5.反戦運動で沸く60年代のアメリカを舞台にした、若者たちの青春を描いたミュージカル。選曲はすべてビートルズで、サイケな雰囲気が楽しめた。かと言って筋が破綻しているわけでもなく、途中に冗長な箇所も感じられるもののバランスが取れた構成になっている。 改めてビートルズが偉大であることを確認した。色々な雰囲気の曲があり、それぞれが登場人物の感情を引き出せている。喜怒哀楽それぞれに対応した曲があるというのはすごいことだ。 曲をうまく活かした演出も巧みだ。特に「Strawberry fields forever」や「Happiness is a warm gun」の使い方は秀逸。ここでこの曲か!と意外性を感じさせながらも歌詞はその場面にぴったりとあっているから不思議だ。小ネタでは「She came in through the bathroom window」が台詞として使われていたりするのも面白い。 ミュージカルは人によって好き嫌いがあるが、複雑な感情の動きを表現することは放棄しているから、何も考えずに映画の世界に浸れるところが好みだ。小難しい理屈など放り投げて、突き抜けたように自由な気持ちにさせてくれるこの映画はミュージカルの良いところが十二分に発揮されている。All you need is love!
2.ビートルズの楽曲が劇中そのまま流れているだけでなく、上手にキャラクターの心情を表している。恋愛初期のはやるような気持で聴いていた"I want to hold your hand"が、バラードとしてカバーされることで、心に秘めた切ない想いを綴る歌になったり。"Strawberry Fields Forever"が真っ赤な血の流れる戦場(battle field)に掛けられて反戦歌になったり。今まで聴いていた曲の新しい一面を見られたようで、嬉しかった。ただ、さいごの曲はエンドクレジットではなく劇中で聴きたかったなあ!!鑑賞中の素敵なアレンジを見て、今か今かとますます楽しみにしていたのでちょっぴり残念でした。