23.ネタバレ 本作を観て、マスコミの垂れ流す風評が如何にいい加減なものなのか、先入観は持つべきでは無いと言う事を改めて思い知らされた。正直な所、私はマイケルが久々のライブを演ると聞いた時、「ホントに出来るのか?」と疑問を持ったし、亡くなられた時も本作を観た後では失礼極まりない考えとしか思えないが、「土壇場で追い詰められたが故の自殺か?」と思った。でも、本作を観てそんな思いは全て吹っ飛んでしまった。齢50を迎えても衰えぬ彼の体のキレと歌唱力、そして周辺の人々をポジティブにインボルブする事の出来るカリスマ性・・・映し出される映像の全てが、King of Popと呼ばれた彼の人となりを反映している様で、彼の奇行を面白おかしく騒ぎ立てるマスコミに踊らされていた自分が恥ずかしくなった。もし、彼が亡くならなければ、今回の公演は間違い無く後世に語り継がれるものになっていただろう。目を輝かせて彼と同じステージに立つ事を誇らしげに語るダンサー達、ミュージシャン達の無念さは察するに余り有る。改めて彼の冥福を祈りたい。
10.ネタバレ 私は、MJが一番輝いていた時期は知りません。しかし、母が大ファンだったので、彼の音楽には昔から親しみがありましたし、近年の、彼を標的としたメディアからの過剰と言えるバッシングに悲しみを抱いていました。そんな中、最後のツアーをロンドンで行うと発表があり、最近では歌うパフォーマンスを全くしなくなった彼が本当にファンが納得するライブを行えるのかどうか、半信半疑でありました。また、黄金期に比べ、満足の行かないライブパフォーマンスをし、メディアの格好の"ネタ"になってしまうのではないかと、ハラハラしていました。そして、彼の突然の訃報。世界中のファンが彼を想い涙しました。もちろん私もそんな中の一人。悲しみの中、慌ただしくリハーサルの映像が映画化されるという話が。もちろん、観に行きました。見た感想…「あぁ、やっぱり彼はKING OF POPなんだ」私の中にあった、本当にまだ踊れるのか、本当にまだ歌えるのかという疑問を払拭してくれました。完璧主義だったMJにとっては、リハーサル映像をファンに見せてしまうのは不本意だったかもしれません。しかし、それを見たファンたちは、彼の偉大さを再確認できたし、愛にあふれた優しい心の持ち主である彼を、もっともっと好きになれたと思います。彼がこの世にいなくなってしまったことは本当に悲しい。しかし、この映像とともに、また、彼が残した数々の伝説とともに彼はいつまでも、生き続けると思います。個人的には、Jackson 5の歌もセットリストに組み込まれていたのがとても、感慨深かったです。
5.即席で作られたにしては、よく出来ていると思います。画面を躍動するマイケルも既にこの世にはいないことを想うと、その事実だけでこの作品にも意義があると言えるでしょう。彼の叶わなかった夢のステージの断片として、この作品は優れたドキュメンタリーだと思えます。リハーサルのみの映像ですが、僕らはマイケルが今でも一流のエンターテイナーであったことを、今までもずっとそう在り続けていたであろうことを改めて認識できたのではないでしょうか。だからこそ、'This Is It' は、彼の最後のコマーシャル作品として商業的にも成功してほしいし、彼にとってエンターテイナーとしての最後の証であってもいいのだと思います。細かい構成の云々よりも、死の直前にして、50歳にして、僕らを感動させるマイケル・ジャクソンの生き様を感じられたこと、それは彼の歌であり、ダンスであり、ステージングであり、彼の躍動であったことを、、僕は素直に称えたいと思います。余談ですが、僕は『スリラー』ドンピシャのアラフォー世代ですけど、当時、スーパースターだったマイケル・ジャクソンのことを実はあまり好きではありませんでした。それはおそらく彼の姿が必要以上に煌びやかで、あまりにも作り込まれた「虚像」という印象が強かったからだと思います。しかし、スーパースターというのはそもそも作られるものですし、幻想です。それはまたマスイメージ故に簡単に覆るものです。ここ10年程の不遇の時代を経て、マイケル・ジャクソンという幻想はすっかり地に落ちたと思われました。しかし、彼は天才でした。彼の天才は、彼を取り巻くあらゆる負のイメージを超えて、彼を一流のエンターテイナーと誰もが認めるに十分なタレントだったのです。この作品はそのことをよく伝えます。それだけでもマイケルにとって大きな意義と価値のある作品なのだと僕は思います。そして、様々なことを抱え、乗り越え、失い、それでも昔と全く変わらない「愛と平和」を歌うマイケルのことを今では素直に尊敬します。ピース。