映画『硫黄島からの手紙』の口コミ・レビュー

硫黄島からの手紙

[イオウジマカラノテガミ]
Letters from Iwo Jima
2006年上映時間:141分
平均点:6.90 / 10(Review 237人) (点数分布表示)
公開開始日(2006-12-09)
ドラマ戦争ものシリーズもの歴史もの実話もの
新規登録(2006-03-24)【rothschild】さん
タイトル情報更新(2025-04-17)【イニシャルK】さん
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監督クリント・イーストウッド
演出バディ・ヴァン・ホーン(スタント・コーディネーター)
キャスト渡辺謙(男優)栗林忠道陸軍中将
二宮和也(男優)西郷昇陸軍一等兵
伊原剛志(男優)バロン西(西竹一陸軍中佐)
加瀬亮(男優)清水洋一陸軍上等兵
中村獅童(男優)伊藤海軍大尉
松崎悠希(男優)野崎陸軍一等兵
裕木奈江(女優)西郷の妻 花子
マーク・モーゼス(男優)アメリカ人将校
ロクサーヌ・ハート(女優)将校の妻
京本大我
原作アイリス・ヤマシタ(脚本原案)
ポール・ハギス(脚本原案)
脚本アイリス・ヤマシタ
音楽カイル・イーストウッド
編曲レニー・ニーハウス
撮影トム・スターン〔撮影・照明〕
スティーヴン・S・カンパネリ(カメラ・オペレーター)
製作クリント・イーストウッド
スティーヴン・スピルバーグ
ロバート・ロレンツ
ワーナー・ブラザース
ドリームワークス
製作総指揮ポール・ハギス
配給ワーナー・ブラザース
特殊メイクヴィンセント・J・ガスティーニ
特撮デジタル・ドメイン社(視覚効果)
美術ヘンリー・バムステッド(プロダクション・デザイン)
ジェームズ・J・ムラカミ(プロダクション・デザイン)
衣装デボラ・ホッパー
編集ジョエル・コックス〔編集〕
ゲイリー・ローチ
録音ジョン・T・ライツ
グレッグ・ルドロフ
バブ・アズマン
アラン・ロバート・マレー
字幕翻訳戸田奈津子
その他レニー・ニーハウス(指揮)
あらすじ
太平洋戦争末期、火山と岩しかない硫黄島に総勢二万人の日本兵が上陸した。米国ハーバード大卒のエリートで家族や部下への思いやりを忘れない栗林中将(渡辺謙)をトップに、オリンピック金メダリストの西中佐(伊藤剛志)や元パン屋の一兵卒西郷(二宮和也)ら様々な日本兵たちの目標ははただ一つ、日本の家族や生活を守るために硫黄島を死守することだった。硫黄島が米軍の手に落ちれば本土攻撃の激化は必至なのだ。しかし、大本営からの援軍もなく、水や食料にも事欠く悪条件の下、米軍の猛攻を受け、弾薬や医療品も底をつく。
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💬口コミ一覧(9点検索) [全部]

31. しかし、イーストウッドも凄い映画を作りましたね・・・・・・。非常に戦争というものを、情緒性を排除しドライに描いていて、何というか感想を書くのが難しい作品です。正直言って感動したり、泣ける作品ではありません。ただ、深く考えさせられるし心に鉛のようにズシンとのしかかかる作品です。
 少々残虐なシーンもありますが、是非お勧めしたい作品です。
TMさん [映画館(字幕)] 9点(2006-12-10 23:10:06)
👍 1
30.ネタバレ クリント・イーストウッド監督は一神教の善悪の世界で育った西洋人でありながら、東洋的な陰陽思想を持ち得た稀有な監督、この監督だからこそこの硫黄島2作品が撮れたんでしょうね。名も無い一兵卒がヒーローとなる米国と将校・仕官が美しく散っていくのが英雄となる日本。国と国民の生命を守るために自らが盾となり、負けると分かっていながら巨大な米国に立ち向かう。当時の日本の軍人としては世界を知り、合理的でグローバルな視点で物事を考えられる栗林中将やバロン西。こういった考え方をする軍人が主流派になれなかったことが日本の悲劇でしょうか。ただのパン屋の二宮くんは「私は貝になりたい」のフランキー堺ですね、出来ればパン屋じゃなく米屋か饅頭屋くらいにして欲しかったかな。この映画の一番の肝はラストで軍人として美しく散るために栗林中将が介錯を望んだにも拘らず、願いかなわず死んでいった事。米国のヒーローが国家と国民のピエロとなりやがて忘れされていく最期、日本の英雄が自ら望んだ死とは程遠い最期。戦争には英雄は存在しない、敵も味方もただ家族を守りたいだけ、戦争は所詮そんなもの、戦争なんて如何に無意味なものかを教えてくれる。
亜流派 十五郎さん [映画館(字幕)] 9点(2006-12-14 00:37:32)
29.実際には物凄い環境だった壕の悲惨な生活などが描いておらず悲壮感が多少薄く見えたが、そんなもんは些細な事でした。世界的なスーパースターであり、いまや稀代の名監督に名を連ねるイーストウッドに作ってもらえたのは日本にとって意義があり良かったと思う。近代史でほとんど習わない部分であり、多くの日本人は硫黄島に関して何も知らないだろう。今作を観て全てが理解できると言うわけではないですが、ぜひ観て欲しいですね。日本の未来を憂う想い…。この戦争で戦った男たちが今の日本を見たら嘆き悲しむだろうな。
ロカホリさん [映画館(字幕)] 9点(2006-12-15 22:24:04)
28.映画館の中はお年を召した方々がかなり大勢いた。恐らく硫黄島の戦いが行なわれた時にはこの世に生を受けこの戦争を体験された方たちだろうとおもう。
本作の終盤にさしかかる頃、すすり泣く声があちらこちらから聞こえてきた。
自分は戦争を体験していないが本作を観る事によって一筋の感動は覚えた。しかし、この戦争を体験した方たちの思いには到底敵わないのだと思う。彼らは実際に敗戦を体験し戦後の日本を生きてきたのである。彼らがどのような気持ちでこの映画を観たのか、それを思うと、自分は胸が苦しくなった。
みんてんさん [映画館(字幕)] 9点(2006-12-18 21:53:40)
27.一言では言い表せない映画。上映中ずっと何かしら静かにこみあげてくるものはあったが、エンドロールで真っ暗になりあの印象深いピアノが流れた瞬間、堰を切ったように涙が溢れ出た。観にいってから大分経ったのに今でも瞼に浮かべるだけで涙腺が緩む。これまで日本人が創ってきた悲壮感漂う戦争映画とは明らかに一線を画している。夫は『リアリティはあったが、日本軍の悲惨さ(痩身・貧窮など)があまり伝わらなかった』と言っていた。確かに登場人物たちは最初から終わりまであまり体重の変化もなさそうだったし、一番問題だったはずの水問題や食料問題も割とさらっと描いている。しかしそれらはこの映画の圧倒的な世界感を前にしたら瑣末な点と言えるかも。(実際硫黄島ロケはハリウッドロケ後に録るなど時間軸が前後していて体重増減は不可能だったはず)しかしこういう「今生きている私の「親」を「祖父母」を守ろうとして無念に散った日本人」の歴史を旧敵外国人に教わる恥辱。遅ればせながら書物やビデオで勉強中です。
りんすさん [映画館(字幕)] 9点(2006-12-20 23:05:24)
👍 2
26.ネタバレ 素晴らしい。静かな映画。太平洋戦争中、日本軍の戦いにおいて最大の激戦とも言われる硫黄島玉砕の戦いを、激しい戦闘シーンを交えつつも静かに静かに描いています。栗林中将の言葉にもありましたが、大本営からも見放された彼らを突き動かしていたのは愛する人を守る、その一心だったのでしょう。そして人種は違えど米軍兵士もそれは同じ。立場の違いだけのために極限の戦闘状況で殺し合いをする戦争の虚しさと無意味さをイーストウッド監督は奇をてらうことなく静かに語りかけています。栗林中将を英雄視せず、かといって日本軍兵士を敵視することもなくニュートラルな立場で…スペクタクルも爽快なシーンも一切省いて行間の深さで見る者の想像力を揺さぶります。その最たるのは日本兵による米軍捕虜殺害シーンを見せた後に全く逆の場面を用意して加瀬亮演じる若者が殺害されてしまうところでしょう。もうどちらもやってることは同じ。戦争の姿を端的に表現した見事な構成と思いました。全編日本人による日本語劇となっていることも監督の本気度(これ、アメリカ映画ですよ)が伺えますね。観ていて「もうやめて!」と叫びたくなるほど辛い映画でしたが、いまこの映画を身の危険なく観られる環境にあることに感謝したいと同時に、スタッフ・キャストのみなさんの真摯な態度に敬意を表します。
トトさん [映画館(字幕)] 9点(2006-12-23 00:40:25)
25.うーん。みてて本当辛かったよー。
やっぱり自分は日本人だから、つらくてつらくて、もうかなしみの涙がとめどなく溢れてきて大変だったです。
訴えるのは、やっぱりひたすら反戦。
でも最近の反戦だあって直接的に言葉で伝えてくる映画とは全然違う。
アメリカばんざいもなければ、お涙プリぃズもないし。(派手なエンターテイメント性高い映画を期待してるひとはダメな映画)
2部とおしてみても、「戦争は悪いことだからもうやめよう」的なセリフは一切でてきません。
でも、伝わるんだよー。映像だったり、表情だったりで。これがクリントさんのすごいとこ!
映画は淡々とすすむけど、それがまた悲しさとか痛みとかを増幅させてるんです。
あーあ。いまの時期この映画つくったのはやっぱりすごい意味があるなとおもいます。
硫黄島2部作…ほんとによかったです。

ただ、欲をいえばとうじの日本の一般家庭の貧しさとかも映してほしかったなということ。
星条旗では豪快にパーティーとかしてるアメリカ国民うつしてたんだしなあ。
そこで1マイナスとゆうことで、でもほんとうにすばらしー映画です。重いですけど。
ギニュー隊長★さん [映画館(字幕)] 9点(2006-12-23 12:14:34)
24.ネタバレ あ~重い、重過ぎます、映画とはいえ。夜、うなされて目が醒めてしまいました。太平洋戦争の敗戦国を戦勝国の米ハリウッドがオール日本人で描くと、こうなるんですねえ。それにキャストがハマりました。中村獅堂や元憲兵役が良かった。それに家族の写真を握り締めて手榴弾で自爆しなければならない兵隊さん・・。戦争は悲しいですよ。敗戦近く沖縄では幼児から老人まで皆で自決し合い、自殺したんですからね・・胸が苦しいです。今回、イーストウッド監督に作ってもらって良かった。アメリカ人が見る日本の「死」に対する捉え方が分かって。アメリカ人(連合国?)からみれば当時の日本軍は狂ってるワケですが、おそらく現代日本人が同じ題材で作ったら「死=潔い、美しい」というウソまやかしの日本的図式は覆ってないのではないかと思います。日本人のDNAにはそういう魂があるのでしょうね。命は大切にしたいです。
★ピカリン★さん [映画館(字幕)] 9点(2006-12-26 00:41:13)
23.「明日の午前中、用があるので半休ください。」そう言って、会社サボって見に行ったんだけど、この映画にはまいった。名作か駄作かと言う前に、泣けて、泣けて仕方がなかったのだ。二宮の演技が話題だが、その戦友のおっさんや栗林の副官から、ちょい役の国防婦人会のおばさんまで、どの役者の演技もすばらしかった。この映画の主役は渡辺謙ということなのだろうが、実は彼も助演男優で、本当の主役はあの島で戦った英霊達なのだろうな。映画が終わって外へ出てからも、涙が出てきてしまい、会社に行くに行けず、近くをしばらく歩き回っていた。
駆けてゆく雲さん [映画館(字幕)] 9点(2006-12-27 21:50:46)
👍 1
22.ネタバレ この映画が、戦争映画として従来の映画と一線を画しているところは、徹底された戦争の客観視にあると思う。一方の悲惨や戦争犯罪を追いかけるのではなく、日本人が米兵に対して行うリンチ、米兵が日本人捕虜に対して行った処刑など戦時下の狂気の中で発生する残虐行為に加え、双方の立場の人間にも対等に、「愛する家族の存在」を描いている。……バロン西が捕虜の米兵の手紙を読んでいるところで思わず涙腺が緩んでしまった。「若造。お前はアメリカ人に会ったことがあるのか?」そりゃそうだ、戦時下で会ったこともない相手だからこそ敵軍として抽象的に憎めるのだ。相手にも自分達と同じ家族のある人間に過ぎないことをリアルに知ってしまったら、情も移ってしまうだろう。……下のレビューにも描かれていたように残念なのは、今までこんな映画を日本もハリウッドも撮る事ができなかったことだ。分っていながら誰もが踏み込むことのできなかった世界に、「父親たちの星条旗」に続いて見事に一歩を踏み出したクリント・イーストウッド監督に、心から敬意を表したい。……皮肉ではなく、この映画はまるで戦争映画撮影の教科書のようだ。物語はともかく、戦争映画を撮影するなら、この映画のような視点で撮影しなければならない。数年前に遊び半分で撮影されたとしか思えないような尻軽女のラズベリー戦争映画とは対極的だ(比較するのもイーストウッドに失礼だが)。今回、中国が国策からハリウッド撮影決定に成功した南京大虐殺の映画も、完成すれば目を覆わんばかりの歪んだ歴史認識が溢れていることだろう。芸術を国策に使い汚す人間には、イーストウッドの爪の垢でも煎じて飲めと言いたい。……たった一つ、どこの国にも立場を越えて共通していることは、これら先人達の累々たる犠牲の上に、自分達の享受している現代の豊かな生活があるという事実。でも栗林中将、常識であるハズのそんな事実を受け継がず、尊い歴史の犠牲となったあなた達への感謝の念すら忘れ去られていることを、他の国の映画に諭されなければならない現実があまりにも悲しいのです。
six-coinさん [映画館(字幕)] 9点(2006-12-30 00:11:14)
👍 1
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21.よくこんな映画を作ったものだ。サムライやゲイシャの映画ならともかく、商業主義で「日本軍の映画」なんか作れない。##この映画が911テロを念頭に置いてることは間違いないだろう。スピルバーグは「宇宙戦争」で正体の分からない敵に襲われ、デマや群集心理に踊らされる普通の人々の恐怖と混乱を描いたが、イーストウッドは、前作では政府やマスコミに作り上げられた英雄の真実を、そして本作では「正体の分からない敵」が本当は何を考え、どんな気持ちで自分たちに相対していたのかを丁寧に描き出す。##語り口は相変わらず余分な演出を極力廃したドキュメンタリータッチ。日本軍の悲劇や栗林中将の英雄性をことさら強調もせず、米軍の勝利を高らかに謳うこともしない。しかしそれがかえって戦争の不条理さや残酷さを浮き彫りにしている。##自分は戦時中の日本や日本軍には詳しくなく、それらの描写がどの程度間違ってたのかは分からなかった。少なくともラストサムライ等のように途中で「これは日本風ファンタジーなんだ」などと脳内変換することはなく見られた。日本語のセリフは案外聞き取りやすかった。自分には邦画で役者がしゃべるセリフのボソボソの方が不快だ。ただし西郷の口調が学園物の不良生徒みたいなのは気になった。内地の「お涙頂戴エピソード」は、すごくあっさりしてて、こんなもんかと拍子抜けした(もちろん涙など出なかった)。泣かせる必要は無いがもう少し時間を割いていろんな描写を入れてもよかったと思う。戦闘の1ヶ月強という時間経過が分かりにくいのは、自分はそこにいる兵士の感覚ではないかと思う。朝も夜も来るけど、何日数えても友軍など来ない。行き着く先は全滅。客観ではなく日本兵達の主観なのだ。##全体的に、監督の誠実さと本気度がひしひしと感じられる。細かな突っ込みはあろうが、見ている内にそんなアラを探す自分が恥ずかしくなる。日本兵を主人公にした、本物の戦争映画。今年の一番。
wagasiさん [映画館(邦画)] 9点(2006-12-30 22:44:11)
20.ネタバレ なんだろうこの映画。人が死ぬのに辛い話なのに全く泣けない。それどころか最後に西郷や伊藤が捕虜として捕まった時、心の底からホッとした。西郷はまるで60年前の硫黄島に迷い込んだ現代の若者のようで、彼の発する愚痴に近い言葉は、私が昔授業の一環で見せられた戦争映画に感じたことそのまま。でも西郷は、そして見ている観客も、あの場所にいる以上戦いの中に巻き込まれていく。正直、この映画には目を見張るようなスペクタルもため息をつくような恋愛も涙を誘う英雄像もない。カッコいい兵器なんて出てこない。それでもこの硫黄島2部作と向き合って考えなきゃいけないことは沢山ある。クリントが日米双方の若者に出した宿題は思っているものより遥かに難しいけれど、解けないものじゃない。
なな9さん [映画館(字幕)] 9点(2007-01-03 21:30:45)
19.日本の戦争映画は概して露骨なほどの反戦映画(製作者の力説が聞こえてきそうなほどの)多いのですが、この映画はそういった主観の押し付けが無くて好ましいと思います。事実をあるがままに伝え、それに対してどう考えるかは観客に任せるものこそが良い映画だと思いました。
郭嘉さん [映画館(字幕)] 9点(2007-01-09 15:22:09)
👍 1
18.ネタバレ 硫黄島よりスリバチ山が印象的。「父親たちの星条旗」では外側が、「硫黄島の手紙」は内側が主要な舞台となる(だから、「硫黄島~」を見たら必ず「父親たち~」も見なければならない。逆も然りだが・・・)。スリバチ山の内部で展開される攻防の様子は見ごたえ十分なのだが、何よりも迷路のように作られた洞穴での非戦闘時の様子が心に残る。手紙を書く視線とオフの声、戦闘前の渡辺謙による万歳三唱、弾に当たらないよう腹に巻かれる縁起物(名前ど忘れ・・・)の哀しさ、伊原剛と米兵捕虜との対話、玉砕前にラジオから流れる歌声・・・あと例外的ではあるが中村獅童が洞穴で結局捕虜として捕まってしまうシーンの可笑しさ。これらの見事な叙情性は「父親たち~」ではほとんど見られることはなく(だからといって「父親たち~」を見ない理由は・・・って、しつこいか)、「硫黄島からの手紙」におけるスリバチ山の内部という、絶対的な「暗」の中でわずかに照らされる光となる。日本兵(日本人)に対してこれ程真摯に向かい合ったイーストウッド、そしてそれに見事に応えた日本の俳優たち。それらが最終的に優れたアメリカ映画へと昇華されたということ。ていうか、褒めることしか見当たらない(笑)のだが、「父親たち~」の方がやっぱり上かなと思う。それはイーストウッドのいまだ衰えぬ野心を、直接触れたら凍傷になってしまう冷たさを、「父親たち~」は持っていたように思うからである。あの、海辺で米兵たちが戯れるラストシーンの浮遊した感じなんかでも、いまだに言葉にする事が出来ない。それに比べれば「硫黄島からの手紙」は上記のように褒めることができる分、安全な感じがするのは否めない。
Qfwfqさん [映画館(字幕)] 9点(2007-01-11 23:35:36)
17.ネタバレ 物語は終始一貫して センチメンタリズムに陥ることなく淡々と進む。
ヒーローが戦場を駆け回るでもなく、感動的な音楽で泣かせるでもなく、
ただただひたすら淡々と進む。
ほとんどモノクロに近い、色褪せたセピア色の画像と相まって
どこかソ連やポーランドのモノクロ映画のやうな趣だ。

一応の主人公は、渡辺謙が演じる栗林中将と
二宮和也(自然で上手かった!) の一兵卒・西郷なわけだが・・・
敵の銃弾・火炎放射器によって、自らの手りゅう弾・小銃によって
将校も 名も無い兵士も同等に何の「映画的溜め」もなく
あっけなく死んでゆき、観客に過度の感情移入を許さない。

だがしかし、そんな突き放したストイックな映像の中に、
イーストウッド監督の兵士たちに対する限りない優しさと敬意を感じるのです。
物語の半分くれいは薄暗い洞窟の中、
前は米兵・後ろは絶海で退却しる場所もないといふ
救いようの無い閉塞感に満ち満ちているヘビーな映画なので、
涙もしないし 決して人にも奨めませんが、
イーストウッド御大の突き放した優しさ故に、何度もまた観たいと想ふのです。

恐らく今の日本で撮ったら・・・
戦争に無理くり引っ張り出された「市井の人々」の悲劇として
ベタベタの音楽をバックに、情感たっぷりに描かれるだろう。
が、イーストウッド監督は反戦でも好戦でもなく、センチメンタリズムを排し
「硫黄島を一日でも長く死守することは、
それだけ敵の本土空襲を食い止めることになる。」といふ
司令官の信念の元に闘った「兵士達」を淡々と描く。

現状で出来ることに最善を尽くし、全ての責任を負った人、
どうしても家族の元に帰りたいと願う人、千人針を置いて逃げ出す人、
家族の写真を握りしめて手榴弾のピンを抜きヘルメットに信管を叩く人、
勇ましい玉砕の途中で日和って死んだふりする人、
絶望的な戦況でも馬を愛し敵の負傷兵看護する人・・・
描かれた全ての兵士達に対するイーストウッド監督の視線は、ただただ優しい。

「荒野の用心棒」やら「ダーティーハリー」・「アウトロー」やら
ガキの頃から大好きだったイーストウッド御大が、こんな良い映画を撮るなんて・・・
こんな重いメッセージを 自分ら日本人に差し出すなんて・・・
もし当時の自分が知ったら、ぶったまげるだろう。
バイクボーイさん [映画館(字幕)] 9点(2007-01-13 13:28:51)
👍 1
16.エンドロールまで息ができないような感覚にとらわれ、胸が苦しくなるような映画でしたが、観てよかったと思います。
longsleeper21さん [映画館(字幕)] 9点(2007-01-20 12:52:50)
15.太平洋戦争の中でも最も過酷な戦いと言い伝えられているのが、本作で描かれている硫黄島での攻防戦である。それは、記録映画やニュース・フィルムでしか知らなかった我々日本人が体感する、恐らく初めてと言ってもいいほどの本格的な映画化であり、しかも日本人が遠く忘れ去ってしまった感のある出来事を、米国人の手による映像化で喚起させられたと言う事には感慨深いものがある。実在した歴史上の人物と無名の兵隊たちとの物語を巧みに綴った原作を基に練り上げられた脚本も然ることながら、これが本当にハリウッド映画なのかと目を疑いたくなる程、日本人の心情を見事に描ききっている。共同制作がS・スピルバーグ、脚本にP・ハギスを擁し、そしてC・イーストウッドが監督に当るという、現ハリウッド最高峰の頭脳が集結して創り上げた本作には、単に日本人が出演していると言うだけでは説明がつかない、伝統的な日本映画の香りがする。これは、代表される2人の知日派により日本あるいは日本映画が研究され、日本人というものを本気で描こうとしている証しであり、今まさにそういう時代に差し掛かってきたのだと感じさせてくれる。企画の貧困によりアジアに目を向け、活路を見出そうとしている多くのハリウッド人とは一線を画するのである。もちろん原作を脚本化する事により、明瞭さを身上とする英語とはまるで違う日本語の微妙なニュアンスが十分に表現できたかは疑問が残るが、しかしその事は些かもこの作品の傷にはなっていないし、むしろ、だからこそ当事者たちの心情が痛いほど良く分り、心にストレートに響くのである。それがアメリカ映画の美点と言うものだろう。また塹壕に向けて火炎放射器で日本兵を焼き殺すという、硫黄島の戦いに於ける象徴的なシーンは、その余りの残虐性から日米双方に配慮し必要最小限に抑えられ、別の視点から戦争の残虐性を訴えたのは賢明な判断だったと思える。本作をさらに魅力的なものにしているのは、事実上の主役と言ってもいい二宮和也を措いて他にない。とりわけ、追いつめられ次々と玉砕していく仲間たちの無残な死に様を目の当たりにした事で、生への執着を見せる行動は、卑怯者としてではなく、人間として生き抜く知恵であり有りのままの素直な感情表現だと言え、この時代に生きた典型的な日本人青年というイメージを打砕く圧倒的な存在感を見せつけて圧巻である。
ドラえもんさん [映画館(字幕)] 9点(2007-02-11 17:20:31)
👍 1
14.おととい遅ればせながら観てきました。
…観る前、実はちょっと心配でした。
「よく終戦の日あたりにテレビでやっている特別ドラマと大して違っていなかったらどうしよう」とか、「『アメリカ人が撮ったわりにはよくできているじゃないか』なんていうのが主な感想になる程度の出来だったらどうしよう」とか。…でもそんな心配は杞憂なものでした。この作品がアメリカ映画であるということとかイーストウッド作品だということ、そういうのを抜きにしても私にとっては十分楽しめる作品、そして心に残る作品だったのですから(実際映画が始まるとイーストウッドのことはほとんど思い出すに鑑賞できたくらいです)。
…私は今楽しめる作品と書きましたよね。
このような戦争における部隊の全滅を描いた作品、いわば生と死の極限状態を描いた作品でありながら「楽しめる」という言葉に抵抗をもつ人もいるかもしれません。でも正直「戦争の悲惨さを考えさせる」とか「命の尊さを考えさせる」とか「日米のあらゆる違いを考えさせる」という啓蒙的要素よりも、あんなにも悲惨を極めた「硫黄島の戦い」を映画という娯楽として多くの人々に観せることができたことが、この映画の特筆すべきことではないでしょうか(イーストウッドという色眼鏡なしにこの作品を鑑賞したつもりの私ですが、今思ってみるとそういう点では「許されざる者」にも通じたものがあるのかもしれません)。およそ目を背けたくなるような悲惨なシーンも色のトーンの工夫などで上手く美しく表現しているところなど、心憎いようです。2時間半にも及ぶ時間を、ときおり回想を含ませているとはいえほとんど地味な戦場ドキュメンタリーのような様相を見せながら最後まで観客を引っ張っていく力は一体何によるものなのか?シナリオなのか役者なのか監督の手腕なのか、そんなことすら私にはわかりませんでしたが、とにかくあっというまの2時間半だったことは確かでした。
本来ならば10点を献上したいところですが、2部作の片割れ「父親たちの星条旗」を未見であること、あと鑑賞直後の一過性の陶酔である可能性、そしてやはり外国作品であるがゆえのほんの些細な「言葉の不自然さ」(とくに雑音として入ってくるセリフの端々に見られました)のため1点マイナスさせてもらいます。今度は「父親たち・・・」を鑑賞後すこし時間を置いたうえでまたこのレビューを書かせてもらいたいものです。
ぞふぃさん [映画館(字幕)] 9点(2007-02-19 17:41:18)
👍 2
13.今まで見た戦争映画の中では間違いなく一番「怖い」作品でした。とにかく刻一刻と迫り来る死への恐怖感がもうハンパじゃない(集団自決のシーンはトラウマ必至)。胃は2時間半の間キリキリ痛みっぱなしで口の中はカラカラ、映画を観ていてこれほどフィクションであることを忘れたのは初めてです。『父親たちの星条旗』とは対照的にドラマ的な面白さを一切廃し、ただただ敵に追いつめられていく日本軍の様子を淡々と捉えたドキュメンタリーのような構成だったからこそ、ここまで圧倒的な恐怖の再現が可能だったのでしょう。戦場にドラマなどない、あるのは血と恐怖と死が織りなす地獄のみ……。硫黄島からの手紙、確かに受け取りました。
とかげ12号さん [映画館(字幕)] 9点(2007-02-28 23:00:16)
👍 1
12.ネタバレ 最近、手紙というものを書いたことがない。たいてい電話やメールで済ませる。意思を伝えてはみたものの当然、何を話したか、何をメールしたかなんて覚えていない。硫黄島での激闘は、戦った者にしか分からない悲劇であり、本土で安心に暮らす家族やその後の子孫たちの未来を守った(誰にも気づかれないでいた)功績であり、戦争の罪悪の象徴なんだと思う。御国のために戦場へ行った『父親』たちが家族に対し、実際はいつ死ぬかも分からない銃撃と爆撃の中であっても、戦地や蛸壺での醜態や悲劇を決して伝えることなく、手紙の中に書くことは家族1人1人を気にかけることだけであり、帰還をただただ約束する。本当のことを書きたくても書かない辛さと戦地へ徴兵されたことの覚悟を手紙には感じられる。戦争のきっかけって、首脳と首脳が1枚の書類にサインするしない(相手の主張にYESと言わない)ことで始まる。くだらない紙切れのために命を落とし、家族の絆を保つ大切な紙切れを守るために命を落とす。同じ紙切れでも、重さが違う。そういう意味で、50年?の時を経て手紙が発掘されたシーンは失われた大切なものを感じ取った。
どんぶり侍・剣道5級さん [DVD(吹替)] 9点(2007-04-21 18:53:26)
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マーク説明
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【点数情報】

Review人数 237人
平均点数 6.90点
031.27%
100.00%
220.84%
341.69%
4177.17%
52711.39%
63313.92%
75221.94%
85221.94%
93113.08%
10166.75%

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 7.36点 Review33人
2 ストーリー評価 6.64点 Review39人
3 鑑賞後の後味 6.35点 Review34人
4 音楽評価 6.94点 Review35人
5 感泣評価 5.58点 Review36人

【アカデミー賞 情報】

2006年 79回
作品賞 候補(ノミネート) 
監督賞クリント・イーストウッド候補(ノミネート) 
脚本賞アイリス・ヤマシタ候補(ノミネート) 
脚本賞ポール・ハギス候補(ノミネート) 
音響効果賞バブ・アズマン受賞 
音響効果賞アラン・ロバート・マレー受賞 

【ゴールデングローブ賞 情報】

2006年 64回
外国語映画賞 受賞 
監督賞クリント・イーストウッド候補(ノミネート) 

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