16.スラムダンクのドンピシャ世代です。マイケル・ジョーダンと宮城リョータに憧れる中高バスケ部野郎でした。映画が始まった瞬間にあの頃に戻る感覚というか、まさか、こんな歳を重ねてまたスラムダンクに興奮する日が来るなんて!スラムダンクを知らずともこの映像は素晴らしい体験になると思います。本当に漫画がそのまま動いてるかのような表現は凄すぎるし、バスケ経験者なら尚更この動き!この感じ!って絶対なるはず。よくあの試合を遜色なく映像で動かせたなと驚嘆しました。井上雄彦が漫画で描く人物描写は人間以上に人間らしく感じ、豪快であり繊細であり、色っぽくもあり時にお茶目だったりする。監督としてガッツリ参加された事、スタッフの方々の井上先生へのリスペクトが、それらを映像表現として見事に昇華され、素晴らしい作品に繋がったんだなと思います。最初はリョータが軸のストーリーなん!?と思ったけど、試合と回想で丁寧に緩急をつけ、納得の構成でした。井上監督はスラムダンク連載後に、小学校6年のリョータが主役の「ピアス」という短編を描いており、沖縄の海が舞台だったことが、今回の映画を見て繋がってきます。宮城という名前は本当に沖縄に多い名前ですし、ちゃんとその頃からストーリーの構想があったんだと。リョータの過去と山王戦の映像化を、この映画のために温めていたかのように思えます。映画のHPに、井上監督や関係者のインタビューが載っています。特にプロデューサー松井俊之さんのインタビューをぜひ見てください。それと映画をもっと知れる本『THE FIRST SLAM DUNK re:SOURCE』もおすすめです。井上監督のロングインタビューで語る数々のエピソードや心情は必見。「ピアス」も収録されています。商業的な成功ももちろん大切なこと。だけど、まずは人々の思いから始まっていて、その純度の高さがこれだけの映画を産み出したんだとわかります。長い年月をかけて制作してくださったみなさんに本当に感謝します。