾の死に顔はあまりにリアルで無慈悲。 ちょっと特殊部隊映画っぽい出だしから、バチカン侵入はスパイ映画らしくワクワク出来る。地面スレスレのお約束シーンも、あんなスパイグッズ本当にありそうで格好良い。変装マスク制作、声真似フィルムの録音なんて見応え充分。チーム活動もそれぞれの分担が解りやすく、トム様のワンマン映画から脱却しようとしているのが伝わる。 橋の上の無人攻撃機との攻防。爆風で車のリアウインドウを割るシーンは地味だけど特徴的で、何というか“口で説明しても良さが伝わらない”シーンを見せ場に持ってくるのは、J.Jのセンスの良さかもしれない。センスといえば上海のビル侵入中を一切描かないのも面白い。ここを丁寧に描いてしまうと、スパイ色が薄まるからって判断だろうか。ゼーンのおまじないも人間味があって好き。映画の序盤に湖の名前と、唇を読む特技を観せて、その両方のフラグを回収する手腕も評価したい。 OPの拘束シーンに戻り、別人だったとホッとしたのも束の間。ここからが結構駆け足だった。久しぶりに観たら電気ショック意外殆ど忘れてた。あのタイミングでマスグレイブが顔を出す必要性がない。ヘリや無人機まで出せる組織なのに最後のボディガードショボすぎ。デイヴィアンの最後があまり印象に残らない。ジュリア銃の扱い上手すぎ。マスグレイブ生きとったんかワレ!あ死んだ。 ラビットフットって何?マクガフィンだって。映画的にはソレで良いんだけど、劇中のあの物体は何?って思ったんでこう考えた。アメリカが掴んだ中国の化学兵器で、中身はよく解らないんだけど、そこそこ厳重に管理されている。そこでデイヴィアンが欲しがりそうな性能をアメリカが勝手に盛って、ラビットフットってソレらしい名前を付けて情報を流したんでないかと。中国では別な名前が付けられてるから、アレをラビットフットって呼んでるなんて思ってない。イーサン使って手にしてみたら、掴んだ情報と性能が全然違うモンだから(そりゃそうだ)ディヴィアン激怒。って流れじゃないか?と。 【K&K】さん [映画館(字幕)] 7点(2022-04-18 01:43:52)
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《改行表示》 208.ネタバレ んーーー?アクションはかっこいいけど、内容が薄いかなー?設定自体もスパイ組織なのに結構オープンな職場とか(個人情報漏れまくり)、イーサンさん現役スパイで、しかも教官までやってんのにあんな簡単に挑発に乗って弱みを晒しちゃダメでしょ。 あと物語の肝のはずのラビットフットって結局何なの?(なんか続編のDVDのおまけで言及されてるらしいけどただの「概念」ってどうよ?) それとあんなに憎らしい敵役の最後もあっけなさすぎ(あの憎らしさの演技はよかった)。 【わたた】さん [インターネット(吹替)] 6点(2021-09-29 05:51:12)
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《改行表示》 207.スパイ映画に期待する派手さと華やかさが揃っていて、奇想天外な‶スパイ御用達小道具”にも説得力を持たせる力技もきちんと備わっています。 ストーリーを切らずに常に話が動いている、それでいて置き去りも無く混乱もしない。エイブラムスの監督手腕の高さを感じます。 いつでもどこでもトム・クルーズ、演技力でははるかに格上のP・S・ホフマンを向こうに回してマイペースに安定のトムっぷりです。いつにもましてよく走り、その走り姿もキレがあって日頃の節制が伺え、スターたる所以を明らかにしたトムでありました。 【tottoko】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2021-09-27 23:33:54)
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《改行表示》 206.難易度5の任務を難易度10にして挑むからインポッシブルになるんだよね。成功するのも運がいいだけに見えるし、奥さんは凄腕戦闘員に早変わりするし。 J・J・エイブラムスにとっては初監督作品らしいけど、その割にはすごいのかも。 【くろゆり】さん [地上波(吹替)] 6点(2020-02-26 15:45:43)
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《改行表示》 205.ネタバレ 24時間かけずに1~3を観ました。3>=1>>2の順に好きかなぁ。 ラビットフットが何かわからないままですが、相当の大金が動くほどの何かなのでしょう。 続編以降への強制的なバトンとして放置されるのか、尺の中で解決できなくなって有耶無耶にされたのかは わかりませんが、、、 IMFが何を略すのかわかったので、ちょっぴり良しとしましょうか。 (嘘でしょ!? 同感ですw わかりやすいけど) それにしてもトム・クルーズ、かっこいいですな。 あの笑顔、チートですわ。 【hyam】さん [インターネット(字幕)] 6点(2019-10-07 13:58:02)
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204.ネタバレ この作品のトムの全力疾走はgood。話はつまらない。アクションもイマイチ。 【にけ】さん [映画館(字幕)] 6点(2019-01-10 21:52:43)
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《改行表示》 203.ネタバレ 過去シリーズの中では一番それっぽく仕上がっていると思います。 ただ、結局ラビットフットとは何か?もわからず、 マスグレイブの目的もさっぱりでした。 (もうあの段階でマイクロチップのことなんてどうでもよくねw?) 娯楽映画としては楽しめると思います。 【メメント66】さん [インターネット(字幕)] 7点(2018-06-03 19:03:36)
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202.冒頭のシーンがそのまま象徴しているように、何か全体としてじめじめして陰気なのです。各ミッションも、ばらばらなのを無理矢理つなぎ合わせたという感じで、一本の流れがありません。しかも、あれだけ派手に目立ちまくってたら、スパイでも何でもないですよね。 【Olias】さん [ブルーレイ(字幕)] 4点(2018-05-09 01:21:39)
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201.おもしろいなー、安心してみられるなー、このシリーズ。 【センブリーヌ】さん [インターネット(吹替)] 6点(2018-04-30 00:45:58)
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200.アクションというよりアトラクション。テーマパークのそこそこの出し物並のハラハラドキドキ感はありますが、一回でもういいやって感じ。興行的にはこれで十分なんだろうけど、いろいろ詰め込むならもっと緻密なシナリオにしてほしいね。 【ProPace】さん [CS・衛星(吹替)] 5点(2017-09-18 09:00:04)
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《改行表示》 199.ネタバレ 普通のシリーズ物は、シリーズ中に監督が変わっても監督の色を出しつつ映画自体の雰囲気はある程度共通にするようなもんだけど、この劇場版スパイ大作戦は全然そんな事はない。 1作目のデパルマ、2作目のジョンウー、そしてこの作品のJJエイブラムスと毎回監督が変わりその都度、全然違う映画になってしまっている。 1作目は有名作品の映画化という事で渋く堅実なスパイ映画、2作目では一転して安っぽく勘違いしたスタイリッシュさ(自称)を前面に出したゴミ映画、そしてこの3作目はJJエイブラムらしいわかりやすいハリウッド的娯楽映画に。 で、どれが一番この映画らしいかといえば、やっぱり本作だと思う。 そもそも21世紀の時代にいまさら勘違いした肉体派スパイ映画をやる時点で、シリアスに作ってもしょうがないわけで娯楽映画に徹するのがやはり正解。 一方で2作目のようにストーリーなんかないも同然のような作りにされてしまうと逆にスパイ映画としての必然性を失ってしまうわけで。 過去の2作を踏まえて娯楽映画としての絶妙なバランスで作られてる本作は、ここまでのMIシリーズでは最高だと言ってほぼ間違いないと思う。 という事で、このシリーズはこの3作目までを評価する分にはこの作品が最高なわけだけど、この後、この作品の監督陣が製作に回りそして監督がピクサー監督に代わった次回作ではさらなる高みを目指す事になるのである。(いや、高みってのは違うか) アニメ監督が実写撮って面白いってのは、この後のシンゴジラの庵野の先駆けともいえる…ってそれは4作目のレビューで書くことです>自分 【あばれて万歳】さん [DVD(字幕)] 7点(2017-06-27 09:38:52)
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《改行表示》 198.ネタバレ 個人的には前2作と比較して一番楽しめた。これこそイーサン!というアクションシーンは見所満載。 悪役の存在感がイマイチでクライマックスは若干のパワー不足でしたが十分。テンポよく飽きなく最後までみれた。 結局詳細が明かされないラビットフット。この手の映画にしては珍しい。特に重要性は感じなかったのでそれはそれでよいのかなと。
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《改行表示》 197.さすがのシリーズ。ただ、たまたまワイルド・スピード(sky)の後に観たので、凄さに慣れてしまっていたかも。 映画らしい映画と言えるので、その意識自体は評価したい。 【simple】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2016-09-04 13:57:32)
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