5.ネタバレ 最初はどこにでもいるオバサンに見えたベット・ミドラー。これが主演だとちょっと厳しいかなと思っていたら、どんどん存在感を放ってくる。ベトナム前線基地の慰問で若い兵士たちを前に歌った「In My Life」は鳥肌もの。いわゆる反戦映画だが堅苦しいところはまったくなく、ディクシーとエディのコンビを中心に味わい深いヒューマンドラマになっている。二人のかけあいは長年連れ添った夫婦漫才のよう。お互い自己主張が激しいので始終ぶつかってしまうが、切っても切れない絆が感じられる。おかしかったのは、エディが勝手に朝鮮戦争の慰問を発表し、その仕返しにディクシーがエディの10万ドル個人献金を発表したシーン。オンエア中なのでお互い否定するわけにもいかず笑顔でステージを終えたものの、幕が下りた瞬間に幕越しに喧嘩している二人の姿が笑える。こうしたユーモラスなシーンも物語に配置されているので、戦争がらみの重い話の緩和剤になってくれる。ディクシーの毒舌とユーモアはどこかミヤコ蝶々に通じる味わいがあっていい。