8.アギレラは多少聴いた程度。ベタなストーリー展開ではありますが一見の価値がありますね。テニス界のヴィーナス姉妹並に筋肉ムキムキなバックダンサーを従えて颯爽と踊りまくる華奢ながらもパワフルボイスのアギレラは抜群にカッコ良かったです。貫録のシェールのナンバー、「You Haven't Seen The Last Of Me」にはシビレました。借金で立ちゆかなくなり万策尽きた感のあるクラブが、シネコンに圧され3D映画に対応できず閉鎖されていく映画館の悲哀に通じてしまったな。クラブの再生にかけ、己を奮い立たせていたテスにも魅せられた。微力ながらも映画ファンとして応援させて頂きますので単館系のオーナーの方々頑張ってください。3Dなんて一過性のモンだと思います。
5.カウンター席に並ぶC・アギレラとシェール。そこへ一旦はクラブを辞めたクリスティン・ベルが戻ってくる。すかさず、スタンドチェアを回転させて彼女に背を向けて場を外すアギレラ。そのあくまでドライで毅然とした所作がいい。続く控え室の鏡台の場面。両者は鏡を介して互いを意識しあうが、その二人に対しカメラは交互にピントを送り、二人同時に焦点を合わせることをしない。従って二人は画面上では視線を交えることもなく、対話を交わすこともない。互いに尊重しつつも、馴れ合いを潔しとしないライバル同士の高貴なプライド。それらをシンプルな描写の中に垣間見せる、その視線のドラマがいい。シェールからアギレラへ、睫と唇への触れ合いを通して擬似母娘の関係を築く化粧シーンもまた、簡潔にして情感豊かだ。柔和な画面が美しく、これも鏡台を巧く使っている。歌曲では、唯一同時録音的な効果のある「Tough Lover」が白眉。アギレラの声量が遺憾なく発揮されると共に、客席のざわめき、嬌声、雑音の満ち干きが採り入れられて、舞台・客席相互感応のライブ感がよく出ている。その分、逆に他の曲の別録が気になってしまうのが皮肉なところ。重低音の音楽は気持ちよいが、リズム重視のカッティングの連続で少々飽きる。せめてシェールの「You Haven't Seen The Last Of Me」くらいは同録でお願いしたい。
3.自分は普段洋楽も聞かないですし、クリスティーナ・アギレラという歌手についても全く知りません。他のサイトのレビューだと「ファンは必見!」みたいな意見が多かったので、じゃあ全然知らない自分は楽しめるんかいな・・と思っていましたが、全然問題ないですよ!楽しかった!まあストーリーはたいしたことはないです。しかし適度にラブコメ、適度に危機やサブキャラクターとの確執などが盛り込まれていて退屈しませんし、キャラクターはしっかりと魅力的に描かれているので自分はけっこう好きです。そして売りのミュージカルシーンは100点満点をつけるしかない格好よさ!セクシーかつ大胆でノリがものすごくいい!ちゃんと日本語字幕で歌詞を見せてくれるのも良かったです(昨年に観た「THIS IS IT」は歌詞がなくてがっかりしたので)。劇場で堪能できて幸せ。◆余談ですが予告編で主人公が壇上に立つ→「何やってんだあのバカ、幕を下ろせ」→主人公が凄い歌声を披露→まわりが息をのみ、「幕をあげて」というくだりがあります。これ上手―く編集してあるのですが、実際の映画とはシチュエーションが異なっています。嬉しいサプライズだったので、このシーンはぜひ劇場でご覧になってください。