2.劇場でみた9年前、不勉強なせいで、「ホロコースト否認論者」の存在はもちろん、「ロイヒターレポート」なるものを全く知らず、ストリーというか、裁判の行方ばかりに注目していた そして、楽しめたのは楽しめたのだけれど、結局、まあ、そりゃあ勝つよな、というくらいの感想しかもたなかった
10年たって再視聴して、この間、武井(2021)「歴史修正主義」中公新書も出版され、私の無知も相当程度、アコモデイトされた
そうして、2025年になりこの映画をネットで見直した
あらためてこの「正義とは何か」を問いかけた映画が、2時間の中で事実を単純化しようとしたために、かえって正義を歪なものにしていることに、残念ながら気がつかされた
そもそも、アーヴィングは、戦争をテーマとした著述家としてはかなり成功した人物で(歴史学の専門教育は受けてないにせよ)、第二次世界大戦中のドイツに関してはベストセラーもいくつかあるような人物である イメージとすれば、司馬遼太郎とか、吉川英二、あるいは百田尚樹とか、に該当する人物である
司馬遼太郎と百田尚樹では、話がだいぶんちがうのだけれども、じゃあなにが違うんだろうか、ということが、まず突きつけられるわけである
(2025/5/25中略、時間がある時にこれ以降を大幅に修正していきます)
この作品が、なんでも自分で決め、行動することで人生を切り開いてきた、デボラ・E・リップシュタットという学者が、人に委ねることやチームの一員となることを描いているのだな、と感じた。
しかし、そうだとすれば、50歳前後のデボラ・E・リップシュタット教授を、30歳前半の美しきレイチェル・ワイズが演ずることによって(デビッド・アービングを演じるティモシースポールの陰湿さとあいまって)、事実をかなりゆがめてしまっているのではないか まあ、それはそれで、創作というのはそういうものかもしれないが、それにしても扱っているテーマがテーマだけに、もやもやした
裁判長の最後の質問(これは原作にもある挿話なのだが)は、全く意味不明 映画のストーリーとして、最後にドキドキさせる効果はあるけれど、「あれはなんだったんだろう(原作ではそういう扱いになっている)」というフォローがないため、もやもやさせられた
そして、まあこれは事実なんだろうが、デボラを支えるリーガルチームが、ほぼほぼ男性なのには驚かされた あれから30年、イギリスは変わっているのだろうか?
1mA18/1/20 3thSX 【みんな嫌い】さん [映画館(字幕)] 5点(2025-05-08 14:24:38) 《更新》
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