1.上映時間93分の中でコンパクトに話はまとまってはいるのですが、いまひとつラストへと物語が繋がるような脚本の妙は感じられませんでした。登場人物たちの騒動と、歌舞伎のお話が乖離してしまっているように感じて、どうにも入り込めなかったのです。また、個人的には歌舞伎には興味があんまりないので(すみません)その描写が少々退屈なのも否めませんでした。瑛太演じる郵便局員が、舞台裏で歌舞伎のストーリーを少し語ってくれるのはよかったのですが、話の全体像を掴めるまでには至りません。なんだか「歌舞伎を好きな人が、内輪の中で作った」というような不親切さでした。歌舞伎について詳しい方なら問題はないでしょうが、知らない方にもきちんと魅力を伝えれるような構成だと嬉しかったですね。しかし、この映画の公開日をジブリとポケモンとハリポタがひしめき合う時期にしちゃったのは明らかに失敗だったんじゃないかと。監督は「座頭市 THE LAST」「行きずりの街」につづいて、また興行収入が大コケしてしまいそうなので、応援したくなります。頑張れ、本当頑張れ。そして・・この映画は原田さんの遺作になってしまいました。最近の映画では「奇跡」にも出演しており、ますますのご活躍が期待されていただけに、急逝は悲しくてしかたがありません。心よりご冥福をお祈りいたします。