10.ネタバレ 皆さん仰ってますが、アカデミー賞を獲得した主演と助演の男優2人の演技が凄まじく、思わず見入ってしまった。特にマシューは激痩せにより、あの役をやるのに相応しいリアリティさを体現していたと思う。そのお陰で終始安定してその存在感を画面の中に焼き付ける事に成功しています。 ストーリーは全然予備知識無く観たので驚きましたが、これ実話なんですね。最初はいかにもチョイ悪オヤジ風のチンピラだったのが、HIVと申告されたことにより、なんとか生き延びようともがいて行くストーリーで非常に引き込まれます。普通だったらヤケクソになって酒浸りになったり犯罪を犯す所ですが、そうならないのがこのオッサンの凄い所。人間、死に直面したら変わるもんだなあなどと呑気に観ていたら、必死で勉強して効く薬を買い付けに世界中奔走するわけです。その辺の才能は生死がかかっているとは言え神懸かり的です。あっという間に大量の薬物を仕入れて、しかも自分と同じ境遇の奴らも救ってやろうとする所が素晴らしいです。最初はただ金儲けの為だったと思うのですが、彼らの涙して喜ぶ姿を見るにつけ、段々使命感にとらわれていくようになる。しかしそれらは違法な行為で、やがて政府と対立して行くことになり…。とにかく、彼の必死で生きようとする姿は人間味に溢れ、応援せざるを得ないほど感動的であった。 【ヴレア】さん [DVD(字幕)] 8点(2014-11-07 14:38:28)
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9.ネタバレ もう、マコノヒーとレトの役作りが凄すぎて、それを追いかけているだけで2時間があっという間です。これこそが俳優の演技です。余命宣告をされようが差押が来ようが商品のルートが断たれようが、"f**k"と"s**t"でひたすら全部突破する主人公に乾杯。そのぶれのなさこそが、今にも墜落しそうな自分の生命を救い、低空飛行ながらも着実に前に向けて飛び続け、いつしか大空へと滑空する。 【Olias】さん [ブルーレイ(字幕)] 7点(2014-10-21 00:59:55)
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8.ネタバレ ガリガリに痩せたマシュー・マコノヒーの姿を見た時にはお涙頂戴の難病ものかと思ったのですが、実際には多層構造のよくできた物語でした。もちろん映画の中心にあるのは難病だし、主人公がいつ死ぬか分からないという危なっかしさがドラマ性を高めているのですが、それだけに寄りかかっていない脚本・演出の姿勢は大いに評価できます。これは、ゲイを差別していた主人公が差別される側へ回るという逆転の物語であり、脱法手段で金を稼ぐ主人公の成り上がり物語であり、アウトローが巨大な権力と戦う物語でもある。そして、叶わぬ恋に生きる者の物語でもあります。愛する人と一緒にいられる幸福感と、その人は永遠に自分には振り向いてくれないという絶望感を同時に味わいながら生きるレイヨンがかわいそうで。命を縮めるとわかっていても麻薬依存から抜け出せないことに彼の苦悩が表れているのですが、それでも表面上は常に明るく振舞っていることとのギャップで泣かされます。。。 ただし、本作にはアメリカ映画の悪い点もドバっと出ています。それは、過度の単純化。作品内の対立構造をわかりやすくするために、既存の治療薬AZTをまるで毒のように扱い、これを販売する製薬会社は金目的で副作用を隠蔽し、これに認可を与えた役所は製薬会社から賄賂を受け取っているという、何とも酷い描写が続きます。ただし、事実は映画ほど単純ではありません。80年代にはエイズは社会問題であり、この難病によって人類が滅ぼされるのではないかという不安すらありました。そんな中、HIVウィルスを殺せるAZTは世界中から受け入れられていたし、当時から副作用の存在も知られていました。もちろん、薬の認可スピードが遅いというお役所体質は問題だったし、ロンのような活動家がこれに風穴を空け、受けたい治療を受ける権利の獲得に貢献したことは大きな功績ですが、それにしても本作の描き方はあまりに一面的すぎるように感じました。。。 薬や治療の認可とは難しいものです。患者側に多様な選択肢があることは一見すると良いことに思えますが、それは素人である患者が、自分の責任で治療法を判断せねばならないということでもあります。そんな中で、学術的な裏付けのとれていない治療法が溢れかえれば、適切な治療を受ければ助かっていた命が失われる危険があります。本作は過度の単純化によって、そうした社会的な切り口を失っている点が残念でした。 【ザ・チャンバラ】さん [ブルーレイ(吹替)] 6点(2014-10-04 01:54:40)
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7.ネタバレ M・マコノヒーが別人でびっくり。冒頭のやさぐれた彼の姿にどんな展開になるのか少々不安だったが、段々まともになっていき最後はちょっと感動。マーク・ボラんはホモにすかれるミュージシャンだったのか。 【kaaaz】さん [ブルーレイ(字幕)] 8点(2014-09-14 00:13:15)
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6.ネタバレ 所謂、ゲイ&レズビアン・フィルムの一本と言っていいでしょう。それらの過去の映画と大きく異なるのは主人公がテキサスの生粋のホモフォーブなこと。ロデオに興じ、避妊はせず、強烈に同性愛者を口汚く攻撃する、ステレオタイプのカウボーイと考えていいと思います。また、その最低な主人公を演じるマシュー・マコノヒーの演技が素晴らしく、彼の振る舞いから目が離せなくなる。しかし、一見すると過去の映画に良くある生き急ぐ破天荒な人間を描いた映画に見えますが、そうではない。 彼は一般的な人々の無意識にでも持っている感情を非常に鋭角化したキャラクターなのだと思います。HIVに感染していると告げられた時に彼は「でまかせを言うな!そんなわけあるか!」と激昂し病院を飛び出しますが、数日後には「やっぱり感染してるのかな……」と不安になり病院に顔を出す。AZTを手にする手段も失い宣告された余命が間近に迫ると泣き喚く。彼はとても人間臭いのです。だから彼は私たち観客そのものと考えるのが正しいと思います。彼の持つホモフォビアもそうで、誰しもある種の偏見は必ず持っている。ゲイ・レズビアン、ユダヤ人、黒人、中国人、韓国人、朝鮮人、被差別部落民、etc...、ある作家が書いていましたが、現在の世の中は「ユダヤ人や黒人は差別してはいけません」と規定しているに過ぎない。誰にも差別意識は確実に存在する。 そんな主人公がビジネス・パートナーであるトランスジェンダーのレイヨンの為にスーパーマーケットで激昂するシーン、レイヨンと遂に友人として抱擁するシーン、薬を求める同性愛者たちのために車を売り払って薬を都合するシーン、最後に同性愛者たちに拍手で迎えられるシーン、それらが如何に偏見を氷解させるカタルシスに満ちていることか。 ラストカットで暴れ牛に跨るロンの姿は非常に印象的且つ象徴的です。振り落とされればタダでは済まず、端から見れば単に生き急いているだけの行為に見えるロデオ。しかし彼のそんな生き様は無駄であったか?間違いなく否である。 決して派手な映画ではないですが、静かなカタルシスを感じられる素晴らしい映画だったと思います。 【民朗】さん [映画館(字幕)] 9点(2014-05-04 08:46:54)
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5.ネタバレ 飾り気のない正直なストーリーだったと思います。 そこにはドラマチックな展開はなく、無理に涙を誘うような演出もなし。 相棒が亡くなったことすらさり気なく処理されてしまいました。 とにかく、主人公の人物そのもので勝負し、その人物象を前面に出し切った感があります。 それと相乗効果をもたらすように、耳鳴りのような音や揺れる画面…といった全編に漂う不健康さ加減。 それだけに最後の仲間のささやかな拍手の出迎えに、さり気なくホッとさせられました。 終わり方も地味でしたが、彼があのラストカットまで辿り着いて良かったと心から思います。 【午の若丸】さん [映画館(字幕)] 7点(2014-04-19 22:40:25)
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4.ネタバレ 序盤のマコノヒーは、クソ野郎。 カウボーイ気取りで常にくわえタバコ。ゲイを差別する。女好き。賭けに負けると逃亡して警察に泣きつく。エイズはゲイがなるものという偏見を彼も持っていたが、彼はゲイではなかったのにエイズになってしまう。 同じ境遇で苦しむ患者の多くはゲイ。ゲイ嫌いの彼は、孤立してしまう…かに見えたが、彼は強かった。 自ら道をバリバリと切り拓き、最初は会話すらも拒絶していた1人のゲイとも、利害の一致をきっかけとして信頼関係を作り上げていく。副作用の危険な医薬品は認可されているのに、他国では安全性も効果も実証されているビタミン剤も使えないのは、どうも利権が絡んでいるらしい…。 そんな不条理に違法行為で対抗するマコノヒー。違法行為とは言え、彼は誰も傷つけない。 しっかりきっちり勉強もするマコノヒーかっこいい! 最初は悪党にしか見えなかったのに。生き残るために、自分のために戦っていただけなのに。結果として、彼は多くの人を救うことになるのだ。 難病が絡むので辛いところもあるが、とても気持ちの良い物語である。 【すべから】さん [映画館(字幕)] 8点(2014-03-22 18:25:29)
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3.ネタバレ ○重たい映画かと思ったが、実はコメディ要素もある。○主人公のマシュー・マコノヒーのメインストーリーも印象的だが、その彼に惚れるジャレッド・レトーのサイドストーリーが切ない。オスカー獲得には納得。 【TOSHI】さん [映画館(字幕)] 8点(2014-03-21 21:25:33)
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2.ネタバレ この作品のキモって、女性のエイズ発症者がやって来て、そのことを知ったロンが次のシーンで「やっちゃって」るとこ、スーパーでのシーンの最後でレイヨンの眼が訴えてるとこに集約されてます。わたしはそう感じました。前者は、ストレートのエイズ発症者が「デキ」る環境ってそれしかないわけだし、そう、相手にとってもね。後者はロンを愛してしまう瞬間を見事にとらえたってことで。おめかしするシーンの台詞にそれが顕れてるよね。マーク・ボランの使いかたが美しいし、一発屋 Animotion の “Obsession” をうまくはめこんだとこも音楽的には賛辞。そうそう、渋谷見せるシーンだけは勘弁、右の角に“TSUTAYA”あっちゃダメでしょ、80年代ってことになってるんだから。 減点1はそこ、ということはほとんど満点ということ。 【shintax】さん [映画館(字幕)] 9点(2014-03-17 20:34:22)
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1.ネタバレ マシュー・マコノヒー演じる主人公は、決して世のエイズ患者のために未承認の薬を国内に持ち込み、販売したのではない。自分が生きるため、そして金儲けするためだ。しかし、エイズ患者に触れ、彼らからの感謝を知らず知らずに受けることで、主人公自身も施しの気持ちが芽生えてくる。マコノヒーの激ヤセ演技は衝撃だが、心境の変化をも、繊細かつ激しく体現していて心打たれる。レトー演じるレイヨンは、主人公よりも好感をもてる愛らしき人物として描かれている。普段は女装している“彼”が、男物のスーツを着て父親に会いに行くシーンは涙なしには見れません。2人とも痩せすぎで、心配になりました。 【カワウソの聞耳】さん [映画館(字幕)] 10点(2014-03-13 07:40:41)
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