3.ネタバレ 率直に観て興奮もあるし、面白いし壮大なスケールに感嘆し、クリエイター陣の創造力に圧倒されるし。でも3点。ストーリーの骨組みが定まっていないように思えて、勢いに騙された感が残る。サイバーな仮想空間における疑似コミュニケーションやデジタルに処理される世の中と、田舎の大家族のリアルコミュニケーション・完全にアナログの世界を対比させているようで、ストーリー上の対立軸としてはアナログ VS デジタル ではなく、デジタル・アナログ含む人間のネットワーク VS 人工知能と設定されている。人工知能への警鐘的な作品ではなく、あくまでも人工知能は暴走したら危ないよという、作中の高校野球と同じくらいの位置づけだしまた人物描写も結局よくわからず。この作品のマスター、栄ばあさんはどういった判断基準で生きているのか。つながりを大切にしているばあさんであることはわかるけど。なぜケンジを認めたのか。なぜわびすけを拒絶したのか。なつきがわびすけに恋をし、それを見ているけんじの様子は非常にリアリティがあり面白かったが、ラスト、なつきがけんじを好きになる瞬間がなぞ。確かに暗号を解いて、みんなのためにがんばっている様子はかっこいいと言えばかっこいいが。わびすけみたいなクールな大人に憧れ、恋心を持つような女の子がケンジみたいな男にそんな簡単に恋に落ちるのかな。ちょっとかっこいい、くらいの描写だったら納得した。人に共感が持てないし、あれだけ作り込んだ設定も鼻血ブーみたいな漫画的でしかも昭和後期に流行ったような表現されても。せっかく作り込んだ設定全部台無し。けんじにはなつきを受け入れる器は伴っていない。というわけで人間ドラマとして観れない以上、映画としての高い評価は出来ません。でもとても面白かったです