7.ネタバレ なんかすごい映画観ちゃいました。あの一家の成り立ちはこれといって説明はなく、父親のための理想郷、カルト教団みたいです。父親のそれはモラハラ、DVの典型と言ってよく支配者、暴君、そして変態です。奥さんも子供たちも洗脳され、暴力性もきちんと受け継がれている。子供たちは全て養子なのか?正式じゃないかもね、名前が無いし証明書、いわゆる戸籍も無いかもしれない。3人の子どもたちに対してはまるで犬を飼育しているような感じなんですが、肝心の本物の犬は思うようにならずしつけをする学校に預けていて、子供達には名前が無いのに犬には名前があるという不思議。しかしどんなに名前を呼んでも犬は知らん顔で近づきもしない。犬の方が見抜く力があるってことだと思います。思春期になり息子にだけは性処理の相手として外部の人間をあてがう、男は知らなくてもそれが必要で女には必要ないというのがこの暴君の価値観なんですな、しかしこの性処理女がきっかけで一家のバランスが崩れる長女が一気に目覚めるきっかけになったのが「ジョーズ」「ロッキー」「フラッシュダンス」という年代的には古いけどもろハリウッド製娯楽映画というのがなんか可笑しい。へんな替え歌にしてへんなダンスをする音楽がシナトラが歌う「Fly Me to the Moon」これもアメリカが誇るシンガーと楽曲、アメリカものって良くも悪くも刺激が強いってことでしょうかね。「犬歯が生えかわれば外へ出られる」絶対にないことなんですけどね、それがわからない。車のトランクに潜り込んだのはいいけど恐怖からなのかひとりでは降りられないという洗脳からなのか、トランクは開かないままでした。とにかくエピソードのどれもこれもが、普段は意識してないけど「なるほどそうなるのか、そういうことだろうか?」とこちらに考えさせる、想像させる、気づかせるが満載でして、カンヌの「ある視点」で受賞したのも頷けます。変な映画、奇抜な映画としたら庭の風景、室内の清潔感と穏やかさに対して内容はかなりシュールで怖さもあってなかなか良いと思います
6.ネタバレ しつけに厳しすぎる父親登場!(頭のおかしいレベルで)子供を守るために家を塀で囲み、一歩も外に出さず、独自のルールで縛り付けて生活している。子供と言ってももう成人しているくらいの年齢なのに…。毎日娯楽を開催して優勝者にはシールをくれたり、海の事をアームチェアと言ったり、塩を電話と言ったり、ゾンビは黄色い花?あと、『Fly Me to the Moon』を全くリズム感のない感じで替え歌にしたり、言うこと聞かない子にはビデオデッキで頭を叩いたり、常人には理解を越えた出来事のオンパレードである。この映画を一言で言い表すなら“奇妙“。そして、“不快“。父親は語る。長男は不用意に外に出たが為にネコに殺されたのだと。そう、この家族にとってネコは最も恐れるべき生き物である。という事を家族全員に信じこませ対ネコ訓練として犬の鳴き真似などを大真面目で行っているのである。笑ってはいけない、彼らは至って真面目なのだから…。簡単に言うと、価値観の違いというのをとことんまで突き詰めたらこうなりましたという感じの映画。独自のルールで抑圧された世界を描き、その中で安全に一生を過ごすのか、そこから逃げ出そうともがくのか?というテーマはこの監督の次の作品「ロブスター」においてさらなる進化を遂げる事になるので、この作品が気に入ったら是非観るといいですよ。