5.ネタバレ 映像化を強く意識した(としか思えない)原作だったが、実際この映画は、ほぼ原作通りである。よって、ストーリー面での突っ込みどころは映画のスタッフではなく、東野圭吾に責任がある。個人的には伏線の張り方とその回収、読後の余韻はさすが東野圭吾だと思った作品だったし、突っ込みどころはミステリーならば仕方がない部分だと思う。容疑者Xだってトリックでも、倫理面でも突っ込みどころはいっぱいあった。例え、善意の人であっても、家族の平和(それがたとえ虚飾であっても)を乱されかねない存在というのはミステリーにおいては十分に殺人の動機になるのではなかろうか。本作が強く意識したと思われる砂の器だって、殺された人は全くの善意の人だった。映画としての評価で言えば、夏の海の美しさが存分に表現されていたし、メインヒロインの杏がとても魅力的でよかったと思う。何より、前作では堤真一にすべてを持っていかれた福山雅治が、今回は堂々の主役の芝居だった。 【陽炎】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2016-05-08 22:45:28)
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4.ネタバレ 他のテレビドラマの映画化で、シリーズの方向性と違うなどと批判しておいて、迂闊だったと反省する。このガリレオシリーズの映画版は、科学を応用したトリックを暴くという事が主眼のテレビシリーズとは違い「情」というモノを、めいっぱい見せてくれていて、それが感動的に受け入れられる良い映画版シリーズになっていると思うからだ。
事件のトリック的には、たいして驚きも何もないばかりか前作映画よりもガッカリであるが、それがもたらす物語が秀逸。 娘を守ろうとした二人の父の話にも感涙させられるが、「人生を捻じ曲げられようとしている者」が少年の事だというTVでは見られない湯川の感性。それに対しての湯川の対応が「科学」というモノを教える、というのには心底感心する。それが実に、「情を持ったガリレオシリーズ」らしくてイイのである。 【Tolbie】さん [DVD(邦画)] 8点(2014-03-01 21:17:31)
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3.ネタバレ 傘、冒頭の落下と終盤の浮遊の見事さ。 赤から青へ。 そして電車は同構図の中で来て帰る。 それだけで素晴らしい。
西谷弘が視線劇をしっかりやってくるのはいつものことだが、 終盤の杏と風吹ジュンのカットバックはもうとんでもない。 見つめ合って黙っているのだけどもカットバックの間に回想を挟み、 ふたりの視線と回想で会話させている。 そして何より、マジック・ミラーを介した杏と前田吟の件などは、 視線劇を飛び越えて、もう何がふたりを会話をさせているのだろうか、 ああ、それは愛情か、血は繋がらないけども愛情だろう、やはり。 そしてシーンバックの見事な連鎖を起こさせるペットボトル・ロケットの件は、 勿論、お見事過ぎるのだし、あのペットボトルの中に仕込まれた携帯電話の動画機能、 これもまた、ある意味での視線によるカットバックをしているわけだ。
『アマルフィ』や『アンダルシア』では、ただの説明過多の回想シーンであったが、 この映画での回想はしっかりと物語として機能している。 それは、謎を解く、説明する回想ではなく、ひとを描く回想になっているからだろう。
現在の日本で唯一、シネコンで上映される大作娯楽映画を見事なまでに撮り上げてしまえる監督、 それが西谷弘であって、『真夏の方程式』は間違いなく西谷弘、ここまでの最高傑作。 【すぺるま】さん [映画館(邦画)] 8点(2013-07-15 23:44:41)
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2.ネタバレ 面白かったです!この映画のハイライトはロケットを飛ばすところだと思っていますが、子供の頃にこんな経験をしていたら絶対一生の思い出ですよね。お父さん、息子の尊敬をかっさらわれてややかわいそうです。 トリックや謎解きは二の次でとにもかくにも人間ドラマだったところにはやや物足りなさを感じましたが、推理もゼロではなかったのでいいことにしました。 湯川先生がかっこよくて、子役がうまくて、なかなか泣けるいいお話でした。 【メリーさん】さん [映画館(邦画)] 8点(2013-07-08 18:03:35)
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1.ネタバレ 原作では海辺が舞台となる謎解きシーンは、映画では取調べ室に置き換えられる。
本来なら、その後に続く杏と風吹ジュンの面会シーンのようなセットとしたほうが いかにも現実的で「ツッコまれ」ないだろうが、映画はあの部屋を要請する。
劇中で幾度も変奏されてきた反射装置の極め付けと云うべきミラーガラスが そこにあるからに他ならない。
この1枚の仕切りを介した視線の劇が、 『パリ、テキサス』とはまた別種の形容し難い情感を生む。
母娘の正対する面会シーンもまた、仕切りを介して現在と過去を交錯させる。
息せき切って走る、フラッシュバックの中の娘。 揺れる水面上で、マジックミラーの背後で、喘ぐように嗚咽する現在の娘。 女優の呼吸が、ヒロインのキャラクターに文字通り生を吹き込んでいる。
そして疑似父子としての福山雅治と山崎光が 幾度もロケット実験を繰り返すシーンの清々しさは、その放物線の美しさと共に 『父ありき』の川釣りのシーンにこじつけたくもなる。
二人が横並びで座る駅舎のベンチシーン。 福山の誠実な語りの響きがいい。 【ユーカラ】さん [映画館(邦画)] 8点(2013-07-02 23:17:58)
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