4.ネタバレ “Er ist wieder da”『彼が帰ってきた』。この映画、とても内向きというか、ドイツ国内・ドイツ国民向けに作られた映画に思えます。移民に困っていたドイツ人の中にフツフツと湧いていた不満を、思い切った登場人物にぶった切ってもらう。 ヒトラーを頭ごなしに“悪”とみなす(と思われた)現代社会に、ヒトラーを置いて直接話させてみたらどうなるか?ドキュメンタリー風な撮影から、思いのほか好意的な人が多いことに驚いた。でもこれ、台本なしの会話にしても半分ジョークとして答えてるようにも思えるのと、モキュメンタリーの可能性も否定できない。エンディングで顔が黒塗りの人もいれば、顔出しでナチス式敬礼してる人もいて、何かそんなリアリティが却って造り物っぽく思えたかな。 この映画の目的・着地点は『誰もが知る悪のハズのヒトラーが、何故か民衆の心を掴んで現代社会で受け入れられていく』ことで、本当のハプニングを楽しむ映画ではないだろう。